道教大附属札幌中２年次研究概要　第４回　つながり意識した単元、授業へ　“総合学習”核に具現化を

（札幌市 2023-04-11付）

【研究２年次の重点】

▼研究２年次の研究目標

▽研究目標１「各教科・領域をつなぐカリキュラム・デザインの構築」

▽研究目標２「既習と未習を意識的につなぎ合わせ、自他の思考を吟味しながら課題解決へ向かう授業の実践」

▽研究目標３「研究目標１・２による変容の質的・量的な分析と検証」

▼研究目標の具体

▽研究目標１

　研究１年次において「教師自身が教科内や教科・領域間のつながりを捉えるために、総合的な学習の時間を核としたカリキュラム・デザインの作成を意識した実践を行う」と設定した研究目標１については、その取組を本格化させるとともに、明示的な指導に結び付くような整理を進めていく必要がある。

　そこで、研究２年次においては「総合的な学習の時間」を核としたカリキュラム・デザインの構築をより一層推進することで、研究の目的の具現化を図っていく。研究１年次においては、研究の目的を踏まえて「現在の総合的な学習の時間について目標・内容等の見直しを図ること」「学習内容や思考の働かせ方などのつながりを意識した実践を行うこと」の２点に重点を置いてきた。

　特に「学習内容や思考の働かせ方などのつながりを意識した実践を行うこと」において「学習内容」に着目することは、各教科や領域とのつながりという面では希薄であり、そのつながりを捉えたとしても汎用的な力にはなり難い。

　研究２年次における重点として①各教科・領域を横断したつながりを知識や思考の働かせ方等の面から整理し、そのつながりを意識した単元構成や授業実践を試みる②現行の総合的な学習の時間の目標や内容等を、①の取組を踏まえて見直しを検討する―の２点を挙げた。

　①について、研究２年次においては「学習内容」からつながりを見出すのではなく、知識や思考の働かせ方等の側面から研究の目的に迫ることを試みる。

　ここで言う「知識」とは、個別具体的な知識だけではなく、概念化された知識、いわゆる「鍵となる概念」「統合された知識」を指す。例えば「特定の地域で盛んに栽培される作物が何か」という個別具体的な知識だけではなく「盛んに栽培される作物が何かを知るには、立地条件に着目すると良い」という概念化された知識を「汎用的で有用性の高い思考の道具」として整理することが挙げられる。

　各教科・領域における取組において、授業者自身がこのような概念化された知識の在り方を意識し、生徒が自覚的に使えるものになることをねらう。

　また、このような知識が多様なアイデアを引き出して、アイデアのレパートリーをつくることを指摘しており、知識を創造性の面から捉えたキースにおいても「つながりを捉えた基礎概念」や「連続性を持った理解」こそが「創造的な知識」であることを指摘していることからも、このような概念化された知識という側面からつながりを見出していくことの重要性を裏付けることができる。

　さらに、思考の働かせ方としては、その代表的なものに「考えるための技法」が挙げられる。比較する、分類する、関連付ける、構造化する…などの思考の働かせ方を、総合的な学習の時間を軸としてどの教科でも自在に用いることができる姿こそ、研究の目的を具現化している一つの状況であると考える。

　なお、このような考え方においては「シンキング・レンズ」と表現している。これは、各教科において特有の「見方・考え方」とは別に、教科横断的に「基本となる見方・考え方」を称したものであり、認識として極めて近いものと言える。

　②については、①の取組を進める中でその見直しを検討し、次年度からの段階的な刷新を図っていくこととする。それぞれの学年における探究課題の在り方や育むべき資質・能力に関する検討も含めつつ、生徒が将来にわたってより良く社会に参画しようとする人材として育んでいくことを念頭に置いて取組を進めていくこととする。

(札幌市 2023-04-11付)