上磯高 1日防災学校で新たな取組 逃げ地図を考えよう 生徒と地域住民が話し合い
(学校 2024-05-23付)

上磯高校・逃げ地図ワークショップ

 【函館発】上磯高校(藤井浩之校長)は18日、同校で開かれた1日防災学校で、生徒と地域住民が対話を通して避難経路を考える「逃げ地図ワークショップ」を取り入れた。津波発生時の避難ルートや時間、逃げ込むべき目標地点を地域住民と共に考える新たな取組。防災士の資格を持つ同校の伊藤友彦教諭は「同じ地区に住んでいる人同士で避難までのプロセスを考えるリスクコミュニケーションプログラムとして効果的」と話す。

 同校は部活動の一つに「防災クラブ」を設置するなど、生徒の防災意識を高める活動を教育課程内外で推進している。前年度は災害時に学校が避難所となることを想定した学校開放講座を開催し、防災・減災に対する意識啓発を地域へ普及してきた。

 一方、これまで扱っていた避難所運営ゲーム「Doはぐ」などは学校が避難所となった際の対応が中心であったため、本年度は災害発生時に身を守る方法を考える活動に方向性を転換した。

 本年度の1日防災学校で実践した「逃げ地図」は(株)日建設計(東京)ボランティア部の有志が東日本大震災の経験をもとに明治大学、千葉大学の研究室と共に研究を重ねて開発したもの。津波が押し寄せた際、最も近い避難所までの移動時間や経路が一目で分かる地図が作成できる。

 夏と冬の2パターンを作成するため、全校生徒と教職員をはじめ地域住民や北海道大学の学生ら約70人が12グループに分かれてワークショップを行い、北斗市内各地区の逃げ地図を作成した。 

 高齢者などを基準とした3分間で移動できる平均的な距離は夏場が129㍍、冬場が103㍍。避難目標地点から3分までの最短距離は「緑」、最長距離は「黒」で、距離間3分ごとに7色で色分けを行う。参加者は高台などへの水平避難、津波避難ビルへの垂直避難について、白地図に示す目標地点までの経路を色鉛筆で記入。川沿いや陸橋などは黒で塗りつぶし「鉄道や踏切は危険」「坂道や階段を使用する道は高齢者が避難しづらいかもしれない」「車で移動するのは可能か」などと地元住民こそ知るルートを話し合った。

 ワークショップ後は各グループがプレゼンテーションを行い、気付きを共有。防災クラブの部長を務める生徒の梅本瑞生さん(3年)は「危険個所が一目で分かるため、住宅街にも危険な場所が多いことが分かった。周囲との話し合いを通して、アウトプットできる点が良い」と振り返った。

 取組を企画した伊藤教諭は「身を守るためのリスクコミュニケーションを地域住民で取り合うことで、各地区に住んでいる人から具体的な指摘が得られると思う。地域の防災・減災につながれば」と期待する。

(学校 2024-05-23付)

その他の記事( 学校)

道MA+CH指定の上ノ国高 グローカル探究を推進 社会課題テーマに外部講師招き

 【函館発】本年度、道教委の新規事業「北海道MA+CHプロジェクト」の指定を受けた上ノ国高校(吉田享平校長)は、事業と総合的な探究の時間の一体的な推進に向け、探究活動を「地域の未来を創るプロ...

(2024-05-27)  全て読む

教員向け空調人材育成セミナー エアコンも身近な教材 旭工高 企業連携し初開催

教員向け空調人材育成セミナー  【旭川発】旭川工業高校(中島泰彰校長)は15日、ダイキン工業㈱(大阪)と連携した教員向け空調人材育成セミナーを初開催した。同校の教職員3人がエアコンの据え付け作業など、空調設備に関する様々...

(2024-05-27)  全て読む

快適な通用路を整備 八雲高で建設企業のツバメ工業

八雲高校ツバメ工業通用路整備  【函館発】八雲高校(円山健一校長)で17日、八雲町内の建設企業ツバメ工業(株)(見崎久資社長)が、同校の通用路整備に取り組んだ。地域貢献活動の一環。敷地内の砂利道が整備された快適な環境に、...

(2024-05-24)  全て読む

札幌手稲高 全普通教室に 簡易冷房計48台設置 PTA・後援会が協力

札幌手稲高校クーラー設置  札幌手稲高校(久保肇校長)は18日、同校PTA・後援会の協力のもと、簡易クーラー設置作業を行った。全ての普通教室に2台ずつ計48台を設置。PTA・後援会、同校教職員が力を合わせ、生徒たちの...

(2024-05-24)  全て読む

名寄産業高家庭クラブが寄贈 最後に駅を華やかに JR名寄駅待合室に座布団

名寄産業高校、名寄駅に座布団寄贈  【旭川発】名寄産業高校(八丁正樹校長)家庭クラブは17日、JR名寄駅へ待合室のいすに使用する座布団を寄贈した。同校の前進となる旧名寄恵陵高校時代から36年続く伝統行事。本年度で閉校となる同...

(2024-05-23)  全て読む

札工高が感謝状贈呈 地崎道路道支店 出前授業等で

松原恵・札工高、地崎道路に感謝状 札幌工業高校(諸橋宏明校長)は17日、ICT施工に関する出前授業およびグラウンド整備に取り組んだ地崎道路㈱北海道支店(髙橋勝之支店長)に対する感謝状贈呈式を挙行した。諸橋校長が髙橋支店長に...

(2024-05-22)  全て読む

建設業の迫力を体感 旭川盲 重機搭乗体験会

旭川盲学校で重機搭乗体験  【旭川発】旭川盲学校(野本雅明校長)は10日、重機搭乗体験会を行った。旭川市内の建設企業㈱橋本川島コーポレーションと共同で開催する恒例行事。子どもたちは、重機の車体やタイヤなどに触れる貴重...

(2024-05-17)  全て読む

魔法のプロジェクト道内協力団体 道教委、上士幌高に ICT機器の活用を講義

 ソフトバンク㈱と東京大学先端科学技術研究センターが実施する本年度「魔法のプロジェクト」の協力団体が決まった。道内では、採択団体に道教委、準採択団体に上士幌高校が選ばれた。採択期間は来年3月...

(2024-05-15)  全て読む

上士幌町こども園ほろん 子の読書活動優秀実践校 文科大臣表彰に 国際理解教育と関連させ環境整備

上士幌町認定こども園・読書活動  【帯広発】上士幌町認定こども園ほろん(菅原優博園長)は、子どもの読書活動優秀実践校等に係る6年度文部科学大臣表彰に輝いた。蔵書や読み聞かせ活動、読書と国際理解教育をかけ合わせた活動など、子...

(2024-05-14)  全て読む

ICT施工を出前授業 札幌工高で地崎道路道支店

地崎道路札工高で出前授業  札幌工業高校(諸橋宏明校長)で4月26日、地崎道路(株)北海道支店(髙橋勝之支店長)による出前授業が行われ、土木科2年生55人がICTを活用した高精度な施工を目の当たりにした。  同校野...

(2024-05-07)  全て読む