道議会質疑 予算特別委員会(3月17~18日)
(道議会 2022-08-24付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼佐藤禎洋委員(自民党・道民会議)

▼武田浩光委員(民主・道民連合)

▼花崎勝委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼鈴木淳学校教育監

▼唐川智幸学校教育局長兼ICT教育推進局長

▼櫻井良之高校配置担当局長

▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長

▼塙浩伸企画・支援担当課長

▼松井晃之高校総体推進課長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長

=役職等は当時=

◆ヤングケアラー

Q佐藤委員 本定例会には、ケアラー支援条例案が提案されており、ケアラーに関する基本理念や、道の責務、役割、支援に向けた地域づくりなどが示されている。

 ヤングケアラーへの支援については、学校がヤングケアラーと思われる子どもの存在にいち早く気付き、子どもを支援する福祉や介護、医療などの機関に適切につなげていくことが大切だと考えている。

 そのために学校はどのように対応していくのか、また、道教委はどのように学校を支援していくのかについて伺う。

 今回提案された条例では、ヤングケアラーの定義、また、学校の役割についてどのように示されているのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 ヤングケアラー支援における学校の役割等について。北海道ケアラー支援条例案においては、高齢や疾病等の理由によって援助を必要とする家族などに対し、無償で介護や看護、日常生活上の世話などの援助をする方々をケアラーとしており、ヤングケアラーは、うち18歳未満の方々と定義されている。

 また、学校の役割としては、日常の教育活動の関わりの中で、該当と思われるヤングケアラーの意向を踏まえつつ、教育の機会の確保の状況について確認し、支援の必要性を把握するほか、ヤングケアラーからの教育および福祉に関する相談に応じるよう努めるものと示されている。

Q佐藤委員 学校が子どもの様子を見て、ヤングケアラーかもしれないと気付くためには、教職員自身がヤングケアラーについてしっかりと理解している必要があると考える。

 道教委は、教職員の理解の促進に向けてどのように取り組んでいるのか伺う。

A中澤指導担当局長 教職員の理解促進を図る取組について。道教委では、3年10月とことし2月に、学校の管理職を対象とし、道の有識者会議の委員らを講師として、道の実態調査結果を踏まえたヤングケアラーの実情や、学校とスクールソーシャルワーカー、福祉の関係機関などとの連携の在り方について研修を行うとともに、校内研修等で活用できる研修資料やヤングケアラーを把握する際に活用できるアセスメントツールを提供するなど、教職員の理解促進に向けて取組を進めている。

 道教委としては、全ての教職員がヤングケアラーへの対応について一層理解を深めることができるよう、こうした取組を引き続き行うほか、スクールソーシャルワーカーが実例を交えながら解説した研修動画を作成し、各学校での活用を促すなど、研修機会の充実に取り組んでいく。

Q佐藤委員 ヤングケアラーの支援に向けて、社会福祉士や精神保健福祉士など、福祉の専門的知識を有するスクールソーシャルワーカーには、学校と支援する福祉や介護などの関係機関を結び付ける役割が期待されている。

 ヤングケアラーへの支援に向け、スクールソーシャルワーカーをどのように活用していくのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 スクールソーシャルワーカーの活用について。学校においては、日ごろからスクールソーシャルワーカーと緊密に連携し、ヤングケアラーとなる子どもの意向を踏まえつつ、適切な関係機関の支援につなげることが重要である。

 道教委としては、スクールソーシャルワーカーが学校を巡回して、ヤングケアラーへの対応について、学校と情報共有するとともに、市町村の担当部局や福祉分野に携わっている関係機関等による早期支援に適切につなげるよう働きかけるほか、必要に応じて特定の市町村への即時派遣を行うなど、地域や学校の実情に応じた活用に取り組むこととしている。

Q佐藤委員 昨年、道が実施した実態調査では、ヤングケアラーと思われる子どもは、自分自身でそうしたことに気付いていないことや、そのほとんどが誰かに相談したことがない状況にあることが明らかになっている。

 子どもたちが家庭のことや自分が抱えている不安などを気軽に相談できる窓口について、周知する必要があると考えるが、どのように取り組んでいくのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 相談窓口の周知について。ヤングケアラーの中には、家族の状況を知られたくない、相談するような悩みではない、直接、教師に相談しにくい、どこに相談すれば良いか分からないなどのケースがあると考えられることから、これまでの教育相談の対応よりも一層相談しやすい環境をつくることが重要と考えている。

 道教委としては、現在設置されている子ども相談支援センターでの電話・メール相談やSNSによる相談窓口において、家族の世話など家庭での不安に関わる悩みなどについても相談できることを紹介するリーフレットを配布するなど、直接、児童生徒に周知するとともに、学校で活用されている1人1台端末を通じて、気兼ねなく相談することができる仕組みを構築するなど、多様な方法により、子どもたちの声を可能な限り受け止められるよう取り組んでいく。

