函館市内小・中 CSの取組活発化 学校運営に大きく貢献 コーディネーターが活躍
(市町村 2023-02-08付)

CSの取組五稜郭中
五稜郭中で外国人労働者と節分の豆まきを楽しむ中学生と大学生

 【函館発】函館市内の小・中学校では、町会と連携したコミュニティ・スクール(CS)の取組が活発化している。学校と地域をつなぐ「地域コーディネーター」が外国人労働者と中学生、大学生との交流の場を設けたり、学校図書館の運営に携わったりするなど意欲的な活動を見せている。コロナ禍で子どもたちと地域住民との交流機会が希薄化する中、地域に開かれた学校を目指す上で大きな役割を担っている。

 「鬼は外、福は内と言いながらマメを投げてみましょう」―。4日、函館市立五稜郭中学校(佐々木理之校長)に中学生と道教育大学函館校の大学生、地域の水産加工会社で働く外国人労働者が集まり、節分にちなんだ行事が行われた。同大の国際交流サークル「HOME」に所属する学生と五稜郭中生が司会進行を務め、外国人に分かりやすい日本語を心がけながら福笑いや豆まきで親睦を深めた。

 ボランティアで参加した五稜郭中1年生の冨谷幸穂さんは「前回の交流が楽しくて今回も参加した。スリランカの文化などを知ることができたので、今後も参加したい」と話す。参加者のベトナム人女性も「中学生や大学生が優しく接してくれてうれしい。年齢の近い日本の人と交流する機会は意外と少ないので、とても楽しい」と笑顔を見せた。

 同校は、これまでのCS活動でJICA北海道国際協力推進員の京野宏美氏を講師に招き、地域の北浜町会員やPTAなどを対象とした防災研修を企画。町会エリアに水産加工会社があり、スリランカやベトナム等から日本に来た外国人労働者が在住していることを踏まえたもので、外国人が理解しやすい「やさしい日本語」を学び合うなど、いざというときに支え合う関係づくりを適宜考えている。

 今回の活動は五稜郭中の近隣にある同大サークルの学生が主催した。1年生の石澤祐佳さんは「学校祭で五稜郭中の学校運営協議会委員の方に声をかけていただいて実現した。学内の留学生との交流はあったが、中学生を含めた活動は初めて。委員や地域コーディネーターによる協力はとても大きい」と話す。

 五稜郭中学校区の地域コーディネーターを務めるのは北浜町会の酒井道子さん。小学校のCS活動で読み聞かせ活動にも取り組んでおり「災害があったとき、地域で助け合う関係は大切。外国人だけではなく、高齢者も多いので、交流の幅を広げてあいさつを交わせる関係にしたい」と今後の活動に意欲的な姿勢を示している。

 巴中学校(佐藤雅博校長)では、司書教諭と教員、学校司書に加え、学校運営協議会委員と地域ボランティア10人が学校図書館の運営に携わっている。放課後の午後3時半から午後6時まで図書館を開放し、本の整理などを行いながら生徒を見守っている。生徒は本の貸し出しだけではなく、宿題や受験勉強のために足を運び、図書館が新たな居場所として変化しつつある。

 巴中では、函館中部高校の生徒が夏季・冬季休業期間の年に2回、中学生に勉強を教える「学習サポート会」をCS活動の一環として例年実施。地域コーディネーターの吉村早織さんは「多くの地域住民を交えて生徒を主体とした活動を考えることでアイデアが広がる」という。

 このほか、中央小学校(西田直校長)では高齢者が児童に昔遊びを教える授業や児童の登下校見守り運動に取り組むなど、町会と連携した取組を進めている。

 函館市教委は令和元年度に全ての市立学校へCSの導入を完了。2年度からは学校と地域をつなぐパイプ役として地域コーディネーターの配置を進めており、本年度は市立学校23校で計13人のコーディネーターが複数校を兼務しながら、CS活動の企画・立案や地域との調整に携わり、児童生徒が地域住民と交流できる機会を確保している。

 コーディネーターらは「コロナ禍で活動内容の幅を広げるのが難しい」と口をそろえるが、五稜郭中の阿蘇一貴教頭は「地域コーディネーターやCS委員が行事の運営を全て行うなど学校にとって存在意義が大きい。教員の働き方改革にもつながっている」と話し、円滑な学校運営に大きな役割を果たしている。

(市町村 2023-02-08付)

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