道議会質疑 予算特別委員会(3月18日)(道議会 2022-08-26付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼滝口信喜委員(北海道結志会)
▼安藤邦夫委員(公明党)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼鈴木淳学校教育監
▼唐川智幸学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼川端雄一特別支援教育担当局長
▼金田敦史特別支援教育課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
=役職等は当時=
◆いじめ問題
Q滝口委員 本道のいじめの認知件数の推移、認知している学校の割合、いじめの解消状況、重大事態の件数などの状況について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 本道のいじめ事案の状況について。道教委の調査では、3年4月から11月までの間の認知件数について、前年度の同期間と比較すると、小学校は3年度が1万169件で前年度から833件増加、中学校は3年度が2074件で前年度から209件増加、高校は3年度が548件で前年度から12件増加、特別支援学校3年度が76件で前年度から33件増加している。
また、国の調査では、2年度、本道において、いじめを認知した学校の割合は、小学校が約62%、中学校が約64%、高校が約62%、特別支援学校が約24%だった。
いじめの解消率は、小学校が約96%、中学校が約96%、高校が約92%、特別支援学校が約92%だった。
また、いじめ重大事態の発生件数については、全校種の合計で11件だった。
Q滝口委員 重大事態の件数が11件ということだが、これは調査が終了したものなのか。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ重大事態について。2年度に道内で発生した重大事態の11件のうち、調査の終了報告があったのは、現在までのところ5件である。
Q滝口委員 いじめの定義について、法には、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことによって、精神的な苦痛を感じているものと明確に示されている。
自殺事案を調査したある第三者委員会では、多くの事案で、学校でいじめの定義が正しく理解されてない、限定的に解釈しているという指摘もある。
全ての学校がいじめの定義について等しく理解されているのかどうか、道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの定義の理解について。道教委では、各学校において、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの定義と、積極的な認知の重要性について理解を深めることができるよう、生徒指導に関する様々な教員研修の実施、校内研修で活用できる指導資料の提供はもとより、教育局指導主事などによる学校訪問の機会を捉え、学校の実情に応じて、いじめ問題への対応について指導助言しているところ。
しかしながら、道教委に報告されたいじめ事案の中には、学校がいじめの定義を限定的に解釈し、適切に認知せず、初動対応に遅れた事例もあり、道教委としては、各学校に対し、いじめの積極的認知と早期の組織的対応について、引き続き周知するとともに、いじめが発生した場合の適切な対応について指導助言する必要があると考えている。
Q滝口委員 総務省のいじめ防止対策の推進に関する調査結果報告書では、2割以上の学校が、いじめの定義を限定して解釈しているため、認知漏れが発生していると指摘している。
学校によっては、いじめの定義が広過ぎて認知できないなど、子どもの立場に寄り添った対応が取られていない事例もあると伺っている。
こうした学校のいじめの認知の考えが、いじめ問題の早期解決を妨げていると考える。道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの認知について。学校において、いじめを積極的に認知することは、いじめ対応の第一歩であり、いじめの認知と初動対応が適切に行われないことは、いじめの早期解決を妨げ、いじめの行為の長期化や深刻化につながることが考えられる。
こうしたことから、道教委では、いじめの認知の考え方や初動対応について、市町村教委や学校と繰り返し確認し、共有していく必要があると認識している。
Q滝口委員 1000人当たりのいじめの認知件数、全国平均、全道平均、そして、旭川の状況についても伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 1000人当たりのいじめの認知件数について。2年度の国の生徒指導に関する調査では、中学校での全国平均が24・9人、全道平均が22・4人であるのに対して、旭川市は4・5人となっている。
