道議会質疑 予算特別委員会(3月14日)(道議会 2024-08-02付)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand
【質問者】
▼小林雄志委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼北村英則教育部長
▼山本純史学校教育監
▼川端香代子学校教育局長
▼山城宏一指導担当局長
▼谷垣朗教職員局長
▼相馬利幸高校教育課長
▼遠藤直俊義務教育課長
▼松橋朗教職員育成課長
▼今村隆之健康・体育課長
▼立花博史教職員課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆学校給食
Q小林委員 給食事故防止の取組について、道教委ではこれまで、学校給食による事故防止のためどのように取り組んできたのか伺う。また、福岡県の小学校で発生した事故を受けて、各学校に対してどのように注意喚起をしたのかも併せて伺う。
A今村健康・体育課長 学校給食における窒息事故の防止について。道教委ではこれまで、初任者研修や、栄養教諭、養護教諭を対象とした研修において、窒息事故防止の指導や事故発生時の対処方法などについて必須研修項目としてきたほか、平成27年3月には、大学教授の監修のもと「窒息事故防止に関する資料」を作成し、各学校の校内研修等で活用するよう、市町村教委に働きかけてきた。
福岡県の小学校において2月26日に発生した窒息事故を踏まえ、翌日に、市町村教委等に対して、道教委作成の資料等を活用して、安全な食べ方などの指導や応急手当ての方法について、あらためて全教職員で確認し、事故防止や事故発生時の対応に万全を期すよう注意喚起を行ったほか、2月28日には、国から、窒息事故の防止に関する通知が発出されたことを受け、再度、注意喚起を行った。
Q小林委員 こうした事故が繰り返されることのないよう、学校給食における事故を防止するため、今後どのように取り組まれるのか伺う。
A山本学校教育監 今後の取組について。児童生徒の窒息事故を防止するためには、給食指導を実際に担う教職員一人ひとりが、窒息等の原因となりやすい料理や食品の性質や形状を理解し、それを踏まえて安全な食べ方を指導することや、食物が喉に詰まった際の対処方法を習得し、迅速かつ的確な対応を取ることをできるようにすることが必要である。
道教委としては、引き続き、各学校において「窒息事故防止に関する資料」や「学校における危機管理の手引」を活用し、校内研修等で全ての教職員が給食時における安全に配慮した食事の在り方や窒息への対処方法について理解を深め、学校給食において事故が発生することのないよう万全を期していく。
◆高校教育の充実
Q小林委員 道教委では、3年度から道高校遠隔授業配信センター(T―base)を有朋高校内に設置し、道内の小規模校に遠隔授業を配信している。
T―base設置の趣旨やこれまでの取組の概要について伺う。また、これまでの遠隔授業について、成果と課題をどのように認識しているのか、併せて伺う。
A相馬高校教育課長 T―baseの取組等について。道高校遠隔授業配信センターは、道内のどの地域に住んでいても自らの可能性を最大限に伸ばすことのできる多様で質の高い教育環境の提供を目的として、3年度に開設したものであり、5年度は、道立高校のうち、全ての地域連携校29校と離島の学校2校の計31校を対象として、数学や英語などの習熟に応じた授業や、理科や公民、芸術などの専門性のある多様な選択科目などを配信している。
道教委が受信校の生徒等を対象に4年度実施したアンケートでは、生徒や保護者から、少人数習熟度別による遠隔授業によって学習意欲が高まった、生徒の興味・関心に応じた選択科目が開設されており積極的に探究するようになった、ICTの活用により自分の意見を表現できるようになったなどの感想が寄せられている。
一方、教員からは、生徒の人数が多くなるとクラスの様子を適切に見ることができず、評価が難しいなどの課題も挙げられているところである。
Q小林委員 T―baseから配信している授業の教科別の実績、受信校別の配信時間の状況にはどのような特徴が見られるのか。また、その要因についても伺う。
A相馬高校教育課長 配信教科と受信時間について。各教科の1週間当たりの配信時間は、数学は18校で74時間、英語は13校で65時間、芸術は13校で26時間、理科は5校で20時間、地理歴史は7校で18時間、公民は6校で12時間、情報は6校で12時間、国語は3校で8時間となっており、少人数による習熟度別学習に適している数学や英語に対する配信ニーズが高い状況となっている。
