事務主幹配置進め働き方改革 道都市教委連等5年度文教要望
(関係団体 2022-06-14付)

 道都市教育委員会連絡協議会(檜田英樹会長)と道都市教育長会(同)が10日付で道教委に提出した、5年度の文教施策に対する要望書の内容はつぎのとおり。

【学校における働き方改革の推進について】―重点

 学校における働き方改革を推進するため、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。

▽教職員(栄養教諭等を含む)基礎定数および加配定数の改善を図ること

▽スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材を積極的に活用することや、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの配置を拡充すること

▽統合型校務支援システム導入・運用にかかる財政措置を講ずること

▽学校給食費の徴収・管理にかかる教員の業務負担を軽減するため、学校給食費の公会計化制度への移行を進める市へ財政措置を講ずるよう国に要望すること

▽学校事務の効率化を図り、働き方改革を推進するため、資質・能力を備えた人材が事務主幹を希望しやすくなるよう、人事異動や事務主幹の制度やその運用について検討するなど、事務主幹の配置を推進すること

▽各種調査・報告の削減や簡素化、会議や研修の実施方法の見直しなど、教員の負担軽減によって一層努めること

【GIGAスクール構想の推進にかかる支援について】―重点

 子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を目指すGIGAスクール構想を道内各市においてもさらに推進するため、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。

▽国のクラウド・バイ・デフォルトの原則のもと道内の自治体においてもクラウドサービスの利用を開始しているが、各自治体の情報セキュリティ対策は十分とは言えない状況にあることから、セキュリティの強靱化にかかる経費について地財措置を講ずるなど、財政的な支援について国に要望すること

▽端末を効果的に活用する上で必要となるソフトウェアや周辺機器、指導者用端末や予備機の購入にかかる費用、また機器の維持更新にかかる費用などについても国庫補助の対象に加えるよう国に要望すること

▽1人1台端末の活用による学習機会の保障と、多様な子ども一人ひとりの個別最適な学びを実現する観点から、教育目的の著作物利用にかかる許諾不要・補償金無償の範囲を拡大できるよう国において補償金を負担するよう国に要望すること。また、教育委員会等の組織が主体となって教材や授業動画を作成・配布する場合においても、本制度の対象となるよう国に要望すること

▽1人1台端末の導入による授業改善を進めるに当たり、デジタル教科書の活用は非常に効果的であることから、紙の教科書と同様に義務教育段階の全学年・全教科において無償措置の対象とするよう国に要望すること。

 また、指導者用デジタル教科書についても財政的支援を講じること

▽家庭でのオンライン学習の際に発生する通信費や校外通信ネットワークの増強にかかる費用についても、国庫補助の対象に加えるよう国に要望すること

▽ICT支援員やGIGAスクールサポーター等の活用について、地方においては人材の確保が困難な状況にあるため、道が率先して各市へ人材情報の提供等を行うとともに、配置にかかる費用を国庫補助の対象とするよう国に要望すること

▽1人1台環境における教員のICT活用指導力の向上に向けて、学校のニーズを踏まえた研修プログラム等を引き続き実施すること

▽道立高校における1人1台端末について、国庫補助金や道補助金によって整備すること

【公立学校施設の整備促進について】

▼学校施設環境改善交付金の確保―重点

 学校施設の耐震化など、防災・減災、国土強靱化のための5ヵ年加速化対策の対象となる事業については、国土強靱化基本計画に基づき必要な予算が確保される一方、対象とならない事業に対する財源は、地方が必要とする事業量に対し大幅に不足している状況にある。

 各市が計画的に施設整備に取り組むことができるよう、計画事業量に見合う財源を確保した上で計画している時期に円滑に施工できるよう、事業採択時期を早期化するほか、当初予算や補正予算による速やかな交付措置を国に要望されたい。

▼新増改築事業にかかる国庫補助の改善等―重点

 新増改築事業の実施に当たり、つぎのことについて国に要望されたい。

▽文部科学省が設定した建築単価は、近年増額されているものの依然として実施単価との乖離があり、補助事業分の実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善すること

