道議会質疑 文教委員会(6月7日)
(道議会 2022-09-16付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼赤根広介委員(北海道結志会)

▼大越農子委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼唐川智幸学校教育監

▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長

▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼伊藤伸一学校教育局生徒指導・学校安全担当局長

▼山城宏一高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長

▼新居雅人義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長

▼泉野将司生徒指導・学校安全課長

◆高校生の就活

Q赤根委員 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、学年・学級閉鎖や生徒個々の欠席日数の増加によって学校生活にも甚大な影響が及ぶ中、特に今春の卒業生や現在の3年生は、高校生活の大半をコロナ禍で過ごすことを余儀なくされていることから、先生との面談はもとより、職業観の醸成やコミュニケーションスキルの習得に十分取り組むことができたのか懸念される。

 高校生の就職活動について、就職率は高い水準で推移しているものの、生徒は応募する以外の企業を十分知らないまま1社に応募し、内定すれば当該企業に就職することになり、就職指導の在り方、生徒の就職の仕方が、生徒自らの意思と責任で職種や就職先を選択する意欲や態度、能力の形成を妨げる一因になっているのではないか。

 道教委では、高校生の就職活動についてどのような課題認識を持っているのか伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 就職活動の課題について。4年3月に卒業した生徒のうち、進路を決定できなかった生徒は244人おり、例年、進路未決定者が一定数いることや、就職後、早期に離職する生徒の割合が全国平均に比べ高いことなどが課題と認識している。

 道教委としては、生徒一人ひとりが働く意義や当該職種の業務についての理解を深め、主体的に自己の進路を考える能力等の育成を図るとともに、高校生の就職を取り巻く環境の整備を関係機関と共に継続的に検討していくことが必要と考えている。

Q赤根委員 3年度は全教育局にキャリアプランニングスーパーバイザーを、また、就職支援教員を道立6校に配置したとのこと。具体的にどのような取組を行い、その成果をどのように把握しているのか伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 進路指導の取組状況等について。各教育局に配置するキャリアプランニングスーパーバイザーは、地域の企業への訪問による求人開拓やハローワークと連携した求人情報の収集および学校への情報提供、就職を希望する生徒への進路相談、生徒や保護者を対象とした進路説明会の講師などを行うことを役割としており、3年度は全道で598社、延べ744回の企業訪問や、43社、延べ66回のインターンシップ受け入れ先への訪問、189校、延べ584回学校へ訪問するなど、学校や関係機関等と連携し、就職を希望する生徒への支援に努めている。

 また、就職指導の改善に関する研究の指定校6校には、就職指導の改善・充実を図るため、各校1人の就職支援教員を配置し、求人情報の収集や企業等と連携した離職理由の分析などを通して、就職後3年間に離職する早期離職者や就職未内定のまま卒業した生徒などに対する効果的な支援に努めている。

P赤根委員 コロナ禍で行動を制限される中でも、企業訪問やインターンシップなど、最大限取り組まれている。こうした実習等もなるべく早い段階から取り組まれることが、今後、大事になってくる。

 また、就職支援教員が配置されていると、現場の負担も軽減され、より良質な情報を生徒たちに提供できる。まだ指定校6校の配置ということで、当然、人員や予算のかかる話だが、取組の拡大をしっかり検討していく必要がある。

Q赤根委員 国の高校就職問題検討会議ワーキングチームの報告によると、初めての正社員勤続期間別、離職後1年間の状況においては、高卒1年以内に離職した者の正社員として働いていた割合が31・3%にとどまっており、正社員以外の雇用形態で働いた割合が49・6%に上っているのに対し、高卒3年超で離職した者の正社員として働いた割合は60・6%に上っており、正社員以外の雇用形態で働いた割合は23・1%にとどまっていることを踏まえると、短期間で離職した場合には、すぐに正社員として採用される可能性が相当低くなっていることが示唆された。

 早期離職について、道教委としてはどのような認識を持っているのか伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 早期離職について。高校就職問題検討会議ワーキングチームの報告によると、早期離職の主な理由として、就職前に仕事内容についての理解が十分に図られていないことや職場での人間関係が築けなかったことなどが挙げられ、高卒、大卒には大きな差がないことが指摘されている。

