道議会質疑 一般質問(6月21日)
(道議会 2022-10-03付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼林祐作議員(自民党・道民会議)

▼安藤邦夫議員(公明党)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼鈴木一博保健福祉部少子高齢化対策監

▼中島俊明経済部長

▼北谷啓幸建設部長

▼倉本博史教育長

◆マスク着用

Q林議員 体育の授業を含めて、マスクの着用に関する留意事項がどのようになっているのか、また、これから夏が本格化することを踏まえ、子どもたちのマスクの着用と健康被害の防止について、道教委としてどのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 学校等におけるマスクの着用について。今後、気温や湿度、暑さ指数が高くなることが見込まれる中、熱中症のリスクが高まる恐れがあることを踏まえ、先般、国から、児童生徒に対して熱中症の危険性を適切に指導すること、体育の授業等の場面においては、熱中症対策を優先し、児童生徒に対してマスクを外すよう指導することなどの留意事項が示された。

 道教委としては、本留意事項を速やかに各学校や市町村教委に通知したところだが、熱中症は命に関わる重大な問題であることから、その対策について一層の徹底が重要と考えている。

 今後、熱中症による健康被害の防止を踏まえたマスクの着用に関するリーフレットを新たに作成し、各学校や市町村教委などを通して、児童生徒や保護者に配布するなど、子どもたちが学校等で安全・安心な生活を送ることができるよう努めていく。

◆児童生徒のネット利用

Q林議員 内閣府が実施した子どもたちのインターネット利用環境実態調査によると、インターネットを利用しているのは、小学生においても既に96%を超えており、子どもたちは、スマートフォンなどを通じてネット上でのコミュニケーションを常に行っているが、われわれ大人には、そのネット上で様々なトラブルが起こっていることを把握し切れていないのが現状であると考える。

 学校においては、情報モラル教育を通じて、スマートフォンなどを使った適切なネットの利用について一定程度指導しているが、世間で続いているこうしたトラブルから子どもたちを守り、また、トラブルを起こさないように指導していくのは、学校に任せ切ることができない子どもたちの保護者にとって重要な責務と考える。

 子どもたちを守っていくためにも、保護者自身がネット上でのモラルやリテラシーを十分に身に付けていることが重要であり、子どもたちがトラブルに遭った際の適切な相談窓口を事前に把握しておくことが重要である。

 道教委として、課題解決のため、こうした保護者に対し、どのような取組を進めていくのか伺う。

A倉本教育長 児童生徒のインターネット利用について。子どもたちをネットトラブルの被害者や加害者にしないためには、子どもたちはもとより、保護者の方々がインターネットやSNS等のコミュニケーションツールを適切に利用する知識や、安全に利用する意識の高揚を図るなど、ネット利用に関するモラルやリテラシーを身に付けることが重要である。

 道教委としては、全ての保護者が子どもたちのネットトラブルに関心を持ち、理解を深めていただくことができるよう、PTA連合会などと連携した学習会を開催するとともに、国の関係機関や道の関係部局、道警、さらには、プロスポーツチームと連携した保護者向けリーフレットを作成し、様々な機会を捉えて配布するほか、道教委が学校を通じて保護者に広く配布している広報誌『ほっとネット』に、ネットトラブルに対応する複数の相談窓口を掲載して周知するなど、子どもたちをネットトラブルから守る取組を進めていく。

◆産業人材育成・確保

Q安藤議員 ポストコロナにおける活力ある経済成長を目指すためには、依然として人手不足が深刻である1次産業をはじめ、建設業や介護など、幅広い業種での人材確保に積極的に対応するとともに、今後成長が期待される分野にも対応できる産業人材の育成・確保が急務である。

 今後、どのような取組を展開されようとしているのか、特に、人への投資についてどのように認識し、道外からの人材誘致も含め、どのように取り組んでいくのか伺う。

A中島経済部長 産業人材の育成・確保について。本道経済を持続的に発展させていくためには、女性や高齢者、障がい者も含む多様な人材の確保や、知識や技能の習得、向上を通じて、地域の産業を支える担い手を育成していくことが重要と認識している。

 このため、道では、道内8ヵ所のMONOテクにおいて、若年者等を対象に職業訓練を行っているほか、地域のニーズに応じて離職者や在職者などに職業訓練を実施するなど、幅広い業種に向けた産業人材の育成に取り組んでいる。

 また、東京圏からのU・I・Jターンによる新規就業を促す取組や、企業の中核を担う高度な知識、経験を有する専門人材の誘致などにも取り組んでいる。

 道としては引き続き、ニーズを踏まえた職業訓練を展開するとともに、多様な人材誘致の取組を推進するなど、様々な事業を活用しながら、未来を担う産業人材の育成・確保に取り組んでいく。

Q安藤議員 広大な本道において、社会資本整備を担う技術人材の育成・確保は極めて重要な課題である。

 不足する技術人材の育成・確保を図るため、民間企業では、将来負担することとなる奨学金の返済を一部支援することや、資格取得のための支援策など、積極的な取組を展開されているものと承知している。