Q滝口委員 全国、全道の平均から、旭川市は極めて少ないという状況である。これは文科省の児童生徒課長が示しているが、いじめの認知件数が多い学校について、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っていると、極めて肯定的に評価している。
従って、いじめの認知件数が多いことが、例えば、学校経営の評価に影響しているのかどうか。そういうことはないだろうと思うが、見解を求める。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの認知の考え方について。いじめの認知件数が極端に少ない場合にあっては、いじめの認知の定義が市町村内で共有されていないことも考えられる。
道教委としては、旭川市のいじめの認知件数が少ない傾向にあることから、今後、市内の各学校の取組状況を把握した上で、市教委と課題を共有し、認知の在り方や具体的な対応策について検討していく。
Q滝口委員 道教委が策定した、いじめの防止等に向けた取組プランがある。元年度、教職員と保護者を対象のアンケート調査で、学校はいじめの認知に積極的に取り組んでいるかと質問したところ、取り組んでいると回答した教員は7割だったが、保護者は2割だった。保護者と教員の意識の乖離をどのように受け止めるのか。
A中澤指導担当局長 教職員と保護者の意識について。学校のいじめ認知に関し、いじめの防止等に向けた取組プランのアンケートにより、保護者と教職員の意識に乖離があり、道教委としては、いじめ防止の啓発や教職員の保護者への適切な対応の在り方について周知を図る必要があると受け止めている。
今後、道教委では、各学校に対し、入学式やPTA総会、学校説明会、学校便りやウェブページなど、様々な機会や方法により、学校のいじめ防止の取組を積極的に発信するとともに、学校行事での保護者との懇談の場などを通じて、いじめ対応への不安や疑問等に耳を傾けるなど、双方向の関わりを大切にしてきめ細かに対応することについて、市町村教委と連携し、指導助言するほか、学校訪問等において、それぞれの状況を把握し、必要な対応を促すなどの取組を進めていく。
Q滝口委員 総務省の調査結果報告書において、いじめ重大事態を分析すると、はじめは、冷やかし、からかいなどであったが、次第にエスカレートしていじめ重大事態になったケースは、実に78%もあったという報告である。
いじめの初期段階で、児童が先生に訴えやすい環境をつくる、保護者も相談しやすい環境をつくることが重要。また、子どもたち自身が具体的にSOSを発信する方法の認知も極めて大切である。
早期発見、早期対応につながる取組について、道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 相談しやすい環境づくりなどについて。児童生徒が、いじめに関わる不安や悩みを安心して教員や周囲の大人に相談できる環境を整備することは、いじめの早期発見、早期対応のために重要と考えている。
道教委としては、児童生徒がいじめ被害を受けた場合には、教員や友達に助けを求める方法を学ぶ、SOSの出し方に関する教育を一層推進するとともに、スクールカウンセラー等と連携して、気兼ねなく相談できる効果的な教育相談体制を構築するほか、児童生徒はもとより、家庭や地域の皆さんに対し、学校便りなどを通じて、いじめの相談から解決までのプロセスを分かりやすく示すなど、いじめについて相談しやすい環境づくりがより一層取り組まれるよう、市町村教委や学校に対して指導助言していく。
Q滝口委員 学校は、国や道のいじめ防止基本方針を参酌して、学校いじめ防止基本方針を策定し、いじめ対策組織を設置している。しかし、方針を策定し、組織を設置してるが、本当に機能しているかというと、なかなかそうは見受けられない事例が多々あると考えている。
これらの現状について、学校が効果的に対処する方法、被害が深刻化した状況をどう解消するか、道教委の見解を伺う。
A中澤指導担当局長 いじめに関する対応について。学校は自ら策定した学校いじめ防止基本方針に基づき、児童生徒の人間関係の変化を注意深く見守り、ささいな兆候であってもいじめではないかとの疑いを持って、早い段階からいじめ対策組織を中心に対応することが重要である。
各学校では、学校いじめ防止基本方針や学校いじめ対策組織の役割等について、自己評価や保護者アンケート等で検証し、改善を図ることが大切であり、道教委としては、効果的ないじめ対策が講じられるよう、学校評価の在り方をあらためて点検するとともに、学校が組織的に対応することができるよう、学校や市町村教委に指導助言していく。
Q滝口委員 法では、生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき、いわゆる生命心身財産重大事態と、相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき、すなわち不登校重大事態がある場合は、教育委員会あるいは学校による調査が義務付けられている。
