道議会質疑 予算特別委(3月13日)(道議会 2024-07-26付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望 Demand】
【質問者】
▼板谷よしひさ委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼山本純史学校教育監
▼山城宏一指導担当局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼谷垣朗教職員局長
▼金田敦史施設課長
▼今村隆之健康・体育課長
▼大槻直広生徒指導・学校安全課長=役職等は当時=
◆災害対応
Q板谷委員 能登半島地震に伴い、地元を離れ、2次避難施設に避難した中学生に対する支援のため、本道からも教職員が派遣されたと伺っている。その概要と、どのような考えで派遣者が選ばれたのか伺う。
A谷垣教職員局長 能登半島地震に伴う教職員の派遣について。地震発生後の1月下旬に、被災地である石川県教委から文部科学省を通じ、2次避難している中学生の夜間の生活指導や学習指導などへの支援のため、各都道府県教委に教職員の派遣について依頼があった。
これまでも、大規模な災害時には教職員を派遣してきたほか、北海道胆振東部地震の際には他県からの支援をいただいたことに加えて、被災地の支援に直接関わることは、教員にとって得難い経験となるだけではなく、その経験を防災教育の場で生かしていくことなども期待され、道教委としても依頼に応えることとしたものである。
自校の学校運営に支障がないことを前提に広く全道から希望者を募ったところ、合わせて33人の希望があり、文科省において全国的な調整を行った上で、本道からは、2月中旬以降、夜間の生活指導のために3人、学習指導のために7人を派遣したほか、今後、夜間の生活指導のため、3人を追加で派遣する。
Q板谷委員 6年度予算案には、新たに被災地地域に対する学校支援事業の経費が盛り込まれている。本事業の目的と概要について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 被災地に対する学校支援事業について。この事業は、道内で大規模災害が発生した際、通常の教育活動の再開に向けて支援が必要と判断する場合に迅速に対応できるよう、教職員等を派遣する制度を整備するとともに、派遣スタッフを含め、広く教職員等の災害対応のための人材育成を図ることを目的としている。
事業の概要としては、被災地における円滑な学校再開や児童生徒の心のケアに対応するため、教職員や道教委職員を対象とした、災害対応の基礎から応用までの研修を実施するとともに、研修修了者による支援チームを発足させ、児童生徒や教職員が安全かつ円滑に学校生活に戻ることができるよう、被災地での支援を行うこととしている。
Q板谷委員 事業では、道内での被災時における円滑な学校再開や児童生徒の心のケアに対応するため、研修を実施するとしている。その内容について伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 研修について。この事業は、防災の専門家や他県の災害時学校支援
チーム員などを講師として、避難所を開設するための対応や短縮授業の実施など、応急的な教育活動を含め、学校再開に必要な手順などの基本的な知識を身に付ける基礎研修を年2回実施する。
また、基礎研修の修了者のうち、被災地への派遣意思がある教職員等を対象として、被災地での支援を想定したシミュレーションなどを交えた実践的な応用研修を年1回実施することとしている。
Q板谷委員 新たに発足する災害時の学校支援チームについてはどのような職員で構成するのか、また、派遣期間や派遣期間中の具体的な活動内容はどのようなものを想定しているのか伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 支援チームについて。支援チームの構成は、教職員や道教委職員のうち、研修を修了し、かつ、被災地への派遣意思がある者とし、派遣に当たっては、被災市町村等の要望を確認した上で支援チームを編成することとしている。
また、派遣期間は、被災地までの移動日を含め、原則7日以内とし、派遣期間中の活動内容としては、学校再開に向けた体制づくりとして、短縮授業等の応急的な教育活動の計画作成への支援、児童生徒や教職員への心のケアに対する支援などに取り組むこととしている。
Q板谷委員 熊本県では、熊本地震の経験を踏まえ、災害時の学校再開に向けた対応や心のケアの授業例などをまとめたハンドブックを作成している。道教委においても、今回の教訓を踏まえたマニュアルの見直しが必要と考えるが、対応を伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 防災マニュアルの整備について。道教委では、現在、先進的な取組をしている他県が作成したハンドブックを参考に、大規模災害が発生した際の学校再開に向けた安全確保や児童生徒の心のケアに関する具体的な対応方法などを示した教職員向け資料の作成に取り組んでおり、できるだけ早く各学校に提供できるよう作業を進めている。