Q佐藤委員 支援は、本人の意向を踏まえつつ、子どもの権利および利益が最大限に尊重され、心身共に健やかに育成され、適切な教育の機会が確保されるように行われなければならないという条例の理念が実現されるよう、道教委としては、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A鈴木学校教育監 ヤングケアラーへの支援に向けた今後の取組について。ヤングケアラーへの支援に当たっては、学校や教育委員会をはじめとする教育に関する業務を行う機関がヤングケアラーに対する教育の機会の確保の状況を確認し、支援の必要性を把握することはもとより、支援を必要とするヤングケアラーの相談に応じ、早期支援に適切につなげるために、道、関係部局や福祉分野を所管する関係機関との連携を強化することがこれまで以上に重要である。

 道教委としては、各学校や市町村教委において、子どもたち自身がヤングケアラーについて知るための啓発や教職員研修の充実、さらに、相談機会の確保などの取組を進めるとともに、市町村教委や福祉等の関係機関などで構成する連絡協議会を道内4ブロックで実施し、現状認識や課題などについて共有し、地域の実情に応じたきめ細かな支援につなげることを通して、地域全体でヤングケアラーを支援する環境づくりに取り組んでいく。

◆いじめ問題

Q佐藤委員 現在、旭川市の第三者委員会が行っているいじめ重大事態の調査については、3月中にはいじめの事実関係が先に遺族に説明される見通しとの報道があった。

 私としても、事実をしっかりと調査していただき、このような事案が二度と起こらないよう、学校、市教委が真剣に取り組んでいくことが大切だ。

 旭川市教委は、この事案について、いじめの認知には至っていないとの姿勢であるが、いじめの判断、認知はどのように行うものと考えているのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの認知について。いじめの認知に当たっては、児童生徒の日常的な行動観察やアンケート、教育相談等を通して、いじめの疑いがあると認めるときは、ささいな兆候であっても、早い段階から複数の教職員で的確に関わり、事実関係を把握した上で、学校いじめ対策組織において判断することとしている。

 また、児童生徒の中には、いじめを受けたことを認めたくない、保護者に心配をかけたくないなどの理由から、いじめの事実を否定することもあることから、児童生徒の様子等をきめ細かく捉え、状況を軽視することなく、事実に基づいて判断することが重要と考えている。

Q佐藤委員 学校でのいじめの認知や対応については、最初に対応することとなる校長の指導力や判断力が重要と考える。道教委では、管理職に対してどのように指導しているのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 管理職への指導について。学校がいじめ問題に真摯に向き合い、迅速かつ適切に組織的な対応を行うためには、学校運営のトップリーダーである校長が教職員に対して指導の方針を明確に示し、一致協力した体制を確立するとともに、生徒指導に関する指導力や危機管理能力などの資質・能力の向上が重要と考えている。

 このため、道教委としては、新たに採用、昇任した全ての管理職を対象に、いじめ対策をはじめとする危機管理に関する研修を行うとともに、教育指導監や義務教育指導監による学校訪問、校長会議や校長会研修における講演や講義等を通して、早期の組織的対応や、家庭や地域との連携の在り方、各学校が個別に抱える課題への対応などについて、きめ細かな指導を行うほか、必要に応じて個別に対応し、事案対応への指導、支援を行っている。

Q佐藤委員 旭川市の事案では、保護者は、繰り返し市教委にも相談していたにもかかわらず、十分な対応がなかったとの報道がある。市町村教委も、いじめ対応に関する研修を受けるなど、やるべきことがあるのではないか。

 道教委では、市町村教委に対してどのように指導助言を行っているのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 市町村教委に対する指導助言について。学校を管理する市町村教委が、法令や国のガイドライン等に基づいたいじめ問題への対応について理解を深め、適切に対応することは、いじめ防止の上で大変重要であり、道教委としては、毎年度、市町村教委を対象として、いじめ問題の基本的な考え方について研修を行っているところ。

 今後は、こうした研修を通じて、いじめの防止対策を一層徹底する観点から、いじめの積極的な認知や早期の組織的な対応のほか、重大事態への対応の在り方をあらためて確認するとともに、未然防止をはじめとする体制整備や相談体制の充実のほか、必要な対応について指導助言を行うなど、全道の全ての市町村で適切ないじめ防止対策が講じられるよう取り組んでいく。

Q佐藤委員 こうした悲しい事態が二度と起こることがないように、いじめは早い段階で対応することが何よりも必要であり、そのためには、子どもたちがいじめの被害を訴えやすい環境づくりが重要と考える。道教委はどのように取り組んでいるのか伺う。

A中澤指導担当局長 相談体制の構築について。子どもの発する小さなサインやささいな兆候を見逃さず、いじめを積極的に認知し、早期発見、早期解決を図るためには、子どもがいじめ被害について訴えやすい環境をつくることが重要である。道教委では、全ての学校において複数回のいじめアンケート調査を実施するとともに、学校にスクールカウンセラーを派遣するほか、24時間対応の電話、メール、SNSによる相談窓口を設置し、子どもたちの声を受け止められるよう相談体制の充実に努めてきたところ。

