湧別町教委 北大院教授招き研修会 学び合いへ関係構築を 「分からない」言えるのが大事(市町村 2022-05-23付)
守屋教授は全学級の授業を参観
【網走発】湧別町教委は13日、上湧別中学校(綾部雅一校長)で北海道大学との連携による「学びの共同体」の研修会を開いた。北大大学院教育学研究院の守屋淳教授が来校し、全学級の授業を参観後、講話。児童生徒同士が深く学び合うために「分からないときに“分からない”と安心して言える関係をつくることが大事」などと助言した。
町教委は、町と北大大学院教育学研究院が結んだ連携協定を活用し、北大との連携事業を展開。守屋教授が研究する「学びの共同体」の理念を取り入れた授業改善を進めている。
本年度は、中学校段階での主体的・対話的で深い学びの実現を視点に据え、湧別中学校と上湧別中を実践校に計3回の研修会を計画している。
守屋教授は12・13日の2日間来町し、1日目は湧別中で授業参観と授業者との懇談・指導助言を行った。
2日目は、研修会の主会場となる上湧別中を訪問。生徒同士の学び合いを通して課題解決に向かう全学級の授業を参観したほか、講話を行った。
講話では、学びの共同体の意義や内容について解説した。
学びの共同体には①子ども同士で深く学び合える授業の改革②教師同士が学び合える校内研究の改革―の2つの側面があると説明。
①では、4人程度のグループを基本とした授業スタイルを提案している。
ただ、グループで一つの答えを出したり話し合いをさせたりするのではなく「あくまでも子ども一人ひとりの学びを保障するためのグループ」と強調。「分からないときに“分からない”と安心して言える関係をつくることが大事」とした。
集中して一人で課題に取り組みたい子は一人で学ぶことも可能だが、そうではなく、分からないのに声を上げることができない子には「“何に困っているの?”などと教員が働きかけることが大事」と話した。
学習課題としては、誰もが習得すべき「共有の課題」、学習指導要領の範囲から発展した「ジャンプの課題」の2つを設定。ジャンプの課題は必ずしも全員が達成する必要はなく「課題を考える過程でその教科等の本質を学ぶもの」と説明した。
②では「どの先生も最低でも年1回は授業を公開し、自分の授業を見てもらう機会をつくってほしい」と呼びかけた。
その際、参観する教員には「教員の指導の様子ではなく、子どもの学びの様子を見てほしい」と要請。「“どのように学んでいるか”“どこで学びにつまずいたか”など、常に児童生徒の固有名詞を挙げて語ることが大事」と伝えた。
「授業研究は、授業者よりも授業を見る教師のためにある」と強調。そのためにも、子どもの学びの様子をベースとした授業づくりの重要性を説いた。
また、参観した授業から上湧別中の生徒の学びの様子にも触れ「理解度が高い子の解答を写して終わり、という形にならないようにしたい」「どの子も課題に集中している中で、何か分からないことや引っかかりが出てきたときに他の子に聞いたり助けを求めたりするのがうまく学び合えている姿」などと助言した。
(市町村 2022-05-23付)
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