▽外構工事については門柱や囲障を除き補助金の対象外となっているが、新増改築においては既設位置から移動する場合が多いことから補助事業の対象を拡大すること

▽積雪寒冷地は断熱性能の向上や暖房設備の設置が必須であるためコストがかさんでしまうが、加算措置はあるものの現状に即しておらず不十分であることや、地方都市は工事費が割高になる傾向にあることから、工事費の地域間格差などにも配慮すること

▽改築事業の増加に伴う地方自治体の負担の軽減および老朽施設の改築促進のため、改築事業にかかる交付金・補助金の充実を図ること

▽小中連携・一貫教育に取り組むに当たり、小学校と中学校の校舎や体育館を一体化するために増改築や大規模改造を行う場合においても、小学校同士または中学校同士の統合に伴う新増築と同等の補助率(2分の1)とすること

▽公立学校施設整備費負担金事業の認定について、対応が遅れることによって必要な工期の確保や入札準備、議会承認等に支障をきたすおそれがあることから、事業認定を迅速に行うこと

▽労働基準法の改正に伴い、6年4月から建設工事において週休2日が義務化されることから、学校施設の新築・改築においても工期の延長や工事費の増加等が見込まれている。公立学校施設整備費負担金事業の国庫債務負担行為にかかる事業の年数については、現在2ヵ年が限度となっているが、週休2日工事の導入に伴い、学校施設の新築・改築工事の2箇年での完了が困難となることが見込まれるため、国庫債務負担行為にかかる事業年数を延長すること

▼長寿命化改良事業における補助要件の緩和―重点

 2年度からの長寿命化改良事業の制度拡充に伴い、整備内容が重複する大規模改造(老朽)事業は4年度までに廃止され、予防改修事業が補助対象とされたが、建築後20年以上が経過した施設の防水や暖房設備、給排水設備などの維持修繕といった部分的な改修についても長寿命化改良事業の補助対象に含めるとともに、補助対象事業費の下限額3000万円・上限額1億円の撤廃、若しくは金額の見直しを国に要望されたい。

▼防犯対策施設整備工事の下限額の引き下げ

 防犯対策施設整備工事については、全国的に児童生徒が被害に遭う事件・事故が頻発する中、防犯力(犯罪抑止力)の向上の必要性が指摘されている。現行では補助下限額は1000万円となっているが、防犯カメラや防犯灯の設置については数百万円で対応可能であることから、防犯力強化のため下限額の引き下げについて国に要望されたい。

▼学校体育施設にかかる整備の充実

 学校プール、柔剣道場など学校体育施設整備の充実を図るため、実施事業量に十分対応できる交付金を確保されるよう引き続き国に要望されたい。

 特に、柔剣道場整備のための交付金については嵩上げを復活するとともに、学校プール整備のための交付金については改修事業も対象とするよう特段の配慮を願いたい。

 また、事業の実施に当たり、文科省が設定した建築単価が実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善されるよう引き続き国に要望されたい。

▼学校グラウンド等の整備にかかる交付金制度の充実および交付対象事業の拡大

 学校グラウンド整備にかかる交付金については、超過負担が発生する場合が多数あるため、補助限度額の範囲を拡大するとともに、小学校の遊具整備の単独での新設・更新やグラウンドの暗渠排水設備の更新も対象とするなど、実情に即したものに改善されるよう引き続き国に要望されたい。

 また、この交付金は時限措置とせず、恒常的な制度とするよう引き続き国に要望されたい。

▼地震等防災対策にかかる対象の拡大

 小・中学校は災害時の避難所として使用され、防災対策上、重要な拠点となっていることから、つぎのことについて国に要望されたい。

▽地震防災対策特別措置法の補助率嵩上げを時限的な措置とせず、恒常的な制度にするとともに、地方債元利償還金について、地方交付税算定の際の基準財政需要額に算入できるよう、引き続き同様の財政措置を実施すること