 道教委としては、早期に離職した場合、大卒者等と競争することによって不利が生じるなど、その後の再就職が難しくなる場合もあるものと認識している。

Q赤根委員 在職期間別の離職状況について伺う。また、その原因をどのように分析しているのか併せて伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 離職状況について。道労働局が実施した調査では、本道において、平成30年3月に高校を卒業した者のうち、令和3年3月までの3年間に離職した割合は43・8%で全国平均を6・9ポイント上回っており、平成31年3月の卒業者が2年間で離職した割合は30・3%で全国平均を4・0ポイント、令和2年3月の卒業者が1年間で離職した割合は20・0%で全国平均を5・0ポイントそれぞれ上回っている状況となっている。

 早期離職の要因としては、就職前に仕事内容についての理解が十分図られていなかったことや職場の人間関係が築けなかったことなどが挙げられている。

Q赤根委員 産業別の離職状況について、特に離職が多い産業について伺う。また、その原因をどう分析しているのかについても併せて伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 産業別の離職状況について。国の調査では、道内の平成30年3月における新規高卒就職者の就職後3年以内の産業別離職率は、特に生活関連サービス業、娯楽業が62・7%、宿泊業、飲食サービス業が59・1%と高い状況にある。

 国の分析によると、就職後3年以内の離職率は、就職先の事業所規模が小さいほど高い傾向にあるとされており、道内においても同様に、比較的事業所規模の小さいサービス業などの産業において離職率が高くなる傾向があると捉えている。

P赤根委員 就業前にしっかりとした職業教育がさらに必要だと考える。産業別の数値においても全国的な数値の傾向と同じだが、逆に製造業や情報通信業、あるいは運輸業などについては、比較的離職率が低い状況にある。

 一方で、産業界に対して、高卒者の人材育成を社会全体で取り組んでいくことを道教委だけではなく知事部局と連携して要請していくことも今後必要になると考える。

Q赤根委員 早期離職の防止について、ワーキングチームの報告では、主体的に自己の進路を選択する能力等を育てるキャリア教育の充実とともに、学校は卒業生に対し十分な就職支援を行うことが難しい状況にあるとしながら、就職後1年以内の離職者は不安定就労につながりやすい傾向があることに鑑み①ミスマッチが生じないような取組の強化②離職防止のためのフォローアップ等の定着支援の強化③離職してしまった場合の再就職支援の強化―の3点が求められるとしている。道教委では、早期離職の防止にどのように取り組むのか伺う。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 早期離職の防止について。高校においては、生徒が働くことの意義や役割などを理解し、主体的に自己の進路を考える能力等を育むことが重要と認識している。

 道教委ではこれまで、各学校において、勤労観、職業観など、社会人として求められる資質・能力を育成するため、インターンシップ等のキャリア教育の充実を促進するとともに、就職指導の改善に関する研究を通じて、企業等と連携した離職理由の分析や離職を思いとどまった理由や、仕事を続けるに当たって後押しとなったことを取りまとめて周知するなど、早期離職の防止に関わる効果的な取組事例について情報提供を行ってきている。

 今後とも、こうした取組を通じ、各学校における就職指導の充実を図るとともに、各教育局に配置されているキャリアプランニングスーパーバイザーを活用し、就職を希望する生徒へのきめ細かな支援に努めるなど、早期離職の防止に取り組んでいく。

P赤根委員 先行的に取り組んでいる指定校の取組の成果をここ数年度みると、やはり成果が出ていると感じる。今後はいかに、こうした取組を指定校以外に全道展開していくのか、知恵が試されると思う。

Q赤根委員 ワーキングチームの報告では、民間職業紹介事業者については、職業紹介をしない募集情報等提供事業者として学校の就職あっせんを支援する形や、民間職業紹介事業者であっても自ら職業紹介を行わず、学校の就職あっせんを支援する形で関与すること、さらに、就職内定を得ることが難しい生徒への支援として、学校からの依頼によって民間職業紹介事業者が関与することなど様々な形が想定されるとしている。

こうした民間事業者との関わりについて、道教委の認識を伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 民間職業紹介事業者との連携について。現行の高校生の就職活動は、ハローワークを通じて得た就職状況に基づき学校があっせんを行っているが、民間職業紹介事業者の就職あっせんの活用も可能と考えられるところ。

 民間事業者による就職あっせんについては、これまで前例がないことから、道教委としては、今後、現行の1人1社制の就職慣行も考慮しながら、道高校就職問題検討会議において、民間事業者との連携の在り方について検討を進めていくことが必要であると認識している。

