由仁町 6年度教育行政執行方針 小・中普通教室に冷房 夏・冬季休業日時期見直し
( 2024-04-15付)

由仁町石井洋
由仁町教委・石井教育長

 【岩見沢発】由仁町教委の石井洋教育長は、第1回定例町議会で6年度教育行政執行方針を説明した。小・中学校の普通教室等の冷房設備工事を実施。さらに、熱中症警戒アラート等発生時の臨時休業基準の見直し、夏季休業日および冬季休業日の設定時期の見直しを進めることを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育の充実

 今求められている人材は、課題解決能力だけではなく、問題を発見し、解のない課題を解決する能力だと言われている。そのためには、主体的に学ぶこと、その習慣を身に付けさせることが重要。小・中学校とも前年度配備した大型モニターの活用やタブレット端末の持ち帰りによるデジタルドリルを用いた家庭学習など、ICTを活用して様々な取組を進める。これらの取組をサポートするために、地域おこし協力隊が担っていた「GIGAスクールサポーター」業務を本年度から民間に委託する。

 学校教育においてもSDGsを踏まえたESDの推進は重要。小・中学校において、各教科と関連付けて、環境教育、人権教育、国際理解教育などを進める。社会教育分野においてもSDGsを踏まえた学びが広がるように取り組む。

 基礎学力の向上について、全国学力・学習状況調査などの結果分析による指導の重点化はもとより、義務教育9年間を通じた系統的な指導計画の策定、専科教員の配置による指導力の向上に加えて、新たに民間事業者の知識や経験を活用しながら、試行的に放課後や長期休業期間中の学習対策を実施。また、子どもたちの主体的な学びの育成と学習意欲の向上を図るため、英語や漢字などの検定料補助を拡充する。

 小中一貫教育について、本年度は新たに中学校と同様、小学校にも2学期制を導入するとともに、小中一貫教育の推進体制を実効性のあるものに整備し直し、全教科の指導計画の作成と計画実践を行いながら、町民にも見える形で計画的に進める。

 特別支援教育について、小・中学校の情報共有による連携強化と、通級指導の充実、支援員の配置によって、個々の教育的ニーズに応じた指導や支援、教育環境の整備・充実を図り、子どもたちの能力や可能性を最大限に伸ばすための体制づくりに努める。

 いじめや不登校・児童虐待への対応について、未然防止と早期の対応が重要。いじめ等の積極的な認知と組織的な対応によって対処するとともに、いじめゼロ集会など、学校生活の中で子どもたちが主体となって取組を進め、望ましい人間関係を築く力を育めるよう努める。スクールカウンセラーや教育相談員のほか、町保健福祉課や関係機関と連携するなど、状況に応じて適切に対応する。

体力と運動習慣の向上対策について、全国体力・運動能力、運動習慣等調査に加え、新体力テストの全学年実施と結果分析による指導の重点化を図るとともに、部活動やスポーツ少年団活動への支援によって運動習慣の定着と健やかな体の育成に努める。

 子どもたちの健康維持について、町が進める由仁っ子健診やピロリ菌検査に加え、フッ化物洗口などの効果的な実施に向けて関係機関との連携を強化する。

 命を守る教育や防災教育について、子どもたち自身に危険予測や回避能力を身に付けさせるための交通安全教室や防災教室のほか、小・中学校合同の1日防災学校を実施する。

 児童生徒をネットトラブルの被害者・加害者にさせないよう、情報モラル教育の一層の充実を図るとともに、保護者への理解を促進するための情報提供や危険性を学ぶ機会づくりに努める。また、薬物乱用や性の問題、心の健康に関する教育にも充実を図る。

 真夏日や猛暑日の増加など、近年の北海道における夏の気象状況を踏まえると、空調設備をはじめとする快適な学習環境の確保が一層重要。子どもたちを熱中症の危険から守るために、小・中学校の普通教室等の冷房設備工事を実施する。さらに、熱中症警戒アラート等発生時の臨時休業基準の見直し、夏季休業日および冬季休業日の設定時期の見直しも進める。

 小学校入学後の小1プロブレムの問題を解決するために、幼保小連携が重要。認定こども園や保育園、子ども発達支援センターなど、関係機関との連携を進める。

▼グローバル化社会に対応した人材の育成

 豊かな国際感覚、異文化理解と人権意識を身に付け、国際社会で活躍できる人材を育成するために、引き続き、ネイティブのALTを2人配置。就学前から中学校まで継続的に英語に触れる機会を確保し、実践的英会話やコミュニケーション能力、異文化理解の向上に努める。中学校におけるさらなる英語の基礎学力の向上と小学生が英語に親しむ機会を増やすために、試行的に民間事業者から英語教育の専門家の派遣を受け、児童生徒へ英語の授業を実施する。

 小学校社会科副読本の全面改訂に合わせて、随時改訂ができるようにデジタル化するとともに、広く一般にも公開して、町を知るきっかけづくりにも活用する。

▼教職員の指導力向上と働き方改革の推進

 教職員の指導力向上について、校内外における研修機会の確保と自主的な研修に対して支援を行い、教職員の資質と意識の向上に努める。

 「学校における働き方改革アクションプラン」に基づき、教職員の超過勤務の削減に努める。本年度は、本アクションプランを改訂し、定時退勤日増、部活動休養日の統一など、さらに取組を進める。

▼安全・安心な地産地消による学校給食の充実

 学校給食について、食に関する正しい知識や望ましい食習慣の定着を図るため、栄養教諭による食育指導の推進や地産地消の観点から、地元産の農作物等を活用する「由仁のもの学校給食」を継続し、安全で安心な給食の提供に努める。食材等の高騰に伴い給食費を見直すとともに、学校給食の残食を減少させる取組を継続し進める。

▼大学・高校との連携の推進

 前年度に引き続き、道内外の大学、高校、企業等との連携を進め、産学官連携による学校教育、社会教育の充実を図る。将来は、由仁町を道内外の大学、高校のフィールドワーク、アクティブ・ラーニングの拠点にすべく、そのための取組を進める。

 中学校の休日部活動の地域移行については、前年度、スポーツ庁の運動部活動の地域移行等に向けた実証事業に採択され「町部活動地域移行推進協議会」を設置し、関係者で協議する場を設けた。引き続き、ニーズの把握や指導者の確保など保護者を含めた関係団体と協議し、一部競技での試行的実施や運営団体等の在り方について検討を進める。

( 2024-04-15付)

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