▽防災機能強化事業について、補助率を嵩上げするなど財政措置の拡充とともに、事業費下限額の撤廃を図ること

▽窓ガラス等の破損防止対策や家具等の転倒落下防止対策等の非構造部材の耐震化について、工事を伴わない場合の対策にかかる物品購入費についても補助対象とすること

▽学校施設環境改善交付金の防災機能強化において、自家発電設備の整備の上限額の撤廃および補助率の嵩上げを図ること

▼バリアフリー整備にかかる配分基礎額の改善―新規

 公立学校施設のバリアフリー整備については、文科省において7年度末までの重点整備を目標としているが、大規模改造(障がい児対策等)におけるエレベーター整備にかかる配分基礎額が実態と大幅に乖離しており、自治体の超過負担が大きいことから、補助率の嵩上げに留まらず配分基礎額を改善するよう国に要望されたい。

【教職員定数等の充実改善および財政措置の拡充について】

▼少人数学級の拡大とそれに伴う財政措置等の拡充―重点

 3年3月の義務標準法の改正によって、小学校の全学年で学級編制の標準を段階的に35人に引き下げることとされた。

 北海道においては、現在小学校3・4年生までの少人数学級を令和6年度までに小学校全学年に拡大するとしているが、中学校においても少人数学級を実施するとともに、よりきめ細かな指導が展開できるよう小・中学校における30人学級の実施に向けた取組を進めるよう強く要望する。

 また、学級数が増加することによる施設や設備、備品等の整備に対して財政措置が図られるよう引き続き国に要望されたい。

▼小・大規模校等における教職員の配置拡充および複式学級の解消

 3学級未満の学校への教頭および事務職員の配置や、大規模校等における教頭の複数配置を要望されたい。また、道独自の学級編制基準や加配等の措置によって複式学級を解消されたい。

▼小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充

 文科省が示した小学校における英語教育の拡充強化の実施に向け、英語の指導力向上を図るため外国人を講師とするなど、教員研修会の一層の充実を図られたい。また、小学校における英語専門教員の配置を講じられたい。

▼中学校における免許外教科担任の解消

 一部教科において指導力の低下を来すことのないよう、免許外教科担任の解消に向けて法改正および中学校設置基準を含めた改善が図られるよう国に要望されたい。

▼中学校の病気休暇等講師にかかる報酬予算の適正化

 中学校における90日以内の病気休暇にかかる代替措置については現在、時間講師で対応しているが、時間講師の予算不足によって必要な授業時間に合わせた発令ができず、授業時間数の不足分を学校体制によって代替している状況にある。

 休務者にかかる代替措置制度は最低限の教育サービスを提供するための根幹となる制度であり、保護者など外部からの要望も非常に強いことから、中学校における90日以内の病気休暇にかかる代替講師について、学校現場の実情に対応した発令ができるよう十分な予算措置を講じられたい。

▼スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置促進―重点

 いじめや不登校など児童生徒の抱える諸問題に対応するため、資格保有者等の専門的知識・経験を有するスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置の拡大を図るため、教職員定数と同様に定数化することに加え、全校にスクールカウンセラーを配置するための財源措置の拡充を国に要望されたい。

 また、市町村単独で配置しているスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーについて財政的支援を講じるとともに、道スクールソーシャルワーカー活用事業における市町村への委託費の増額を講じられたい。

▼学校図書館にかかる支援措置の拡充

 4年度からの学校図書館図書整備等5ヵ年計画において、公立小・中学校における専門的な知識・技能を持った学校司書のさらなる配置拡充にかかる地方財政措置がなされたが、今後、全ての小・中学校へ司書の配置がなされるよう、義務標準法における定数措置の新設、人材育成および財政支援の拡充をされるよう国に要望されたい。

 また、図書館システムの導入および運営にかかる経費に対する補助、コンピュータソフトの購入補助など学校図書館環境整備にかかる予算措置についても国に要望されたい。

▼ALTにかかる地方交付税措置の拡充―重点

 JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で招致されたALT(外国語指導助手)だけでなく、JETプログラム以外のALTに対しても同様に地方交付税が措置されるよう引き続き国に要望されたい。