また、各受信校における週当たりの授業のコマ数、いわゆる受信単位数は、最も多い学校が7科目24単位、最も少ない学校が1科目2単位となっており、生徒の実情や進路希望に応じた教育課程の編成など、生徒や学校のニーズの状況によって、受信単位数に差があるものと認識している。
Q小林委員 5年度は、道財務局の協力を得て、T―baseから南茅部高校に対して金融に関わる授業を初めて発信したと伺っている。今後も、様々な分野の専門家の協力をいただき、外部機関と連携した魅力ある授業の発信を進めていくことが必要だと考える。見解を伺う。
A山城指導担当局長 外部人材の活用について。T―baseでは5年度、初めて、政治・経済の授業において、道財務局職員を講師とした金融に関する授業を配信したほか、書道の授業において、道立函館美術館と連携した授業を配信した。
授業を受けた生徒からは、授業前に比べ投資について興味を持てるようになった、学芸員の話を聞いて作品の意味を理解することができたなどの感想が寄せられていることから、広域分散型の本道にとって、外部機関と連携した授業は、地域で学ぶ生徒の興味・関心を高めるとともに、授業で学習した知識を応用することができる意義のある取組と考えており、今後も引き続き外部機関と連携した遠隔授業を進めていく。
Q小林委員 遠隔授業においては、原則、履修する教科・科目ごとに、年間2単位時間以上の対面授業を行うことが要件となっている。このため、担当教員は、現地の高校に直接授業に出かけることが必要となるが、広域な本道では移動に大変な時間を要することから、負担が大きいと伺っている。
柔軟な対応の検討や予算の確保が必要と考えるが、見解を伺う。
A相馬高校教育課長 対面授業について。遠隔を主として授業を実施する場合、各教科・科目等や単位数にかかわらず、対面によって行う授業の時間は、原則として、年間2単位時間以上となっているが、昨年の制度改正で、ことし4月1日から、配信側から受信校の距離が遠いことで出張負担が過度に大きい状況において、教育上、支障がないと考えられる場合には、対面授業を年間1単位時間以上とすることも可能となるなど、弾力化が図られたところ。今後、対面授業に要する旅費の適切な配分も含め、遠隔授業のさらなる充実に努めていく。
Q小林委員 遠隔授業には、現在の受信校以外の高校からも配信のニーズがあると伺っている。遠隔授業の受信校が増加する場合、配信スペースの確保が必要であると考える。配信環境の整備等にどのように対応するつもりなのか伺う。
A相馬高校教育課長 遠隔環境の拡充に向けた対応について。T―baseは有朋高校内の教室の一部を活用して運用しているため、授業に必要な面積を確保する上で一定の制約はあるが、受信校から配信科目数の増加の要望があることや受信校の増加が予想されることを踏まえて、校内に現在11ヵ所ある配信スペースを、6年度から新たに3ヵ所増設し、要望に対応していく。
Q小林委員 広域な本道においては、地域の小規模高校においても専門性の高い教員の授業が受けられる遠隔授業は、今後、一層重要な役割を果たすと考える。
今後、さらなる充実に向けてどのように取り組むのか伺う。
A山本学校教育監 今後の遠隔授業について。地域連携校などを対象に実施しているT―baseによる各学年への授業配信が5年度で完成したことから、今後は、T―baseと地域連携校などの取組の成果を検証しながら、運用上の課題を整理し、現在配信している高校以外の小規模校への遠隔授業や進学講習の合同配信などについて検討を進めていく考えである。
また、相互の学校の教育課程の維持充実を図る学校間連携についても、ICTの活用による遠隔授業での単位認定が可能であることから、今後、こうした取組についても検討を進めながら、生徒同士が住み慣れた地域において学び合い、地域の発展に貢献しようとする資質や態度を育成できるよう、遠隔授業のさらなる充実に取り組んでいく。
Q小林委員 地域の特性や教育資源を生かした特色ある取組として、例えば、平取高校では、アイヌ文化を題材とした学習に取り組むこととしているが、具体的にどのような取組によって、どのような成果を期待しているのか伺う。
A相馬高校教育課長 特色ある普通科の取組について。平取高では、6年度から学校設定科目「アイヌ文化」を開設し、アイヌ文化の歴史や工芸などを体験的に学ぶほか、総合的な探究の時間で、アイヌ文化に関する探究活動を行い、生徒が共生社会について考察するなどの取組を行うこととしている。
