道議会質疑 予算特別委員会(3月18日)(道議会 2022-08-29付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼寺島信寿委員(公明党)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼桑原知己社会教育課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
=役職等は当時=
◆いじめ問題
Q寺島委員 旭川市の第三者調査委員会によるいじめ重大事態調査は、昨年5月から開始されている。これまでの調査の進捗状況について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市におけるいじめ重大事態調査の進捗状況について。旭川市では、弁護士をはじめ、臨床心理士、大学教授などの委員で構成される第三者調査委員会を設置して、昨年5月からことし2月までの間に19回の委員会を開催し、国の調査ガイドラインに基づいて、事実の全容解明や当該事案に対する関係部署の対処などについて調査している。
調査委員会は、これまでに、遺族をはじめ、関係する教職員や生徒への聴取、当該事案の関係学校に在籍していた児童生徒へのアンケートの実施、遺族から提供された資料や、学校および教育委員会が提出した資料の分析などによって、調査を進めている。
また、遺族の要望を受け、本調査の結果のうち、いじめの事実関係に関する事項については、ことし3月末までに遺族に報告する予定であると市教委から報告を受けているところ。
Q寺島委員 亡くなられた中学生の遺族は、調査の進捗が遅いと言っている。
道教委では、この調査について、市教委に対しこれまでどのような指導助言をしてきたのか。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市教委への指導助言について。道教委は、本調査を迅速かつ適正に実施できるよう、調査開始前の昨年4月に、担当の職員が市教委を訪問し、調査組織の構成、調査の実施方法やスケジュール等について指導助言してきた。
調査開始後は、市教委への訪問やオンラインによる遠隔会議によって、定期的に調査の進捗を確認してきたが、遺族から、昨年8月と12月の2度にわたり、本調査の進捗状況に不安を感じているとの意志が示されたことを受け、道教委としては、旭川市教委に対し、遺族の心情に寄り添った対応となるよう、調査委員会は調査の進捗を丁寧に遺族に説明すること、調査の進捗に遅れがある場合は、その要因を明らかにし、必要な対策を講ずることなどについて、継続して指導助言してきた。
Q寺島委員 本事案は、報道等で大きく取り上げられている。
旭川市内の小・中学校では、不安を抱える生徒が多くいる。こうした状況を踏まえ、道教委は、旭川市教委に対しこれまでどのような支援をしてきたのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市教委への支援について。当該校を含む市内の児童生徒は、このたびの事案に関する報道等に触れ、学校生活での不安やストレスを抱えていることが想定されたことから、道教委では、当該校に昨年4月と5月にスクールカウンセラーを緊急的かつ集中的に派遣し、全生徒を対象にカウンセリングを行うとともに、9月以降は、市内全ての中学校にスクールカウンセラーの派遣回数を増やし、きめ細かな心のケアに向け、支援してきたところ。
また、当該校に対しては、生徒一人ひとりの実情を丁寧に把握し、組織的に対応するなど、生徒指導に関する体制を強化するとともに、家庭や地域等の外部との連携を円滑に行うことができるよう、主幹教諭を措置するなど、人的な支援に努めてきた。
Q寺島委員 道教委は、旭川市教委が子どもや保護者、地域住民の信頼を得て教育を進めていくことができるよう、今後どのような指導や支援をしていくのか。
A中澤指導担当局長 今後の旭川市教委への指導、支援について。学校が、児童生徒はもとより、保護者、地域住民からの信頼を得て教育活動を進めていくためには、教育委員会、学校がいじめの芽を決して見逃さず、いじめの被害で苦しむ子どもを徹底して守り抜く姿勢を示し、いじめ根絶に向けて取り組むことが大切である。
道教委としては、旭川市教委に対し、市のいじめ防止基本方針を児童生徒、保護者、地域の方々にあらためて説明し、理解と協力を得ていじめ防止に取り組むことや、学校でのいじめの認知や早期発見、早期対応に向けた取組の強化などについて指導助言を行うとともに、いじめ防止に関して、学校や地域と一体となって行う取組や、児童生徒の自主的、実践的な活動の促進に向け、全国の好事例を提供するなど、信頼される学校づくりに向け、共に力を尽くしていく。