しかしながら、学校や教育委員会がいじめ重大事態としての対処をためらう事例が散見されていることから、極めて残念な事態が生じている。
学校や教育委員会は、被害が生じている時点で、被害者に対し既に道義的責任があるという自覚が極めて大切である。
適切な調査に向け、対応すべきと考える。道教委の見解を求める。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ重大事態への対応について。いじめによって、当該学校に在籍する児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき、また、当該学校に在籍する児童等が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときについては、教育委員会は、いじめ重大事態と認め、国のガイドラインに基づき、ただちに適切な調査を実施し、事案の解明と再発防止に取り組む必要があると考えている。
Q滝口委員 いじめによると疑われる自殺、自殺未遂、転校、不登校は、重大事態と認定しているのか、道いじめ防止取組プランに、性的被害は重大事態と明文化されているのか、道いじめ防止取組プランは毎年度、評価・検証を行うことになっており、様々な事例をしっかりと検証する中で補強すべきと考える。併せて伺う。
A中澤指導担当局長 いじめの重大事態について。国のガイドラインには、いじめによって重大な被害が生じた疑いや、相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある事例として、いじめによる自殺、自殺未遂、転校、不登校のほか、性的ないじめの事例が示されており、道教委としても重大事態に該当する事案として対応してきた。
道教委では、いじめ防止対策や目標指標を示した、いじめの防止等に向けた取組プランの評価検証に向け、現在、教職員、保護者等へのアンケートを実施しており、今後はアンケート結果をもとに、いじめ問題審議会での専門家からの意見や助言等を参考として、より具体的ないじめ重大事態の事例を示すことも含めて検討し、本プランの改善充実に取り組んでいく。
Q滝口委員 いじめ重大事態は、国が示したガイドラインに従って調査する、つまり、いじめ重大事態があればすぐ調査すると承知しているが、調査結果がまとまったあと、被害児童生徒および保護者に対する対応、さらに加害者に対する対応についてはどのように行うものなのか伺う。
A中澤指導担当局長 いじめ重大事態の調査後の対応について。学校や教育委員会は、第三者委員会等の調査結果を真摯に受け止め、被害を受けた児童生徒や保護者に対しては、これまでに傷付いた心のケアに万全を尽くすことはもとより、調査に係る情報提供および調査結果の説明を適切に行うとともに、事案の再発防止に向け、全ての教育活動を通じて、いじめを絶対に許さない学校づくりに取り組むことが必要である。
また、加害児童生徒と保護者に対しては、調査を通して認定された事実に基づき、加害児童生徒が抱えている問題等に応じて個別に指導し、いじめ行為の非に気付かせ、真に反省を促し、被害児童生徒への謝罪の気持ちを醸成するよう、粘り強く指導することが重要である。
Q滝口委員 総務省の行政評価局の調査によると、研修が開催されていなかった事例も相当あると報告されている。本道の実態を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ防止に関する研修について。いじめ事案に的確に対応するためには、教員一人ひとりの生徒指導に関する資質・能力の向上が不可欠であり、道教委としては、初任段階教員研修や中堅教諭研修など、全ての教員がキャリアステージに応じていじめ問題への対応について研修を行うとともに、全ての管理職に対し、採用・昇任時において、学校での危機管理として、いじめ問題への学校の組織的対応やリスクマネジメント等に係る研修を行っているところ。
また、全ての管内において毎年度、生徒指導上の諸課題に関する研究協議会を実施し、生徒指導の中核となる教員などを対象として、いじめ事案への実効性ある対応について、有識者や臨床心理士、弁護士等の専門家を講師として、実例を交えながら理解を深める研修を行っている。
P滝口委員 いろいろと研修もされている。しかし、研修をしていながらも、効果としてしっかりと現れていない部分も見受けられる。しっかりとした充実を求めておきたい。
Q滝口委員 旭川市のいじめ問題について、3年3月、当時中学2年生の女子生徒が遺体で発見されてから1年が経過しようとしている。
旭川市での調査の現状および今後の対処について、道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市でのいじめ重大事態調査について。旭川市では3年5月から、弁護士をはじめ、臨床心理士、大学教授などで構成された第三者調査委員会により、国の調査ガイドラインに基づいて、遺族や関係する学校職員、生徒への聴取、事案に関係する学校に在籍していた児童生徒へのアンケートの実施、遺族や学校および教育委員会から提出された資料の分析などによって、調査を行っているところ。
