札幌きくすいもとまち幼が実践発表会 力発揮する環境構成を 3~5歳児の公開保育など(札幌市 2023-11-02付)
札幌市立きくすいもとまち幼稚園(松井泰子園長)は10月24日、同園で実践発表会を開催した。研究主題「質の高い幼児教育の実現に向けて~つながる ひろがる 札幌市の幼児教育」のもと、3~5歳児の公開保育、実践発表会と研究協議を通じて、より良い幼児教育について研鑚を積んだ。
市幼児教育センターと連携した研究実践園研究事業の一環。市教委は「市立幼稚園の今後の在り方に関する方針」に基づき、5つの基本施策を展開。各区の研究実践園では、研究の副主題に基本施策と関連したテーマを設定して研究を推進している。
同園の研究主題は「質の高い幼児教育の実現に向けて~つながる ひろがる 札幌市の幼児教育」、副主題は「遊びを通した幼児期の学びとは」。研究の重点には「一人ひとりが自分の力を発揮するための環境構成と教師間の連携の在り方」を設定。コロナ禍の影響や園児数減少を受け、人と関わり学ぶ機会が減少していることから、発達過程を捉えながら年齢の枠を越えて関わり合う状況づくりについて研究している。
コロナ禍は人数制限を設けて園庭での保育のみを公開したが、この日は2年ぶりにフルオープンでの開催となった。また、従来は同園が位置する白石区内で参加者を募っていたが、今回は初の試みとして、市内全域に対象を広げた。
この日は、各区から幼稚園や保育園、小・中学校の教員、教育関係者ら47人が参加。
はじめに、3、4、5歳児の保育を公開した。
3歳児の保育では、砂場での「たんぽぽ山作り」を展開。砂に埋めた遊具を化石に見立てたり手押し車で砂や水を運搬したり、一人ひとりの興味・関心に合わせて遊ぶことを楽しんだ。砂料理を提供するレストランでは、教諭も客になりきって遊びを深めた。
4歳児のクラスでは、運動遊びを中心に活動した。9月の運動会以来、体を動かす意欲が増し、様々なアクティビティーに興味を持ったため、教諭は長縄やターザンロープなどを提示。「いち、に、さん」と飛んだ回数を数えたり「ゆっくりジャンプした方がいいよ」とアドバイスしたりと、自分の気持ちや考えを積極的に伝え合った。
5歳児たちは、架空の街「ハムハムランド」を築くため、構想を膨らませた。街に訪れる「飼い主」をもてなす方法について話し合い、友達の思いをくみ取りながら意見を出し、ごっこ遊びを進めた。目的を見失いそうになったときには、教師が軌道修正し、イメージが実現できるまで導いた。
約2時間の活動の中で、他の学年の遊びに参加したそうな園児がいたときは、教師間で意思疎通し、参加できるかを共有することを徹底。また、それぞれの遊びをネーミングすることで拠点化する工夫を施した。園児同士が遊びの拠点を自由に行き来できるようにすることによって、自己肯定感・自己有用感の醸成や異年齢交流をさらに引き出した。
参加者は「一人ひとりが自分の力を発揮し、幼児なりに学んでいる姿」「そのための環境の構成や教師の援助」の2点を中心に、活動を参観。気付いた点をワークシートに書き留めた。
保育公開後は、実践発表会。衣装のデザイン画をきっかけに始まった「アイドルごっこ」を題材に、園児の「やってみたい」という意欲を実現し、異年齢との関わり合いが活発に見られた事例を紹介した。
参加者による研究協議のあと、北翔大学教育文化学部の工藤ゆかり准教授と市教委幼児教育センターの吉本学指導主事が助言を行った。
(札幌市 2023-11-02付)
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