道議会質疑 一般質問(3月5日)(道議会 2024-07-11付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼森成之議員(公明党)
▼髙田真次議員(自民党・道民会議)
▼鈴木一磨議員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼山本倫彦総務部長兼北方領土対策本部長
▼野澤めぐみ保健福祉部子ども応援社会推進監
▼中島俊明経済部長
▼倉本博史教育長
=役職等は当時=
◆子ども施策
Q森議員 道は、知事の2期目の公約として、社会全体で子どもを育み、結婚・妊娠・出産・子育て支援を充実し、子ども応援社会の実現を目指すと表明されており、こうした社会を実現させるためには、多くの道民の理解をいただきながら、子ども・子育てを応援する社会的な機運の醸成を図っていくことが必要と考える。
取組を推進するに当たっては、こども基本法に基づき、子どもや若者から意見を聞き、その意見を施策に反映させていくことが重要と考える。
道として今後、どのように、子どもや若者の意見を聞き、社会的な機運の醸成を進めていくのか、知事の所見を伺う。
A鈴木知事 子ども施策の推進について。道では、妊娠中の方や子ども連れの方の優先案内のほか、ベビーカーの運搬のお手伝いなどを行うこどもファスト・トラックを全ての道立施設で実施するほか、私が、こどもまんなか応援サポーターへの就任を宣言するなどして、子どもや子育て世帯を社会全体で支える機運の醸成に取り組んできた。
こうした中、応援サポーターについては、本道の三つのプロスポーツ団体を皮切りに、現在、40の企業に宣言をいただいており、子ども・子育てに優しい社会の輪が広がりつつある。
また、道民の機運醸成のためにデザインした北海道妊婦・子育て世帯優先マークの愛称について、800を超える応募をいただく中、小学生のお子さんが考えた「こもりん」に決定したところ。
道としては、今後とも、こどもまんなかの主役である子どもたちの意見を道政に取り入れながら、機運の醸成を図り、オール北海道で子ども応援社会の実現を目指していく。
Q森議員 国では、こども誰でも通園制度の2025年度からの制度化に向けて、試行的事業の実施などを通じて検討を重ねていくものと承知している。道として、今後の本格実施に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。
A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 新たな通園制度について。国では、未就園児やその家族の支援を強化するため、保護者の就労要件を問わずに保育を利用できる制度として、こども誰でも通園制度を創設することとし、令和6年度の試行的事業については、5年度のモデル事業を拡大し、道内6市町で実施されるところ。
7年度からの制度化に向けては、これら試行的事業の結果などを踏まえ、国においてさらに検討が進められるものと承知している。道としては、こうした動きを踏まえつつ、モデル事業や試行的事業を実施する市町の取組を他の市町村に情報提供するとともに、把握した課題の改善について、全国知事会とも連携しながら国に要望するなどして、道内全ての市町村において、制度の実施に向けた体制整備が円滑に進むよう取り組んでいく。
◆海外留学
Q森議員 情報技術の革新や交通網の発達に伴い、国や地域の隔たりがなくなり、世界中で社会的、経済的に影響し合うグローバル化の流れが加速している。
日本人としてのアイデンティティーを持ちつつ、グローバルな活躍をするための資質・能力の育成が求められており、より若年段階からの国際的な交流活動の推進、外国人留学生の受入れ環境などを図っていく必要があるものと考える。
こうした状況を踏まえ、多くの高校生が海外へ羽ばたけるよう、グローバル人材育成の機運を醸成しながら、留学を目指す生徒の増加および留学の促進に向けた取組を行うことが重要と考えるが、所見を伺う。
A倉本教育長 海外留学に向けた取組について。グローバル化が進展する中、多文化共生社会の実現に向け、高校生が異文化交流や多様な価値観に触れる機会を創出することは重要であり、留学は、国際的視野を養い、国際人としての自覚を深める貴重な機会になるとともに、わが国をより深く理解する契機にもなるものと考えている。
このため、道教委では、海外交流に向け、生徒の意欲向上を図るため、高校生が地球規模の諸課題の解決に向けて探究した成果を海外の高校生とオンラインで交流する機会や、道内大学の留学生や、留学経験のある大学生と交流する機会を設けている。