また、先住民族が暮らす国や地域であるニュージーランドやウェールズ、ハワイなどの高校生と、民族の多様性や共生、協働などについて交流することを検討しており、こうした学びを通じて、生徒がアイヌ文化や他地域の文化、国内外における共生社会の在り方等についての理解を一層深めるとともに、グローバルな視点で幅広く考え、行動できる資質・能力を身に付けることを期待している。
Q小林委員 6年度から普通科新学科として設置される釧路湖陵高校の文理探究科と大樹高校の地域探究科では、生徒にどのような資質・能力の育成を目指し、具体的にどのような学びを行うのか伺う。また、6年度の生徒の志願状況についても併せて伺う。
A相馬高校教育課長 普通科新学科における取組について。6年度からスタートする釧路湖陵高の文理探究科では、現代的な諸課題の合理的かつ適切な解決方法を構想し実行するために必要な資質・能力の育成を目指し、国や高等教育機関等と連携し、SDGsの実現など、現代的な諸課題に対応するテーマの探究活動を行うこととしている。
また、大樹高の地域探究科では、地域社会が有する課題の合理的かつ適切な解決方法を構想し実行するために必要な資質・能力の育成を目指し、農業、漁業、商工業、観光、宇宙などの分野で活躍する地域人材を活用し、探究活動を行うこととしている。
なお、6年度入学者選抜における当初出願の状況は、釧路湖陵高文理探究科は、定員160人に対して168人で1・1倍、大樹高地域探究科は、定員40人に対して33人で0・8倍と、いずれも前年度並みとなっている。
Q小林委員 普通科新学科では、外部機関や地域人材を活用して探究活動を行うとのこと。新学科を設置するに当たって、釧路湖陵高や大樹高では、これまで、どのように準備を進め、周知を行ってきたのか伺う。
A相馬高校教育課長 普通科新学科の準備状況について。釧路湖陵高と大樹高は、4年度に国の普通科改革支援事業の指定を受け、校内に新学科設置準備委員会を設け、検討を進めてきたほか、地域の人材にコーディネーターとして参画してもらい、教職員と協働して、普通科新学科におけるカリキュラム開発のほか、湖陵高は大学や製造関連の企業、大樹高は農協や宇宙関連の企業など、高校生の学びを支える関係機関とのコンソーシアムの構築や、地域の中学生や保護者、住民向けの新学科説明会の実施などの準備を進めてきたところ。
Q小林委員 岩見沢東高校と岩見沢西高校が再編統合され、7年度に設置される岩見沢市内新設校は、普通科新学科を設置すると伺っている。開校まで1年となり、進学を希望する生徒や保護者、地域の方々の関心も大きいと考える。
新学科のカリキュラムを含めた教育内容や育成を目指す資質・能力など、具体的な姿を早期に示すことが必要と考える。これまでどのように準備されてきたのか伺う。
A山城指導担当局長 岩見沢の新設校について。岩見沢東高は、5年度に国の普通科改革支援事業の指定を受け、校内に新学科設置準備委員会を設け、検討を進めてきたほか、岩見沢東高、岩見沢西高、両校の教職員で構成する統合推進委員会において、新学科を含めた新設校の地元自治体や大学、研究機関等との連携による探究的な学びを重視したカリキュラム案を検討するとともに、5年度から、地域の人材にコーディネーターとして参画してもらい、教職員と協働して、高校生の学びを支える関係機関とのコンソーシアムの構築、地域の中学生や保護者、住民向けの新学科説明会の実施などの準備を進めてきたところ。
また、これまで、新設校で育成を目指す資質・能力やカリキュラムについて、地域の各中学校への訪問等を通じて、生徒、保護者、学校関係者などに説明するなど、地域住民の理解促進を図ってきたところ。
Q小林委員 普通科の魅力化に向け、新学科における教育活動の充実のため、道教委としてどのように支援し、その取組の成果等をどのように普及させていくのか伺う。
A山本学校教育監 普通科新学科への支援などについて。道教委ではこれまで、普通科新学科を支援するため、道外の普通科新学科導入予定校への視察などを行い、コンソーシアムの構築や探究学習などについて情報収集や支援策の検討を行ってきたほか、学識経験者等で構成する運営指導委員会での意見を踏まえ、学校のカリキュラム開発等に係る助言をしてきている。今後は、国の加配を活用して外部との連携に関する支援を行うこととしている。
