道議会質疑 文教委員会(6月7日)
(道議会 2022-09-21付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼小泉真志委員(民主・道民連合)

▼宮川潤委員(日本共産党)

【答弁者】

▼唐川智幸学校教育監

▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長

▼山城宏一高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長

▼今村隆之健康・体育課長

▼木村重成総務部学事課長

◆入院生徒等の学習権保障

Q小泉委員 今春、病気のために退学せざるを得ない生徒が出てきた。

 まず、中途退学者のうち、病気で中途退学せざるを得なかった生徒の実態について、公立、私立共に伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 公立高校における中途退学の状況について。平成30年度から令和2年度までの過去3年間の状況は、平成30年度では1521人、中途退学率は1・6%、令和元年度は1336人、1・4%、2年度は1131人、1・2%となっている。

 病気やけが等を理由とする退学者の状況は、平成30年度では73人、4・8%、令和元年度は61人、4・6%、2年度は41人、3・6%となっている。

A木村学事課長 道内私立高校の中途退学者の状況について。全日制課程における過去3年間の中途退学者数は、平成30年度では325人、令和元年度は305人、2年度は401人となっており、このうち、病気やけが、死亡を理由とする中途退学者数は、平成30年度では21人、令和元年度は20人、2年度は19人となっている。

Q小泉委員 履修科目の主な修得基準について公立、私立共に伺う。また、この基準は公表、周知されているものなのか、実態を公立、私立共に伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 科目の修得の公表等について。学習指導要領では、科目の目標から見て満足できると認められる場合に履修した科目の単位を修得したことを認定することとしており、各高校では、修得の認定に当たり、成績の評価や出席すべき時数などに関する考え方を学校の実態や生徒の状況を踏まえ、校内規定として定めている。

 各学校では、科目の授業計画によって修得の考え方について、生徒および保護者に配布して周知するほか、年度当初の各科目の授業やホームルーム活動において、生徒に説明するとともに、必要に応じて3者懇談会などの機会を設定し、保護者に説明している。

A木村学事課長 単位の修得の認定などについて。各私立高校では、教育課程の編成、履修、単位の修得、進級、卒業の認定などの取り扱いを定めており、具体的な事例としては、履修の認定については、授業に出席し、かつ、欠課時数が標準授業時数の20%以下のとき、単位の修得の認定については、履修が認められた科目について、その評定が2以上のとき、評定会議を経て、校長が行うなどとされている。

 また、その履修や単位の修得の認定の取り扱いなど、生徒にとって必要な事項は、あらかじめ周知する旨を定めているところがあるほか、生徒や保護者向けの学内専用のホームページで公表しているところや生徒手帳に掲載しているところもある。

Q小泉委員 病気のために授業を受けられない生徒は、当然出てくると思うが、どのような学習権の保障がなされているのか伺う。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 病気療養中の生徒への対応について。学校では、生徒が病院等での療養中においても安心して学習に取り組むことができるようインターネット等によってリアルタイムで授業を配信し、同時双方向型の授業を行ったり、授業の録画や動画教材等を提供したりするなど学習支援を行っている。

 また、病気の状況など、様々な理由で遠隔授業を受けられない生徒には、定期的にプリントやレポート等の課題を提供し、訪問や添削による指導を行うとともに、通学が可能となったあとには、個別指導等を行っている。

 道教委では、2年度から高校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業を実施しており、これまで10人の生徒に対し、授業を配信するなどの取組を実施し、単位取得の要件を満たした生徒には単位認定を行ってきた。

Q小泉委員 教育保障体制整備事業は、入院している生徒だけが対象となっているのかどうかをまず伺うとともに、オンライン授業は、出席すべき授業時数としてカウントされるのかどうなのか。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 病気療養中の生徒に対する支援について。遠隔授業等による学習支援は、入院している生徒だけではなく、自宅で療養している生徒も行うことが可能である。

 また、オンラインによる同時双方向型の授業などによって要件を満たす場合に履修を認めることが可能であることから、当該生徒の体調等を踏まえながら必要な支援が行われるよう、引き続き、学校に指導していく。

