子の応援団、主役は子 道高P連釧路・根室大会
(関係団体 2022-06-15付)

 道高校PTA連合会(道高P連)主催、全国高校PTA連合会(全国高P連)共催。道高校PTA連合会釧路・根室支部が主管した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、前年度に続き、運営担当者のみが会場に参集し、他会員は動画配信サイトユーチューブで映像を視聴する形で実施した。

 開会式で、道高P連の村井為敦会長があいさつ。長引くコロナ禍の影響で通常の活動に大きく制限がかかる中、大会開催準備に努めた実行委員会をねぎらいながら、分科会や基調講演で学んだ成果を「各校のPTA活動に生かしてほしい」と呼びかけた。

 開催地を代表して、釧路工業高校PTA会長を務める森下亮実行委員長があいさつ。コロナ禍によって様々なことが変わりゆく中「人や組織は変化を好まない傾向にある。高P連として何が変わり、何を変えないのかについて知恵を絞り、“子どもたちの応援団、主役は子どもたち”を合言葉に、私たちに何ができるかを問いかけたい」と述べ、大会の成果が新たな一歩となることを期待した。

 全国高P連の泉満会長があいさつ。デジタル時代の到来など、あらゆるものが加速度的に変貌を遂げる中「世界から取り残されないためのキーワードは教育である」と強調した。世界との競争を勝ち抜くためには「ゼロから1を作り出す人材を育成することが大切」と指摘。アフターコロナ時代を見据え、PTAが果たす役割の大きさを示し「社会と深く連携し、目の前の子どもたちを育てるフロントランナーになろう」と呼びかけた。

 引き続き、特別功績者表彰、功績者表彰、優良PTA会報表彰を行い、村井会長が受賞者に表彰状を手渡した。

 このあと、分科会I「今、もう一度、PTA活動の在り方を考えよう」、分科会Ⅱ「次代を担う若者との対話」をテーマに、釧路東高校の箕浦真人校長による講話およびパネルディスカッションを実施。基調講演では、釧路市出身で作家の桜木紫乃氏が「オカンルール?!」と題してトークセッションした。

◆親として子を尊重して 作家・桜木氏らが基調講演

 基調講演では、釧路市出身の作家・桜木紫乃氏とフリーアナウンサーの大津洋子氏によるトークライブ「おかんルール?!」が行われた。桜木氏は、作家と2児の母として子育てを両立した自身の経験をもとに、子どもたちとの関わり方や親としての在り方などを、時にユーモアを交えながら紹介した。

 『ホテルローヤル』『家族じまい』などの作品で知られる桜木氏は、第二子出産直後に執筆活動を開始した。デビューから20年が経過し、子どもたちが独立した今、仕事と子育てを両立させた時期を振り返り、「小説が原因で家族関係がうまくいかないことだけはしないようにした。自分がやりたいことを続けるためにも、家庭を大切にした」と述べた。

 子育て中、変わったルールを設定していたことを問われた桜木氏は、自身の子ども時代の経験から「夕食時は絶対に笑って過ごそうと決めていた」とし、「子どもたちに“私を笑わせられたらごほうびをあげる”という決め事をつくった」と明かした。「子どもたちが、母と食卓を囲むことが楽しいと分かれば、食べることも楽しいと思えるようになり、ごほうび目的ではなくなる」と説明した、

 また、当時高校生だった娘に対し「労働には対価が伴うことを理解させる」ため、自身の小説の最終原稿をチェックするアルバイトをさせていたことを紹介した。

 最近、息子から「母を見ていると、年を取ることも悪くないと思った」と言われたことを振り返った。「小説家として、自分のしたいことをあきらめない姿を見てもらえたのかな」と喜びつつ「そんな私を支えた夫のことも忘れないでね」と言うと、会場は笑いに包まれた。

 子どもたちが独立する際「自由はタダではない。自分の自由は自分で稼いで得なさい」と伝えたことを明かした。一方で「子は子の世界の中で、自分に合った人間関係を築いていく。親はそれを認めなければならない」と強調した。

 それぞれ一人暮らしをしているが「彼らが住んでいる家は、自分の意思で充実させているもの。親といえども簡単に踏み入るべきではない」と持論を展開。親として子どもたちの意思を尊重することの大切さを説いた。

◆交流・研修の場創出を 分科会I PTAの在り方議論

 分科会Iでは、「今、もう一度、PTAの在り方を考えよう」をテーマに、講話やパネルディスカッションが行われた。コロナ禍を機に、学校と保護者、生徒とのつながりを再構築するため、それぞれの立場から意見を交わした。

 はじめに、釧路東高校の箕浦真人校長が、PTA活動の目的や課題、コロナ禍によるPTA活動への影響、PTA活動の持続的発展をどのように考えるかなどについて、アンケート調査などの結果をもとに講話した。

 パネルディスカッションでは、パネリストとして、箕浦校長、釧路湖陵高校の古野輝昭副校長、根室高校PTAの岡野忠春会長、釧路湖陵高校PTAの三浦育子理事が登壇。中標津農業高校PTAの清原孝志会長がコーディネーターを務め、それぞれの立場から発言した。

 コロナ禍によって変わったこととして、岡野会長は、ICTの導入によって学校の学びが変わる中で、子に対する親の関わり方に不安を覚えることが多くなった状況を示し「親の関わり方に関する研修機会の充実に力を入れたい。学校と共に考えていく必要がある」と述べた。三浦理事は「高校は中学校と違い、保護者同士の交流機会が少ない」と強調。「SNSなどを通して交流できれば」と期待した。

 古野副校長は、教育改革が進む一方で「保護者に対し十分な情報提供ができていない現状にある」と説明。保護者同士の交流機会確保とともに、教職員やPTAメンバーの入れ替わりなど、PAT活動の継承などの課題を挙げ、「例えばOBに協力してもらうなど、取組の充実につなげられれば」と述べた。

 箕浦校長は、保護者が知りたい情報を把握するための対話の場を創出する必要性を指摘。文書やオンラインでの情報提供の充実とともに「間近で子どもたちの活動を見てもらう機会を設けることができれば」などと述べた。

 今後のPTA活動の在り方について、古野副校長は「教職員と保護者の距離感をいかに縮めていくかが課題」と指摘。PTAの担い手不足や教職員の負担感などを示す一方で「連携が充実することで、学校とPTA活動の相乗効果がある。きっかけ次第でコロナ前よりも充実した活動が可能になる」と期待した。

 三浦理事は、PTA役員の業務の在り方を「これまでのやり方にとらわれることなく、柔軟な形に変えることが必要」と提起した。

 箕浦校長は「コロナ禍以前の活動に無理に戻すのではなく、今がチャンスと捉え、保護者や教職員、ときに地域や子どもたちも交えた交流の場を作ることができれば」と述べた。

(関係団体 2022-06-15付)

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