また、現在作成している教職員向け資料については、今般の能登半島地震の状況を踏まえて、冬季に地震が発生した際の対応などについて、内容に反映することを検討している。
Q板谷委員 道教委では、令和元年度に開催された「世界津波の日」高校生サミットを契機に、毎年度、高校生防災サミットを実施しているほか、各高校で避難訓練や防災講話などの防災教育に取り組んでいる。
一方で、取組の形骸化を指摘する声もあり、参加型の防災教育の実施など、内容の改善・充実が不可欠と考える。今後の取組について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 防災教育について。道教委ではこれまで、道、市町村、防災関係機関等と連携協力し、一日防災学校の取組を進めてきており、小・中学校では、避難所での活動を想定した段ボールベッドの組み立てや非常食の調理などの実践的な体験活動を各教科の指導とも関連付けながら行っている。
また、高校では、災害発生のメカニズムや避難行動について学ぶ授業、関係機関と連携した地域の防災マップの作成、避難所運営についてシミュレーション形式で学ぶ北海道版「Doはぐ」の体験など、学校や地域の実情に応じた実践的な防災教育に取り組んでいる。
道教委としては、優れた実践例等を掲載した一日防災学校実践事例集の活用を引き続き促進し、児童生徒の防災意識の向上に有効な参加型の防災教育の充実に取り組んでいく。
Q板谷委員 昨年7月に公表された、学校の防災機能に関する国の調査結果について、暖房機器や非常用発電機、飲料水、断水時のトイレの確保など、状況はどのようになっているのか伺う。
また、今後は、防災部局と連携した対応が必要と考えるが、併せて見解を伺う。
A金田施設課長 学校の防災機能の強化について。4年度の国の調査によると、避難所となる道内の公立学校施設における防災機能設備等の確保状況は、非常用電源機は74・8%、暖房機器は83・9%と、全国平均を上回っている一方、冷房機器は39・5%、断水時のトイレは63・4%と、全国平均を下回っている。
道教委としては、災害時には避難所としての役割を担う学校もあることから、防災機能設備等の整備は重要と考えており、今後とも、地域防災計画を作成し、学校を避難所として指定している市町村や当該学校、知事部局とも十分連携しながら、避難所における生活に必要な機能の充実を図っていく。
Q板谷委員 今後、被災地域の学校支援も含め、本道の防災教育の推進にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。本道の児童生徒一人ひとりが災害時に自らの命を守ることができる力を身に付けていくためには、学校が地域と連携をし、防災教育を地域と一体的に推進することが重要である。
道教委としては、一日防災学校や高校生防災サミット等の取組の成果を、道教委のウェブページなど様々な媒体を活用して広く発信し、普及啓発を図るとともに、児童生徒が過去の自然災害の経験に学び、主体的に、自分を守る、みんなで守る対応ができる知恵と行動力を身に付ける効果的な防災教育の成果を全ての学校で共有できるようにするほか、道関係部局や市町村、家庭、地域とさらなる連携を図り、学校での防災教育の一層の充実に向け取組を進めていく。
◆暑さ対策
Q板谷委員 昨年の猛暑を受け、第4回定例会において、ことしの夏までに全ての道立学校に簡易型空調機器を整備する予算が議決された。簡易型空調機器整備の進捗について、一時に大量の機器が必要となるため、その確保が課題となっていた。契約や納品の見込みなど、現在の状況や今後の見込みについて伺う。
A今村健康・体育課長 簡易型空調機器整備の進捗状況について。第4回定例会において議決をいただいた約6500台の簡易型空調機器の整備に当たって、メーカー等に在庫を確認した上で、ことし1月末に一般競争入札を行い約4400台を契約し、ことし3月末までに納入される見通し。残りの約2100台については、5月末までに納入されるよう、現在、調達業務を進めているところ。
Q板谷委員 第4回定例会補正予算では、職員室等についても可能な限り整備できるよう検討するとの答弁があった。その対応について伺う。
A今村健康・体育課長 職員室への整備について。学校保健安全法では、児童生徒および職員の健康の保持増進を図ることが求められており、職員室の環境整備も重要である。
このため、道教委として、既決予算を活用して全ての道立学校の職員室等に簡易型空調機器を設置することとし、現在、準備を進めているところである。