海外留学については、姉妹提携や、教育分野における協力に関する覚書を締結しているカナダ・アルバータ州、アメリカ・ハワイ州、ニュージーランド、中国北京市、オーストラリア・タスマニア州との交流を継続するとともに、アルバータ州への派遣生徒数を増やすなどして、国際的な視野を持ち、主体的に行動できるグローバル人材の育成を図っていく。
◆ICT支援員
Q森議員 高校において、GIGAスクール構想で整備されたICT環境のもと、4年度の入学生から1人1台端末の活用が始まり、間もなく2年が経過するところ。6年度からは、3学年全ての生徒による活用が始まり、この間、学校では、ICTを活用した授業改善や校務の効率化が進められているが、学校によって取組状況に差が生じているという指摘もされている。
教員がICTを効果的に活用し、生徒の学びの質を高める授業や校務の効率化を一層進めるためには、ICTに関する幅広い専門的な知識を有するICT支援員などの外部人材を効果的に活用することが必要と考える。
道教委においては、道立学校の現状をどのように認識し、道立学校ICT支援員を活用したDX推進事業の実施によって、どのように道立学校における学校DXを推進していくのか伺う。
A倉本教育長 道立学校におけるICT支援員の活用について。各道立学校では、ICT端末の活用に関する事例などを紹介する国の特設ウェブサイトや、道教委のポータルサイトを参考にしながら、1人1台端末の活用に取り組んでいるものの、授業における教員のICT活用指導力や、校務でのICTの効率的な活用の程度は、学校によって異なる状況にある。
これまで、道教委では、本道の広域性を踏まえ、道立学校への支援のため、ヘルプデスクを設置して対応するとともに、道教委職員が、直接、学校に出向いて問題解決を図ってきたところ。
このたびの予算案においては、6年度からの新たな事業として、ICTの知見とノウハウを有する支援員を道立学校に派遣し、端末等を活用した授業改善や校務効率化などに関する技術提案や指導助言、いわゆるコンサルティングを行うことによって、児童生徒の情報活用能力の育成や、業務改善による教職員の多忙感の軽減など、各学校においてICTを活用した様々な実践が展開されるよう、教育のさらなる情報化に向け、ICT環境の充実を図っていく。
◆近代美術館
Q森議員 著しく老朽化が進んでいる道立近代美術館等への対応をはじめ、知事公館・近代美術館エリアを本道を代表する文化芸術空間として、魅力向上に向け、積極的に取り組むべきと考える。今後どのような取組をされようとしているのか、知事および教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 知事公館・近代美術館エリアについて。このエリア一帯は、長い歴史の中で築き上げられてきた大変魅力のある場所であることから、この貴重な道民の皆さんの財産を確実につぎの世代に引き継いでいく必要があるものと認識している。
道では、リニューアルに向けた検討を進めている近代美術館も含め、このエリアをより魅力ある文化、芸術、歴史の発信拠点として活用を図るため、道教委と連携して、近代美術館等の整備方法に係る技術的検討調査を実施しているほか、札幌市をはじめ、道内主要都市における説明会などの開催や、ウェブアンケートを通じて、道民などから意見を伺ってきたところ。
道としては、これらの意見なども参考としながら、エリア全体の目指す姿や、この実現に必要な機能の配置等の検討を進め、6年度にも総合的な活用構想を策定できるよう取り組んでいく。
A倉本教育長 道立近代美術館の在り方などについて。近代美術館は、これまでも本道の美術文化の中核としての役割を担ってきているが、開館から46年が経過し、施設設備の老朽化などの課題が顕在化している。
このため、道教委では、今後の近代美術館の在り方について、近代美術館リニューアル基本構想の中間報告を昨年7月に取りまとめ、その目指す姿や施設整備の基本的な考え方などを整理した。
道教委としては、隣接する知事公館エリアと一帯で、これまで以上に魅力あふれる文化、芸術、歴史の発信拠点として活用するため、知事部局と連携し、道民の意見を伺いながら、エリア全体の目指す姿やその実現に必要な機能などについて丁寧に検討を進め、6年度にも総合的な活用構想を策定できるよう取り組んでいく。
◆縄文世界遺産
Q髙田議員 世界遺産登録から3年を迎える6年度において、縄文遺跡群として、各構成資産を所管する自治体が、世界遺産としての希少性、重要性を最大限に活用する取組について、道としてどのように推進、支援していくのか、知事の見解を伺う。
