ひとり親世帯支援考える検証報告書　転入者への対応整理を　２歳児死亡事案受け札幌市

（札幌市 2022-06-09付）

札幌市子ども未来局は、昨年６月、２歳児が母親にクローゼットに閉じ込められたあとに死亡した事案を受け、ひとり親世帯への支援策を考える検証報告書をまとめた。この親子が市外からの転入者だったことから、同様のケースに関する支援の在り方を明記。前の居住地からの引き継ぎや支援方針の決定方法を整理する必要性などを提言した。

　昨年６月、札幌市北区で、クローゼットに２歳の長男を監禁したとして母親が逮捕され、その後長男は死亡した。当時、他自治体から転入して間もなかった親子に対して市は、若年のひとり親世帯であることなどを考慮し、子育て支援の担当職員が２回面談するなど対応していた。

　当該事案を受けて、市はことし１月、専門家らで構成する子ども子育て会議児童福祉部会内に検証ワーキンググループを設置。支援内容の問題点の把握、課題や改善点などを審議した。

　提言では「市の対応に明らかな職務遂行上の瑕疵はない」とした上で、今後のより良い支援に向けて①他自治体から転入したケースの支援の在り方②支援方針の組織的な決定と情報共有③精神保健相談体制の充実―の３点を挙げた。

　①では、前の居住地の自治体からどのような情報をもらい引き継ぎを受けるのか、どう支援方針を決定するのか整理する必要があることを提言した。

　また、各区の家庭児童相談室は、前の自治体から子どもに関する情報を必ず得ることや、得られない場合も状態把握を行うことを盛り込んだ。

　②では、客観的に家族関係を理解する、家族アセスメントの重要性を指摘。養育者自身の成育歴をはじめ、家族との関係性や交流の有無、頻度なども把握し、関係部署で情報共有する仕組みが必要だとした。

(札幌市 2022-06-09付)