 今後は、学校で活用している1人1台端末から直接いじめ被害を訴えることができる相談窓口を設置し、いつでもどこからでも気兼ねなく相談できる仕組みを整えるとともに、ICTを活用して、いじめアンケート調査の方法を改善し、迅速な集約、分析を可能とするなど、子どもたちの声をより早く把握し、早期発見、早期対応につなげることができるよう取り組んでいく。

Q佐藤委員 本道の全ての学校において、いじめを許さない学校づくりに取り組まなければ、子どもたちは、安心して学校生活を送ることができない。

 道教委は、いじめ根絶に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 今後の取組について。いじめは、子どもの命や心を深く傷付けるとともに、不登校や自殺などを引き起こす背景ともなる深刻な問題であることから、各学校においては、いじめの積極的な認知や組織的な対応に努め、いじめ防止対策を徹底することが重要である。

 このため、道教委では、各学校が、学校いじめ防止基本方針に基づく、早期からの組織的な対応を着実に行うことができるよう、管理職をはじめとする教職員研修の充実に努めるほか、児童生徒が気兼ねなく相談できる仕組みを整備するとともに、市町村や学校のいじめ防止の取組や対応の状況をきめ細かに把握し、学校、教育委員会の体制や連携状況等に課題を抱えている場合は、課題解決の道筋がつくまで継続した指導助言ときめ細かな支援を行うなど、道教委として指導力を発揮し、いじめ根絶に取り組んでいく。

◆高校生の防災教育

Q武田委員 3月11日に東日本大震災から11年を迎えた。われわれは、この未曽有の大災害を教訓に、防災教育の重要性をあらためて考えなければならない。

 既に、災害対策基本法や道防災対策基本条例で定められているように、これまで道教委も防災教育について取り組んできたと承知している。

 また、教育長は、教育行政執行方針で「子どもたちの安全確保については、地域全体で地震や津波、台風など自然災害から命を守る防災教育の充実に向け、各地域における1日防災学校や、高校生防災サミットに取り組む」と述べている。

 まずは、防災教育の目的とこれまでの実績について伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 高校における防災教育について。防災教育とは、児童生徒が、自然災害の原因や減災等について理解し、的確な判断に基づき、主体的に行動できる態度を育むことなどを目的としている。道教委としては、元年度に本道で開催された「世界津波の日」高校生サミットの成果をもとに、3年10月に北海道高校生防災サミットを開催し、全道各地から参加した27校、87人の高校生が、災害時に自らの命を守り抜くために高校生ができることをテーマとして、各学校で地域と連携して取り組んだ実践をもとに協議を深め、防災や減災の在り方について提言を取りまとめ、全道に発信した。

 また、道教委と道、市町村、学校、防災関係機関が相互に連携協力して実施している1日防災学校については、本年度、92の高校で実施したところ。

Q武田委員 4年度の当初予算案では、高校生防災教育推進事業として、495万5000円が計上されている。

 この高校生防災教育推進事業の具体的な取組について伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 4年度の高校生防災教育推進事業について。道教委では、3年度の各高校の防災教育の成果をさらに普及発展させるため、北海道高校生防災サミットを開催することとしており、コロナ禍も踏まえ、オンライン形式と集合形式の利点を組み合わせるなど、実践例の発表や協議を行う予定である。

 また、学校と地域が連携した防災教育の充実を目的として、道立学校における1日防災学校を行うこととしており、教科や総合的な探究の時間などにおいて、災害発生のメカニズムや避難時の行動などについて学ぶ授業や、ゲーム形式で避難所運営について学ぶことができる北海道版「Doはぐ」の体験活動を取り入れるなど、実践的な防災教育に取り組むこととしている。

D武田委員 3年度では1日防災学校を92校で実施した。4年度当初予算案で計上されている495万5000円は、3年度が500万円だから、前年度並みと。ぜひ、実施する高校を92校から増やしていただくようお願いする。

Q武田委員 今、聞いてきたのは高校生の防災教育だが、防災教育は高校生だけではなく、小学校、中学校から通じて行っていくことが重要と考えている。

 学年に応じた防災教育についての見解を伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 発達の段階に応じた防災教育について。いつでも、どの地域においても自然災害による甚大な被害の発生が懸念される中、本道の子ども一人ひとりに、災害時に自らの命を守ることができる能力を身に付けさせるためには、学校段階での目標を明確にした系統的な防災教育の推進が重要と考えている。

 こうしたことから、全道の小・中学校、高校等で展開している1日防災学校の取組では、例えば、小学校段階では、子どもたちが災害時における危険を認識し、自らの安全を確保すること、中学校では、災害時には危険を予測し、率先して避難行動を取ること、高校では、災害時には、地域や社会全体の安全について考え行動することと設定するなど、それぞれの学年の発達の段階に応じた目標を設定し、取り組んでいる。

Q武田委員 1日防災学校における、これまでの小・中学校での実績について伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 小・中学校における1日防災学校について。本事業は、道教委と道危機対策課が連携し、平成30年度の小学校33校、中学校8校、義務教育学校2校から始まり、令和元年度には小学校59校、中学校17校、義務教育学校1校、2年度には小学校176校、中学校94校、義務教育学校3校、3年度には小学校232校、中学校119校、義務教育学校3校と、実施校数が拡大された。