A鈴木知事 縄文世界遺産の活用について。登録から2年が経ち、国内外からの人の流れが増加する中、縄文世界遺産の普及啓発については、シンポジウムや体験学習会の実施など、道や各市町の取組に加え、民間団体が中心となってイベントが開催され、それらに多くの方々が訪れるなど、動きが活発化してきているところ。
こうした中、道では、6年度、関係団体などと連携して登録3周年を記念したイベントを開催し、遺産の価値と魅力を広く発信するほか、ガイド交流・研修会の開催や、各構成資産等において遺産の価値を多言語で伝える音声ガイドの作成、教育旅行、観光旅行の誘致など、受け入れ体制の強化や周遊促進に取り組むこととしている。
道としては、引き続き、官民連携プラットフォームの活用などによって、関係市町などと緊密に連携し、道内の縄文遺跡群としての一体的なプロモーションを行い、発信力を強化していくなど、多くの方々が遺跡を訪れ、地域のにぎわいの創出につながるように取り組んでいく。
◆廃校舎利活用
Q髙田議員 道教委では、道立学校が廃校となった際に、基本的にどのような手順で廃校舎の利活用を進めており、旧伊達緑丘高校についてはどのように利活用を模索しているか伺う。
地域住民の避難、発災時の支援者の宿舎としての活用など、即時性を求められる場合を含め、跡利用を行うに当たっては、廃校舎が利活用されるまでの間の施設の維持管理は極めて重要と考える。
今後どのように取り組んでいくのか、道教委の見解を伺う。
A倉本教育長 廃校舎の利活用について。道立学校が廃校となった際には、道や市町村における利活用を検討し、その見込みがない場合、学校法人や企業など民間事業者に購入希望を募っている。
旧伊達緑丘高については、現時点で、道および伊達市の活用予定がないことから、道教委ホームページによる民間事業者への周知のほか、文部科学省主催の廃校活用推進イベントに参加するなどして、廃校舎の活用をPRしている。
道教委としては、基本的に、公共目的や公益目的のために活用されることが望ましいと考えており、今後も、知事部局や地元市町村とも緊密に連携し、地域の活性化や防災の拠点としての活用など様々なニーズの把握に努めるとともに、活用策が決まるまでの間、適切に維持管理しながら、廃校舎の利活用を図っていく。
◆財政調整基金
Q鈴木議員 ゼロカーボン北海道推進基金の創設のため、5年第2回定例会で、100億円の積み立て財源として財政調整基金を活用して一般財源が充当された。
6年度当初予算において、財政調整基金は134億円取り崩され、6年度末の残高見込みは230億円だが、6年度の実質公債費比率も19・1%となる上、道債の償還は今後も増加し、福祉などの義務的経費は高齢化が進むにつれて増えていくことが想定される。
厳しい財政運営が見込まれている中、あらためて財政調整基金の活用の考え方について見解を伺う。
A山本総務部長兼北方領土対策本部長 財政調整基金について。道では、これまで、効率的な予算の執行などによって、財源を捻出しながら可能な限り積み立てを行ってきたところ。5年度最終補正予算においても、40億円の積立金を計上したところ。
財政調整基金の活用に当たっては、来年度以降も多額の収支不足額が生じる厳しい財政状況にあることから、当初予算編成における収支不足の解消はもとより、予期しない歳出の増加や政策推進に必要な経費といった年度内の追加財政需要などへの財源として、引き続き、適切に対応していく。
◆労政戦略
Q鈴木議員 地方を中心に若年層が減少する中、雇用の確保、就業環境の整備などの労政戦略をどのように描き、具体的にどう取り組んでいるのか、所見を伺う。
A中島経済部長 働き方改革の推進などについて。人口減少や少子・高齢化による道内企業の深刻な人手不足への対応に向けては、人材の育成確保や、就業環境の整備などといった働き方改革を総合的に推進していくことが重要である。
このため、道では、地域を支える担い手の育成や、女性、高齢者など潜在人材の掘り起こしを行うとともに、就業環境の整備に向けました優良事例の紹介や企業への専門家派遣、働き方改革に取り組む企業を認定する制度の運用による道内各地の認定企業への優遇措置、さらには、男性育休の取得や短時間労働といった多様な働き方を促進するセミナーを道内各地で開催するなど、働き方改革を推進しているところであり、こうした様々な施策を活用し、働く方々にとって魅力ある良質で安定的な雇用の実現を目指していく。
(道議会 2024-07-11付)
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