Q板谷委員 取り付けが困難な場合、道教委として、どのように実態を把握し、どのように対応するのか伺う。
A今村健康・体育課長 空調機器の取付が困難な学校への対応について。簡易型空調機器には、機器を窓枠に直接取り付ける窓枠クーラーと、機器を床などに設置する移動式クーラーの2種類があり、特別支援学校の寄宿舎など、窓枠クーラーの設置が困難な学校には移動式クーラーを整備する予定である。
簡易型空調機器の設置に当たって、小樽高等支援学校と同様に窓からの排気などに支障がある学校に対しては、学校や教育局と連携し、パネルを用いて窓枠を加工するなど、必要な対応を講じていく。
Q板谷委員 学校の暑さ対策は、道立学校だけではなく、整備を予定している市町村分も含め、本道全体として進めていく必要がある。
どのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A山城指導担当局長 市町村への支援について。道教委では、小・中学校においても学校の暑さ対策が進むよう、市町村に対し、国の支援などの情報を提供するほか、空調設備や機器の確保に向け、道内外の事業者団体等を直接訪問し、生産・供給体制の強化などについて要請を行ってきた。
要請の場においては、建設業界の人手不足や道内の建設事情の影響等が考えられるといった事業者団体からの指摘があったことから、各市町村に対し、長期休業期間以外の期間においても空調設備の工事などが施工できるよう検討するなど、工事時期の弾力的な設定等について助言してきたところ。
道教委としては、今後とも、効果的な冷却方法などについて、道総研北方建築総合研究所などの助言を伺いながら、暑さ対策に係る情報を各市町村に提供していく。
Q板谷委員 道立学校では、特別支援学校から空調設備の整備に取り組むとして、先の定例会において補正予算が措置されている。
これまでの取組状況と6年度の整備計画について伺う。
A金田施設課長 空調設備の整備について。5年度については、体温調節が困難であったり、自らの意思をうまく伝達できない児童生徒が多く在籍する特別支援学校のうち、比較的、夏季の気温が高い地域に所在する25校について、国の支援を活用し、空調設備の整備に着手したところ。
6年度は、この25校に加え、幼稚部、小中学部を有する特別支援学校を優先しながら空調設備の整備を進めるとともに、高校については、校舎の老朽化に伴う大規模改造工事等を実施する学校から整備に着手する予定である。
Q板谷委員 熱中症は死に至る危険性もあり、学校の保健管理を担当する養護教諭の役割が重要である。
一方で、養護教諭は、多くの学校において1人職種であり、近年は、新規任用者も増加していることから、相談できる先輩教諭もいないことから、退職する者もいると聞いている。
6年度当初予算案には、健康教育推進体制サポート事業費が提案されているが、どのように養護教諭を支援するのか伺う。
A山城指導担当局長 健康教育推進体制サポート事業費について。救急処置、健康観察、疾病の管理と予防等の保健管理を担う養護教諭の役割は極めて重要であるが、本道においては、採用1年目から5年目までの養護教諭が全体の約3割を占めており、退職する者の割合も他の職種に比べて高い傾向にあることから、初任段階の養護教員に対する支援体制の充実が必要である。
このため、道教委では、本道の広域性を踏まえ、地域の中核となる養護教諭を健康教育推進リーダーに指定し、心の健康や性に関する指導など、保健管理や保健教育等に関する実践研究等に取り組んできた。6年度は、これに加え、健康教育推進リーダーを経験の浅い養護教諭の配置校に派遣し、直接、助言を行うなどして、養護教諭の資質・能力の向上と支援の充実に取り組むこととしている。
Q板谷委員 学校の暑さ対策は、ハード面だけではなく、ソフト面との両面から進めていかなければならない。また、学校の暑さ対策が進むよう、引き続き、関係者の理解を深めるとともに、各学校や市町村を支援する必要があると考える。
今夏に向け、今後の暑さ対策をどう進めていくのか、道教委の考えを伺う。
A山本学校教育監 今後の学校の暑さ対策について。熱中症は命に関わる危険な病態であり、子どもたちの生命と健康を守るために、学校における暑さ対策は極めて重要な課題であると認識している。
道教委としては、学校における暑さ対策として、ソフト、ハードの両面から対策を講じることとし、校長会等の関係団体からの意見なども踏まえ、熱中症に関する危機管理マニュアルの改定や道立学校に係る長期休業期間の取り扱いを変更したところ。
今後も、各種会議などあらゆる機会を活用しながら、学校における暑さ対策の徹底を図るとともに、空調設備の整備など、ハード面の対策について引き続き検討を進め、子どもたちの安全・安心な教育環境の確保に努めていく。
(道議会 2024-07-26付)
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