道議会質疑 一般質問(3月5日)(道議会 2024-07-05付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼今津寬史議員(自民党・道民会議)
▼鶴間秀典議員(北海道結志会)
▼武市尚子議員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼谷内浩史総務部職員監
▼古岡昇総務部危機管理監
▼佐賀井祐一保健福祉部感染症対策監
▼倉本博史教育長
=役職等は当時=
◆防災・危機管理
Q今津議員 能登半島地震は、厳冬期に発生したものであり、積雪寒冷地である本道においても、様々な災害を想定した冬期間の防災対策は重要である。
道では6年度、厳冬期における実践的な防災訓練や宿泊演習を実施するとのこと。今後、積雪寒冷期における防災対策にどのように取り組むのか伺う。
A古岡総務部危機管理監 積雪寒冷期の防災対策について。道では、国内初のブラックアウトに至った北海道胆振東部地震の災害検証報告における、積雪寒冷期という本道の最も厳しい環境下において災害が発生した場合を想定し、防災・減災対策を推進すべきとの提言を踏まえ、市町村職員や住民などに参加していただきながら、厳冬期における大規模停電を想定した避難所環境の検証や、停電、断水を想定した避難所運営訓練などを実施してきたところ。
6年度は、能登半島地震の課題等も踏まえ、住民参加型の避難や宿泊を伴う避難所運営を内容とする道防災総合訓練を厳冬期に実施するほか、厳しい環境下における避難所生活を市町村職員等が体験し、得られた経験を地域の防災訓練などに生かしていただくため、厳冬期の避難所運営、宿泊演習を実施することとしている。
道としては、引き続き、こうした実践的な防災訓練や演習を積み重ねるなどして、道民の防災意識と地域防災力の向上に取り組んでいく。
Q今津議員 巨大地震など激甚災害発生時には、道が主体的に、関係機関や自治体間の調整を行い、広域連携を進める上で中心的な役割を果たすべきと考えるが、道の見解を伺う。
A鈴木知事 災害発生時の関係機関等との連携について。道内で大規模な災害が発生した場合、道や市町村はもとより、全ての防災関係機関が総力を結集し、道民の生命や財産を守ることが極めて重要と認識している。
このため、本道の防災行政を総合的に運営する組織として、道をはじめ、開発局や陸上自衛隊、道警、市長会、町村会など60を超える機関等から成る北海道防災会議を設置し、私が会長を務めているところ。この会議では、地域防災計画の策定のほか、地震、津波や火山噴火等を想定した防災訓練の実施など、災害対応力の強化に向けた取組を推進するとともに、災害時には、各機関がそれぞれの災害対策本部を設置し、相互に連携しながら応急対策活動を実施することとしている。
道としては、今後とも、災害が発生した場合に円滑な応急対策が実施できるよう、市町村や防災関係機関等と実践的な訓練を積み重ねるとともに、日頃から顔の見える関係を構築しながら、本道における防災対策や災害対応に万全を期していく。
◆男性職員の育休
Q鶴間議員 国では、育児手当の増額、産後パパ育休など、取組を進めている。道庁では、男性の育休について「パパの子育て応援ハンドブック」などを発行している。4年度実績で、知事部局の男性の育休取得率が47・5%、前年の23・8%から倍増させ、当時の政府目標である2025年に30%を大幅にクリアした。
道警はさらに高く、4年度で54・1%となっているが、教育委員会に関しては目標に届いておらず、教育庁等職員で26・7%、学校職員で14・6%となっている。
育休取得期間について、知事部局の女性職員で、取得期間が半年以上は90・2%、男性職員では12・1%となっている。率は上昇しているが、圧倒的に取得期間が短くなっている。
このことについて、どのように考えているのか、また、取得期間を延ばすための具体的な施策はあるのか、見解を伺う。
また、教育委員会について、男性職員の育児休業取得率が低いことについて、どのように考えているのか、また、その具体的な解決策を考えているのか、見解を伺う。
A谷内総務部職員監 道における男性職員の育児休業について。道では、北海道特定事業主行動計画に基づき、これまで、休暇や手当など子育て支援に係る各種制度の周知や、職員との面談を通じた育児計画チェックシートの作成など、育児休業の取得を奨励する取組を進めてきており、取得率は年々増加しているところ。
一方で、男性職員からは、育児休業の取得について、収入減への懸念や、親族の援助による対応が可能、業務への支障に対する不安といった声も寄せられていることから、道としては、男性が子育てを担う重要性の理解促進や、育児休業を取得することへの不安や抵抗感の解消に努め、取得率の向上や取得期間の拡大を図る必要があるものと認識している。