また、普通科新学科の取組の成果を普及するため、「北海道高校教育課程編成・実施の手引」に普通科新学科の探究的な学びとその成果等を掲載して発信するとともに、毎年度実施している教育課程研究協議会の機会を通じて、各学校の教務担当と情報共有し、学校における探究的な学びの一層の充実に向けて取り組んでいく。
◆働き方改革
Q小林委員 新規事業である学校マネジメント支援実証研究事業について、その目的と事業の概要について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 学校マネジメント支援実証研究事業について。道教委が実施した教員勤務実態調査では、副校長・教頭の在校等時間が他の職種に比べて最も長くなっており、働き方改革の実効性を高めていく上では、教頭等の負担軽減を図っていくことが重要である。
そのため、新たなアクション・プランの案では、教頭等の業務縮減を重点的な取組に設定し、6年度から新たに学校マネジメント支援実証研究事業を実施することとしている。
当事業では、教頭等の長時間勤務等が特に課題となる小・中学校等に副校長・教頭マネジメント支援員を配置し、教職員の勤務管理事務の支援や校舎の施設管理、保護者や外部の方との連絡調整などの業務を支援するとともに、その効果や活用方法を検証するほか、働き方改革推進校に大学教授などの専門家を派遣し、それぞれの学校が抱える課題に応じた指導助言に基づき、業務の平準化や省力化を進め、好事例を全道に横展開していくこととしている。
Q小林委員 支援員については、どのような観点で配置する学校を選定し、具体的にどのようにその効果を検証していくのか伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 副校長・教頭マネジメント支援員については、学校という職場環境や教頭等の業務の特殊性なども考慮し、退職校長や教育行政経験者、民間企業の管理職経験者等の活用を想定しており、新任教頭配置校のほか、個別の課題への対応によって負担が生じている学校などを対象に、業務負担の度合いのほか、地域や学校種のバランスなどを考慮し、配置校を決定することとしている。
配置校については、教頭等をはじめ、学校全体の在校等時間の変化を適時把握するほか、定期的に学校訪問し、具体的な活用状況や配置による心理的な効果、学校運営に及ぼす影響などについて聴取するとともに、学校ごとの効果を比較分析しながら、より効果的な活用方策や配置方法などについて検証することとしている。
Q小林委員 スクール・サポート・スタッフは、学校の様々な日常的な業務の軽減につながっているなどの声が学校現場からも聞こえてくる。
道教委としては、スクール・サポート・スタッフの役割について、どのように評価し、6年度に向けてどのように配置していくのか伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スクール・サポート・スタッフは、教材の準備や採点業務、配布文書等の印刷など、学校や教員が担う業務の効率化や負担軽減を進める上で重要な人材と考えている。
これまで、配置した学校からは、補助業務を受け持ってもらうことで教員が教育活動に集中することができたなどの報告があり、市町村教委などからは配置の拡充についての要望もいただいている。
こうしたことから、6年度予算案においては、より多くの学校で活用することができるよう、新型コロナウイルスへの対応を除く、学校の本来的な業務への対応のための配置を拡充するとともに、長時間勤務が特に課題となっている学校を優先するなど、より効果的な配置に努めることとしている。
道教委としては、希望する全ての学校に配置できるよう、全国都道府県教育委員会連合会とも連携しながら、財政措置の一層の拡充について、国に対して要望していく。
Q小林委員 教員にゆとりがなければ、子どもたちに良い授業やきめ細かな指導はできないものと考える。道教委としては今後、教員の働き方改革をどのように進めていくのか伺う。
A北村教育部長 学校における働き方改革について。教員が健康でやりがいを持って働くことのできる環境は、自らの人間性や創造性を高め、子どもたちの豊かな学びにもつながるものである。
そのため、今後、新たなアクション・プランに基づき、業務の負担感や改善に向けた意見など、現場の教職員の声を丁寧に聞き取りながら、学校や教員の実情に応じた業務の削減や見直しを徹底する。
