北理研札幌支部 元町北小で公開授業　粘り強さ発揮の実践紹介　植物のからだのはたらき題材に

（札幌市 2023-09-14付）

北理研札幌支部公開授業

　道小学校理科研究会（北理研、松田諭知会長）札幌支部は７日、札幌市立元町北小学校で６年研究発表部会の授業を公開した。同校の名取川潤教諭が単元「植物のからだのはたらき」の授業（児童数２３人）を担当。研究協議では、部会が掲げる“粘り強さ”という視点に立って意見を交換し、授業力向上を図った。

　同部会は、研究主題に「粘り強さの発揮がもたらす子ども一人ひとりの問題解決の充実～６年“植物のからだのはたらき”の実践を通して」を掲げている。児童たちが単元を貫く課題に対して粘り強く取り組めるよう、授業構成や仮説・検証方法を工夫し、問題解決能力を育成することを目指している。

　単元は、校内で栽培しているジャガイモやホウセンカを題材に「自然界の植物は水やりをしていないけれど、元気に育っている。植物はどのようにして成長しているのだろうか？」という疑問を出発点とした。水の通り道（５時間）と日光との関わり（３時間）を学習し、植物の多様性・共通性（４時間）について理解を深める構成。

　１２時間扱いの４時間目となった本時のめあてを「植物はどこから水を吸収するのだろうか？」と設定。植物が根や断面から水を吸収し、体全体に水を運んでいることを考えさせようと、植物に青く着色した水を吸収させ、水の運ばれ方を観察した。

　前時までに、学校の敷地内に生育する植物を観察する活動を設け、観察に用いる植物を班ごとに決定。また、水を吸収する部位として、根、葉、茎、複数ヵ所を候補に挙げ、それぞれで観察実験の方法と仮説を考えた。

　冒頭、各班が自分たちの仮説と実験方法をクラス全体で共有したあと、観察を開始。色水を入れた注射器を茎に刺した班や花弁・葉、切った茎の断面を色水に浸した班などがあった。

　根全体を色水に浸した班は、一定時間経過後、茎の断面を顕微鏡で観察。特に断面の外側が青く着色していることを全体に報告。また、新たな疑問として「いつから青くなるのか」と発言し、観察結果をもとに自分たちの考えを発展させた。

　名取川教諭は各班の観察結果を板書にまとめ、水の運ばれ方について「根から水を吸収して体全体に広げていることが分かるね」と締めくくった。

　授業後の研究協議では、参観した会員７人が意見を交流。自分の仮説と異なった結果が出た班について「同じ部位を扱う班同士で結果を共有する時間を設けるべきではないか」「実験・検証方法や仮説の妥当性を問い直す必要性がある」などの意見が上がった。

　松田会長は、粘り強さと自己調整力の相関に触れ「自分の考えを更新させる視点や手だてを今後の授業に取り入れてほしい」と助言した。

(札幌市 2023-09-14付)