Q小泉委員 病名がつかなくとも同時双方向型の授業、もしくは、訪問や添削による指導はなされるということでよいのか。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 病気療養中の生徒への対応について。道教委としては、入院中だけではなく、病院等で医療の提供を受け、相当の期間欠席すると認められる自宅療養等の生徒に対しても学習を支援していくことが必要であると考えており、病名が判明しにくい場合についても、通院等によって通学ができない状況等に十分に配慮し、同時双方向型の授業などによって要件を満たす場合は、履修を認めることができることなどについてあらためて周知し、適切に対応するよう学校に指導していく。

Q小泉委員 今まで指導されてきたにもかかわらず、ことし1月の段階で学校現場で徹底されず、当該生徒は進級できずに退学を余儀なくされたと聞いている。

 二度とこういう事例を出してはならないと思うが、今後どのように対応していくのか、道教委の見解を伺う。

A唐川学校教育監 病気療養中の生徒への対応について。道教委としては、これまでも各学校に対し、教育保障体制整備事業の周知と積極的な活用を指導助言している。

 今後、あらためて、全ての道立高校に対して実施する指導主事による学校訪問等において、学校が入院生徒に対する教育保障について生徒や保護者にリーフレットを活用して周知することや、入院等が必要になった場合、保護者と十分に相談して生徒の状況に応じた指導計画を作成し、オンラインによって授業時数を確保することなどについて指導を徹底し、当該生徒への入院から自宅療養、さらには、通学ができるようになるまでの間における、切れ目のない教育保障が確実に行われるよう取り組んでいく。

P小泉委員 子どもと保護者が、学習権の保障はされる、だから病気になってもちゃんと進級できる、卒業できると思える状況をぜひ、道教委にはつくっていただきたい。

 その中で、リーフレット等を新たに作っていただき、それを学校のホームページ等に載せて、誰でも安心して見られる状況をつくっていただくということを強く指摘する。

◆学校給食

Q宮川委員 物価高騰が大変著しい中で、国民生活への影響が深刻となり、国政の中心問題となっている。諸物価、特に食材費の高騰が、学校給食に大きな影響を与えていると考えられるが、学校給食にどう影響を与えているのか。

A今村健康・体育課長 物価高騰の影響について。先般、国が公表したことし4月における北海道の食料の消費者物価指数は、前年同月対比で4・6%上昇しているなど、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で物価高騰が進んでおり、学校給食費への影響が懸念されるものと認識している。

Q宮川委員 給食費は、市町村の裁量で決められている。どのような手順で決定されているのか。

A今村健康・体育課長 学校給食費の決定方法について。学校給食法第11条において、学校給食に要する食材等の経費は保護者の負担とされているところであり、道立学校や多くの市町村では、国の学校給食衛生管理基準に基づいて、校長、栄養教諭、保護者、学校医等で構成する学校給食運営委員会を設置し、献立の作成、食材等の選定、衛生管理に関する協議を行うとともに、その内容を踏まえて、学校給食費の価格設定を行っている。

Q宮川委員 給食費の現状は市町村によって違いがあると考えているが、低所得者への援助はどうなっているのか、また、無償化しているところもあると伺っているが、どのような現状か伺う。

A今村健康・体育課長 学校給食費について。各市町村では、学校教育法第19条の規定に基づき、経済的理由で就学の機会が損なわれることのないよう、要保護者および準要保護者に対する就学援助を行っており、学用品費や通学用品費などのほかに児童生徒が学校給食を受けるために必要な経費を学校給食費として、多くは学校に支給している。

 また、学校給食費の無償化については、道教委が実施した3年度学校給食実施状況調査の結果から、3年5月1日現在、道内の33市町村が小学校、中学校共に無償化を実施していると承知している。

Q宮川委員 保護者をはじめ道民は、原油価格や電気、ガス料金を含む物価の高騰に非常に大きな影響を受けている。教育費については、もともと高負担であるため、子育て世帯の負担軽減が必要と考える。

