道高校長協会総会 宮澤会長あいさつ 校長間の協働体制構築 バランス意識し4つのS推進(関係団体 2023-05-15付)
宮澤会長
9日にホテルライフォート札幌で開催された道高校長協会総会(11日付1面既報)における宮澤一会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
このような重責を担うことは身に余る光栄であるとともに、身が引き締まる思いでいっぱい。歴代会長の皆さんに倣い、様々な教育課題に対し各校長先生方の声を反映させつつ、迅速かつ丁寧に対応し、北海道教育推進のため、そして道内高校生のウェルビーイングのために全力を尽くす覚悟なので、新会員の校長45人を含め、公立私立高校全校長には、指導・鞭撻・協力を賜ることを心よりお願い申し上げる。
高校を取り巻く現状をみると、デジタル化の急速な進展、成年年齢の18歳への引き下げ、小・中学校における不登校生徒の増大、そして少子化のさらなる進行など、かつての高校教育の不易の部分は残しつつ、新たな学校教育の創造が求められる状況にある。
その期待に応えるためには、われわれ校長が時代に即した的確な学校経営を行い、適切なリーダーシップを発揮することが肝要である。
また、われわれは公立私立を問わず、1校を預かる校長としての仲間である。各学校・各支部および北海道教育の課題に対し、道高校長協会会員が心を一つにして解決を図る体制を築くことは大切であり、私自身、その実現のために誠心誠意努力する所存である。
2年前に、校長協会の協会運営の柱として「4つのS」が掲げられた。本年度も「4つのS」を継承していく考えだが、北海道の高校教育、そして協会運営を推進していく基盤として私が考える2つのキーワードをここで示す。
▼協働
生徒のより良い成長を促し、地域から真の信頼を得る学校を創造するためには、教職員の協働体制が必要不可欠。教職員個々の資質・能力を高めるとともに、質の高い教員集団が協働体制を築いて教育活動に当たることが理想である。
また、教職員の協働体制構築のためには、各学校における管理職の協働体制を教職員に示すことも大切と考える。校長は、的確な指導助言を行うことで、副校長や教頭の資質・能力を高めるとともに、副校長・教頭・事務長を大切な「同志」として意識することが肝要であり、管理職間の強い絆は学校経営・学校運営の肝になると信じる。
さらには、各校長が孤立感を感じず、安心感を持って学校経営に当たるために、校長間の太いネットワークを構築し、みんなが仲間意識を持てる協会にしていくこと。そのために、支部長を中心とした各支部の連帯意識を醸成していただくとともに、本部役員と支部長・ブロック長との緊密な連携を図ることが大切であると考える。
各学校の最高リーダーとして校長職を全うするためにも、校長間の協働体制を構築していくことは大変重要なことであり、本年度の大きな目標と考えている。
▼バランス
校長は預かる学校とその学校を取り巻く環境等全体を俯瞰することが大切であると考える。すなわち、学校経営を推進する上で、生徒、教職員、地域、保護者、外部機関などをバランス良く観察し適正に把握することで、適切な教育活動の実践や的確な危機管理につながっていく。
また、国の動向や北海道教育全体をバランス良く注視し、自校の教育活動および道高校教育全体の質の向上のために行動することも校長として大切な観点であると考える。
さらに、働き方改革推進のため、学校にワークライフバランスを浸透させることも肝要である。
そして、道教委の指導・示唆を仰ぐことと、校長協会として現場の声を道教委へ的確に意見具申を行うことの両面を、バランス良く実践していくことも大切にしたいと考えている。その試みが、各校の学校課題解決および道教委の施策等を円滑に進めると信じ、いつもバランス感覚を忘れず適切に対応していくことが私自身の使命と感じているところである。
ここで、4つのSを確認する。
▼支える
困難な課題が押し寄せ、決断に悩んだり困ったときに、ためらわず相談できる校長仲間がいることが、不安を拭い去るとともに、客観性を持って冷静かつ適切な判断につながる。コロナ禍は仲間づくりの妨げになった。今後は、対面での会議や研究協議会、教育懇談会等において、交流を深め、支え合える関係を少しでも多く築いていただきたいと思う。
また、困難が生じたときには、支部長・ブロック長にご相談いただくとともに、支部長・ブロック長においては、本部役員にも情報提供いただき、困り感を共有し、解決を共に図っていく校長協会でありたいと考えている。
▼備える
「危機管理」は校長の重要な職務である。変わりゆく社会に対応した各学校の危機管理マニュアルを随時見直すとともに、教職員・生徒・保護者・地域の状況や変容等にアンテナを高く張ることが大切。前年度、佐藤裕之前教育指導監から、校長協会会員に対し、危機や課題に直面したときの解決するポイントの話があった。それは①落としどころ、最終目標を見通すこと②校長だけではなく、管理職がチームとして機能した上で、行動・判断していくこと③校長が最後のとりでであることを自覚し、責任を取る覚悟をもってことに当たること―の3点だった。校長としての大切な心持ちを忘れず、生徒、教職員、そして学校を守ることが校長のミッションと考える。
▼攻める
われわれ校長は何か問題に直面したときに「逃げる」という選択肢はなく、攻めの姿勢で課題解決に当たることが大切と考える。
また、現場の声を道教委へ届ける際には、会員の皆さんの英知や情報を寄せていただき、文教施策要望や全道代表校長研等において、建設的かつ創造的な意見具申や要望に努めていく所存である。
さらに、本協会の柱とも言える調査研究部の活動については、多くの校長が立候補いただき「攻め」の姿勢を感じている。
委員の校長には、今の北海道教育に何が必要で、各校長にどう還元できるか、という前向きな視点で活動していただきたい。
▼育てる
昨年、学制150周年を迎えたが、前年度末出された中教審答申「令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」の最後の一節に「この150年間、教師の養成や免許に関する制度は大きく変化したが、どの時代においても、教師が公教育の要であることには変わりはない」とある。教員採用試験の倍率が低迷している今、われわれ校長も、教職の魅力を事あるごとに発信するとともに、公教育の要となる若者を一人でも多く確保する方策を道教委と共に考えることの必要性を感じている。また、前年度「未来の教頭応援プロジェクト」が立ち上がり、教頭選考受検者が前々年度に比較し増加した。今後も、管理職候補の教員に、管理職になりたいと思っていただけるよう、制度設計等を道教委に意見具申するとともに、管理職が一枚岩となり活力あふれる姿を教員の皆さんに示すことも大切と考えている。
▼結びに
ことし1月の校長協会後期研において、3月に勇退された林正憲前道高校長協会長、佐藤裕之前教育指導監、佐竹卓前函館中部高校長の3人が共通して述べられた「学校経営に大切と考えていること」、それは「対話」だった。いつも対話を欠かさない北海道高等学校長協会でありたいと切に考えるので、皆さんの理解・協力を心よりお願いする。
(関係団体 2023-05-15付)
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