 各学校においては、各教科の指導とも関連付けながら、小学校では、防災かるたを使った自分の身を守る方法に関する学習などを、中学校では、災害時の避難所で使用する段ボールベッドの組み立てや非常食調理の体験活動などを通して、災害に備えることの大切さについて理解を深めるなど、実践的な防災教育に取り組んでいる。

P武田委員 防災教育の実施校が増えるということは、いつ発生するか分からない災害に対して、自助、共助の観点を学ぶ点で非常に重要だと思っている。

 また、小学校などの低学年や低年齢層でこうした防災教育を行うことは、親の防災意識の向上が見られる研究発表もある。

 ぜひ、この取組を継続していただきたい。道教委としては高校の取組、小・中学校は各市町村教委の取組ということになるが、十分に各市町村の教育委員会と連携を取って、引き続き、頑張って実施していただきたい。

Q武田委員 3年に行われた高校生防災サミットについて。災害分野の専門家として、地震、津波、風水害、暴風雪、火山の分野からそれぞれ専門家を呼んでいる。

 ただ、私としては、これに原子力災害も加えるべきと考えている。見解を伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 北海道高校生防災サミットで取り扱う災害について。本サミットにおいては、高校生が地域の防災等について主体的に考えることを通して、安全・安心な社会づくりに進んで貢献できる資質・能力を育成することを目的としている。

 本年度のサミットについては、高校生が主体となり、北海道で発生する災害の種類などについて、事前学習やミーティングを重ねながら整理して、本サミットのテーマや協議内容などを決め、それに応じた専門家に助言者として参加していただいている。

 4年度についても、まずは、地域で頻発する地震や風水害などの自然災害における高校生の防災、減災に対するアイデアや意見等を取り入れるなど、主体的に取り組む意欲等を大切にしたプログラム内容の改善充実に努めていく。

P武田委員 自分の身は自分で守るというのが原則。だから、そういった災害の中に、地震、津波、風水害、台風という、いつ起こるか分からないものから自分の身を守るというのも大切だが、やはり、昨今の状況でいくと、原子力災害からも自分の身を守るという形でいくと、地域の特殊性を考慮した状況も含めて、今後、検討していただきたい。

Q武田委員 防災教育は単に、防災、減災のための知識や行動を学ぶだけではなく、その原因や因果関係を学ぶことにもつながり、ひいてはSDGsにもつながっていく。そういう意味では、非常に重要な教育の一つと言える。

 今後の防災教育についてどのように取り組んでいくのか、最後に教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 今後の防災教育について。東日本大震災から11年が、また、北海道胆振東部地震から3年半が経過した。

 地域コミュニティーの核となる学校において実践的な防災教育を推進することは、児童生徒をはじめ、地域の方々の防災意識と対応力の向上を図る上で極めて重要と考えている。

 道教委としては、学校における各教科での防災教育はもとより、北海道高校生防災サミットや1日防災学校の取組などを通して、まさかは必ず起こる、こうした認識のもと、道や市町村、学校、家庭、地域の皆さまなどとの連携協働を進めるとともに、学校教育を通して、災害の履歴や対応の経験を確実に受け継ぐ、そうした防災教育を進めていく。

P武田委員 昨年12月、国は日本海溝・千島海溝沿いにおける地震の被害について、北海道に至っては、最悪の事態の場合、13万7000人という数字を出した。

 先ほど、高校生防災サミットについて答弁をいただいた。高校生の防災・減災に対する意見、アイデアなどを取り入れながらと言っていた。日本海溝・千島海溝沿いの対応についても、もしかすると高校生のいいアイデアが生まれるかもしれない、その高校生のアイデアをきちんと採用することで、またやる気が出てくるという形の中で、いい形の中での防災に対する循環が出てくると思う。

 ぜひ、防災教育にも力を入れていただくことをお願いする。

◆STEAM教育

Q花崎委員 中教審の答申「“令和の日本型学校教育”の構築を目指して」では、科学、技術、工学、数学の各教科に、芸術、アートを加えた「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進による資質・能力の育成」が示されている。新学習指導要領に位置付けられた総合的な探究の時間や理数探究などの科目を中心に、STEAM教育に取り組むことが期待されている。

 道教委では、高校で新学習指導要領が年次進行で始まる4年度から、高校や特別支援学校を対象としたSTEAM教育推進事業を新たに実施することとしている。

 本事業を実施することとした背景、事業の目的および概要について伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 事業の背景、目的および概要について。国の教育再生実行会議において、STEAM教育は、各教科での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な教育として重要視され、その推進が提言されている。

 道教委では、高校生が探究的な学びを通じて、問題発見・解決能力や情報活用能力など、現代的な諸課題に対応するための資質・能力を身に付け、持続可能な社会のつくり手となることを目的に、実社会の課題解決につながる探究活動を全ての道立高校において実施するとともに、全道規模の成果発表会を開催することとしている。

