言語通した視野の広がり実感 札幌国際情報高 第二外国語履修 他文化理解促進に注力
(学校 2024-04-10付)

 高校では珍しい、第二外国語履修を設定する札幌国際情報高校。開校以来「グローバルシチズンとしての日本人の育成」を学校教育目標に掲げる中、国際文化科では、言語を通した他文化理解の促進に力を注ぐ。生徒たちは、体験的な学習で得た学びの大切さを肌で感じている。

 3月中旬、新生活に向けて胸を躍らせる卒業生が教室に集まった。原田明音さん、平田海人さん、松野壱晴さん、佐藤壮太郎さん、森田いちのさん、猪狩乃彩さんの6人。国際文化科での3年間を振り返ってもらった。

 同校を志望した理由は「コロナ禍だった中学時代に語学アプリで勉強して、もっと学びたいと思った」「Kポップをきっかけに韓国文化に興味を持った」などの一方で「(同校で)第二外国語を学ぶことを知らずに入学した」「部活動を頑張りたかった」など三者三様だ。

 大学入試で直接関係のない第二外国語。高校で学ぶことの大変さを尋ねると、6人は一様にうなずく。しかし、それぞれが興味を抱いたフランス語、中国語、ロシア語、ハングルを学ぶ中で「言葉を通してその国の文化を知ることができた。(第二外国語を)履修して本当に良かった」「英語を学ぶことは当たり前の時代。第二外国語を学ぶことで、より視野が広がった」などと話し、努力の末に得た学びの大きさを口にした。

 複言語教育の重要性を説く日本外国語教育推進機構(JACTFL)の調査によると、5年3月時点で英語以外の外国語科目を開設している高校は全国に682校あり、実施率は13・3%。道内をみると公立・私立32校で11・1%。高い数値を示す沖縄県や大阪府、東京都、長崎県などを除いた府県と比べても同程度の水準にある。

 同校は、卒業後の大学進学率が高い、いわゆる進学校。かつては、こうした学校で第二外国語を開設するケースは珍しい状況にあったという。

 ロシア語の指導を担当する依田幸子教諭は、高校で第二外国語を学ぶ意義を「言語を通して、世界との共通点、相違点を理解することにある」と位置付ける。このため、同校では体験的な学びの積極的な導入に力点を置く。例えば、ガレットやボルシチなどの調理体験や、留学生を迎え入れての直接交流など、あらゆる機会を通じた国際交流の場を創出しようと努めている。

 4年12月からは4言語交流共同プロジェクトを開始。本年度は、共通テーマ「私の幸せな人生に大切なもの」のもと、自己紹介にとどまらない交流活動を進め、出された考えを持ち寄って国際理解を深める活動を展開している。

 卒業生は体験を通して、異口同音に「自分たちと同じように、一人の人間として意見を持っていることが分かった」「知識を身に付けることで、偏見をなくすことができると感じた」「他者を知ることの大切さを学んだ」などと話す。国民性や歴史的背景に起因する国際問題への理解を深めるとともに、世界から見た日本を知ることにつながっている。

 交流が将来の目標に与える影響も大きい。「航空関係に進みたい」「報道の仕事に就いて、国際情勢を伝えたい」「留学して見聞を広げたい」「貧しい国を支援する仕事を通して、日本の魅力を伝えたい」と目を輝かせた。

 同校はことし、開校30年目を迎える。経済やテクノロジーの進展によってグローバル化が加速する中、揺るがない学校教育目標「世界の人々から尊敬されるグローバルシチズンとしての日本人の育成」の実現に向けた取組の深まりへ、より良い教育課程を模索する。

(学校 2024-04-10付)

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