Q赤根委員 高校生の就職活動においても、民間職業紹介事業者の活用について、少しずつでも試行的に取り組んでいく姿勢が必要であると考える。所見を伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 民間職業紹介事業者の活用について。ハローワークを通じた就職情報の提供に加え、民間事業者が収集した情報を学校に提供することによって、生徒がより多くの企業情報を得ることが可能になるなどの利点もあると考えている。

 一方、学校や生徒への就職情報の提供は、地域や学校間での公正性や公平性の確保などが重要と考えられることから、今後、道高校就職問題検討会議において、高校生の就職活動における民間事業者の活用の在り方について検討していくことが必要と考えている。

D赤根委員 しっかりと具体の議論が進むよう、道教委が少し踏み込んで頑張っていただきたい。

Q赤根委員 本年度は、就職指導の改善に関する研究の指定校で、1人1社制などの就職慣行の在り方について調査研究を行うとしている。具体的にどのような取組を行い、より良い就職活動を実現しようとするのか、最後に所見を伺う。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 就職活動の充実に向けた取組について。本年度、就職指導の改善に関する研究の指定校において、1人1社制の就職慣行の在り方等について企業や教職員および生徒に対しヒアリングを実施し、効果や課題について整理するとともに、来年2月に開催する道高校就職問題検討会議において報告し、関係機関から意見を伺うこととしている。

 道教委としては、今後とも、本道の高校生の就職活動が円滑に進められるよう、関係団体等と連携協力を図りながら、就職慣行の在り方なども含め、新規高卒者の就職活動に係る応募や推薦などのより良い方策について検討を進めていく。

D赤根委員 ぜひ就職活動だけではなく、北海道全体の就職がより望ましい形で選択できるように、質の高い情報提供の在り方なども模索しながら、検討を進めていただきたい。

◆英語教育の充実

Q大越委員 5月18日に文部科学省が公表した3年度英語教育実施状況調査の結果では、本道の中学生の英語力はどのような状況となっており、道教委では、結果をどのように受け止めているのか伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 中学生の英語力等について。3年度の英検3級相当以上を有する本道の中学校3年生の割合は、全国平均の47%を0・4ポイント上回る47・4%であり、元年度の36・5%から10・9ポイント増加しており、コロナ禍によって活動が制限される中、一定の成果が見られるところ。

 道教委としては、中学生にこれからのグローバル化が進む社会において必要な英語力を着実に身に付けさせることができるよう、道教育推進計画に示している目標値の50%の達成を目指し、一層取組を推進する必要があると考えている。

Q大越委員 中学生の英語力向上に向けて、道教委では、これまでどのような取組を進めてきたのか。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 これまでの取組について。道教委ではこれまで、ほっかいどうチャレンジテストの英語問題を定期的に配信し、全ての中学校に効果的な活用を促すとともに、道内の野球やカーリングなどのスポーツチーム等と連携して動画教材を作成、配信するなど、生徒に実践的な英語力が身に付くよう取り組んできた。

 また、元年度から日本英語検定協会の協力のもと、生徒の英語力を把握できる英検IBAを道内全ての中学校で実施するとともに、実施後は、各学校において提供された分析結果を活用し、生徒一人ひとりの英語力に応じた指導方法等の工夫改善が図られるよう、指導資料を作成、配布するなど、子どもの英語力の向上に向けた取組を推進してきた。

Q大越委員 子どもたちが社会で活躍するころには英語を用いたコミュニケーションを行う機会が格段に増えることが予想される。改訂学習指導要領においても、小学校で外国語科が導入されるなど、小学校段階から英語力を確実に育み、中学校での指導につなげていくことが重視されてる。

 道教委では、小学校段階における児童の英語力向上に向けて、どのような取組を進めるのか伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 小学校段階における取組について。子どもの英語力を高めるためには、小学校段階から中学校の指導との接続に留意しながら、児童に実際のコミュニケーションの場面で活用できる基礎的な技能を身に付けさせることが重要と考えている。

 道教委ではこれまでも、中学校の英語担当教員による乗り入れ授業や小・中学校の系統的な指導方法等に関する実践事例集を作成して普及啓発を図るなど、小学校の英語教育の充実に努めてきた。

 今後は、こうした取組に加え、新たに、日本英語検定協会の協力のもと、児童の英語力を把握することができる、英検ESGの実施について検討するなど、小学生の英語力が一層向上するよう取組を進めていく。