また、遺族の要望を受け、調査結果のうち、いじめの事実関係に関する事項については、ことし3月末までに遺族に報告する予定であると市教委から報告を受けており、こうした取組を着実に行い、全容解明に努めていただきたいと考えている。
Q滝口委員 報道によると、4つの項目として、いじめの有無、死亡に至った過程、学校と市教委の対応、再発防止策を調査しているという。
遺族側の求めは何かということを道教委は把握しているのか。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ重大事態調査への対応について。遺族の求めに応じて、第三者調査委員会では、調査結果のうち、いじめの事実関係に関する事項については、ことし3月末までに遺族に報告する予定となっており、第三者委員会に諮問された調査事項のうち、いじめの事実関係を除く諮問事項である、当該生徒が死亡に至った過程の検証、学校と市教委の対応調査と課題検証、今後の再発防止策については、現時点では最終報告の時期は明示されていないが、その後も調査を行うこととしている。最終報告についても遺族に報告されることとなっている。
Q滝口委員 道教委は、元年6月に発生した当該生徒の自殺未遂事案について、旭川市教委から、わいせつ行為事案も含め、9月10日に報告を受けたと伺っている。
道教委は、いじめの疑いがあると判断し、元年10月に市教委に指導したが、市教委は、いじめの認知には至っていないと判断した。
市教委は、いじめの定義を限定的に解釈したのではないか、法の理解が十分ではなかったと考えるが、見解を求める。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 本事案でのいじめの認知について。旭川市教委と当該学校が、元年当時、いじめの疑いがある事案として対応せず、いじめとの判断には至っていないとしていたため、道教委としては、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの認知や事案への対処が十分行われていないと考え、市教委に対し、必要な対応について指導助言してきたところ。
Q滝口委員 道教委は3年2月、旭川市教委から当該生徒の家出事案について報告を受けている。このとき、道教委は、当該生徒が元年に被害を受けていた生徒であることを踏まえた対応をしっかりと市教委に求めた。
しかし、この時点で、市教委は、まだいじめの認知には至っていないという判断だったと伺っている。このことについて道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 行方不明となった際の対応について。3年2月、旭川市教委から当該生徒の家出事案として速報を受けてから、同年3月に当該生徒が発見されるまでの間、道教委では、当該生徒の早期発見のために必要な対応を市教委に求めており、同年4月に市教委に確認したところ、いじめの認知には至っていないとの回答であったことから、行方不明になった当時も同様の認識であったものと受け止めている。
Q滝口委員 旭川市教委は3年4月、当該生徒の死亡が確認されたあと、いじめで重大な被害を受けた疑いがあるいじめ重大事態と判断したと言っている。いじめ重大事態調査を実施することとしたのは、どういう理由からなのか。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ重大事態の判断について。旭川市教委は、3年4月に当該生徒が亡くなってから、一部のメディアによって報道された内容において、把握していないものがあることなどを踏まえた上で、市教委が、当該生徒がいじめによって心身に重大な被害を受けたとの疑いが生じたと判断し、重大事態として対処することとしたと聞いている。
Q滝口委員 元年6月に発生した自殺未遂事案があって、8月に転校している。いじめが原因と報道されているが、自殺未遂事案があって転校するというのは、当然、重大事態と考えるべきではないかと思う。この事態でも認知しなかったのはどうしてかを伺っておきたい。
A中澤指導担当局長 重大事態の認知について。本事案発生当時、旭川市教委は、当該学校から、学校において事案発生後、すぐに当該生徒および関係生徒等の聞き取りを行うとともに、警察の対応状況も確認しており、事案発生の経緯や生徒同士の関係性等に関する情報から、いじめと認知するまでには至らなかった、また、転校先の学校においても、当該の学校と連携しながら、当該生徒と保護者への支援を継続して行っていたとの報告を受けていたことから、当時、旭川市教委は、いじめとの認知に至らなかったため、いじめ重大事態としても判断しなかったと伺っている。
Q滝口委員 旭川市教委のこの時点での認知に至っていないというのは、全く法を理解していないと言わざるを得ない。
道教委の指導助言、援助と決められているが、この指導助言の在り方が、本当に子どもたちや保護者の心情に寄り添って対応できたのかどうか、少し疑問を感じる。