こうした中、道においは、昨年12月に男性職員の育児休業の数値目標を引き上げ、その達成に向けて、部局ごとの取得率を見える化し、全庁で共有することや、幹部職員が、対象職員と所属の管理職員に直接取得を呼びかけるといった取組を着実に進めるとともに、「パパの子育て応援ハンドブック」において、長期間の育児休業を取得した男性職員の体験談を紹介するなど、その内容の充実を図ることとしているところ。
道としては、こうした取組を通じて、引き続き、職員が子育てに伴う休暇や休業を安心して取得できるよう、職員一人ひとりや組織全体の意識改革、機運の醸成を図りながら、取得率の向上はもとより、取得期間の拡大に取り組んでいく。
A倉本教育長 男性職員の育児休業について。道内の公立学校および道教委事務局における男性職員の育児休業取得率は、近年、上昇傾向にはあるものの、他の部局と比較すると、依然として低い水準にある。
職員を対象に実施した子育て支援制度に関するアンケート調査の結果によると、男性職員については、育児休業の取得によって他の職員に負担をかけることに不安を感じる者の割合が高く、誰もが気兼ねなく育児休業を取得できる環境を整えることが急務と考えている。
道教委としては、現場の実情に応じた業務の削減や見直しを徹底するなど、働き方改革を着実に進めるとともに、管理職員による子育て応援宣言や子育て応援資料の配布のほか、家庭の状況やキャリアステージなどに応じた様々な好事例の普及啓発によって一層の意識改革を図るなど、全ての職員が安心して仕事と子育てを両立できる環境の整備に取り組んでいく。
Q鶴間議員 道教委の男性育児休業取得率の低さは、勤務時間や業務内容などの問題もあるが、一番の要因は、取組への考え方と姿勢であると考える。
道教委の出している道立学校「男性職員」子育て応援宣言での目標が男性職員10%と、知事部局の85%と比べ、低過ぎだ。もちろん、教育局の女性職員は100%近い取得率である。
また、宣言の中には「育児休業や育児短時間勤務の制度活用する職員の代替職員の配置に努める」とある。努めるではなく、ぜひ、配置するにしてほしいし、文字ばかりのリーフレットも見直すべきと考える。
子どもたちに社会の在り方を教えている部署として、目標を100%に設定し、相談しやすい窓口を設けるなど、取組も改めていただきたい。
A倉本教育長 国のこども未来戦略において、教育委員会に係る男性職員の育児休業取得率の目標が、7年までに50%、12年までに85%と引き上げられたことなどを踏まえて、さらに取組を加速していく必要があると考えている。
道教委としては、他部局の取組も参考に、各種資料やリーフレットの作成、配布などによって、育児に対する意識の一層の変革を図るとともに、子育て支援の相談窓口となっている本庁担当課について、あらためて職員に周知し、個々の職員の実情に即したきめ細かな支援に努めるなど、男性職員のより積極的な育児休業取得に向けた取組を強化していく。
◆通信制高校
Q鶴間議員 道教委では、高専や私立高校の定員も踏まえて、進学希望者数に見合った公立高校の定員調整を行っているが、最近、進学者数が増えている通信制高校については、定員調整を行う際の算定外と承知している。
通信制高校への進学者について、道教委としてどのように考え、現状をどのように把握しているのか、また、高校配置計画の中で今後どのように対処していくのか、見解を伺う。
A倉本教育長 通信制高校について。通信制課程は、学習時間や時期、方法等を自ら選択して自分のペースで学ぶことができるといった特徴があることから、不登校経験があるなど様々な入学動機を持つ生徒の進学先となっており、道内においても、中卒者数に占める通信制高校への進学割合が、元年度の2・3%から5年度の5・2%に増加している。
道教委では、全道19の学区ごとに、中卒者数や進路動向、私立高校等の定員などを考慮し、公立高校の定員調整を行っているが、通信制高校については、全国から生徒を受け入れていることや、地域や年度で進学状況が大きく変動することなどから、反映していない。
引き続き、通信制高校への進学者の推移や学区ごとの状況など進路動向を把握しながら、適切な高校配置に努めていく。
Q鶴間議員 現在、インターネットの普及によって、学習の仕方や子どもたちの置かれている環境も大きく変わった。
T―baseが設置されている有朋高校には3000人を超える生徒が在籍し、メディアを利用して授業を配信する遠隔授業に先進的に取り組んできた。
北海道という自然環境とネームバリューを生かし、IT人材やグローバル人材を育成できるようにしてはどうかと考えるが、所見を伺う。