Q寺島委員 今後、第三者委員会による調査に基づき、本事案に係る再発防止策が示されるものと承知している。その前に、いじめ問題の根絶に向け、道教委がどのように取り組んでいくのか、見解を伺う。
A倉本教育長 いじめ根絶に向けた今後の取組について。いじめは、子どもの命や心を深く傷付ける深刻な問題であり、道教委と市町村教委が連携を密にして、いじめ問題への対応について考えを共有し、一体となって取り組むことが重要である。
道教委としては、いじめの積極的認知や早期の組織的対応、いじめ重大事態への対処の在り方などについて、全ての市町村と考えを共有することはもとより、毎年度、各種会議や研修会において繰り返しこれを確認するとともに、市町村や学校のいじめ防止の取組や対応の状況をきめ細かに把握し、学校、教育委員会の体制や連携状況等に課題を抱えている場合は、課題解決の道筋が付くまで、継続した指導助言と必要な支援を行うなど、道教委として指導力を発揮し、いじめ根絶に向け取り組んでいく。
D寺島委員 地域全体が心を痛めている。
一番感じることは、この流れの中で、道教委と市教委の連携がなかなか取れておらず、決して一体ではなく、不十分と言わざるを得ないのではないかということだ。
いじめの積極的認知や早期の組織的な対応、多くの部分で組織としての力を発揮し切れてこなかったのではないかと感じている。
様々ないじめの課題に対しての道教委としての指導力、情報力、組織力が試されていると思う。ぜひ、市教委をしっかりと指導していけるような力を付けていっていただきたい。子どもの命と心を守る取組を何とぞよろしくお願いしたい。
◆SNS相談
Q寺島委員 道教委ではこれまでも、SNSを活用した教育相談体制の構築事業を実施していると承知している。前年度および3年度の利用状況について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 SNSを活用した相談窓口の利用状況について。相談窓口は、毎週月曜日を基本に、相談できる時間帯を午後5時から10時までとして開設しており、悩みが生じやすい長期休業明けには、2週間程度、毎日設定している。
利用の状況については、2年度は、札幌市を除く公立の高校生を対象としており、相談窓口の利用に登録した生徒数は816人、延べ1160件の相談に対応した。3年度は、相談日数を増やすとともに、札幌市を除く道内の公立中学校の生徒を対象に加え、12月末時点で登録した生徒数は608人であり、延べ680件の相談に対応してきたところ。
Q寺島委員 これまで事業を実施し、利用している生徒のニーズについてどう捉えているのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 利用している生徒のニーズについて。道教委では、これまで相談窓口の利用を登録している中学生、高校生を対象に、相談窓口の利用状況や満足度などについてアンケートを実施し、利用者のニーズを把握している。アンケートからは、気軽に相談できる、親身になって答えてくれるので気持ちが楽になったなどの意見が寄せられ、利用者の約9割が「満足」「やや満足」と肯定的に回答している。
一方、改善点としては、相談できる日数を増やしてほしい、もう少し遅い時間まで受け付けてほしいなどの意見が寄せられているところ。
Q寺島委員 本道の子どもたちが相談できるようにするためには、公立、私立の生徒も含め、多くの生徒が利用できる環境を整える必要があるものと考える。
本事業の充実をどのように図るのか、今後の取組について伺う。
A中澤指導担当局長 SNSを活用した相談事業について。道教委ではこれまでも、利用者の要望などを参考に、実施時間や日数の改善を図りながら、公立学校の生徒を対象とした相談事業を実施してきた。
今後はより多くの生徒が利用できるよう、道の関係部局と緊密に連携して、私立の中学校、高校、特別支援学校の生徒などを幅広く相談の対象として加えて実施するなど、本道の全ての生徒を対象とした相談体制の充実を図り、よりきめ細かな心のケアが行われるよう取り組んでいく。
D寺島委員 私立の生徒も対象になる。幅広い生徒にきめ細かな取組をお願いする。
◆道CLASSプロジェクト
Q寺島委員 道教委では、高校が地域の自治体や産業界等と連携協働した体制を構築し、地域課題探究型の学びを通したキャリア教育を推進する、道CLASSプロジェクトに3年度から新たに取り組んでいる。
