生成ＡＩ利用へ文科省が指針　事前指導や評価視点を　長期休業課題で留意点

（国 2023-07-06付）

　文部科学省は４日、初等中等教育段階における生成ＡＩの利用に関する暫定的なガイドラインを公表した。教育現場で活用する際の基本的な考え、授業・校務での利用に向けた今後の方向性を明記。長期休業の課題として課す場合に必要な事前説明などの留意事項も示した。

　ガイドラインは６月末時点の知見をもとに学校関係者が生成ＡＩ活用の適否を判断する参考資料として作成。今後もルール作りや科学的知見の蓄積によって機動的に改訂を行う。

　生成ＡＩの利用に当たってはその多大な利便性と様々な懸念を踏まえつつ、情報活用能力育成の観点および学びに生かす重要性から、利用規約の順守や発達段階を踏まえた十分な理解を前提とした上で「教育活動の目的を達成する観点から効果的か否かで判断すべき」との考えを明記した。

　読書感想文、日記、レポートなど、長期休業の課題を課す際の留意事項も整理。自己の成果物としての応募・提出は不適切行為に該当することを十分に指導することや、自己の経験を踏まえた記述か否かを評価視点に設定することを挙げている。また、不足する観点を補うため生成ＡＩを活用する際「情報の真偽の確認」「ＡＩとのやりとりの過程を参考資料に添付」も一案として挙げている。

　生成ＡＩの校務利用に当たっては①児童生徒の指導に関わる業務②学校運営に関わる業務の支援③学校行事・部活動④外部対応―の４項目で具体的な活用方法を例示。学校で生成ＡＩを利用する際のチェックリストや、著作権保護の観点も盛り込んだ。

　永岡桂子文科大臣は４日の記者会見で、一部の学校で生成ＡＩの成果・課題を検証し、校務利用の事例共有や、教員の研修用動画の提供を行うと表明。児童生徒の情報活用能力を育成する重要性を強調し「全ての学校で情報の真偽を確かめる“ファクトチェック”の習慣付けを含め、情報活用の能力を育む教育活動を一層充実させることも並行して進めていきたい」との考えを示した。

　また、教員のリテラシー向上と業務改善を推進する観点から、校務における適切な活用を進める重要性に触れ「教師自身が新たな技術である生成ＡＩに慣れ親しみ、利便性、懸念点、賢い付き合い方を知ることは、近い将来教育活動で適切に対応する措置をつくることにつながると考えており、校務の適切な活用を進めることは大変重要」との考えを示した。

(国 2023-07-06付)