▼期限付教員の安定的な確保に向けた取組の充実と制度改善

 正規教員の病気、出産等に伴う期限付教員の採用に当たっては安定的に人材を確保することが難しく、自治体によっては教職員定数を満たすことができない場合もある。

 今後も教員免許保有者の掘り起こしなど、人材確保の取組の更なる充実を図るとともに、臨時免許状にかかる授与要件や有効期間の緩和など、広く人材を登用することができるような制度改善について国に要望されたい。

 また、休職が長期化し復職が見通せない教職員が多数いる場合においても、すべて期限付教員による対応となっているため、休職代替職員の一部定数内として、正規職員で対応することが可能となるよう国に要望されたい。

▼市町村費負担教職員制度の創設

 小規模市においては、市独自に教職員の採用・異動を行うことが困難であることから、北海道全体の採用・異動に組み込んだ上で各市がその人件費を負担するような新たな制度を創設されたい。

▼地域枠採用の対象拡大

 教員採用候補者選考検査の一般選考「地域枠」採用は現在、小学校教諭および中学校教諭の一部の教科に限って実施されているが、地域に根差した教育を推進する中核となる教員養成の一層の充実を図るため対象を中学校教諭の全教科まで拡大されたい。

▼コミュニティ・スクールの推進のための財政措置及び加配措置の確保―重点

 学校が抱える複雑化・困難化した課題を解決し、子どもたちの生きる力を育むため、コミュニティ・スクールの導入による地域住民や保護者等の参画を得た学校運営が求められている。国のコミュニティ・スクール導入等促進事業は、補助率が3分の1となっており、北海道においては事業費の3分の2を各市町村が負担している状況であることに加え、導入の促進にかかる教員又は学校事務職員の研究指定校加配が十分に措置されていないことから、コミュニティ・スクールを推進するため、北海道においても相応の財政措置および加配措置を講じられたい。

▼小中一貫教育の推進

 教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化小中一貫教育の推進に当たり円滑に実施することができるよう、教職員の配置基準の見直し、教科担任制や相互乗り入れ指導等にかかる加配措置ならびにそれに伴う国庫負担にかかる措置を講じられたい。

 また、兼務発令の基準を明確化するとともに、それに伴う派遣依頼や旅費、公務災害、児童生徒の評価にかかる統一した基準の制度整備を図られたい。

▼部活動指導員制度への支援

 部活動指導員制度を円滑に運用するに当たっては、人材確保とともに、人件費などの財政措置が必要であるが、現行の中学校における部活動指導員配置促進事業における補助率では、国・都道府県・市町村で各3分の1の割合となっており、学校設置者の負担軽減となっていないという実態がある。

 そのため、部活動指導員の人件費にかかる地方財政措置や補助事業制度について、国や北海道からの財政措置の拡充を図られたい。

▼インクルーシブ教育推進に当たっての教員の増員

 インクルーシブ教育推進においては、障がいのある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮が求められ、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することの確保が必要である。

 そのためには、障がいの有無にかかわらず子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援が必要であり、学校における支援体制の構築が必要不可欠である。このことから、通常の学級においても教員の増員等の必要な措置を講じられたい。

【特別支援教育の振興充実について】

▼児童生徒が就学可能な特別支援学校の拡充

 特別な支援を必要とする児童生徒の増加に伴い、通学可能な特別支援学校に就学を希望する保護者のニーズが高まっていることから、障がいの種別に応じた地域への分校の新設、基礎的環境整備を伴った既存校への障がいの種別の追加等について検討されたい。

▼遠隔地に居住する児童生徒等への支援

 遠隔地に居住する児童生徒が特別支援学校へ通学できるよう、スクールバスの運行路線拡大を図られたい。また、遠隔地居住者がスクールバスと寄宿舎の利用を選択・併用できるよう弾力的な運用を図られたい。

 さらに、やむを得ず通学の手段として民間事業者等を利用する場合は、保護者の経済的負担が大きいことから、特別支援教育就学奨励費の拡充や新たな通学費助成制度の確立など制度の充実を図られたい。

