遠隔指導など事業を展開 うらほろ樂舎主軸に協働体制 部活動地域移行へ 浦幌町の今
(市町村 2023-02-21付)

浦幌町部活動地域移行に向けて
CS合同研修会で地域住民や保護者が部活動の今後を話し合った

 【帯広発】全国で部活動地域移行への検討が始まる中、浦幌町では一般社団法人「十勝うらほろ樂舎」を介したスポーツ環境の整備に向けた試みが始まっている。児童生徒や保護者等のニーズに応えようと、経済産業省「未来のブカツ」実証事業受託者によるプロスポーツ指導者の遠隔指導試行などの架け橋として奔走する。事業関係者は「行政とは異なる立場でコーディネーターの役割を担う樂舎の存在は大きい」と話し、持続可能な部活動の実現に向けて期待が高まる。

 2年度に設立された十勝うらほろ樂舎は、地域、若者、企業等と協働して持続可能な地域振興に向けた各種事業を推進しており、サッカー経験のある職員が町内中学校で外部指導員を務めるなど部活動との関わりも深い。

 昨年11月、町教委が児童生徒・保護者・教職員を対象に実施したアンケート調査の結果、小学生が希望するスポーツが町内中学校の部活動にないことが判明。教職員は財源確保への不安、保護者は指導者の質に懸念を抱いていることが明らかになった。

 ことし1月の浦幌学園CS合同研修会においても、地域住民から「町全体の目標に向けて熟議ができていない」「地域移行による変化を知りたい」などの意見が上がり、部活動の現状や今後の見通しを伝える場の必要性があらためて浮き彫りになった。

◆未来のブカツ実証 事業者の協力受け

 昨年11月、経産省「未来のブカツ」ビジョン実証事業の採択事業者であるA―bank北海道とNECの協力を受け、浦幌中学校のサッカー部でプロの指導者とICTを組み合わせた新たな指導を開始した。指導者が保有するノウハウをメソッドとして搭載し、計画・実践・評価・分析等を行う指導者向けのシステム「NECスポーツ育成支援プラットフォーム」を活用するものだ。

 元プロサッカー選手でA―bank北海道代表を務める曽田雄志氏は、十勝うらほろ樂舎の理事を兼務。週に1度、リモートによる指導と直接指導を交互に実施し、専門性の高い技術指導を通して生徒の意欲向上につなげている。曽田氏は、ICTを活用した指導によって、他種目の指導にも可能性を見いだしてい

 十勝うらほろ樂舎は、地域産品を生かした商品開発や販路開拓、町から受託したふるさと納税委託業務などによって資本づくりにも力を注いでいる。今後は、これらの財源を子どもたちの豊かなスポーツ環境づくりに活用していきたい考え。

 また、スポーツによって育まれる資質・能力を地域住民や保護者に伝える既存の事業を足掛かりに、地域の部活動に対する機運醸成を図る試みに着手する。担当者は「指導環境の整備を進め、スポーツを入口に子どもの成長を地域一体で見守るような環境をつくりたい」と力を込める。

◆持続可能な部活動 具体化へ4者連携

 NECの大塚洋平マネージャーは「行政とは異なる立場でコーディネーターの役割を担う十勝うらほろ樂舎の存在は大きい」と高く評価。行政や学校、地域、家庭、企業をつなぐことで「新たな取組に挑戦しやすい環境が育まれている」とみる。

 A―bank北海道、NEC、十勝うらほろ樂舎、町教委の4者は今後、連携を一層強め、持続可能な部活動の具体化に向けてさらなる検討を進める。

(市町村 2023-02-21付)

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