Q花崎委員 事業は3つのプロジェクトで構成されている。STEAM教育推進プロジェクト、社会との共創推進プロジェクト、探究チャレンジプロジェクトだが、それぞれどのような内容なのか、ねらいと併せて伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 3つのプロジェクトについて。STEAM教育推進プロジェクトは、多様な個性を有する生徒の育成を支えることを目的に、学校における探究活動において、大学や企業等から専門的な人材を講師として招くほか、各教科等の学びをより探究的にするための授業改善に取り組むこととしている。

 また、社会との共創推進プロジェクトは、情報活用能力や問題発見・解決能力を育成することを目的に、希望する生徒を対象として、企業企画書の作成、提案や、地域課題の解決策を自治体に提言するなどの探究活動を実施することとしている。

 探究チャレンジプロジェクトは、高校生が取り組んだ探究活動の成果を発表、交流する機会を設定し、表現力やコミュニケーション能力の育成はもとより、主体的に学び続ける資質・能力を育成することを目的に、各管内の代表生徒による全道規模の成果発表会を開催することとしている。

Q花崎委員 道教委では、これまでもSTEAM教育について、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校で取り組まれている。

 これまでの実践の成果が今回の取組にどのように反映されているのか伺う。

A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 これまでの実践成果の反映について。SSHの指定を受けている学校では、例えば、地域の動物園における動物の行動観察や展示方法、健康管理、危機管理等の多面的な調査活動、さらに、企業や自治体、NPO等と連携した持続可能なまちづくりや北海道の交通網の維持に関する探究活動など、大学や専門機関と連携を図りながら、教科、科目の枠を越えて探究活動に取り組み、毎年、指定校の生徒が互いに成果を発表し、研究の質を高め合っている。

 これらの先進的な実践で培われた課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現といった探究のプロセスを踏まえた学びのノウハウを、教務主任等が参加する研究協議会において普及・啓発するなど、探究活動の質の向上を図るほか、探究活動の成果を広く発表、交流し、生徒が互いに学び合うことができるよう、各管内で発表会を実施し、代表として選ばれた生徒による全道成果発表会を実施することとしている。

Q花崎委員 様々なプロジェクトを通して、本事業においてどのような人材を育成しようとしているのか、また、その評価については、どのような指標によって行うのか伺う。

A鈴木学校教育監 人材育成とその評価について。本事業では、関係機関や大学等の専門機関などとの連携のもと、言語能力や情報活用能力などの学習の基盤となる資質・能力や、教科、科目等の枠を越えて身に付けた知識や技能を活用し、心豊かな生活や社会的な価値をつくり出す創造性などを育み、新たな社会をけん引し、将来の北海道を支える人材を育成することとしている。

 事業の評価に関しては、例えば、生徒が探究するために必要な基本的な知識、技能を身に付けたか、また、教員が探究の視点を踏まえた授業改善に取り組んでいるか、そして、学校が教科等横断的に資質・能力を育成する体制を構築できたかなどの指標を設定して、大学教授等の有識者を含む企画評価検討会議を開催して、事業の進捗管理、そして評価を行うとともに、その結果等を次年度の事業における実践や、各学校の探究的な学びの質の向上などに反映させていく考え。

Q花崎委員 STEAM教育を通じて、これからの予測が困難な時代に生きる子どもたちが、様々な情報を活用しながら、それを統合し、課題の発見、解決や、社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力を育むことができるよう、道教委としては、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 今後の取組について。高校教育においては、多様な生徒一人ひとりに応じた探究的な学びやSTEAM教育など、実社会での課題解決に生かしていくための教科等横断的な学びが求められており、特にSTEAM教育の充実を通して、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながら、それらを統合し、課題の発見、解決や、社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成を図っていくことが重要である。

 こうしたことから、道教委としては、学習指導要領に新たに位置付けられた、総合的な探究の時間などを通じて、関係機関や大学等の専門機関などとの連携のもと、生徒一人ひとりが主体的に実生活や実社会に関連する学習テーマを設定し、その課題解決に向けて、教科、科目などの枠を越え、探究的な学習を実施することによって、真に必要な資質・能力を育成するほか、本道はもとより、様々な地域において持続可能な社会の担い手として活躍できる人材を育む教育を推進していく。

◆高校ICT環境

Q花崎委員 4年度から、高校においては新学習指導要領が年次進行で始まる。

 道立高校における1人1台端末は、保護者負担を原則として、生徒が所有する端末を学校に持ち込む、いわゆるBYODで進めるが、BYODを導入しようと道教委が判断した理由について伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 道立高校の1人1台端末の取り扱いについて。学習指導要領において、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力の一つとして新たに位置付けられたことから、生徒一人ひとりがタブレット等のICT端末を活用し、多様な学習活動を進めることがより求められている。

 こうした中、小・中学校段階の1人1台端末は、GIGAスクール構想の国庫補助の対象とされているが、高校は制度の対象外であることや、高校教育では、教科書や電子辞書等の個人が使用する教材の経費は私費負担としていることなどから、道立高校においては、4年度の新1年生から生徒が個人所有の端末を持ち込む方法としている。