また、副校長・教頭マネジメント支援員の活用による効果の検証やスクール・サポート・スタッフなどの外部人材の積極的な活用によって、適切な業務分担を推進するなど、働き方改革の実効性を高めていく。
道教委としては、新たに定めた目標や指標の進捗を的確に把握しつつ、保護者や地域の方々など、幅広い関係者との対話を通じて認識を共有し、連携・協働しながら、職員が士気高く、誇りを持って働き続けることができる職場づくりを進めていく。
◆教職員人事
Q小林委員 昨年の第4回定例会予算特別委員会で、道教委は、社会人経験者を対象とした新たな受検区分を設置するとの答弁があり、昨年末にはその概要が公表されている。
あらためて、新たな受検区分を設けた意図とその概要について伺う。
A谷垣教職員局長 社会人経験者を対象とした選考について。教員の確保が課題となる中、道教委ではこれまで、会場の増設など、教員採用選考検査の改善を図ってきたが、より多くの教員志願者を確保していくためには、これまで以上に幅広い方々に志願していただける仕組みも必要と考えている。
教員免許を所有している方の中には、他の進路を選択したものの、社会人としての経験を積む中で、あらためて教職を希望される方が少なからず存在するほか、転職についての考え方など、仕事に対する意識も大きく変化しており、社会人経験者を幅広く教員として採用することは、教員の確保だけではなく、学校の組織に多様性をもたらすことも期待できるものと考えている。
そのため、6年度実施する教員採用選考検査においては、教員免許を所有していない方も含め、民間企業などで一定期間以上の勤務経験がある方を対象に社会人特別選考を実施することとしたものであり、働きながら教員を目指す方々が、過度の負担なく検査に臨むことができるよう、社会人としての経験を考慮し、教養検査の免除を行うとともに、教員免許を有しない方については、論文検査によって、社会人経験を通じて身に付けた教員としての適性や教育への理解などについて評価することとしていく考えである。
さらに、免許を有しない方が登録者となった場合には、教科指導をはじめとした各種の資料を提供するほか、研修の聴講などを案内するとともに、適時、状況を確認し、相談に応じるなどしながら、専門性を身に付け、免許を取得できるよう支援していきたいと考えている。
Q小林委員 新たな取組について、どのように周知を進めていくのか伺う。
A立花教職員課長 周知の方法について。教員採用選考検査の実施に関しては、これまで、教育委員会公報やホームページへの掲載のほか、全国の教員養成大学や市町村へのパンフレットの配布などによって周知してきている。
社会人経験者を対象とした特別選考は、6年度新たに実施するものであり、これまで以上に多くの方々に情報を届け、関心を持っていただけるよう、3月下旬に実施要領を公表したあと、従来の取組に加えて、就職求人サイトへの掲載や商業施設でのパンフレットの配布のほか、SNSの活用などによって、幅広く周知を図っていく。
加えて、社会人経験者も含めて、志願者が不安なく出願できるよう、選考検査の内容のほか、本道の教員の魅力や学校の様子、待遇面などについての説明と併せて、質問などに答える説明会を4月の早い段階で開催するなど、受検者の確保に取り組んでいく。
Q小林委員 今後、教員確保にどのように取り組んでいくのか伺う。
A北村教育部長 教員不足が深刻さを増す中、道教委ではこれまで、教員採用選考検査の改善による教員志願者の確保と併せて、高校生を対象とした教員養成セミナーの開催など、教員養成大学との連携による教職の魅力発信などに努めてきた。
6年度に向けては、教員採用選考検査について、社会人特別選考を新設することに加えて、高校生を対象に、早期からの教員育成を目指す「みらいの教員育成プログラム」について、道央圏の実施校である札幌北陵高校に庁内公募による校長を配置し、道教育大との連携を深めながらプログラムの充実を図るなど、これまでの取組を強化していく。
さらに、教員養成大学のほか、民間企業とも連携しながら、民間の手法なども活用したより幅広い教職の魅力の発信や、新たな人材発掘の方策について協議を進めるなど、様々な手だてを講じ、教員の確保に努めていく。
Q小林委員 教員を目指す若い方々を増やしていくためには、教員を養成する大学で学ぶ大学生に対する取組も大切であり、大学生の教職志望を高める上で、教育実習の充実は大変重要と考える。しかしながら、国の調査結果等からは、教育実習を行い、教職は自分には向かないと思ったなどの理由によって、実習後に教職員への志望度が低下する大学生も一定程度生じていると伺っている。