▼特別支援教育推進のための教員の加配措置―重点

 特別支援学級担当教諭の配置について、現在の児童生徒8人に1人という配置基準では十分に対応しきれていない状況にあることから、特別支援学級を設置する場合には児童生徒の障がいの種別にかかわらず、1学級当たり最低でも2人の教員を配置するよう国に要望されたい。

 また、学校教育法施行令第22条の3の基準に該当する児童生徒が入級する場合や肢体不自由学級に児童生徒が複数在籍する場合については、教員にかかる負担が特に大きくなることから、加配措置を行うよう引き続き国に要望されたい。

 個々の教育ニーズに対応できるよう、特別支援教育コーディネーター担当教員を定数配置上での配置とするよう措置されたい。

▼専門的知識を有する特別支援学級担当教諭の採用、育成の促進

 特別支援学級では専門性の高い教員の配置が望ましいことから、特別支援学校教諭免許状所有者の採用や専門的知識を有する教員育成の促進を図られたい。

▼特別支援学校教諭免許状取得講習の拡大―重点

 特別支援教育にかかる学校経営を考慮し、特別支援学校教諭免許状取得講習の開催地、開催方法、人数枠の拡大などについて引き続き検討されたい。

▼通級指導担当教員等の適正配置および配置基準の緩和―重点

 通級指導担当教員について、義務標準法の改正による加配定数の基礎定数化が8年度までに段階的に実施される見通しだが、児童生徒のニーズに対応した多様な学びの場の整備のため、各市が計画的に通級指導教室を開設できるよう、道教委として実情に見合った年度ごとの具体的な配置計画を示していただきたい。

 また、LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒への支援など、特別支援学級の弾力的な運用を推進するため、特別支援学級・院内学級教員の配置基準のさらなる緩和を図るとともに、実情と配置基準が合うよう柔軟な措置を講じられたい。

▼教育上特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園への国庫補助の実施

 特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園についても、私立幼稚園と同様に国庫補助の対象となるよう国に要望されたい。

▼市町村配置の支援員や補助員等にかかる財政措置の拡充―重点

 支援員や補助員等については、合理的配慮、基礎的環境整備を充実させるために必要不可欠なものであるが、厳しい財政状況の中では市町村における独自配置が進まない現状にあることから、国庫補助制度の創設または財政措置の拡充が十分に図られるよう、さらなる増額を引き続き国に要望されたい。

▼高校へ通学する生徒に対する支援策の充実

 高校に通う生徒が学校において特別な支援を必要とする場合、安心して教育が受けられるよう、公立高等学校に対しては支援員の配置、私立高校に対しては支援員配置にかかる財政措置等の措置を講じるよう引き続き国に要望されたい。

▼特別支援教育の質の向上にかかる研修の開催および連携協力に必要な旅費等の財政措置の拡充

 地域の関係機関との連携を深め、特別支援教育の質の向上を図るため、各振興局において、特別支援教育SVを中心とした研修会を開催されたい。

 また、各市が特別な支援が必要と考えられる子どもについての実態把握や具体的な支援を行うための派遣手当のほか、特別支援学校同士が行う連携協力に必要な旅費等の財政措置を講じられたい。

▼特別支援学校高等部における受入体制の整備

 特別支援学校高等部への進学希望が増加している中、生活圏から離れた学校に入学せざるを得ない生徒が多数いる。また、送迎負担の増大もあって近隣の学校への進学希望がますます大きくなっている。

 特別支援教育の基本方針では「できる限り身近な地域において指導や支援を受けられる体制を整備すること」や「知的障がい高等養護学校への進学希望者の増加傾向に対応するため、既存校の増築や新設校の整備に努めること」が示されていることからも、今後も各地域の生徒の進学動向等に応じた定員増や、未配置地域の解消など地域の実態に応じた特別支援学校の設置拡大を図られたい。

▼医療的ケアを必要とする児童生徒の特別支援学校等への受入体制の整備

 医療的ケアを必要とする児童生徒が身近な地域において指導や支援を受けられるよう、特別支援学校や特別支援学級等における看護師の配置の充実および財政的支援を図るとともに、体温管理や移動支援等が必要な児童生徒が安心して生活できるよう、空調・エレベーターの設置など、施設環境の充実を図られたい。

