道小理事研修会で森田会長 人材確保は待ったなし 国のヒアリングで意見報告
(関係団体 2023-05-15付)

道小理事研修
道小学校長会・理事研修会

 道小学校長会(森田智也会長)は9日、ホテルライフォート札幌で第1回理事研修会を開催し、各専門部の組織や年間活動計画、道教委への要望活動、9月8、9日開催の第66回道小教育研究渡島・北斗大会の運営体制などを協議した。開会あいさつで森田会長は教員の担い手確保に向けた国や他県の動向を説明し、教職員の処遇改善に向け国が行ったヒアリングへの意見を報告した。

 森田会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

▼5年度事務局構成

 事務局幹事・役員は2年度の企画研修員会での検討による組織改革によって地区幹事の人数を増やすこととしている。地区の割り当てについては、事務局研修会等の出席に当たって距離または交通機関の利便性を踏まえ6人が事務局員となる。

 また、地区選出の事務局次長は、道教委との意見交換会、各課懇談会および要望書作成の業務を主に担当する。本年度は、胆振地区から選出されている丹野靖彦校長が、この任に当たる。事務局員の総数については、27年度までは21人だったが29年度からは19人としている。地区幹事については平成27年度まで2人だったが現在は6人となっている。

▼他団体への協力派遣

 5年度は19人の事務局員で各団体へ道小の代表として会議に出席する。北海道教育の課題について、小学校の現状や改善するための意見を述べている。

▼第1回全連小常任理事会(4月19日)の会長資料

 教員の量と質の確保についてはかなり厳しい状況が語られている。東京都の例では4月に2年連続補欠の合格者も含め名簿搭載者の残りがゼロと東京都でも欠員が多数出ており、4月に正規の配置はないという状況である。

 1200人の名簿搭載予定の中に500人以上底上げして合格者を出し、さらに300人ほど補欠合格も出したのだが、何十校が教員未配置という状況である。

 東京で合格しても多くは自分の生まれ故郷に帰ってしまう数も少なくなく、自治体間で教員を取り合っても全く意味がないと続いている。「東京が思い切った処遇改善をすることによって全国の各自治体の処遇改善につながることが大事」と発言されている。

 不登校対策では文部科学省が3月31日付に送付した通知「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について」の中で、「柔軟な学級替えや転校の対応」という部分がある。大字会長の話でも「意識の高い親がそれを見て“文科省の通知に書いてあるから学級を替えてほしい”などと平気で言い出しかねないのが心配。学校として気を使わねばならない内容もある」と話している。

▼質の高い教師の確保のための教職の魅力向上についてのヒヤリング

 文部科学省が設置する「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」の論点整理案のヒヤリングが全連小に対して行われ、意見を寄せてほしいという旨の話があった。私共としても人材確保は待ったなしの最重要課題であり、現役員も紺野前会長に意見を寄せる形で意見を表明した。

 論点整理案では教師の特殊性について「個別具体の職務について、学校管理職が学校において時間外勤務として承認することが実務上できるのか」「時間外勤務を行う際に学校ごとにいわゆる36協定の締結を要することとなれば、学校管理職の大きな負担となる」「勤務時間内に効率良く職務を終えている教師、自発的に教材研究や授業準備に励み時間外在校等時間が多くなっている教師、業務改善で生み出した時間を熱意から教材研究等に充てることで結果として時間外在校等時間が減少していない教師などが相当数存在する実態をどのように考えるか」を問題提起している。

 勤務制度では、これからの教育を担う教師の職責にふさわしい処遇の在り方の検討に当たり「教師の勤務制度の見直すことや職務の特殊性等と地方公務員であることの双方を踏まえ見直すことも検討するべき」、学級編制や教職員配置については「持続可能な教職員指導体制を構築することができるよう、義務教育9年間を見通すことにも留意しつつ、より柔軟な仕組みに見直すことも検討すること」について問題提起している。

 いずれにしても、人材確保は給与と働き方改革と学級編制および義務教育そのものの在り方を問うことに全てが関連していることが分わる。時間がかかると想像がつくが、できるものは待ったなしで取り組んでいただきたいと感じる。

 以上を踏まえ、道小学校長会から教職員の処遇改善について意見した。人材不足の状態で働き方改革はあり得ないというのが第1のスタンス。さらに、専科教員は働き方を変えていくには好事例ではあるが、学級に担任がいない状況は歯がゆい状況であること。

 3つ目として「教員の仕事の特殊性について議論」とあるが、休憩時間が取れない仕事であることこそ特殊な仕事であること。4つ目として給特法の4%が少しでも大きな数字になることが求められるが、国庫負担の割合を大きくしないままでは財政の厳しい都道府県はさらに厳しい状況に向かうことが考えられ、地域格差を生まないことが必要であるという方向で全連小に提出している。

(関係団体 2023-05-15付)

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