道議会質疑 文教委員会(5月8日)
(道議会 2024-08-28付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼戸田安彦委員(自民党・道民会議)

▼広田まゆみ委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼山本純史学校教育監

▼山城宏一指導担当局長

▼髙田安利高校教育課長

▼国安隆健康・体育課長

◆新体力テスト

Q戸田委員 5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の北海道版結果報告書について、本道児童生徒の体力合計点の全国平均との差は、小学校においてはわずかだが、中学校においては依然として差が大きい。中学校の差の要因についてどのように捉えているか伺う。

A国安健康・体育課長 中学生の体力、運動能力について。このたびの調査を全国平均と比較すると、本道の中学生は、保健体育の授業以外における1週間の総運動時間が60分以上である割合が低く、特に運動時間ゼロ分と回答した生徒が、男子13%で3・6ポイント、女子24・7%で3・9ポイント高く、総じて運動時間が短い状況にある。

 また、運動部活動や地域のスポーツクラブに所属している割合が、男子で14・5ポイント、女子で12・5ポイント低く、保健体育の授業でいつも進んで学習していると回答した生徒が、男子で2・9ポイント、女子で4・3ポイント低い状況にあるなど、小学校との比較において、運動習慣や、運動に対する意欲や積極的に体を動かそうとする態度の育成が十分でないことが考えられるところである。

Q戸田委員 中学校における全国との差を改善するために、道教委はこれまでどのような対策を講じ、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。

A山城指導担当局長 これまでの取組について。道数委では、保健体育科教員が、身に付けさせたい資質・能力を明確にした学習計画を作成し、自己の変容に目を向けられるよう授業展開を工夫することなどの授業改善を図ることができるよう、3年度から、中学校の保健体育科教員のうち、優れた教科指導力を有する者を体力向上推進教員や授業実践スペシャリストとして指定し、5年度は全道14管内において授業実践・改善セミナーを実施している。

 6年度からは、セミナーの実施に加え、新たに圏域単位でスペシャリストによる複数の学校への巡回指導を開始したところであり、より多くの学校において、優れた実践の共有などを通じて、保健体育科教員の授業力向上が図られるよう、取組の充実に努めていく。

Q戸田委員 札幌市を除いて集計した場合、全国との比較において、今回の結果がどのように変化するのか伺う。

A国安健康・体育課長 小学校男子の体力合計点は、全国平均52・6に対し、全道平均は52・23、札幌市を除くと52・81であり、小学校女子は、全国平均54・29に対し、全道平均は53・77、札幌市を除くと54・71である。

 また、中学校男子は、全国平均41・18に対し、全道平均は39・36、札幌市を除くと40・0であり、中学校女子は、全国平47・08に対し、全道平均は43・73、札幌市を除くと45・06であり、小・中学校の男女とも、札幌市を除いた平均は、今回の調査結果の全道平均を上回る状況となる。

P戸田委員 道内の児童生徒の約3分の1を占める札幌市とも、しっかり課題や情報を共有し、連携して取り組むことが必要と考える。

Q戸田委員 児童生徒質問紙調査である。昨年同様、体育、保健体育の授業の中で、できた、分かったを実感している割合が全国より低い状況となっている。授業においては一人ひとりの目標を明確にして取り組むことが大切だと考えるが、子どもたちの授業に対する意識について、道教委として、どのように捉えているか伺う。

A国安健康・体育課長 児童生徒質問紙調査について。このたびの調査では、小・中学校の男女とも、授業において、できた、分かったを実感している生徒ほど、全国と同様に、体力合計点が高い結果となっており、その中でも、児童生徒に目標を意識させることや学習したことを振り返ることによって、児童生徒が、できた、分かったをより実感している傾向にある。

 道教委としては、こうした傾向などを踏まえ、小学校体育専科教員や中学校体力向上推進教員、授業実践スペシャリストによるセミナーや巡回指導において、各学校の体育を担当する数員に対し、児童生徒一人ひとりが自己の目標を定め、それに向かって努力することが大切であることを指導しているところである。

Q戸田委員 ことし1月の委員会で、全国と比較して総運動時間が短く、スクリーンタイムが長いなどの課題解決に向け、望ましい運動習慣や生活習慣の定着に向けた取組を一層充実させる旨の答弁があった。それらについてこれまでどのように取り組んできたのか伺う。

A山城指導担当局長 望ましい運動習慣などについて。道教委では、毎年度、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を受け、望ましい運動習慣を確立している児童生徒ほど体力合計点が高いことを各学校に周知しているほか、運動習慣の強立と体力合計点の向上などについて成果を上げている学校の好事例を調査結果報告書に掲載するなどして、運動習慣の確立に向けた取組を進めてきた。