このような状況の中、道教委では、教育実習の意義や在り方について、どのように認識されているのか伺う。
A松橋教職員育成課長 教育実習について。教育実習は、法令に定められた、教員免許状の授与を受けるために必要な単位を修得するための大学の科目であり、観察、参加、実習という方法で教育実践に関わることを通して、教育者としての愛情と使命感を深め、将来、教員になる上での能力や適性を考えるとともに、課題を自覚する機会である。
中教審の答申では、教育実習について、全ての学生が一律に教職課程の終盤に教育実習を履修する形式を改め、取得を目指す免許状の学校種の違い等も考慮しつつ、それぞれの学生の状況に応じた柔軟な履修形式が認められるべきと示されており、その在り方が検討を要する状況にあるものと承知している。
Q小林委員 国では、ICT教育やプログラミング教育の充実に向け、中学校の技術科の重要性は高まっていることから、中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制に関する実態調査を実施し、その結果がことし2月に公表された。
担当する教員のうち、全国で約23%、本道では約半数が免許教科外教科担任等であることが明らかになった。このため、文部科学省は、中学校技術・家庭科で技術分野を担当する教員について、10年度までに免許教科外教科担当等をゼロとする方針を示していると聞いている。
今回の実態調査の結果を受け、あらためて免許外教科担任制度と、技術も含め、公立中学校の免許教科外教科担任の状況について、本道の過去3年間の許可件数の推移等はどうなっているのか伺う。
A立花教職員課長 免許外教科担任制度について。免許教科外教科担任は、ある教科の免許状を有する教員を確保できない場合に、1年以内の期間に限り、都道府県教委の許可によって、当該教科の免許状を有しない教員に教授を担当させることのできる制度である。
札幌市を除く本道の公立中学校における許可件数は、2年度は709件、3年度は679件、4年度は712件であり、そのうち、技術科については、2年度は254件、3年度は239件、4年度は236件となっている。
Q小林委員 本道では、中学校技術においては許可件数の減少傾向が見られるとのことだが、件数が他都府県と比べて非常に多い状況になっている原因をどのように分析しているのか、また、こうした状況をどのように受け止めているのか伺う。
A谷垣教職員局長 免許教科外教科担任の現状などについて。中学校では、いわゆる標準法によって、学級数に応じて配置される教員数が決められており、教科数が10教科であるのに対し、本道では教員数が9人以下となる普通学級5学級以下の学校が全体の約半数を占めていることが免許外教科担任を生じる大きな要因となっており、特に、授業時数の比較的少ない技術・家庭科の教員が未配置となっている学校が多くなっている。
教員免許制度の例外である免許外教科担任は、質の高い教育を提供していく上でも抑制的に用いるべきものであることに加えて、専科以外の教科を担任する教員の負担の面からも解消に努めるべきものであり、特に、GIGAスクール構想下の学校教育においては、プログラミング教育や情報教育の重要性が増しており、中学校において、その指導の中心となる技術科の免許外教科担任については、早急に改善を図る必要があると考えている。
Q小林委員 道では、免許教科外教科担任の解消に向けて、これまでどのように取り組み、改善に努めてこられたのか伺う。
A立花教職員課長 免許教科外教科担任の改善に向けた取組状況について。道教委ではこれまで、技術・家庭科をはじめとした免許教科外教科担任の多い教科について、専科教員の適正な人事配置や複数免許所有者の積極的な採用のほか、教員加配の活用などによる複数校指導や非常勤講師の配置に加え、教員免許を新たに取得させるための免許法認定講習の計画的な実施などによって、その解消に努めてきた。
こうした取組によって、中学校における免許外教科担任は、10年前の平成24年度には1404件だったものが、令和4年度には712件と、ほぼ半数にまで減少したが、ここ3年ほどはほぼ横ばいで推移している。
Q小林委員 現在、中学校におけるプログラミング教育はどのように実施されているのか、また、免許教科外教科担任が多い中、指導力の充実に向けてどのように取り組んでいるのか伺う。