A倉本教育長 IT人材等の育成について。広域通信制のN高等学校やS高等学校では、デジタル技術を活用した最先端のオンライン学習を通じて、IT・グローバル社会を生き抜く総合力を身に付けるための特色ある教育を行っていると承知している。
道教委としては、道立高校におけるIT人材やグローバル人材の育成について、IT等に関する講師によるオンライン授業の実施のほか、高校生が地球規模の諸課題の解決に向けて探究した成果を海外の高校生とオンラインで交流する機会の設定や、道内大学に在学する留学生の道立高校への派遣など、多様な価値観に触れる機会を創出しており、こうした取組を通じて、情報技術やグローバル化の進展など変化の激しい時代において、次代を担う子どもたちが、未来を切り開いていく力を身に付けることができるよう努めていく。
◆学びの多様化学校
Q鶴間議員 不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があると認められる場合、教育課程の基準によらず、特別の教育課程を編成して教育を実施することができる、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校は全国に24校あり、公立が14校、私立が10校となっている。
道内にも、星槎もみじ中学校があり、多様な教育を提供している。新たに釧路市でも設立準備を始めた。コロナの影響もあり、増え続ける不登校の子どもたちなどの学びの場となることが期待されている。
学びの多様化学校について、道教委としてしっかりとサポートすべきと考える。全道への展開も含め、見解を伺う。
A倉本教育長 不登校児童生徒の教育機会の確保などについて。学びの多様化学校は、通常の学校の教育課程より総授業時数を削減するなど、特別な教育課程を編成し教育する学校であり、国の調査研究において、児童生徒の実態に即した柔軟な指導、支援等によって、基礎学力の定着や社会性の育成、自己肯定感の向上などの効果があるとされている。
道教委ではこれまで、道内外の学びの多様化学校の特色ある教育課程や教育実践等を調査研究し、その内容を各市町村教委に提供してきたほか「HOKKAIDO不登校対策プラン」にも設置の促進を掲げており、今後、市町村教委からの設置に向けた相談への対応や、市町村間の連絡調整などを積極的に行い、学びの多様化学校のさらなる設置が進むよう取り組んでいく。
◆普通科改革
Q鶴間議員 国の普通科改革をもとに、6年度から、釧路湖陵高校では、文理探究科、理数探究科という新しい学科のチャレンジが始まろうとしている。
特に、普通科新学科である文理探究科について、道教委として、どのような考えのもと、設置したのか、具体的に、これまでの普通科との違い、どのような学びを生徒に提供するのか、どういった支援を考えているのか、見解を伺う。
また、今後、普通科新学科を全道に広げていくべきと考えるが、道教委の考え方や方向性についても示していただきたい。
A倉本教育長 道立高校の普通科における新たな学科について。3年の国の制度改正を踏まえて、道教委では、生徒や地域の実情に応じた特色、魅力ある教育を推進する観点から、本年度の高校配置計画において、釧路湖陵高に、最先端の学びに重点的に取り組む学科として、文理探究科を設置することとした。
釧路湖陵高では、産業界等と連携し、SDGsの実現など、現代的な諸課題に対応する探究的な学びを推進するための科目を学校の独自科目として設置することとしており、道教委は、学校のカリキュラム開発等に助言するなどの支援をしている。
道教委としては、新学科における探究的な学びの推進は、生徒が社会の持続的発展に寄与するために必要な資質・能力を育成する上で意義あるものと考えており、今後、生徒の実態や地域の実情、本道の地域バランスなどを考慮しながら、普通科新学科のさらなる拡充を検討していく。
◆地学協働
Q鶴間議員 北海道CLASSプロジェクトでは、地学協働の取組の流れを受け、高校が地域の企業や団体、教育機関などと協力関係を築き、応援していただくような仕組みをつくる地域コーディネーターが3年間限定で配置されている。ただ、この地域とコーディネートしていく役割は期間終了後も求められるもので、終了後も人的、予算的な継続支援がなければ、せっかくつくった地域との連携の形が消えてしまったり、引き継いだ教員に負担がかかってしまう。
事業終了後も地域との連携を続けていくため、必要な予算措置や体制整備をすべきと考えるが、見解を伺う。
A倉本教育長 地域と学校の連携体制について。3年度から5年度まで実施している北海道CLASSプロジェクトでは、指定校が地域の企業や団体などとの協力関係を築くための地域コーディネーターを配置し、地学協働の取組を進め、高校生の地域への貢献意識や自己肯定感が高まるといった一定の成果を上げてきているところ。