Q大越委員 今回公表された調査の結果では、中学校の英語担当教員の英語力はどのような状況となっており、道教委では、結果をどのように受け止めているのか伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 中学校の英語担当教員の英語力等について。このたびの調査で英検準1級相当以上の資格を取得している英語担当教員の割合は、元年度の36・1%から2・6ポイント増加し38・7%となっている。この結果は、全国平均の40・8%を2・1ポイント下回っており、道教委が策定している道英語教育改善プランに示している目標値の50%を目指して、英語担当教員の英語力向上に向けた取組をより一層推進していく必要があると考えている。

Q大越委員 中学校の英語担当教員の英語力向上に向けて、道教委では、これまでどのような取組を進めてきたのか伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 教員の英語力向上の取組について。道教委ではこれまで、道立教育研究所において、中学校の英語担当教員の英語力と実践的な指導力を高めることを目的に、大学等と連携し、外国人を講師としたオールイングリッシュによる研修を行うほか、小・中・高校10年間の系統的な指導方法、指導体制の改善充実を図り、子どもたちに、聞く、話す、読む、書くのバランスの取れた英語力を着実に身に付けさせることを目的とした、小・中・高校英語教育支援事業を実施し、優れた授業実践の動画配信などを通して事業の成果を普及するとともに、英語担当教員を対象とした合同研修会や授業改善に向けた研究協議会などを行い、教員の英語力向上に努めてきた。

 また、英語担当教員の英語の資格取得について、受験料の負担が軽減される特別受験制度に関する情報を各学校等に定期的に周知するなど、資格取得の促進に向けた取組を推進してきた。

Q大越委員 子どもたちの英語力向上のためには、教員自らが英語力を身に付け、授業において積極的にコミュニケーションを図る機会を設けることが重要と考える。

 中学校学習指導要領でも、授業は英語で行うことを基本とすることが新たに規定されるなど、より一層、教員の英語力向上を図っていくことが必要だ。道教委では、教員の英語力向上に向けて、今後どのような取組を進めるのか伺う。

A唐川学校教育監 教員の英語力向上に向けた取組について。本道の英語教育の充実を図るためには、直接指導に当たる教員の英語力向上が不可欠であり、教員が英語力向上に向けて主体的に取り組むことができる環境を充実させることが重要である。

道教委としては、今後、道内の英語担当教員がオンライン上で効果的な実践事例等を共有する仕組みを構築するなど、ICTを活用した研修機会を拡充するほか、国の英語教育改善プラン推進事業を受け、本年度から新たに導入する資格取得の検定料を補助する仕組みを積極的に活用し、教員自らが英語力の向上に取り組むことができるよう、各市町村教委や学校に働きかけるとともに、各種会議や研修会等で啓発するなど、教員の英語力向上の促進に一層取り組んでいく。

D大越委員 ICTの強みを最大限活用しながら、研修機会を拡充していただきたいと強く求める。

◆いじめ問題

Q大越委員 道教委は、いじめへの対応として、学校での1人1台端末を活用した新たな相談窓口を5月30日に開設し、運用を始めたものと承知している。新設した相談窓口のねらいや、これまでの相談窓口と比ベてシステム上にどのような特色があるのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 新たな相談窓口について。道教委では、児童生徒がいじめ等に関する悩みを気兼ねなく相談することができるよう、これまでに設置している子ども相談支援センターによる24時間対応の電話、メール相談やSNSを活用した相談窓ロに加えて、新たに学校での1人1台端末等を活用した相談窓口、おなやみポストを5月30日に開設した。

 この相談窓口は、児童生徒が自身の所有している端末等から、道教委ホームページに開設した入力フォームに相談内容を入力すると道教委と当該の市町村教委、または、当該の道立学校に即時に送信されることにより、相談内容を共有し、当該の学校でのいじめの早期発見、早期対応を促進することができるものである。

Q大越委員 道教委では、この相談窓口の開設に当たって試験運用したと承知している。試験運用では、どの程度の相談が寄せられ、特に、いじめの相談についてはどのように取り組んだのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 試験運用について。ことし2月から1ヵ月間に、22市町村99校の協力を得て実施し、いじめに関する9件の相談のほか、不登校や教員との関わりに関する相談など、合わせて49件の相談があった。