 これらの実態についてどのように把握されているのか。道としても積極的に人材の育成・確保に向けた支援策を講じるべきと考える。併せて所見を伺う。

A北谷建設部長 建設産業の担い手の確保・育成について。本道の建設産業は、就業者の高齢化や若年者の入職が進まないなど、人材確保が依然として厳しい状況にあり、道では、これまで、北海道建設産業支援プランに基づき、技術者育成講習会を主催する建設業団体へ助成するほか、高校生を対象とした出前講座を行うなど、担い手の確保・育成の取組を支援してきたと。

 また、関係団体等からの聞き取りによると、一部の民間企業において、国家資格等の取得に向け、社員を専門学校へ就学させるほか、入社後の奨学金返済への支援などを行っているところもあると承知している。

 道としては、こうした各企業の様々な取組状況の詳しい実態把握に努めるとともに、関係団体の意見も伺いながら、今後とも、建設産業の担い手の確保・育成に向け、より効果的な取組を検討していく。

◆児童相談体制

Q安藤議員 児童養護施設に入所する子どもたちなどへの自立支援について、現在どのような支援が行われ、また、道として、児童福祉法改正を受けて、今後どのように取組をしようとしているのか伺う。

A鈴木保健福祉部少子高齢化対策監 施設に入所する子どもの自立支援について。道では、児童養護施設に入所していた子どもたちが進学や就職などによって退所したあと、生活が不安定なため、継続して施設で養育を要する場合については、入所措置を延長し、利用することも可能としているほか、自立支援事業により、進学、就職のための支度費や住居費、生活費の支給、コーディネーターによる支援計画の作成や就労相談など、様々な支援を行っている。

 今般の法改正では、入所措置を解除した方の実情を把握することや、自立支援に係る年齢要件の弾力化、社会的養育経験者の交流拠点の設置などが規定された。道としては、今後、国が示す制度の内容を踏まえながら、施設退所後の不安や悩みを気軽に相談でき、必要な支援を受けられる体制の整備を進め、全ての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されず、夢や希望を持って成長できるよう取り組んでいく。

Q安藤議員 児童虐待をはじめ、子どもを巡る痛ましい事件や事故が繰り返される中で、十分に対応するためにも、現行の児童相談体制について、引き続き、見直しが必要と考える。

 道として、今後、道内の児童相談体制の充実に向けてどのように取り組むのか伺う。

A鈴木知事 児童相談体制に関する取組について。道では、児童虐待に関する相談に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司を増員するとともに、市町村支援を専掌とする職員を配置し、要保護児童対策地域協議会の活動に助言を行うなど、地域の相談機能の強化に向けて取り組んでいるが、6月、道内で幼い子どもが尊い命を失う大変痛ましい事件が発生したことから、先日、振興局や児童相談所の担当職員による緊急連絡会議を開催し、関係者の誰もが当事者意識を持って地域の見守り機能を発揮し、より積極的な支援に取り組むよう指示した。

 また、市町村に対し、要支援世帯の状況や関係機関による協議会の活動状況などをあらためて確認するよう要請したほか、本年度、新たにSNSを活用した相談支援システムを導入し、初期対応を強化することとしており、今後とも、児童相談所を中心に、地域の相談機能の一層の充実を図り、市町村や関係機関と一丸となって、子どもたちが安心して過ごせる地域づくりに取り組んでいく。

◆学力向上

Q安藤議員 4年度全国学力・学習状況調査が、国語、算数・数学と、4年ぶりの実施となる理科を加えた3教科で実施された。

 子どもたちが持っている力を十分に発揮するためには、学校の授業改善はもとより、学んだことを繰り返し振り返ることで、しっかりと定着させたり、自ら進んで学ぶ意欲を高めるため、学習習慣や生活習慣をしっかりと身に付けさせたりすることが大切だが、新型コロナウイルス感染症の影響下で、学習活動にも様々な制限がある中、子どもたちの学習習慣や生活習慣の乱れが懸念される。

 道教委はことし4月、小・中学校、高校の12年間を一体的に捉えた学力向上の取組を推進するため、学力向上推進課を新設し、誰一人取り残すことのない学びの実現に努めていくと伺っている。

 道教委は、小学校から高校までを通じた学力向上の取組をどのように進めていく考えなのか。

A倉本教育長 小学校から高校までの児童生徒の学力向上について。道教委ではこれまで、各学校段階で実施する学力調査などを活用して、児童生徒の学力等の課題を把握するとともに、課題を踏まえた学力向上に関する施策等を推進してきたが、義務教育から高校教育までを一体的に捉えた取組を進めることで、一層成果が上がるものと認識している。

 こうしたことから、本年度、新たに学力向上推進課を設置して、各学校段階で実施してきた調査分析をもとに、義務教育段階と高校教育段階の共通する課題を系統的に分析し、ICTを活用した授業改善や、家庭、地域と連携した生活習慣や学習習慣の定着に資する効果的な取組を検証しながら、小学校から高校までの12年間を見通した切れ目のない学力向上の取組を進めていく。

(道議会 2022-10-03付)

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