元校長の“学校アップデート！”　№３　学校経営方針　どう伝えるか

（札幌市 2024-03-19付）

学校経営方針の伝え方

　「さっき言ったでしょう」。

　子どもに対して使いがちな言葉ですが、１回言ったからといって、どの子にも伝わるわけではありません。校長先生は、前年度中に新年度の学校経営方針を提示しますが、１回の説明で全教職員に伝わるとは限りません。異動して来る職員には、３月中に実施する赴任予定職員事前説明会で学校経営方針を伝えるので、４月１日に校長先生が学校経営方針を伝えるのは、２回目になります。「また同じ話を繰り返すのか」と思われたら、教職員のやる気を引き出すことにはつながりません。

　４月１日の学校経営方針の説明では、１回目の説明とは異なり「どんな学校にしたいのか」「子どもにどんな力を育みたいのか」を要点を絞って語ることが大切です。人間は、インプットしたことをアウトプットすることによって理解を深めるものです。そこで、４月１日の学校経営方針を提示する場に、学年やブロックまたはランダムで構成したグループで「学校経営方針の実現に向けて、どのように力を尽くすと良いのか」を語り合う場を１５分間程度の短時間でもセットで設定します。教職員は、語ることによって自分事になり、互いの話を聞き合うことによって理解を深めます。

　学校経営方針は、職員会議の中で取り扱う議案ではないので、切り離して設定すると良いです。司会は、教頭先生です。職員会議と切り離すからこそ、語り合う場を設定しやすいです。グループごとに語り合った内容を交流する場も設定し、学校経営方針に対する理解を深めます。

　学校経営方針の中に研究主題（目指す子ども像であることが多い）が位置付いていますか？研究主題は、研究部が設定することが多いので、学校経営方針と乖離していることがあります。学校の教育目標が、開校当時から変わらず、どの学校も「知・徳・体」の子どもの姿で設定されていることが多いので、大して意識することなく「絵に描いた餅」になっていることがあります。学校の教育目標は、変更しても良いのです。ただし、教職員の意識を耕した上で変えなければ、単なる言葉遊びに終わる危険性があります。平岸西小学校では「学び・思い・仲間がつながる楽しい学校（目指す学校像）」という教育目標に変更し、重点目標を「笑顔でがんばる優しい子～“あこがれ”と“思いやり”でつながる」とし、その重点目標に迫るために「つなげて考える子（研究主題）」と「仲間のために役立つ子（特別活動で目指す子どもの姿）」という二つの実践目標（目指す子ども像）を設定しました。そして「あいさつする」「話を聞く」などの大切にしたい不易の子どもの姿は“学校の約束”として位置付けました。学校経営方針において、目指す学校像や子ども像を整理して提示することが大切です。

　そして、職員集会では、校長先生が学校経営方針を具体化するための戦略を語り続けるとともに、教職員が語り合う場を意図的に設定し、常に学校経営方針を意識した学校づくりに努めるようにします。

北原徹也　(北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)

(札幌市 2024-03-19付)