こうした中、道教委では、これまでの取組において、学校全体と市町村教委の連携強化の必要性といった課題を踏まえて、6年度から、全道14管内の指定校に地学協働コーディネーターを配置し、市町村教委と協力して地域の人材育成を進めることとしており、地学協働コーディネーターの配置期間終了後も、地学協働による学習活動ができるよう、市町村教委などの関係機関と連携協働する体制整備に取り組んでいく。
◆部活動地域移行
Q武市議員 学校の文化部活動は、少子化の中、学校だけでは支えられなくなってきており、今後は、学校単位から地域単位での活動に積極的に変えていくことによって、将来にわたって子どもたちが文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保する必要がある。
このような中、道内中学生の文化的創造活動の向上と充実を図り、文化活動の健全な振興と発展を図ることを目的として、NPO法人北海道中学校文化連盟が発足したと承知している。
文化部活動の地域移行に関する現状や課題、今後の取組について伺う。
A倉本教育長 中学生などの文化芸術活動について。文化部活動の地域移行に向けては、単に部活動を学校から切り離すということではなく、子どもたちの望ましい成長を保障できるよう、地域の持続可能で多様な文化芸術などに親しむ環境を一体的に整備し、地域全体で子どもたちの体験機会を確保することが必要である。
こうした中、道内の一部の市町村においては、部活動の地域移行の一環として、大学と連携をし、大学生がICTを活用して吹奏楽の指導に当たる取組や、拠点校方式によって複数校が合同で茶道の部活動を行うなど独自の取組が進められているが、小規模の自治体をはじめ、多くの市町村において、指導者の確保などが困難な状況となっている。
このため、道教委としては、教育局のサポートチームやアドバイザーによる助言、指導者の人材バンクの整備、道内外の先進事例の提供などを通じ、地域移行に向けた課題解決や市町村の取組の支援に努め、本道の子どもたちが、文化芸術に継続的に親しむことができる環境の整備を図っていく。
◆医ケア児支援
Q武市議員 6年度、道教委では、特別支援学校における医療的ケア実施のための外部委託検証事業を実施するとのことであり、大きな期待をしているところ。
医療的ケア児支援法では、学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校に在籍する医療的ケア児に対し、適切な支援を行う責務を有するとあり、こうしたことからも、道教委が実施する予定の検証事業を通じて、成果と課題はもとより、課題の解決方法も併せて把握し、法の趣旨を踏まえた医療的ケア児への支援を速やかに展開していくことが必要と考える。
この検証事業を含め、医療的ケア児への教育がさらに充実するよう、教育環境の整備にどのように取り組む考えなのか、見解を伺う。
A倉本教育長 医療的ケア児の支援について。これまで、道教委では、医療的ケア児が在籍する全ての道立学校に看護師の配置を進めてきたほか、3年施行の医療的ケア児支援法に基づき、医療的ケアの実施手続の迅速化など、保護者負担の軽減を図るとともに、法の趣旨を踏まえて各種対応を講じるよう市町村に通知し、各地域で支援体制の整備が図られるよう努めてきた。
このたびの予算案においては、道立特別支援学校での医療的ケア児の在校時における支援のほか、通学時や、校外学習における夜間の支援について、訪問介護事業所等に外部委託した場合の体制整備の在り方などを検証することとしており、こうした検証を通じて明らかとなる課題とその改善策を整理するなどして、医療的ケア児の教育的ニーズに応じた支援の充実や、その家族の一層の負担軽減が図られるよう取り組んでいく。
◆特別支援教育
Q武市議員 平成25年に障害者差別解消法が制定され、一昨年には障害者権利条約の国連勧告がなされたこともあり、教育現場においても、様々な障がいや特性を持つ子どもたちに対して求められる配慮は日々変化している。
法の趣旨を踏まえると、特別支援教育の対象となる子どもの学びの場については、まずは、通常学級の中で分かりやすい授業の工夫を行うことや、ICTを含む合理的配慮の提供などによって十分に学べるのかを検討することなどが考えられる。
また、一度決まった学びの場は固定されるものではなく、子どもの発達の段階や障がいの状態等を踏まえ、柔軟に見直すことが重要と考える。
学びの場の見直し、変更に当たっては、まずは、各学校の中で、一人ひとりの子どもがどのような支援を必要としているか、通常の学級、通級による指導、特別支援学級のどこの場で学ぶことが適切かなどについて、先生方で十分話し合い、検討する、いわゆる校内委員会の場が重要と考える。
各学校において、子どもが必要とする支援の内容や学びの場についての検討を充実させていくための今後の取組について伺う。
