不登校児に多様な学び提供　仮想空間　５月導入へ　アバター操作し自由に学習

（市町村 2023-02-21付）

ひろびろチョイスの図面イメージ（クリックすると拡大表示されます）

　【帯広発】帯広市教委は５月から、不登校児童生徒に多様な学びを提供するオンライン上の仮想空間「ひろびろチョイス」の導入を予定している。児童生徒は１人１台端末から場所を選ばず入退室でき、アバターを動かして学習内容を自由に選択できる。文部科学省の「出席扱い等に関する７要件」を満たすよう設計。より多くの児童生徒に社会的自立に向けた支援・指導の場を提供する。

　不登校児童生徒数が全国的に増加傾向にあり、帯広市も４年度に過去最多を記録する見込みだ。市では適応指導教室「ひろびろ」で、学習支援や体験学習の提供によって学校復帰および社会的自立への支援を講じているが、市内中心部に１ヵ所という立地の問題から、通学への課題があった。

　今回、市教委はオンライン上の仮想空間に教室を開設する「ひろびろチョイス」を導入することで、より多くの不登校児童生徒への支援につなげる。５年度予算案に４３９万円を計上し、プラットフォームの使用料に加え、会計年度任用職員１人を指導員として採用する予定。

　児童生徒はアバターを自身に見立て、オンライン上の教室に登校。入退室時は指導員と共に学習計画の確認や振り返り等を行うルールのもと、学校の授業配信やフリースクールの学び、市教育研究所のコンテンツや電子図書館など、学習内容を自由に選ぶことができる。

　地元企業と連携したオンライン見学なども想定。１人１台端末によって、自宅や適応指導教室など、場所を選ばす登校でき、ほかの児童生徒や相談員、教職員とチャットやビデオ通話で交流できる。

　また、文科省による「出席扱い等に関する７要件」を満たすよう設計し、ひろびろチョイスへの出席を学校での出席扱いとする。要件のうち、「定期的な対面指導の実施」は家庭訪問等によって対応する見通し。評価に関しては、学校・保護者・児童生徒の個別協議によって反映する。

　市教委は「人との関わりに対するハードルを下げ、居場所のない子どもを一人でも減らすための手だてになれば」と期待を寄せる。

　３月に教職員への説明、保護者への周知を行い、４月に希望者の集約および登録等を実施予定。登録手順や使用方法等を記載した手引を学校等に配布し、５月から始動する見込み。

(市町村 2023-02-21付)