 栄養バランスや必要な量を保った給食を実施するために給食費の値上げが懸念されるところであり、保護者負担を増やすべきではない。道教委の認識を伺う。

A今村健康・体育課長 学校給食費の保護者負担について。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、国においては、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援を重要な対策の一つに位置付けている。

 道教委としても、学校給食費が物価高騰等の影響を受けた場合であっても、保護者の負担増とならないよう配慮しながら、これまでどおりの栄養バランスや量を保った学校給食を実施することが重要と考えている。

Q宮川委員 当面、物価高騰に直面する保護者の負担増とならないように取組を強力に進める必要がある。国において、この取組を支援するためにどう対応しているのか伺う。

A今村健康・体育課長 国における対応について。国ではことし4月、コロナ禍における原油価格、物価高騰等総合緊急対策を取りまとめ、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援の一環として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充し、学校給食費等の負担軽減など、地方公共団体が実施する子育て世帯への支援の取組を後押しすることとし、過日、各都道府県および各市町村に周知した。

Q宮川委員 道教委は、国の交付金を活用し、学校給食の保護者負担を増やさず軽減させる取組を早急に具体化すべきである。

 道立学校ではどう対応するのか、市町村にはどのように働きかけているのか、それぞれ明らかにしていただきたい。

A今村健康・体育課長 道教委の取組について。道教委では、道立の中等教育学校および特別支援学校における学校給食費、道立高校の定時制課程における夜間学校給食費について、現在、国からの通知を踏まえ、対応を検討している。

 また、各市町村教委に対しては、道教委と同様に、当該交付金を活用した保護者の負担軽減のための取組の検討を進めるよう通知するとともに、道教委が対応を検討する際に作成した資料を提供するなど、積極的な取組を促している。

Q宮川委員 道立学校や市町村の動きについて。既に、保護者負担の軽減や引き下げを具体化しているところがあるのか、様々な事情の中で負担強化せざるを得ないと明らかにしているところがあるのか、それぞれ明らかにしていただきたい。

 今後決めるというところも含めて、道内全体の状況を把握すべきであると思うが、どう対応するのか伺う。

A今村健康・体育課長 保護者の負担軽減に関する対応状況について。道立学校においては、社会情勢等を的確に見極めながら、国の通知を踏まえ、学校給食費に関する保護者の負担軽減について引き続き検討を進めていく。

 また、市町村における取組状況については、現在、調査を実施しているところであり、後日、結果を取りまとめ、実態に応じて、必要な指導助言を行っていく考え。

Q宮川委員 児童生徒の保護者は物価高騰に直面しており、道教委は、給食費の値上げが起こらないようにするとともに、様々な負担軽減策を通じて、子育て世帯に対する支援を強化し、また、市町村の負担軽減に向けた取組を促し、必要な支援を迅速に行うべきである。どう取り組むのか伺う。

A唐川学校教育監 学校給食費に関する保護者負担の軽減について。学校給食は栄養バランスの取れた豊かな食事を提供することによって、子どもたちの健康な体をつくることはもとより、食に関する指導を効果的に進めるための教材としても重要な役割を担っている。

 道教委としては、コロナ禍によって物価高騰等が進む中、国の総合緊急対策を踏まえ、保護者の負担軽減を図り、これまでどおり栄養バランスや量を保った学校給食が提供されるよう、道立学校における対応を検討するとともに、市町村への通知に加え、都市教育委員会連絡協議会、町村教育委員会連合会の協力もいただきながら、市町村における積極的な対応を促してきた。引き続き、国や各市町村、各学校と連携し、保護者負担の軽減と、安全安心な学校給食の提供に努めていく。

P宮川委員 教育に関わる保護者の負担はもともと高い上に、諸物価高騰で保護者の負担は非常に重いものになっている。そもそも憲法第26条で、義務教育は無償とされており、国の制度として、学校給食は無償でなくてはならないものと考える。

 全道で33の市町村が無償化し、保護者負担の軽減に努めるとのことであった。道立学校および各市町村の学校においても、給食費の値上げを抑えるとともに、引き下げや無償化についても積極的に取り組むべきであると指摘する。

(道議会 2022-09-21付)

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