A遠藤義務教育課長 中学校におけるプログラミング教育について。中学校学習指導要領では、技術科におけるプログラミングに関する学習として、コンピューターなどの計測、制御の仕組みを理解し、安全、適切なプログラムの制作や動作の確認ができることを指導するよう示されており、各学校ではプログラミングソフトや動画コンテンツなどを用いて授業を行っている。
道教委では、免許外教科担任を含む技術科担当教員の指導力向上に向け、具体的な授業の進め方を示した「中学校教育課程改善の手引」を作成し、各学校に周知するとともに、技術分野におけるICTの活用や授業改善のポイントをまとめた説明動画を道教委のウェブページに掲載し、技術科担当教員に積極的な視聴を働きかけている。
Q小林委員 一層の普通免許状所有者の計画的な採用に加えて、技術や知識、経験のある方の特別免許状の活用も必要と考えるが、どのように取り組んでいるのか伺う。
A立花教職員課長 特別免許状制度は、優れた知識や経験などを有する社会人などを教員として迎え入れることによって、学校教育の多様化や活性化を図ることを目的に制度化されたものである。
道教委では、平成16年度に実施した教員採用選考検査から特別免許状の制度を活用し、高校の英語や看護、工業など、一部の専門教科などにおいて社会人特別選考を実施してきたものの、中学校についてはいずれの教科も実施していない。
専門性の高い指導を提供していく上で、社会人特別選考は有効な手だてと考えているが、中学校の技術科については、情報だけではなく、材料と加工、生物育成、エネルギー変換など、指導分野が多岐にわたっており、適格性の担保の観点から、出願資格をどのように設定するのかといったことについて十分な検討が必要と考えている。
Q小林委員 技術科専任の指導主事の増員等、道教委の指導体制の強化が求められると考える。道教委の対応について伺う。
A遠藤義務教育課長 指導体制について。道教委に在籍する技術科を専門とする指導主事が、毎年度、文科省主催の技術科の担当指導主事連絡協議会に参加し、そこで得たプログラミング教育も含めた指導の在り方などの情報を、ウェブによる報告会を通じ、各教育局の指導主事と共有している。
また、市町村教委を含む全道の指導主事を対象とした各教科等担当指導主事研究協議会において、中学校技術科の授業改善に関する説明、協議を行っており、今後も専門の指導主事を中核とした指導体制のさらなる強化に努めていく。
Q小林委員 大学と連携した免許認定講習等の拡充が必要と考える。今後の道教委の対応を伺う。
A谷垣教職員局長 免許法認定講習は、中学校における免許外教科担任の解消や特別支援学級における指導や支援の専門性の向上を目的に、道教育大学の協力を得て、毎年度実施している。
中学校に関しては、従来、技術・家庭科のほか、美術や数学などの免許取得のための講習を年度ごとに1教科を計画的に開設してきたが、緊急度などを考慮し、平成28年度以降は技術・家庭科の講習を毎年度開設することとしたほか、令和4年度からは、会場を2会場に増設し、受講枠の拡大を図ってきた。
道教委としては今後、リモート方式の講義の拡大など、開設方法の工夫による受講枠の拡大などについて道教育大とも協議しながら検討するとともに、講習の増設と併せて、受講者の負担軽減を図ることができるよう、技術分野の免許取得時の修得単位数の軽減などの特例の設定について国に要望していく。
Q小林委員 これまでも実施されている複数校指導の充実や、特に、本道の広域性を踏まえた遠隔教育の推進が求められていると考える。どのように取り組んでいるのか伺う。
A遠藤義務教育課長 複数校指導や遠隔教育の推進について。技術科の免許を持つ中学校教員による複数校指導については、5年度、10管内で16人の教員が47校を担当し、実施している。
また、遠隔教育については、3年度以降、幌延町において、国の指定によって、受信側の教員が指導する教科の免許状を有していない状況でも履修が可能となる遠隔教育特例校制度を活用し実施しており、道教委では、伊達市やえりも町、別海町など、学校間で遠隔教育を実践している事例をウェブで公開するなどして、各地域における遠隔授業の効果的な活用の促進を図っている。
Q小林委員 担当する教員に対する研修機会の一層の充実が必要と考える。今後の対応を伺う。
A川端学校教育局長 中学校技術科における指導の充実を図るためには、直接指導に当たる教員の専門性や指導力向上が不可欠であり、免許外教科担任を含む担当教員の教科指導力向上に向け、主体的に取り組むことができる環境を充実させることが重要である。