 いじめに関する相談については、相談が寄せられてから、当該の学校が直ちに校内のいじめ対策組織において事案への対応方針を確認した上で、相談した児童生徒に聞き取りを行い、事実関係の確認や心のケアを行うなど、早期に対応することができたと報告を受けている。

Q大越委員 市町村教委から連絡を受けた学校では、事実関係の確認や心のケアを行うなど、早期対応ができたとのことだが、児童生徒への事実確認や心のケアなどの対応は、誰が行っているのか。相談内容によっては、学級担任が直接聞き取りをしない方が良い場合もある。そのような場合も含め、学校での対応はどのように決められているのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 児童生徒への対応について。学校にいじめの相談があった場合、校長の責任のもと、生徒指導担当、養護教諭、学級担任など関係する教員やスクールカウンセラーなどで構成される学校いじめ対策組織が、学校いじめ防止基本方針に基づいて相談内容に応じて個別に対応方策を決めて対応している。例えば、相談してきた児童生徒の学級担任が事実確認や詳細な聞き取りなどを行うケースのほか、当該児童生徒が信頼し話しやすい教諭が対応するケース、学級担任が一人で抱え込まないよう生徒指導担当など複数体制で対応するケースがある。

Q大越委員 主語が、組織名であったり、学校であったり、いじめ対策組織であったりする場合、誰が責任を取るのかが分からなくなることがこれまでも問題視されてきたが、校長の責任のもとという答弁があった。校長が最終的には責任を取るということで理解する。

 こうした相談窓口が効果的に運用されるためには、何よりも子どもたちから相談するとすぐに対応してくれるという信頼感を得ることが重要である。道教委では、新設した相談窓口の相談に対し、どのように対応するのか伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 相談窓口の運用について。対応に当たっては、相談した児童生徒の心に寄り添い初期対応を速やかに行うことが安心感の向上につながるものと認識している。

 道教委としては、児童生徒からいじめに関する相談を受け取った場合は、学校は事実関係の把握や心のケアなど、いじめ事案の解決に向け速やかに対応することが重要と考えている。試験運用において概ね2日以内に対応することができたことから、相談を受けてから2日以内をめどとして相談があった児童生徒への対応をすることとし、こうした初期対応の状況については、道教委は、市町村教委ときめ細かに情報共有し、相談した児童生徒を守り、事案の解決の道筋が付くまで教育委員会や学校の具体的な対応方法について指導助言し、支援していく。

P大越委員 深刻ないじめに、本当に暗闇の中にいる子どもたちもいる。本当に早く対応する、心に触れてあげるということが何よりも重要だと思う。しっかり対応していただきたい。

Q大越委員 残念ながら全てのいじめが早期発見できるとは限らない。そのことに対してもしっかりと対応していくことが重要である。深刻化したいじめ事案については、市町村教委、学校が、警察はもちろん、事案の内容によっては児童相談所や弁護士などの協力を得て対応することが重要である。道教委は、こうしたいじめ事案に応じて専門機関や専門家とどのように連携し、対応していくのか伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 専門機関等との連携について。道教委では、学校だけでは解決が困難ないじめ事案に対応するため、市町村教委等の求めに応じて弁護士や臨床心理士などの専門家を学校に派遣する体制を整備している。

 深刻化したいじめ事案に対しては、アウトリーチ型の積極的な支援によって早期に対応することが重要と考えており、道教委が編成している弁護士やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、道教委指導主事による緊急支援チームを必要に応じて学校に派遣し、対応の支援を積極的に行うようにするほか、道教委が市町村教委に対し、警察や児童相談所等の専門機関と連携するなど事案に応じたケース会議を実施するよう働きかけるなど、深刻化した事案について適切かつ迅速に取り組んでいく。

P大越委員 これは大阪府の教育庁で緊急支援チームを市町村教委に派遣するという先進的な取組が行われており、こうした先進的な事例に倣ったものと理解する。本道は非常に広く179市町村ある。道の役割、道教委の役割は、大阪府以上に大切なものとなるので、この取組をしっかり進めていただきたい。

Q大越委員 緊急支援チームは必要に応じて学校に派遣するとのことであるが、なぜ、旭川のいじめ事案ではこうした取組ができなかったのか。これはしっかりと反省して、反省点の上で取り組んでいかなければならない。