今後とも、それぞれ独立した機関であっても、道教委としての指導力を発揮していくべきではないかと思う。
初動対応の重要性を指摘されながら、貴い命が犠牲にならなければ課題の解決に道が開かないという現状において、再発防止は当然のことで、万全な対応が求められている。
今なお、いじめによって、どこかで子どもたちがSOSを出せないでいるかもしれない、そんなことを思うとき、やはり、本道のトップの教育長として、しっかりとしたいじめ根絶に向けた決意を求めておきたい。
A倉本教育長 いじめ根絶に向けた取組について。本事案については、未来のある中学生が貴い命を失うに至ったことを誠に痛ましく、大変重く受け止めている。
道教委では、旭川市教委に対し、これまで、遺族の心情に寄り添いながら、いじめ重大事態調査が適正かつ迅速に行われるよう、指導してきたところである。
いじめ防止対策においては、いじめを受けた児童生徒の生命および心身を保護することが最も重要であり、全てのいじめの事案においても、被害を受けた児童生徒に非はないとの認識のもとに立って、学校、家庭、地域、関係機関の相互の連携協力のもと、社会全体でいじめの問題の克服を目指して取り組むことが重要である。
道教委としては、今後、学校いじめ防止基本方針に基づくいじめ対策組織を中心とした組織的な対応や、児童生徒が安心してSOSを出せる相談体制などの環境整備などについて、市町村教委と学校に指導助言するとともに、地域全体でいじめ根絶に向けた取組が展開できるよう、道教委の付属機関である道いじめ問題審議会や、道の関係部局、道警、道PTA連合会、社会教育団体などの関係機関による道いじめ対策連絡会議において、意見などをいただきながら、本道が一体となったいじめ根絶の取組の推進によって一層の指導力を発揮し、子どもたちの命と心を守る取組を進めていく。
P滝口委員 ぜひ、遺族の思いに寄り添った、そして、しっかりとした真相の解明、再発防止の徹底を求めておきたい。
◆不登校対応
Q滝口委員 年間30日以上欠席する児童生徒は、国の直近の調査では、本道の小学生で2696人、中学生で6177人と、年々増加している。
文科省のデータで、不登校となった要因として「いじめを含む友人関係」と答えた生徒の割合は52・9%、しかし、先生の認識は数%にとどまっているという報告もある。
不登校対策として、オンライン授業の促進にどのように取り組んでいるのか、まず伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒への支援について。不登校となっている児童生徒が、ICT端末の活用によって学校と家庭や教育支援センター等をつなぎ、学習できる環境を整えることは、学校とのつながりを維持するとともに、学習の遅れに対する不安等が軽減されることで、登校へのきっかけとなることなどが期待されている。
道教委としては、各学校に対し、1人1台端末を活用した授業配信による家庭や教育支援センターでの学習支援や、児童生徒間の交流活動など、児童生徒一人ひとりが安心して学びに向かう環境づくりに向け、効果的な取組事例を収集し啓発に努めているほか、不登校児童生徒の心に寄り添い、きめ細かく対応するよう、オンラインによるスクールカウンセラーの教育相談についても取り組んでいるところ。
Q滝口委員 市町村の教育支援センターを設置しているところもあれば、例えば、登別市では、教育支援センターと地元の陶芸教室が連携し、子どもが陶芸に取り組んだ時間は出席扱いとするなど、子どもたちの前向きな取組を後押ししている例がある。
国による、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校、いわゆる不登校特例校の制度を活用して、岐阜市に開設されると伺っている。不登校特例校に対する道教委の見解を求める。
A鈴木学校教育監 不登校特例校の設置について。不登校児童生徒への支援については、児童生徒の意思を十分に尊重しつつ、個々の児童生徒の状況に応じた支援や、児童生徒の状況に応じて、多様で適切な教育機会を確保することが重要である。
道教委としては、こうした児童生徒への支援が各市町村において展開され、一層の充実が図られるよう、国が示している不登校児童生徒を対象とする特例校の設置に向けた手引きを活用するとともに、全国17校の特例校の実践事例を収集するなど、不登校の児童生徒の将来の社会的自立に向けた効果的な対策について調査研究していく。
P滝口委員 学校をつくるとなれば、それなりの財政的なものはあると思う。しかし、今、求められているのは、こういう形のものではないか。ぜひ、しっかりとした調査研究を求めておきたい。
Q滝口委員 文科省の調査では、不登校生徒の追跡調査、その後どうなったかという調査を行っている。
不登校の生徒がその後どうなったかということを知っておかないと、様々な対策が立てられない。これに対する考え方を伺う。