 また、生活習慣についても、道教委内において関係課が連携し、児童生徒の1日の生活バランスや、生活リズムを整えるための家庭向けリーフレットを作成、配布するなど、子どもたちが、規則正しい生活の中で心と体の健康を保持増進することができるよう、努めてきたところである。

Q戸田委員 道内でも管内や市町村によって、依然として大きな差が見られている。今回の分析結果を踏まえ、今後、道教委として、どのように本道児童生徒の体力向上に取り組んでいくのか伺う。

A山本学校教育監 今後の取組について。本道の子どもたちが、体育の授業において、できた、分かったを実感し、自分自身の目標の達成を積み重ねながら自己肯定感を高めていくことは、社会において様々な困難を乗り越えていく力を身に付ける上で極めて大切である。

 道教委としては、今後、児童生徒の体力、運動能力等のさらなる向上が図られるよう、小学校体育専科教員や中学校スペシャリスト教員の優れた実践や、このたびの調査で中学校男女共に全国平均を超えた十勝管内における行政、体育担当教員、地域の体育サークル等が一体となった取組など、好事例を周知することとしており、こうした取組を通じ、各学校が、これまで以上に体育、保健体育の授業改善を進め、家庭や地域と連携しながら、学校全体で児童生徒の体力向上や望ましい生活習慣、運動習慣の確立に取り組むことができるよう支援していく。

◆金融経済教育

Q広田委員 道においてはこれまでも、金融経済教育について、外部連携を図りながら取り組んできた。あらためて、金融教育を進めるに当たって、どのような視点で、何を大切にして進めてきたのか、その取組状況や実績などを伺う。

 併せて、金融経済教育の外部機関との連携に関し、どのように選定をされてきたのか伺う。

A山城指導担当局長 金融経済教育について。生涯にわたって豊かな人生を送るためには、生徒一人ひとりが、金融リテラシーを高め、ニーズに見合う金融サーピスを適切に選択することが重要であるという観点のもと、全ての道立高校において、金融機関等と連携するなどして、生徒がライフプランや資産形成、金融商品のリスク等について主体的、実践的に考える金融経済教育が行われている。

 また、各学校において外部人材を授業で活用する際には、公教育の観点から、講義等の内容が学習指導要領に則っていること、講義等の内容について中立性が確保されていること、自社商品をあっせんするなど営利を目的としないことなどに配慮しながら、道財務局や銀行、保険会社等の職員を招へいするなど、生徒の興味・関心を高める取組を行っている。

Q広田委員 現在、世界の投資動向を見ても、グリーンファイナンスやブルーファイナンスなど自然資本を重視する考え方抜きには、教育効果として成果を上げていくには不十分ではないかと考える。自然資本など新しい投資動向についても、しっかり学ぶべきと考えるが、道教委としては、どのように考えているのか伺う。

A髙田高校教育課長 金融経済教育の動向について。国においては、現在、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を推進する上で、グリーン投資のさらなる普及を進めることとしており、道教委としては、こうした動向も見据えながら、高校における金融経済教育を推進する必要があると認識している。

 こうした中、各学校においては、STEAM教育をはじめ、地球環境問題等をテーマに実生活、実社会における問題と結び付けて、各教科等で学んだことを統合的に働かせながら、探究のプロセスを展開する学びを推進することが重要であると考えている。

Q広田委員 外部連携の相手先に、現行の金融機関だけではなく、より異なる選択肢もあるべきではないかと考えるが、いかがか。

A山本学校教育監 外部機関との連携について。現代社会においては、金融や経済との関わりを避けて通ることはできず、社会人として経済的に自立をし、より良い暮らしを送るため、健全な収支バランスを保ち、不測の事態への備えやライフステージに合わせた生活設計をするための金融リテラシーを理解することが必要である。

 また、貯蓄から投資へという国の政策のもと、資産形成のための金融経済教育が推進されている一方で、詐欺的なもうけ話を信じ、安易に金融機関から借金をし、多重債務等のトラブルを抱える若年層は、少なくないものと理解している。

 平成30年に改訂された高校学習指導要領では、家庭科において、契約の重要性や消費者保護の仕組みを理解するための学習を行うことが示されており、今後も、生徒が金融や経済に関する正しい知識を身に付けることができるよう、金融の専門家はもとより、消費者教育やライフプランニング等の様々な専門家との連携など、各学校における好事例を積極的に周知をするなど、実践的、体験的な学習活動を推進していく。

(道議会 2024-08-28付)

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