日本教育会道支部 教育講演会 子と学校との折り合いを 石隈東京成徳大教授が講演
(関係団体 2022-06-16付)

 日本教育会道支部の第44回総会・研修会(11日、オンライン)では、東京成徳大学の石隈利紀教授を講師に迎え、教育講演会を開催した。石隈氏は「チーム学校におけるすべての子どもの支援」と題し、いかに子どもを援助していくかを説明。特に不登校について「子どもに原因があるのではなく“子どもと学級・学校との折り合いが悪い”と考え、学校が柔軟性を高めること。これをしないと不登校は減っていかない」と訴えた。

 石隈氏は「よく問題児という言葉が使われるが、子どもが悪いわけではなく、状況・環境がそうさせている」と説明し「どう環境をよくしていけるか、その子が力を発揮できる環境とマッチングできるかが大切」と訴えた。

 発達障がいについて「小学生の不登校は、発達障がいのため勉強についていけなかったり、ルールを守れないことに起因することが多い」と指摘。「特性を理解しどう援助するかが大切」と述べた。

 また、こうした子が「自分は何でできないんだろう?」という思いから、4~6年生になると「どうせできない」に変わることを説明し「どうしてできないのか、一緒に考えよう、という姿勢が大切」とアドバイスした。

 不登校について、以前は神経症的なものとの考えが多かったが、今は「子どもに原因があると考えるのではなく、“子どもと学級・学校との折り合いが悪い”と考え、学校が柔軟性を高めること。これをしないと不登校は減っていかない」と指摘した。

 特にいじめ等に起因するものは「頑張って学級に戻すのではなく、フリースクールや適応指導教室など、いろいろな学ぶ場があることを紹介し、学びの多様性を確保すること」と提案。

 また「いじめは放っておくとどんどんひどくなる。早期に対応を」と求めた。

 つぎに「子どもの苦戦は学校が変わり、環境が変わらないと終わらない」とし「子どもの行動様式と、学校からの要請にギャップが大きすぎると、子どもが潰れてしまう」と指摘。

 読書感想文コンクールで入賞を続ける子が、担任が変わり昼休みにみんなを誘ってドッジボールをやるようになってから、不登校になってしまった例を挙げ「先生には先生なりの思いがあったのだろうが、その子は昼休みは静かに本が読みたかった。みんなが楽しんでるのに、自分だけ楽しく思えないのに疎外感もあった」と説明。「自分の教授スタイルは、子どもに合っているか?子どもに要請していることで、子どもが潰れていないか気をつけてほしい」と呼びかけた。

 このあと、3段階の心理教育的援助サービスについて説明。全ての子を対象とした一次、苦戦している・苦戦しそうな子のための二次、そしていじめや不登校などに陥っている子への三次的援助サービスについて「一次は一人ひとりの学びの支援などで、ここがしっかりしていると二次、三次が少なくなる」とした。

 二次的援助サービスは、勉強や友達などでつまづいている子のためのもので、「宿題や板書を緩やかにするだけで、子どもはだいぶ楽になる」「転校生には、1学期は毎月3者面談をするくらいがいい」「運動会のあと学校を休んでしまう子が増える。練習の前に苦戦しそうな子をチェックするとともに、待っている間も話もしてはいけないなど余計な負担をかけないこと。待っている間はだらけていても話をしていてもいい」と訴えた。

 また「理想は一次的援助サービスが充実し、全ての子が生き生きしていて、つまずいたら援助できること。荒れている学校は一次的援助が足りていない」と述べ、一次的援助サービスの重要性を説いた。

(関係団体 2022-06-16付)

その他の記事( 関係団体)

道P連が総会開く 10月にオホーツク北見大会 菊川会長再任、副会長9人新任

道P連総会全体  道PTA連合会は11日、ホテルポールスター札幌で総会を開催した。第69回日本PTA道ブロック研究大会オホーツク北見大会(10月8・9日、オンライン開催予定)を盛り込んだ本年度事業計画を決定...

(2022-06-17)  全て読む

道高教組・道教組が声明 20人学級実現 強く要求 高校・特別支援配置計画案撤回を 

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は15日、道教委の2023~25年度公立高校配置計画案および23年度公立特別支援学校配置計画案に対する声明を発表した。感染症対...

(2022-06-17)  全て読む

江別市内小・中に学校用図書等 読書に親しむ契機に 地元ライオンズクラブ

江別市学校図書贈呈式  江別市内の小・中学校は5月下旬、江別グリーンライオンズクラブから総額29万円相当の学校用図書164冊と熱中症指数モニター各校2台の寄贈を受けた。同クラブ30周年記念事業の一環。寄贈を受けた...

(2022-06-16)  全て読む

会長に三上氏 札幌厚別北中 道中学校道徳資料研究会

道中学校道徳資料研究会会長三上寛晃  道中学校道徳資料研究会の4年度役員体制がまとまった。新会長には、札幌市立厚別北中学校の三上寛晃校長を選出。事務局長には、札幌市立羊丘中学校の大久保俊博教頭を新たに選任した。  本年度の役...

(2022-06-16)  全て読む

日本教育会道支部総会・研修会 組織強化へ3つの取組 8月にカウンセラー研修講座

 日本教育会北海道支部は11日、オンラインで4年度第44回総会・研修会を開いた。前川洋支部長(元道立教育研究所長)の再任など本年度役員を承認。前川支部長は8月1日から札幌市で開かれる第30回...

(2022-06-16)  全て読む

子の応援団、主役は子 道高P連釧路・根室大会

 道高校PTA連合会(道高P連)主催、全国高校PTA連合会(全国高P連)共催。道高校PTA連合会釧路・根室支部が主管した。  新型コロナウイルス感染症の影響で、前年度に続き、運営担当者のみ...

(2022-06-15)  全て読む

北図振 4年度事業計画 11月に図書館長会議 学校支援など4専門研修

 北海道図書館振興協議会(北図振、会長・川端雄一道立図書館長)は7日、4年度総会(書面開催)で本年度の研修事業計画を決定した。全道図書館長会議を11月18日に開催するほか、全道図書館専門研修...

(2022-06-14)  全て読む

事務主幹配置進め働き方改革 道都市教委連等5年度文教要望

 道都市教育委員会連絡協議会(檜田英樹会長)と道都市教育長会(同)が10日付で道教委に提出した、5年度の文教施策に対する要望書の内容はつぎのとおり。 【学校における働き方改革の推進について...

(2022-06-14)  全て読む

道教委へ文教施策要望書手交 8分野64項目を要望 道都市教委連・道都市教育長会

道都市教委連文教施策要望書手交式  道都市教育委員会連絡協議会(檜田英樹会長)と道都市教育長会(同)は10日、道庁別館で5年度文教施策に対する要望書手交式を執り行った。新型コロナウイルス感染拡大による修学旅行キャンセル料支援...

(2022-06-14)  全て読む

9団体で会長が交代 胆振管内各市町校長会の4年度役員

 【室蘭発】胆振管内各市町小・中校長会の本年度役員がまとまった。会長が交代したのは、苫小牧市小学校と中学校、伊達市、豊浦町、洞爺湖町、壮瞥町、白老町、厚真町、むかわ町となっている。  各市...

(2022-06-13)  全て読む