 また、これからの緊急支援チームの派遣は誰が判断するのか。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 緊急支援チームの派遣について。旭川市の事案が発生した当時、本事案に関して道教委としては、市教委といじめの認識について考えが共有できていなかったことや、市教委から専門家の派遣の求めがなかったことから、こうした取組をしなかったところ。

 今後、道教委としては、事案が発生した場合は、市町村教委と十分に情報を共有した上で、アウトリーチ型の積極的な支援として、道教委が緊急支援チーム派遣の必要があると判断した場合は、積極的に対応していく。

P大越委員 主体的に行動していただきたい。リーダーシップを発揮していただきたいと強く求める。

Q大越委員 旭川市の事案については、性的な暴力や金品の要求に相当する事案もあった。私は先の文教委員会において、こうしたいじめ行為は犯罪行為であり、学校や市教委は強い調査力を持つ警察との連携が必要であったと指摘した。警察との連携が必要ないじめ事案はどういったものであると考えるのか、道教委の見解を伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 警察との連携について。旭川市の事案の詳細は、今後明らかになると考えているが、児童生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案や、いじめられている児童生徒の生命、身体、または、財産に重大な被害が生じている、または、その疑いのある事案については、市町村教委や学校は、警察と連携し迅速に対応することが必要である。

 道教委としては、警察との連携が必要な事案が発生した場合は、市町村教委が地域の警察の調査へ協力しているかなどの連携状況を確認した上で、犯罪行為への対応や児童生徒の安全確保のための措置などについて道警と情報共有し、市町村教委に指導助言するなど、必要な対応を進めていく。

P大越委員 いじめがあるかないかを調査していることに時間を取られて事態が重大化してしまうということが旭川のいじめ事案での反省点だと思う。その反省点に立ってしっかりと取り組んでいただきたい。

Q大越委員 いじめ被害を受けた子どもや保護者が、いじめであると訴えても、市町村教委がいじめではないと否定しては、対応が後手になり早期対応が行えないことになる。こうした事態を想定して、道教委は市町村教委にどのように対応するのか伺う。

A唐川学校教育監 いじめ問題への対応について。いじめは、子どもたちの命や心を深く傷付ける深刻な問題であり、学校での早期発見と的確な初動対応によって、被害を受けた児童生徒を徹底して守り抜くとともに、いじめ加害行為に対しては毅然と対応していくことが必要である。

 道教委としては、児童生徒や保護者が、学校や市町村教委に、いじめ事案の解決に向け相談してもなお学校等の対応に不安がある場合を想定して、道教委に直接相談できる窓口を児童生徒、保護者にあらためて周知するなど、道教委が相談者の不安を受け止め、解決に向けて取り組んでいく。

 また、道教委としては、市町村教委と事案への対応について認識を共有できない場合は、地方教育行政法に基づき、学校での対応状況を市町村教委から直接説明を求めるとともに、なお対応に改善が図られない場合は、いじめ対応の改善を文書によって求める仕組みを整備し、いじめ問題の解決に向け指導力を発揮していく。

P大越委員 いじめ対応の改善が図られない場合、文書によって求める仕組みを整備するとのこと。これまで口頭で求めていたときからは一歩踏み込んだ対応と理解する。責任の所在を明確にするということが、旭川のいじめ事案において非常に深刻化を増した原因の一つである、隠蔽体質というものの打破にとって有効と考える。

 この隠蔽体質の裏には、あしき満点主義、完璧主義が潜んでいるのではないかと私自身は考えている。いじめはあってはならない、いじめは即座に解決しなければならない。こうした考え方は、いじめ対応においては非常に危険であると考えている。

 人間は完璧ではない。人間関係のトラブルもなくすことはできないと考える。だからこそ、早期発見が本当に大事である。そして、全てのトラブルを早期発見できない場合も残念ながらあるという現実を理解しなければならない。

 だからこそ、重大事態となった場合の対応をしっかり考えておくことが重要だ。仕組みづくりは、人間は完璧ではないということを自覚する謙虚さと、これまでの痛ましい事案から目をそらさず、責任と反省をしっかり受け止めるという誠実さがあって、初めて実効性を伴うものである。

ICTを使った相談窓口や緊急支援チームの派遣、文書による指導など、踏み込んだ対応をするとのこと。今後、その仕組みが実効性あるものとなるよう、しっかり取り組んでいただきたいと強く求める。

(道議会 2022-09-16付)

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