A倉本教育長 特別支援教育の充実について。各学校においては、どの学級にも特別な教育的支援を必要とする児童生徒がいることを前提に、校内委員会を設置し、学校全体で支援を必要とする児童生徒の状況を把握し、情報の共有を図ることが求められている。
道教委ではこれまで、全ての教員の専門性向上に向け、特別支援教育に関する校内研修や授業づくりの事例を収集し、道内の小・中学校等に広く周知している。
さらに、令和5年度からは、管理職向け研修会の実施や指導資料の発行などによって、管理職が特別支援教育を学校運営の柱として位置付け、校内支援体制を充実していけるよう支援してきた。
今後、学級担任等による子どもについての気づきを校内委員会等で共有し、児童生徒一人ひとりに応じた支援内容を検討することなど、これまで以上に子どもたちに寄り添う教育が推進されるよう、各学校における校内委員会の機能強化や全校的な支援体制の確立に向けて取り組んでいく。
◆人権教育
Q武市議員 ハンセン病問題は、過去90年もの長い期間にわたって、ハンセン病に罹患した方を、療養の名のもと、療養所に隔離、収容するとともに、社会全体にハンセン病に対する誤った偏見、差別の意識を植え付けたという、人権を全く無視した強制隔離政策によって奪われた関係者の方々の名誉回復と将来に向け、教訓をどのように受け継いでいくかという問題である。
次期北海道感染症予防計画では、「感染症に関する啓発および知識の普及並びに感染症の患者等の人権の尊重に関する事項」が盛り込まれているが、道は、具体的にどのように取り組んでいく予定なのか伺う。
A佐賀井保健福祉部感染症対策監 感染症患者の人権の尊重等について。感染症法は、ハンセン病、エイズ等の感染症患者やその家族等へのいわれのない差別や偏見が存在したという事実を教訓として、今後に生かすことをその理念として制定されており、道が策定するつぎの感染症予防計画においても、そうした法の理念のもと、感染症の予防と患者等の人権尊重の両立を図ることを基本としているところ。
具体的には、感染症に係る正しい知識はもとより、患者の方々等の人権の尊重に関する基本的な考え方の普及に加えて、適切な医療機関等への助言や報道機関との連携などの方策を盛り込むこととしており、今後とも、こうした計画のもとに、種々の取組を着実に進め、医療関係団体や市町村とも協力しながら、患者一人ひとりの意思や人権を尊重するという姿勢に立ち、良質かつ適切な医療を受け、安心して社会生活を続けられる環境の整備に努めていく。
Q武市議員 差別や偏見、いじめの解消といった観点からは、学校における人権教育も大変重要である。
学校現場ではハンセン病についてどのような教育が行われているのか、これまでの取組と今後の方向性について伺う。
A倉本教育長 人権教育について。高校学習指導要領では、「公民科」において、各人の意見や利害を公平・公正に調整することなどを通して、人間の尊厳と平等、協働の利益と社会の安定性の確保を共に図るよう指導することとされており、各学校では、「公共」や「政治経済」などでハンセン病問題も題材としながら、社会の様々な分野における差別撤廃の努力について指導している。
また、一部の高校では、ハンセン病にまつわる偏見、差別など人権問題の歴史を風化させないための、道主催のハンセン病青少年セミナーを通じて、思いやりのある心を育む取組を進めている。
道教委では、こうした人権問題に関する取組を継続するほか、毎年度、作成している教育課程編成・実施の手引に、差別撤廃に関する事例を掲載するなどして、多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生を実現する人権教育を推進していく。
Q武市議員 ハンセン病問題に対し、今後、道としてどのように取り組んでいくのか、知事の決意を伺う。
A鈴木知事 ハンセン病に係る道の取組について。道では、これまでたどってきた誤ったハンセン病対策を教訓に、全ての人たちが偏見や差別のない平等な社会の実現を目指すことができるよう、道内出身の元患者が入所される療養所へ、毎年、慰問や見舞金の贈呈を行うとともに、パネル展を開催するなど、道民のハンセン病に関する正しい知識の普及啓発に努めてきたところ。
こうした中、ことし5月、道内初のハンセン病市民学会全国交流集会が開催されたところであり、今後も、この問題が風化することなく、後世まで正しく語り継がれていくよう、道としても、次世代を担う高校生対象の教育セミナーの実施や講演会の開催など、引き続き、関係団体とも連携をしながら、道民へのハンセン病に関する理解の増進と正しい知識の普及啓発に努めていく。
(道議会 2024-07-05付)
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