まず、道CLASSプロジェクトの取組の概要について伺う。
A桑原社会教育課長 道CLASSプロジェクトについて。本事業は、学校と自治体や企業等の産業界、団体等をつなぎ、取組を推進する要となる地域コーディネーターを配置するとともに、地域の企業や経済団体、NPO等、地域の多種多様な人材からなるコンソーシアムを設置し、高校生と大人が一緒に地域課題を解決する地域課題探究型の学習体験を通じて、持続可能な地域と学校の連携協働の仕組みを構築し、地域の未来を担う人材の育成を目指すもの。
事業の実施に当たっては、道内を4つの圏域に分け、それぞれの圏域において研究指定校を選定し、地域や学校の実情に応じたテーマを設定し、研究実践に取り組んでいるところ。
Q寺島委員 道CLASSプロジェクトは、社会教育と学校教育の連携協働による地域創生の実現を理念に掲げ、社会教育課が中心となり、学校教育や知事部局等と連携して実施していると承知している。これまでの取組状況はどうなっているのか伺う。
A桑原社会教育課長 取組状況について。本事業は、社会教育課、高校教育課、義務教育課が連携し、道内における地学協働に関する取組事例の収集と分析を行い、事業推進に活用するほか、本庁と教育局のプロジェクトチームが定期的に情報共有し、取組の充実や課題解決に向けた協議等を行うなど、研究指定校へのきめ細かな支援を進めている。
また、各校のコンソーシアムやそれぞれの学習活動に振興局の各部署が積極的に加わっており、さらに、知事部局が推進する地域づくりに取り組む若者のネットワークづくりの事業に本事業の研究指定校の生徒が参加するなど、様々な場面で知事部局と連携を図っている。
各教育局においても、地域の実情や取組を知り、地域住民と関わりの深い社会教育指導班が市町村や高校を巡回し、把握した取組事例を高校教育指導班や義務教育指導班と情報を共有しながら、人材の発掘や協働プロセスへの助言を行うなど、実践的なプロジェクトの推進を支援している。
Q寺島委員 3年度の取組の成果について伺う。
A桑原社会教育課長 取組の成果について。3ヵ年の指定期間の1年目となる3年度は、各校とも事業の趣旨や役割、目指す姿等を地域と共有し、協働するための土台となる体制づくりに重点的に取り組み、全ての研究指定校で地域コーディネーターの選出とコンソーシアムの設置が完了し、各校で教科探究学習やフィールドワーク、地域課題解決型学習等に取り組んでいる。
こうした取組を通して、自分の住む地域の課題に自分事として向き合い、地域コーディネーターの関わりによって課題解決の方策を検討する中で、地域の企業と連携して特産品開発に携わったり、議会等で地域創生に向けた方策を提言したりするなど、各校において、これまで以上に多くの地域人材と関わりを持った学習活動が展開されている。
Q寺島委員 道CLASSプロジェクトをはじめ、地学協働の取組を通して、どのように将来の地域を担う人材の育成を図っていく考えなのか伺う。
A倉本教育長 地域を担う人材の育成について。道教委としては、学校と地域の皆さんが持続可能な協働体制を構築し、大人と子どもたちが共に地域課題の解決を探る地学協働活動に取り組むことにより、地域の特性を生かした新しい価値を創造する人材や、グローバルな視点でコミュニティーを支える人材の育成につながるものと考えている。
今後は、道CLASSプロジェクトをはじめとした地学協働の取組の成果を全道の地域や学校に広げ、より幅広い住民の皆さんの理解と参画を得ることで学習活動の充実を図り、子どもたちが自ら社会に関わり参画しようとする意志、社会を創造する主体としての自覚を育成するとともに、自らの在り方、生き方と一体的で不可分な課題の発見、解決のプロセスを通して、より良い地域社会の実現を目指し、自らの未来を切り開く姿勢を育むことによって、将来の本道や地域の未来を担う人材の育成に努めていく。
D寺島委員 すごく素晴らしい取組で、生きた学問というか、子どもたちも自分の人生をどうするかということを考える力が育まれるだろうなと思う。地域の課題なので、将来どうしていくのかということを含めて、本当に素晴らしい。
課題としては、例えば、ゼロカーボンの取組だとか、様々な世界共通の課題でもあり、地域の課題でもあるようなことが、今はたくさんあるし、様々な課題に地域で子どもたちと一緒に取り組むことで、地域も発展していくきっかけになる非常にポテンシャルのある取組だ。ぜひ、全道に広げていただきたい。
(道議会 2022-08-29付)
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