道教委では6年度、技術科担当教員を対象としたオンライン研修を新たに開設することとしており、免許外教科担任を含めた担当教員が自ら指導力の向上に取り組むことができるよう、参加を促していく。
Q小林委員 学習指導要領が目指すICTの活用やプログラミング教育を通じた情報活用能力の育成に向けて、普通免許状所有者による指導体制の確保と担当教員全体の指導力の向上にどのように取り組んでいるのか伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。道教委では、道内のどの地域においても中学校の生徒が技術科の授業で質の高い教育を受けることができるよう、免許保有教員の適正な人事配置などと併せて、市町村教委とも連携しながら、技術科の免許を有する専科教員による複数校指導の拡充を図るほか、道教育大と連携して免許取得のための免許法認定講習の拡充を検討していく。
また、国の全国教員研修プラットフォームにおける各教員のニーズに合った情報教育、プログラミング教育に関する研修コンテンツの活用を中学校に促すほか、新たに、技術科担当教員同士が効果的な実践事例を共有するネットワークコミュニティーを構築し、道内の全ての技術科担当教員の指導力向上が図られるよう取り組んでいく。
(道議会 2024-08-02付)
その他の記事( 道議会)
道議会質疑一般質問(6月21日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼渡邊靖司議員(自民党・道民会議) ▼畠山みのり議...(2024-09-03) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(5月8日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼戸田安彦委員(自民党・道民会議) ▼広田まゆ...(2024-08-28) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(4月9日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼水口典一委員(北海道結志会) 【答弁者】 ...(2024-08-28) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月14日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼川澄宗之介委員(民主・道民連合) ▼清水拓也...(2024-08-09) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月14日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼小林雄志委員(自民党・道民会議) ▼川澄...(2024-08-08) 全て読む
道議会質疑 予算特別委員会(3月13日)
Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼板谷よしひさ委員(自民党・道民会議) ▼田中勝一...(2024-07-31) 全て読む
道議会質疑 特別委員会(3月13日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 予算】 【質問者】 ▼板谷よしひさ委員(自民党・道民会議) ...(2024-07-30) 全て読む
道議会質疑 予算特別委(3月13日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望 Demand】 【質問者】 ▼板谷よしひさ委員(自民党・道民会議) 【答...(2024-07-26) 全て読む
道議会質疑 一般質問(3月7日)
【Q 質問QuestionA 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand】 【質問者】 ▼佐々木大介議員(自民党・道民会議) ▼田中英樹議員(...(2024-07-25) 全て読む
管内課題など意見交換 道議会文教委オホーツク視察
【網走発】道議会文教委員会は17日、遠軽町芸術文化交流プラザで地域課題等に関する意見交換会を開いた。オホーツク管内における調査・視察の一環で、委員11人をはじめ、管内教育関係団体、遠軽町、...(2024-07-25) 全て読む