A鈴木学校教育監 不登校児童生徒の状況把握について。道教委としては、毎年度、各学校を対象として、不登校児童生徒への学習支援や教育相談の支援状況を把握する独自の調査を実施している。今後、全国の特例校に在籍している児童生徒の実情の把握と支援状況について調査研究をするとともに、義務教育指導監等による学校訪問において、不登校児童生徒の個別の状況を把握し、対応策を学校と共有しながら、各学校における不登校児童生徒一人ひとりに応じた実効性のある取組が行えるよう対応していく。
◆成年年齢引下げ
Q滝口委員 18歳以上の高校生が不当な契約をしないために、今後どのように指導していくのか。
文科省は、実務経験者の学校教育現場での活用や、教員の養成、研修の取組についても求めているが、併せて伺う。
民間の調査機関による高校生のアルバイト調査では、2年は19・4%と、前年比で6・6ポイント減。しかし、厚生労動省の調査では、60%の高校生が労働条件通知書などを交付されていない、32・6%の高校生が労働条件等で何らかのトラブルがあったと答えている。
これまでも、高校で、労働問題、労働条件に関する啓発授業を数校で行ってきたと承知している。これまでの取組状況、ならびに成年年齢の18歳への引き下げに伴い、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 成年年齢18歳に係る指導について。高校においては、自立した消費者となることや、雇用の在り方、労働問題等について理解を深める指導が必要であることから、道教委としては、教科の家庭科等において、消費者庁作成の教材を活用した実践的な指導に取り組むとともに、消費者教育アドバイザーや弁護士等の実務経験者を講師とした教員研修を行っている。
また、労働問題等については、今後、新科目の公共を中心として、労働契約等について学習するほか、厚労省の「労働問題・労働条件に関する啓発授業」を活用し、過労死等の防止などについて理解を深めさせることとしている。
道教委としては、成年年齢の引き下げに伴い、早い段階からの指導が大切であると考えており、関係機関と一層連携して、高校における消費者教育や労働問題等に関する教育の充実に取り組んでいく。
D滝口委員 ぜひ、しっかりとした取組を行って、子どもたちの18歳からをしっかりと守っていくという立場で取組を求めておきたい。
◆病弱教育
Q安藤委員 手稲養護学校三角山分校の前身の八雲養護学校は、筋ジストロフィー等の神経・筋疾患や重症心身障がいなど、病弱の児童生徒に対する教育の専門性の高さや、その教育実践について全国的に評価されていた。
八雲養護学校から移転した手稲養護学校三角山分校の概要および児童生徒の在籍状況について伺う。
A金田特別支援教育課長 手稲養護学校三角山分校の概要等について。元年8月、国立病院機構八雲病院が札幌の北海道医療センターに統合されたことに伴い、道医療センターの建物内に、手稲養護学校の分校として新たに病弱の特別支援学校として設置したものである。前身の八雲養護学校と同様に、主に筋ジストロフィー等の神経・筋疾患を有する児童生徒に対するきめ細かな教育活動を行っており、現在は、中学部3人、高等部8人の合わせて11人の生徒が在籍している。
Q安藤委員 八雲養護学校においては、一人ひとりの病気の状況に合わせた専門性の高い教育を行っていた。移転した三角山分校でもその専門性が引き継がれていると思うが、三角山分校ではどのような教育活動を行っているのか、その特色について伺う。
A金田特別支援教育課長 特色ある教育活動について。三角山分校では、道医療センターでの治療内容を踏まえた教育活動となるよう、教職員が日常的に、医療センターの理学療法士や作業療法士などと密接に連携し、筋ジストロフィーや重症心身障がいの児童生徒に対応する個別の病状や障がいの状態等に応じたきめ細かな指導を行っている。
また、指導上の配慮事項においても、筋肉や心臓に負担をかけないなど、他の障がい種の特別支援学校にはない特有の対応が必要であることから、教職員の専門性を生かしながら指導体制を組み、医療センターとも緊密に連携し、児童生徒の身体機能を最大限に生かした学習活動を継続できるよう、指導方法の工夫に努めている。
Q安藤委員 現在のコロナ禍において、感染対策を工夫されていると思うが、三角山分校ではどのような対策を行い、どのような教育活動を行っているのか伺う。
A金田特別支援教育課長 感染症対策に基づく教育活動について。三角山分校をはじめとする病弱特別支援学校に在籍している児童生徒は、基礎疾患を有しており、他校よりも慎重な感染症対策が求められることから、毎日の健康観察はもとより、医療センターから専門的なアドバイスをいただきながら、日々の子どもの健康状態について緊密に情報共有を図るなど、病院併設校である利点を生かした感染対策に取り組んでいる。
また、同一建物内で病院部分と学校部分とを往来することによる感染リスクを防止する観点から、生徒の学校への立ち入りが制限された場合には、学校から病院内の生徒に対し、通常の教科において遠隔授業を配信するほか、道立近代美術館と連携して遠隔芸術鑑賞等を実施するなど、ICTの積極的な活用等、様々に工夫しながら教育活動を展開しており、コロナ禍であっても質の高い教育が維持されるよう努めている。
