札幌市教委　いじめ防止基本方針改定　人権侵害行為許さない　確定版 学校に送付、ＨＰでも

（札幌市 2024-04-12付）

　札幌市教委は、１０日の第８回教育委員会会議で市いじめの防止等のための基本的な方針を改定した。キッズコメントを受け、いじめ防止のビジョンの解説で「いじめという行為は、人権侵害行為で許されるものではない」に改めて強調するなど、改定案から変更を加えた。今後、確定版を各学校に送付するとともに、市ホームページで公表する予定。

　２月下旬に示した改定案では、市児童等に関する重大事態調査検討委員会がまとめた調査報告書の提言を踏まえ、学校いじめ対策組織の月１回開催の必須化と構成員の追加、いじめの見逃しや一部の教職員による抱え込みを防ぐ取組、市教委による学校の取組状況の把握と指導助言などの対応を盛り込んだ。

　また、いじめ防止のビジョンとして「学校・家庭・地域総ぐるみで、いじめは“しない・させない・許さない”を徹底」を掲げた。

　３月７日から４月５日までの１ヵ月間、改定案に対するパブリックコメント、キッズコメントを募集。パブリックコメントは１８人から５２件、キッズコメントは１１５１人から１２１９件が寄せられた。

　キッズコメントで、いじめ防止のビジョンの「許さない」の解釈について「いじめをした人を許さないのか、いじめの行為自体を許さないのか、どちらか分からない」との指摘があったことを踏まえ、ビジョンの解説の冒頭に「いじめという行為は、人権侵害行為で許されるものではない」との文言を加えた。

　また、教職員の姿として「子どもに信頼される大人になるべき」との意見を踏まえ、教職員の対応力向上の項目に「全ての教職員が“いじめは絶対に許されない”“いじめられた児童生徒や情報提供した児童生徒を守る”という姿勢を共有する」との取組を盛り込んだ。

　「相談しやすい環境とはどのようなことなのか」といった意見があったことから、いじめの早期発見に向けた取組として「信頼する大人に相談できることや、様々な相談窓口があることについて、繰り返し周知する」を追加した。

　教育委員会会議では、各委員から「方針を作って終わりではなく、どう活用していくかが大事」「子どもたちが相談しやすい環境をつくってほしい」などの意見が上がった。

　市教委は方針改定前の３月中旬、各学校のいじめ防止基本方針に加えるべき内容を事前に通知しており、多くの学校では新たな方針を反映した状態で新年度を迎えている。

◆内部完結を改め外との連携必要　秋元札幌市長

　札幌市の秋元克広市長は、１０日の定例記者会見で市いじめの防止等のための基本的な方針の改定を受けてコメントを寄せた。

　いじめの対応について「従前のように、学校の中、あるいは教員だけではなかなか解決できない問題」と認識を示し「学校や教育委員会の外との連携性についても高めていく必要がある」と強調。　　

　方針の改定に当たり「外部との連携や、教育委員会内部だけで完結していこうという考え方などについては少し改める必要があると指示をしてきた」と述べた。

(札幌市 2024-04-12付)