【学校教育の振興充実について】

▼全国学力・学習状況調査等の学力向上策の推進

 全国学力・学習状況調査については、北海道の地域特性に応じた対応を含め、各市および学校において今後の改善点への問題意識を持つことができるような工夫を継続されたい。

 また、学力向上策の推進に当たっては各市の意見を十分に尊重していただきたい。

 特に、ほっかいどう学力・体力向上運動の推進に当たっては、より一層地域の声や学校の声をくみ取っていただきたい。

▼就学援助の財源措置拡充―重点

 法律の定めによって自治体が行う就学援助の充実を図るとともに、自治体間で就学援助の内容に差が生じることのないよう、基準を明確にした制度改正および財源措置の拡充について、引き続き国に要望されたい。

 また、要保護・準要保護者への就学援助において、生活保護基準の見直しの影響が生じないよう適切な財政措置を講じられたい。

 特に、家庭でのオンライン学習の際に発生する通信費の取扱いについて、現行では要保護世帯へは実費で支給されているものの、準要保護世帯に対する統一的な支援策は示されていないため、準要保護世帯の負担増とならないよう必要な財政措置をとるよう国に要望されたい。

▼幼児教育の無償化の適正実施

 幼児教育の無償化の実施に当たっては、事業の適正な実施や自治体の健全な財政運営に支障を来さないよう引き続き適切な財政措置を講じられたい。

▼中学校の全道大会・全国大会に対する引率教員の旅費の充実

 新学習指導要領において、部活動が学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう示されていることからも、中学校の体育および文化的諸行事への生徒派遣にかかる引率教員の旅費については、全道大会・全国大会を含む全ての行事について適切な予算措置を講じられたい。

 また、引率教員数については、出場種目数や男女の構成等の諸条件に応じて柔軟な措置を講じられたい。

▼生徒指導等にかかる教員の旅費の十分な確保

 家庭訪問など、校外において生徒指導を行う際に発生する生徒指導旅費や、校外で教育活動等を実施する際に発生する校外学習指導旅費については配分額が少額であり、捻出に苦慮していることから、現場の実態を把握の上、十分な予算措置を講じられたい。

 また、教員が各教科における専門性を高めることができるよう、研究会・研修会等に出席するための旅費についても教員の自己負担が生じることのないよう十分な予算措置を講じられたい。

▼学校におけるNHK放送受信料の免除措置の継続

 小・中学校、幼稚園、特別支援学校における学校教育放送番組の一層の利用促進を図るため、NHK放送受信料の免除措置が継続されるよう引き続き国に要望されたい。

▼新型コロナウイルス感染症等の拡大に伴う修学旅行等のキャンセル料の支援―新規

 新型コロナウイルス感染症などの拡大に伴い、修学旅行等の旅行的行事が実施できなくなった場合の保護者が負担するキャンセル料について、市町村が支援した場合の財政支援について文科省による国庫補助制度を創設するよう国に要望されたい。

▼地域にとって重要な役割を果たしている小規模高校の存続小規模高等学校の配置については、これからの高校づくりに関する指針に基づき、つぎのことについて特段の配慮を願いたい

▽職業学科の学級減や配置については、地域産業の特性や産業人材育成の観点を踏まえ、学校が地域経済において果たしている役割や子どもの選択肢として果たすべき役割などを考慮し、広域的・長期的な視点から、関係市町村との十分な協議の上、対応すること

▽人口減対策や地方創生と教育の観点において、小規模の高校が地域の中核的存在(生涯学習・キャリア教育の拠点)として、異校種連携を進めるなど、魅力ある、地域に信頼される高校像を創造・提案すること

▽教育行政に留まらず、まちづくりや地域づくりの観点からも、知事部局を含めた北海道全体としての取組によって、地域の様々な課題を認識した中長期的な配置計画策定に努めること

