恵庭市 5年度教育行政執行方針 ICT活用し学力向上 道文教大に適応指導教室
(市町村 2023-03-06付)

恵庭市岩渕隆
岩渕教育長

 恵庭市教委の岩渕隆教育長は、第1回定例市議会で5年度教育行政執行方針を説明した。1人1台端末の整備完了を踏まえ、ICT機器の効果的な活用による学習指導の充実や児童生徒の資質・能力向上を図る。不登校児童生徒対策では、道文教大学と連携して新たな適応指導教室を同大内に設置する。市読書活動推進計画が5年度末で終了することを受け、新たな計画を5年度中に策定するとした。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

【確かな学力の向上】

▼学力向上

 各学校において、全国学力・学習状況調査などの分析結果や学校の実態を踏まえて学校改善プランを作成し、学力向上に取り組んでいる。

 引き続き、学力・体力向上推進会議において、各学校の学校改善プランの取組状況を検証しながら、各学校と連携してPDCAサイクルの中で授業改革を推進し、学力の向上を図るとともに、教育課程を通して必要となる資質・能力を育成する。

 また、サマーセミナーやウインターセミナーなどの教職員研修を開催し、教職員の資質向上を図る。

▼小中連携教育

 小学校から中学校へ学校生活が円滑に接続できるよう、市小中連携教育推進委員会を設置して、小・中学校の連携教育を進めている。

 引き続き、中学校区を基本としたプロジェクト会議や、小・中学校の担当者による合同会議などを通して、児童生徒同士や教職員同士の交流の促進を図り、義務教育9年間を見通した教育を推進する。

▼特別支援教育の推進

 多様な学びの場として、通常学級や通級指導、さらには特別支援学級など、それぞれの環境整備の充実を図る。

 また、発達障がいのある児童生徒一人ひとりの障がいの状態や教育的ニーズに対応するため、特別支援教育支援員を配置し、合理的配慮の提供など特別支援教育の充実に努める。

▼学校運営協議会

 市では、地域と共にある学校づくりを目指し、市内全小・中学校で学校運営協議会を設置して、社会に開かれた教育課程の実践に努めている。

 今後も、各学校で学校経営方針の理解促進に努めるとともに、地域との協働のもと、より充実した学校運営を行う。

▼ICTなどの教育環境整備

 国のGIGAスクール構想に基づき、児童生徒用タブレットPCについて、4年度で1人1台の整備が完了した。

 今後、これまで整備してきた電子黒板などと組み合わせ、ICTなどを効果的に活用しながら、学習指導の充実を図るとともに、児童生徒の資質・能力を育成するために、ICTなどの活用を推進する。

▼学校図書館

 市内小・中学校に専任の学校司書を配置し、蔵書の整備や朝読書をはじめ、児童生徒の読書活動の支援や、電子図書館の普及に努める。

【豊かな心の育成】

▼ふるさと教育

 子どもたちが、ふるさと「えにわ」に生き、夢と志を抱き、心豊かに、たくましく成長することは、極めて重要である。

 ふるさと教育を実践するため、引き続き、各学校にふるさと教育コーディネーターを配置して、恵庭の良さを実感できるふるさと教育を推進する。

▼ヒューマン・コミュニケーション事業

 児童生徒に良好な人間関係を構築する力を高めるためのコミュニケーション力の向上を目指し、小・中学校において、体験型のヒューマン・コミュニケーション授業を継続して実施する。

▼いじめ・不登校対策

 子どもたちを取り巻く問題がさらに、複雑化・長期化している現状を踏まえ、5年度からスクールカウンセラーを1人増員して、相談時間の拡大を図り、スクールソーシャルワーカーと共にいじめや不登校、家庭での悩みの課題解決に向け取り組む。

 また、いじめ防止については、市内全小・中学校で取り組むことも大切であることから「なかよしさわやかDAY全市交流会」を継続して実施する。

▼適応指導教室

 道文教大学と連携し、新たな適応指導教室「学びの森」を大学の施設に設置するとともに、メンタルフレンド事業を充実させる。

 また、島松小学校などで試行的に開始した校内教育支援センター「ステップルーム」を島松憩の家に移し、島松・恵み野地区の不登校児童生徒の支援策として試行を継続する。

【健やかな身体の育成】

▼体力向上

 各学校において、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の分析結果を踏まえて体力向上プランを作成し、体力向上に取り組んでいる。

 引き続き、学力・体力向上推進会議において、各学校の体力向上プランの取組状況を検証するとともに、市内の総合型地域スポーツクラブなど地域の協力を得ながら、児童生徒の運動機会の確保や、運動習慣の定着に向けた取組を進める。

▼安全教育の実施

 子どもたち自身が自らを危険から守る力を育成するために、非行防止教室やCAP教育プログラムなどの自己防衛力向上事業を、各関係機関の協力を得て継続して実施するとともに、ネット社会において、子どもたちがトラブルに巻き込まれないよう講習会の開催など安全教育の推進を図る。

 また、市通学路安全プログラムに基づき、道路管理者や警察などで構成する市通学路安全推進会議と連携して、危険個所の合同点検を実施し、通学路の安全確保に努める。

▼学校給食

 小学校給食センターの蒸気ボイラーなどの改修や厨房用設備更新事業によって残菜処理システム粉砕機の更新など計画的な施設設備の整備や更新を実施するとともに、衛生管理の徹底を図り、食中毒や異物混入など、事故の未然防止に努め、安全で安心な給食の提供に努める。

【学校教育施設の整備】

▼学校教育施設の整備

 学校のバリアフリー化に向けて、恵庭小学校にエレベーターの設置工事を老朽化した外部給排水設備更新とともに行う。

 暖房機の更新については、若草小学校講堂で工事を行う。

 また、恵み野中学校講堂の屋上防水改修工事、和光小学校講堂トイレ改修を行う。

 さらに、ゼロカーボンの推進に向け、市内小・中学校の照明LED化をリース事業として進める。

【生涯学習の推進】

▼生涯学習基本計画の推進

 「次世代につなぐ“人づくり”“地域(まち)づくり”~みんなで気軽にひろげよう・いかそう・すすめよう」を基本理念に、地域コミュニティー活動や文化芸術活動などを実施する。

【子どもの体験学習の推進】

▼子どもの体験学習

 子どもの豊かな情操や人間性を育むため、子ども塾や親子ふれあい教室の開催のほか、青少年育成事業や国際交流派遣事業、通学・体験合宿など様々な子どもたちの活動を支援する。

【文化芸術活動の推進】

▼読書活動の推進

 市読書活動推進計画が、5年度末で終了することから、計画策定作業に着手している。

 読書活動推進計画は、市図書館サービス計画と市子ども読書プランを統合した計画である。

 子どもから大人までの生涯各期において読書活動に親しむことができるよう、また、社会情勢の変化に対応できるように、市民の意見を踏まえながら、図書館協議会および教育委員会において議論し、5年度内の策定に向け、作業を進める。

▼アイヌ政策推進交付金事業について

 アイヌ文化の振興およびアイヌの伝統などの普及啓発を推進するため、市内在住の中高生を対象にしたアイヌ文化マスターの育成に取り組む。

(市町村 2023-03-06付)

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