Q安藤委員 国においてはGIGAスクール構想に基づいて、1人1台端末の整備などの取組を進めている。病弱の特別支援学校においても、より積極的にICTなどを活用した教育活動の充実を図ることが大切である。
三角山分校では、従来からICTも活用しながら教育を進めているということだが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を踏まえた取組として、一層の活用を進める必要があると考えるが、所見を伺う。
A川端特別支援教育担当局長 ICTを活用した教育について。三角山分校に在籍する児童生徒は、卒業後も病院で継続療養とする場合が多いことから、ICTのメリットを最大限に生かし、コミュニケーションツールとしての活用はもとより、病院からのテレワークによる就労によって職域の拡大も期待できることから、卒業後を見据え、ICTを取り入れたキャリア教育などの充実も図ることが必要と考えているところ。
こうした中、三角山分校においては、全国の病弱特別支援学校の児童生徒と時間や場所を共有できる遠隔型のロボットプログラミング選手権に参加するほか、道内外の企業等と遠隔システムでつないだリモートインターンシップにも取り組んでおり、道教委としては、病弱を含めた特別支援学校全体で、今後もICTを活用した教育活動が一層推進されるよう努めていく。
Q安藤委員 手稲養護学校三角山分校をはじめとする本道の病弱特別支援学校における教育を一層向上させることが、病弱の子どもたちの教育の充実につながるものと考える。今後の病弱教育の発展に向けて、道教委としての考えを伺う。
A鈴木学校教育監 今後の病弱教育について。入院の短期化や頻回化によって病弱の特別支援学校の児童生徒数が減少する一方、身近な地域にある小・中学校の病弱特別支援学級で学ぶ児童生徒が増加しているため、病弱の特別支援学校の専門的なノウハウを小・中学校等にも共有し、充実した指導体制のもとで、安心した学校生活を送れるようにすることが重要である。
道教委としては、病弱の特別支援学級に在籍する児童生徒一人ひとりの病状や教育的ニーズに応じることができるよう、特別支援学校の教員を派遣する事業を実施するとともに、特別支援学級と特別支援学校の校長会による意見交換の場を定期的に設けるほか、新たに病気療養中の児童生徒を指導する教員を対象としたオンライン研修会を開催するなど、引き続き、道内のどこの学校に在籍していても、将来の夢や生きがいなどを見いだせるよう、病気療養児に対する教育の改善・充実に努めていく。
P安藤委員 どのような立場の児童生徒に対しても教育機会を与えて、さらに充実を図っていただきたい。
(道議会 2022-08-26付)
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道議会質疑 文教委員会(4月5日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼小泉真志委員(民主・道民連合) ▼大越農子委...(2022-08-30) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月18日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼寺島信寿委員(公明党) 【答弁者】 ▼倉本...(2022-08-29) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月18日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼宮崎アカネ委員(民主・道民連合) ▼千葉英也...(2022-08-25) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月17~18日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼佐藤禎洋委員(自民党・道民会議) ▼武田浩光...(2022-08-24) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月17日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼宮崎アカネ委員(民主・道民連合) ▼佐藤禎洋...(2022-08-23) 全て読む
道議会質疑 一般質問(3月11日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼船橋賢二議員(自民党・道民会議) ▼真下紀子...(2022-08-19) 全て読む
道議会質疑 一般質問(3月11日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼大越農子議員(自民党・道民会議) ▼広田まゆ...(2022-08-18) 全て読む