Q花崎委員 導入に向けた準備状況はどうなっているのか。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 道立高校の1人1台端末の準備状況について。道教委においては、4年度の新1年生から1人1台端末を活用した授業を円滑に行うため、端末の機種の選択方法や校内ネットワークに接続する場合の指導上の留意点などを学校に示すとともに、保護者向けのリーフレットの配布やポータルサイトなどによる情報発信を通じ、生徒や保護者への周知を進めてきたところ。

 また、道立高校においては、ICTを活用した授業を行うための校内組織を設置するとともに、1人1台端末を活用して学習することの重要性や端末の購入などの準備について、中学校訪問時の学校説明や学校のホームページへの周知資料の掲載など、様々な機会を捉えて生徒や保護者への周知を進めている。

Q花崎委員 経済的事情などで端末の購入が困難な生徒もいると思う。どのように対応するのか、また、保護者の負担軽減に向けた取組についても併せて伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 端末の購入が困難な生徒への対応について。家計が急変した世帯など、家庭の事情等がある世帯に対しては、学習用端末を貸し付けすることとしており、各学校において全ての生徒に端末が行き届くよう、4年度に向けて約1万3000台を整備したところ。

 道教委としては、保護者の負担軽減を図るため、今後、道立高校における学校徴収金の状況を把握するとともに、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが質の高い教育を受けられるよう、学校で徴収する指定物品等の見直しを図るなど、各学校に対して指導助言を行うほか、高校生等奨学給付金制度の拡充や端末等の整備に係る財政支援について、国に要望していく。

Q花崎委員 道立高校で1人1台端末を活用した学びが本格的に始まることに伴い、ICT活用に関して、様々な困り事やトラブルが生じることが予想される。道教委では、各学校に対してどのように支援するのか伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 道立高校等への支援について。道教委では、教員がICTを活用した授業を実施する際に参考となる具体的な活用例を示した授業モデルや、クラウドサービス等のマニュアル等を作成し、ポータルサイトに掲載するとともに、サポートデスクを設置し、授業における活用方法、ICT機器の操作やクラウドサービスアカウントの管理などについて、相談対応を行うなどの支援を行っている。

 今後は、より高度な操作支援やトラブル対応が必要となることが想定されることから、専門的な知識や経験を有する業者によるサポート体制を整備するとともに、トラブル対応の事例をポータルサイトに掲載するなど、道立学校のみならず、市町村立学校への支援もできるよう進めていく。

Q花崎委員 4年度は、1人1台端末を活用した学びを経験してきた中学生が初めて入学する年度となる。1人1台端末を活用した学びが本格的に始まるが、指導に当たる教員自身のICT活用指導力を向上していく必要もある。

 道教委では、教員のICT活用指導力の向上に向け、これまでどのような取組を進めてきたのか、また、今後どのような取組を行っていくのか伺う。

A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 教員のICT活用指導力の向上に係る取組について。道教委ではこれまで、各教育局や道立教育研究所などにおいて、技術面や内容面など、学校が抱えている課題解決に向けたICT活用に関する研修をオンライン形式などによって実施してきており、3年度中に延べ1万3000人を超える教職員が受講している。

 また、各学校や個々の教員のニーズに応じた研修を希望する時間で行うことができるよう、研修動画や研修資料をポータルサイトに公開するとともに、サポートデスクによる相談対応や広報誌による情報提供を行うなど、支援に努めてきたところ。

 今後も引き続き、ICTを活用した授業の質の向上につながる研修会や研修資料の充実を図るとともに、教員が授業を進める上で、指導面での適切な活用に関する不安に迅速に対応する体制を整備するなど、ICTを活用した授業改善を一層推進することができるよう支援していく。

Q花崎委員 道内の道立高校において、1人1台端末を活用して、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、道教委としては今後、どのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木学校教育監 ICTを活用した取組について。社会全体の情報化が進む中、学校教育においても、子どもたちが必要な情報や情報手段を主体的に選択、活用し、新たな価値を創造する力を身に付けることができるよう、ICTを効果的に活用した学習活動が求められている。

 道教委では、各高校において、教員と生徒が、学習活動に応じたICT機器の適切な活用を通じて、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進めることにより、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図るなど、本道の将来を担う子どもたちが豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となるために必要とする資質・能力の育成を進めていく。

◆全国高校総体

Q花崎委員 5年度の7月から8月にかけて、昭和62年以来、36年ぶりに本道で開催される予定の全国高校総合体育大会まで、1年余りとなった。

 本道でこの大会が開催されることの意義について、どのような認識を持っているのか、また、これまでどのような取組を進めてきたのか伺う。

A松井高校総体推進課長 本大会の意義とこれまでの取組について。全国高校総合体育大会、いわゆるインターハイは、国内最大規模の高校生スポーツの祭典である。

 本道での開催は、大会に参加している生徒自らの夢の実現を目指す真剣な姿を見ることや、その大会が安全・安心に運営されるよう、多くの関係者に支えてもらうことに感謝するなどの観点から、本道の児童生徒にとって大きな教育効果があると認識している。

 道教委ではこれまで、3年6月に知事を会長とした北海道実行委員会を設置するとともに、委員会の中に6つの専門部会を置き、総合開会式や高校生活動、大会開催の広報や競技種目別大会の具体的な実施計画の策定など、各部門において計画的に検討や準備を進めているところ。