▼道立高校および生徒に対する支援―新規

 道立高校およびその生徒に対しては、各自治体が独自の支援を行うなどして地元高校の維持・活性化を図っているが、今後は道教委において活性化事業に取り組むなど、自治体間の競争を招かない方策を検討されたい。

▼公立夜間中学の設置への支援―新規

 今後、道内において公立夜間中学の設置の在り方について検討するに当たり、教員の確保や設置にかかる財政的な支援などについて道教委が主導的な役割を担って進められたい。

▼北方領土問題に関する学習の充実

 児童生徒が北方領土への関心を高め、正しい知識を身に付けることができるよう、学習指導要領における記載内容の充実を含め、北方領土に関する学習の充実を国に要望されたい。

▼適応指導教室等の設置および運営費の補助制度の創設―重点

 適応指導教室等の設置・運営について、委託事業を含む補助制度の創設をはじめとする財政支援の拡充や、教員の派遣制度の確立、適応指導教室に通級する児童生徒への交通費等の経済的支援制度の拡充などについて引き続き国に要望されたい。

▼学校の安全体制の強化

 現在、国の事業である学校安全体制整備推進事業等によって、各市では地域ぐるみで児童の安全を守る取組を行っているが、児童に対する被害防止教育の推進や、登下校時間帯の通学路における警察等のパトロール強化の要請など、子どもたちが安心して通学できる体制の整備を講じられたい。

▼携帯電話やインターネットの利用による有害情報や被害から子どもを守る取組の推進―重点

 携帯電話やインターネットを介して子どもがいじめや犯罪、トラブルに巻き込まれる問題が深刻化していることから、これらの問題から子どもを守るための啓発活動など全道的な取組を一層推進するとともに、情報モラルに関する総合的な専門職の養成や配置等の措置を講じられたい。併せて、保護者への啓発活動の一層の取組を図られたい。

 また、子どものネットトラブルや犯罪被害の未然防止等の観点から、有害情報に対するフィルタリングサービスの提供義務の拡大等について、法整備が図られるよう引き続き国に要望されたい。

【学校保健および学校給食の振興充実について】

▼学校の感染症対策の充実

 新型コロナウイルス感染症対策について、各学校では児童生徒が安全に学校生活を送ることができるよう、文科省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に基づき、手洗いの徹底や大勢が触れる箇所の毎日の消毒等による衛生環境の維持などの対応を行っており、今後も継続していく必要がある。

 そのため、学校における感染症対策に必要な国庫補助事業(学校保健特別対策事業費補助金)の継続を国に要望されたい。

▼フッ化物洗口にかかる経費負担

 フッ化物洗口については、北海道歯科保健推進計画に基づき、全小学校での実施を推進しているところであるが、薬剤や消耗品等の直接的経費だけでなく、運搬費用等についても自治体の負担となっているほか、実施に際しての学校現場の負担も大きいことから、指定校や新規実施校に限らず全ての実施校に対する支援措置を講じられたい。

▼学校給食施設・設備にかかる交付金等の充実

 食の安全への注目が高まっている中、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。

▽給食施設・設備の大型化やドライシステム化などの整備等に当たり、これまでの補助基準面積内で建築することは難しく、超過負担が生じていることから、交付金の充実について引き続き国に要望すること

▽大型機械に依存している共同調理場においては、多額の費用を要するため更新が遅滞していることから、既存老朽大型機械等の更新に関する補助制度の創設を国に要望すること

▽食物アレルギー対策等を実施する際の設備整備に対して支援措置の拡充を国に要望すること

▽学校給食施設が広域化している実情を踏まえ、市町村および一部事務組合等が共同調理場を整備する場合においても、北海道地域づくり総合交付金の対象事業に加えること

▼栄養教諭の定数改善および旅費等の予算の確保

 学校における食に関する指導のさらなる充実が求められているが、アレルギー対応が必要な児童生徒数や担当学校数の増加などによって、栄養教諭の業務負担は増大している。また、現行の配置基準では、市の児童生徒数や調理施設数によって栄養教諭1人当たりの児童生徒数に大きな不均衡が生じている。

