赤平市 6年度教育行政執行方針 小中9年間で学力向上 部活動地域移行へ連携深化
( 2024-04-10付)

赤平市高橋雅明
高橋教育長

 【岩見沢発】赤平市教委の高橋雅明教育長は第1回市議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。市教委と学校が連携を深め、小・中学校の9年間を見通した学力向上に効果的な教育活動の発展のため、教職員間での指導の在り方や互いに授業を見合う連絡・調整など、適切な情報交換を行い、教育課程および指導方法につながるよう検討する。

 また、部活動の地域移行について関係機関と連携を図りながら、土日の部活動の地域移行に向けて推進することを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼将来に生きて働く学びの充実

 急激に変化する社会を生き抜くために必要な資質・能力を子どもたちに育むためには、全ての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びを実現する授業改善と家庭学習習慣の定着が非常に重要と考えている。

 授業改善については、道教委の指導主事による指導訪問において、子どもたちが見通しを持って学習し、分かったことを振り返る授業スタイルを学校で統一して確立するよう指導していく。

 学習内容の定着については、家庭学習の役割が非常に大きく、家庭学習習慣を改善する必要があると考える。

 学校は、自主的な学習へ取り組ませる工夫や家庭学習を提出した子どもには、学習意欲が向上するように働きかけるとともに、家庭と連携して毎日の学習習慣の定着と時間の確保が進むよう、学級通信や懇談会等で啓発する。

 未来を生きる子どもたちには、ICTを活用する資質・能力を育むことが必要。

 そのため授業においては、一斉指導や個人学習、グループ学習等の場面においてAI学習ドリルを効果的に活用した授業改善に取り組む。

 特別支援教育・通級指導の充実について、市では、困り感を抱える子どもたちが年々増加。子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握しながら、適切な対応を図ることが特別支援教育や通級指導教室における役割として、ますます重要となっている。

 特別支援学級においては、自立や社会参加のための基本的な力を培うため、一人ひとりに応じた教科指導に加えて、困り感を克服するための指導を行っており、生活上や学習上の困難や制約を改善する適切な教育および指導を通じて、児童生徒の主体的な取組を育みたいと考えている。

 通級指導教室に通っている子どもは、通常の学級に籍を置いているため、学校生活のほとんどは通常の学級で勉強しているが、必要に応じて通級指導教室で個に応じた学習を進めている。

 通級指導教室に通っている子どもには、実態把握などを適切に行った上で特別の教育課程を編成して指導を行い、小学校と中学校が連携した指導体制を視野に入れて指導の工夫・充実に努める。

▼豊かな心と健やかな体の育成

 読書には様々な力を養う効果があり、国語だけではなく算数・数学の文章問題を数式にするなど、他の教科における学力向上に役立つ。

 また、人生における様々なトラブルを予防、課題や問題を解決に導くきっかけにもなる。小・中学校共に読書の時間を日課表に位置付け、本に親しむ機会を確保する。

 不登校および不登校傾向の児童生徒への対応について、複雑化する社会環境の中で、不登校・不登校傾向の子どもの人数が、全国的に増加傾向にあり、市においても同様の傾向が見られる。そのため、小・中学校では不登校傾向を早期に捉えるための定期的な校内会議を設け、きめ細かな対応に努める。

 いじめの未然防止について、いじめ防止基本方針を策定しており、先生が子どもの異変を感じたり、アンケートや通報および相談を受け付けた場合には、子どもに寄り添ったきめ細かな指導を迅速に行い、関係機関との連携強化に努め、いじめの早期解消を図る。

 望ましい生活リズム習慣の確立について、新しい時代を生きる子どもたちに必要な資質・能力を確実に育むためには、適切な運動、調和の取れた食事、十分な休養・睡眠を取り、計画的に学習することが大切。

 しかしながら、全国と比べて毎日の朝食を取る子どもの割合が低い等、基本的生活習慣が乱れている実態が散見している。学校では、生活リズムチェックシートに記載し、自分の生活を見直しながら家庭学習に取り組むよう指導する。

▼学びを支える教育環境の充実

 市では、希望する中学生に対して公設塾を開いている。授業は、数学・英語の2教科を開設し、自ら学ぶ中学生を支援するとともに、家庭での学習に対する意欲や関心が高まるように工夫する。

 また、英語検定に対する費用補助については、検定への挑戦を契機につぎの級へ挑戦する姿が増えるなど、一定の成果が認められることから、支援を継続する。

 小中連携による9年間の効果的指導について、市では、個別最適な学びと、協働的な学びを実現する授業スタイルや読書活動の時間の設定など、小・中学校での統一した教育活動を進めている。

 小・中学校で連携した教育活動を深化させるための小中連携会議を定期的に開催。会議においては、小・中学校教職員間での指導の在り方や互いに授業を見合うための連絡・調整など、適切な情報交流を行っており、9年間の教育課程および指導方法につながるよう検討している。

 教育委員会と学校が連携を深め、小・中学校の9年間を見通した学力向上に効果的な教育活動の発展のために努める。

 学校の働き方改革の推進について、市では、市立学校業務改善計画に基づき、校務支援システムを活用。校務支援システムでは、教員間における児童生徒の個人ファイル共有や学校や関係機関との連絡、教職員の出退勤管理等に活用している。

 学校においては、月2回以上の定時退勤日の設定や長期休業期間中における学校閉庁日の設定を行っており、教員の超過勤務の縮減に結び付くよう、教員が本来担うべき業務に専念できる環境整備の一つとして取組を進めている。

▼信頼される学校づくりと地域連携の充実

 市のコミュニティ・スクールは、全市の規模で、学校と保護者や地域の代表の皆さまが共に知恵を出し合い、意見を反映させることで、子どもたちの豊かな成長を支える組織となっている。

 小・中学校の成果と課題が明確に把握されることによって、各学校の教育活動を的確に評価できるようになり、地域の声を積極的に生かし、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めていく。

 部活動の地域移行への推進について、関係機関と連携を図りながら、土日の部活動の地域移行に向けて検討・推進する。

▼ともに学び合い豊かな心を育む社会教育の推進

 青少年の健やかな成長を支え、豊かな人間性と生きる力を育むためには、感動したり、驚いたりしながら、実際の生活や社会・自然の在り方を学ぶことが重要であるため、様々な体験活動を引き続き実施する。その中で集団活動を通じた仲間づくりと青少年リーダー育成を目的にふるさと少年教室を行っていく。

 悩み事を相談できる体制づくりに努めるほか、学校や関係機関等との連携を深め、青少年センターによる登下校の見守りや、火まつりと神社祭典における合同補導を実施。集う人と人とのつながりを大切にしながら地域住民間の絆を築き、地域コミュニティーの形成を目指す。

 図書館と読書活動について、読書は子どもの頃から始めることが必要であり、子どもの発達段階に応じて読書習慣を身に付けることが重要であることから、市子どもの読書活動推進計画に基づき、家族みんなで好きな本を読んで読んだ本について話す家読、ブックスタート事業、読み聞かせ、おたのしみ会などによって子どもたちが読書に親しむことのできる環境づくりに取り組む。

 地域学校協働本部について、本年度も学校からの要請に基づいて、地域人材による講師等を学校へ派遣することによって学校支援活動を充実する。

( 2024-04-10付)

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