Q花崎委員 総合開会式と陸上競技や水泳、登山など、29の競技で33の種目が開催される予定。

 競技種目別大会については、道内の市や町が競技の会場地となり開催していくが、競技会場地の決定状況と競技の実施に向けた準備の進捗状況はどのようになっているのか。

A松井高校総体推進課長 競技種目別大会の準備状況等について。ことし2月の北海道実行委員会において、道内で開催する28競技、32種目の競技会場として、各市町の理解を得ながら14市5町を決定したほか、カヌー競技については、道内に基準を満たす競技施設がないことから、他県での開催を3年度内に決定する予定。

 競技の円滑な実施に向けては、3年度、競技種目別大会運営基本方針や競技役員等編成基準を策定するとともに、競技運営役員の編成や大会運営費の試算など、開催に向けた調査を実施し、また、会場地市町および高体連専門部と打ち合わせを行い、競技会場および日程の確認や会場地市町実行委員会の設立準備を進めるなど、大会開催に向けて取り組んでいるところ。

Q花崎委員 大会では、競技に参加する選手のみならず、地元高校生が大会を支える観点から高校生活動に取り組むとのこと。具体的にはどのように活動を展開していく考えなのか伺う。

A松井高校総体推進課長 高校生による支援活動について。本大会は、各種目で参加する高校生が躍動する場だけではなく、道内全ての高校生が大会の成功に向け様々な取組に参画し、携わった生徒の達成感や成就感等の体験を通して、おもてなしの心を育むことや、責任ある行動の大切さなど、豊かな人間性を育成する観点からも、競技と共に重要な役割を担うものである。

 現在、道教委では、生徒が委員となって構成する高校生活動推進委員会を設置し、大会PRのためのカウントダウンイベントの企画運営、おもてなし活動として、参加者等へ配布する手作り記念品の製作、さらには、総合開会式の式典演技や会場の草花装飾などの活動を実施することとし、準備、企画を進めている。

Q花崎委員 大会開催の周知はもとより、北海道の魅力を全国に発信する絶好の機会ともなる。

 積極的な情報の発信が求められるが、今後どのような広報活動を行っていくのか伺う。

A松井高校総体推進課長 広報活動について。北海道の魅力を全国に発信することは、道内の生徒一人ひとりが郷土を愛し、これからの地域を担う意識の向上を図る観点からも大変重要であることから、道内の中高生などから募集した大会愛称やスローガン、シンボルマーク、ポスター図案から構成される総合ポスターを作成しており、今後、各都道府県や道内の学校、関係各所に送付するほか、高校生による大会PRや、公式ホームページを通じた競技会場地となる市や町のPRを行う予定。

 また、次年度早々からは、北海道公式ブログやSNSなどでの広報を開始することとしており、報道機関や関係団体、道の関係部局などの協力も得ながら、様々な広報媒体を通じて北海道での大会開催を全国に発信していく。

Q花崎委員 5年度の大会スローガン「轟かせ魂の鼓動北の大地へ大空へ」のもと、全国から集う高校生たちが、北海道の大地で存分に若さを発揮できる大会となるよう準備に当たる必要がある。今後どのように取組を進めていくのか。

A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 大会開催に向けた今後の取組について。道教委では、引き続き、大会開催に向けて、競技種目別大会の運営準備や総合開会式の企画、式典の運営準備に取り組むほか、高校生による大会PRのためのカウントダウンイベントの実施や、各種メディアへの出演などの準備を進めていく。

 本大会は、本道で36年ぶりに開催される大会であり、全道の高校、会場地となる市や町、関係機関や競技団体、関係部局とも連携協力しながらオール北海道で準備を進め、5年度のインターハイが多くの方々の記憶に残る大会となるよう、開催に向けて万全を期していく。

◆普通科の魅力化

Q花崎委員 道教委は、2月24日の文教委員会において、平成30年3月に策定したこれからの高校づくりに関する指針検証結果報告書について報告した。

 一方、国においては、3年3月に学校教育法施行規則を改正するなど、高校教育改革、特に普通科改革の推進に取り組んでいるところ。

 まず、国の普通科改革に関する制度改正の概要について伺う。

A塙企画・支援担当課長 普通科改革の概要について。国では、約7割の高校生が在籍する普通科設置校において、生徒の実態や地域の実情に応じた特色化、魅力化を推進するため、学校教育法施行規則などを改正し、学校設置者の判断によって、普通教育の中で、普通科以外の新しい学科を設置することが可能となった。

 新しい学科の設置については、現在の国際社会、国家や地域社会を取り巻く環境、高校生の多様な実態を踏まえて検討すること、また、スクールポリシーを踏まえ、各高校において、学科の特色等に応じた学校設定教科・科目を設けることとされており、具体的には、学際領域に関する学科や地域社会に関する学科のほか、スクール・ミッションに基づく、特色、魅力ある学びに重点的に取り組む学科などがある。