 そのため、栄養教諭が専門的立場から食に関する指導をより効果的に行えるよう、共同調理場方式を採用している市も含め、栄養教諭の配置等定数の改善および指導にかかる旅費等の予算措置を講じられたい。

▼食物アレルギー対応食の提供等に必要な学校生活管理指導表の文書料にかかる補助制度の創設―重点

 学校給食での食物アレルギー対応食の提供や学校生活上で食物アレルギーにかかる配慮・管理が必要な場合、医師が記載した学校生活管理指導表の提出が必要であるが、記載にかかる文書料は保護者負担となっていることから、学校生活管理指導表の提出が必要な全ての児童生徒の文書料にかかる補助制度の創設等の措置について引き続き国に要望されたい。

▼学校健康診断情報の本人への提供の円滑な推進への支援―新規

 国においては、自身の健康管理等に役立てるためPHR(Personal Health Record)を推進する方針が決定されており、学校健康診断情報についても、4年度中にシステム整備ができ次第、マイナポータルでの閲覧を随時開始することとしている。

 学校健康診断情報が本人に円滑に提供できるよう、道内の多くの自治体が利用している統合型校務支援システムについて、システム改修など迅速な対応を図られたい。また、校務支援システム未導入の自治体の負担増とならないよう、国に対し適切な支援を求められたい。

【その他文教施策の充実について】

▼国指定文化財の保存管理費用に対する助成の拡大

 国指定文化財の保存に当たり、つぎのことについて国に要望されたい。

▽文化財の保存整備事業については、補助金による助成が大きな財源となっているため、今後とも事業の実施に支障が生じることのないよう国庫補助金の充実を図ること

▽国指定文化財については、建造物の保存修理にかかる調査工事について対象外のものがあることから、その対象を拡大すること

▽史跡の維持管理経費は面積に応じて負担が変わることから、面積を考慮した交付税措置など負担軽減を図ること

▽記念物にかかる国庫補助事業について、財政再建団体または過疎地域をその区域とする市町村である場合の補助率を文化財建造物にかかる国庫補助事業と同様に65%とすること

▼道立図書館の図書資料費の確保

 道立図書館は、道民や市町村立図書館の期待に応えられるよう十分な資料費を確保するなど、今後も北海道全体の文化水準の向上を図られたい

▼社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設

 生涯学習を一層推進するために、社会教育施設の長寿命化を図る改修に対する支援制度の創設について引き続き国に要望されたい

▼へき地等学校に対する支援制度の充実

 へき地児童生徒援助費等補助金の補助内容の一つであるスクールバス等購入費の拡充について引き続き国に要望するとともに、スクールバス運営費についても補助対象とするよう国に要望されたい。また、北海道の地域性に応じた新たな補助制度を創設されたい

▼地域学校協働活動の促進

 地域学校協働活動の一層の促進のため、地域での活動を安心して積極的に行えるよう、補助率拡大などの財源措置の拡充について引き続き国に要望されたい

▼地域部活動への移行に向けた支援―重点

 学校部活動から地域部活動への移行を見据え、財政支援の新設や人材確保にかかる制度創設等について引き続き国に要望されたい。

 特に部活動指導員の任用方法については、地方では人材確保が困難であることから、団体への委託など柔軟な対応ができ仕組みづくりを求められたい。

 また、中体連等の大会参加基準について、地域部活動や合同チームでの参加ができる基準の見直し等について引き続き関係団体に働きかけていただきたい。

▼地方財政措置(光熱水費)の増額―重点

 学校運営に関する経費のうち、光熱水費の一部については地方財政措置が講じられており、各自治体においても経費の節減に努めているが、消費税増税や近年の重油単価等の上昇によって年々教育予算を圧迫している状況にある。

 こうした中、GIGAスクール構想および新型コロナウイルス感染拡大防止対策のための電気機器導入による電力使用量の急増や、冬期の換気によって室温が下がることを防ぐための暖房需要の増加など、学校における光熱水費の負担が増えているため、国に対し、光熱水費の積算見直しおよび地方財政措置の拡充を行うよう強く要望されたい。

(関係団体 2022-06-14付)

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