札幌市教委　子ども教育委員会会議　子の意見　大人が認める機会を　教育ビジョン、ＣＳ等テーマに

（札幌市 2023-08-16付）

札幌市教委子ども教育委員会会議

　札幌市教委は９日、市内のＳＴＶ北２条ビルで１０年ぶり２回目となる子ども教育委員会会議を開催した。現在、策定を進めている仮称・第２期教育振興基本計画に子どもの意見を反映させることを目的としたもの。市立学校の児童生徒１６人が一日子ども教育委員に任命され、札幌市教育ビジョン、コミュニティ・スクール（ＣＳ）、札幌市の文化・芸術の３つのテーマについて交流。「生徒の意見を大人に聞いてもらい、認めてもらう機会がほしい」「多様性を大切にした取組を進めたい」など、市の教育の充実に向けて様々な意見を出し合った。

　現行の教育振興基本計画が本年度で終了することに伴い、市教委は現在、第２期計画の策定に向けた検討を進めている。

　子ども教育委員会会議は、現行計画の策定時期に当たる平成２５年度以来１０年ぶりの開催。ことし４月に施行されたこども基本法の趣旨を踏まえ、子どもたちが自ら関わる政策について知り、考え、意見を表明できる場を設けることで、より一層子どもたちの意見を政策に反映させることを目指した。

　テーマは、教育振興基本計画において市の教育が目指す方向性を示す「札幌市教育ビジョン」、６年度以降の導入に向けて取組を進めていることから「コミュニティ・スクール」、現在第４期文化芸術基本計画の策定を進めていることから「札幌市の文化・芸術」の３つを設定した。

　開催に向けては、市立札幌開成中等教育学校の生徒５人が協力し、３つのテーマに関する事前解説動画を制作したほか、当日の進行と各グループのファシリテーターを担当した。

　開会あいさつに立った檜田英樹教育長は、市内全ての学校を運営するために１年で約５１０億円が必要になることを示し、子どもの数が減っている中で学びを充実させるために何をすべきかが課題となっていることを説明。それを踏まえ「こんな学校にしたい、こんなことができたらいいな、といったことについて先ほど示した数字も頭の片隅に置きながら考えてほしい」と呼びかけた。

　協議に移り、第１部ではランダムなグループで３つのテーマについて、充実に向けたアイデアを自由に出し合った。第２部ではテーマ別のグループに分かれ、第１部で出たアイデアを実現させるためにできることを話し合った。

　教育ビジョンについて話し合った児童生徒たちは「委員会活動を全学年合同でやりたい」「生徒の意見を大人に聞いてもらい、認めてもらう機会がほしい」「障がいのある子と交流したり、ＬＧＢＴＱの子が自分らしく過ごせたり、多様性を大切にした取組を進めたい」などの意見を上げた。

　ＣＳについて話し合った児童生徒からは「地域の人から、先生や自分たちが知らない話を聞きたい」「話を聞くだけはでなく、実際にやってみることが大事」などの意見が出た。

　文化・芸術について話し合った児童生徒からは「学校で文化・芸術を体験することで、家庭でも美術館やコンサートに行くなど興味のあることを深めるきっかけになる」「見たり聴いたりするだけではなく実際に体験する機会があると良い」などの発言があった。

　今後、９月１日に開催する教育振興基本計画の第３回検討会議で、今回児童生徒から出た意見を反映させた計画案を提示する予定だ。

(札幌市 2023-08-16付)