Q花崎委員 本道における普通科の現状と課題はどのようになっているのか。

A塙企画・支援担当課長 本道の普通科における現状と課題について。道内の公立高校の普通科には、全国と同程度の約7割の生徒が在籍し、生徒の興味・関心や地域の実情に応じた科目の開設や、習熟度別の少人数授業など、きめ細かな指導を行うとともに、地域の特性や教育資源を生かしたキャリア教育などを行っており、卒業後は、大学、短大、専門学校への進学や就職など、幅広い進路状況となっている。

 また、課題としては、多様な学習ニーズを持つ生徒が入学している状況や、アンケート結果から、中学生や保護者において、SDGsの実現や地域の課題解決に向けた取組など、現代的な諸課題に対して一定の学習ニーズがあることを踏まえて、生徒や地域の実情に応じた特色化、魅力化を図る必要があることなどが挙げられている。

Q花崎委員 ことし4月から、設置者の判断によって、学際領域に関する学科や地域社会に関する学科など、従来の普通科以外の学科が設置できるようになった。この新しい学科における教育活動の特色は何か。

A塙企画・支援担当課長 新しい学科における特色ある教育活動について。社会が加速度的に変化し、複雑で予測困難な時代の中、生徒一人ひとりが自分の良さや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、社会の持続的発展に寄与するために必要な資質・能力を身に付けることができる、多様な分野の学びに接することが重要である。

 こうしたことを踏まえ、国においては、学際領域に関する学科では、文系、理系にとらわれず、SDGsの実現やSociety5・0時代の到来に伴う現代的な諸課題に対応するための学習を、地域社会に関する学科では、地域や社会の未来を担う人材育成を図るため、地域経済や安全なまちづくりなど、地域課題に着目した実践的な学習を特色ある教育活動として例示している。

Q花崎委員 新しい学科では、関係機関等と連携協力体制を整備する必要があるとされている。それはどのような体制なのか伺う。

A櫻井高校配置担当局長 関係機関等との連携協働について。新しい学科では、国際理解や環境、地域課題といった広範で複雑な事象を取り扱うことから、教室内だけではなく、実際の現場に赴いて諸課題を目の当たりにしたり、最前線で課題解決に取り組む社会人の姿に学んだりすることが非常に重要である。

 このため、各学科の特質に応じて、関係機関等との組織的、継続的な連携協力体制を整備する必要があり、学際領域に関する学科においては、大学等の研究機関や博物館などの国の機関、JICAやユネスコなどの国際機関、地域社会に関する学科においては、高校が所在する地域の行政機関や民間企業、NPO法人など、地域の活性化に資する活動を行う団体などで構成するコンソーシアムを構築することなどが考えられるとともに、特定の教職員やコーディネーターが関係機関等との連絡調整を担うことが求められている。

Q花崎委員 こうした新しい学科の設置を検討している学校の取組を推進するため、道教委では、文部科学省の新時代に対応した高校改革推進事業を活用し、4年度予算案に普通科改革支援事業費を計上している。当該事業の予算も含め、概要について伺う。

A塙企画・支援担当課長 普通科改革支援事業について。国では、都道府県などにおける新学科設置を促進するため、4年度から6年度までの3年間、全国で24校程度を指定して、新時代に対応した高校改革推進事業を実施することとしている。道教委としては、新しい学科の設置に向け、国の事業を活用し、普通科改革支援事業として、コーディネーターの配置や地域との連携協働体制の構築、新しい学科における学校設定教科・科目の研究などに取り組むこととしている。

 本事業に関わっては、コーディネーターの配置に関わる経費のほか、コンソーシアムの構築やフィールドワーク等への取組に関わる経費など、約1300万円を4年度当初予算に計上している。

Q花崎委員 本道において、国の事業を効果的に活用しながら普通教育の中で新しい学科を設置する必要があると考える。今後のスケジュールを含め設置に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 本道における新しい学科の設置について。AIやIoTなどの急速な技術の進展によって、社会が激しく変化する中、これからの高校教育においては、高校生の学習意欲を喚起し、可能性や能力を最大限に伸ばすため、高校の特色化、魅力化を一層推進することが重要である。

 こうしたことから、道教委としては、本道においてもできるだけ早い時期に新しい学科を設置することができるよう、4年度からの普通科改革支援事業などを通じて、コミュニティ・スクールの導入やSSHの事業の実施などによって、地域や関係機関などとの連携協働の推進体制の構築に努めている高校を候補として、生徒の興味・関心や地域の実情を踏まえた学校設定教科・科目の開設や、コンソーシアムの構築などに鋭意取り組み、本道における普通科の特色化、魅力化に一層努めていく。

P花崎委員 本道においても、普通科において生徒の実態や地域の実情に応じた魅力化、特色化を図ることは急務であり、そのため、できる限り早く普通科以外の新しい学科を設置するべきと考える。

 道教委は、国の補助事業を活用して普通科改革支援事業に取り組むということだが、公募枠が24校と狭き門であり、かなり厳しい状況にあると思う。

 国の補助事業などを活用しながら、普通科における魅力化、特色化の方策を検討し、新しい学科の設置に向けた取組を推進していただきたい。

(道議会 2022-08-24付)

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