道議会質疑　文教委員会（４月９日）

（道議会 2024-08-28付）

【Ｑ　質問Question　Ａ　答弁Answer　Ｐ　指摘Point　out　Ｏ　意見Opinion　Ｄ　要望Demanｄ】

【質問者】

▼水口典一委員（北海道結志会）

【答弁者】

▼山本純史学校教育監

▼山口利之ＩＣＴ数育推進局長

▼北川慎太郎ＩＣＴ数育推進課長

◆端末の更新

Ｑ水口委員　５年度の数育費補正予算において、公立学校情報機器備基金積立金として２９億円余りの補正予算が可決している。義務数育の児童生徒に係る１人１台端末を更新するため、７年度までに必要な資金の一部を積み立てると伺っており、当該予算の６年度分に必要となる金額と、どのくらいの市町村数の予定なのか伺う。

Ａ北川ＩＣＴ教育推進長　１人１台端末の更新等について。５年度の補正予算において、公立学校情報機器整備基金積立金として措置された約２９億円のうち、６年度に執行を予定している金額は約３億６０００万円、対象の市町村は２５市町村であり、合わせて９２５０台の端末を調達する予定である。

Ｑ水口委員　導入時は市町村で発注したと承知しているが、更新時における発注方法を、文部科学省では、端末の利活用等に係るノウハウの共有などのため、端末の調達について市町村単位から都道府県単位に変更するとのこと。どのような変更になるのか伺う。

Ａ北川ＩＣＴ教育推進課長　端末の調達方法について。２年度から３年度にかけての１人１台端末の導入時は、各市町村それぞれで調達したが、今般の調達に関する国のガイドラインでは、市町村の事務負担軽減やスケールメリットによる端末・サービス等の調達・ランニングコストの低減、端末利活用等に係るノウハウの共有による業務改善などのため、原則として共同調達によることとされたところ。

　道数委では、共同調達を円滑に進めるため、ガイドラインに基づき、全市町村教委の教育長をもって構成する共同調達会議を設置したところであり、この会議において審査基準に基づき審査を実施し事業者を決定した上で、各市町村がその事業者と個別に契約することとなる。

Ｑ水口委員　１人１台端末の利活用促進に係る実施方針の状況で道数委による独自集計では、日常的な端末の利活用の現状やＩＣＴ支援体制、研修機会の提供について、各市町村でばらつきが見られている。

　端末の活用率については、都道府県別では毎日使う小学校の割合が山口県、静岡県に次いで北海道が８０％で第３位との調査結果が公表されているが、広大な本道で市町村別の活用率を、どのように認識しているのか伺う。

　また、活用方法について、学校によってどのような差があると認識をしているのか伺う。

Ａ山口ＩＣＴ教育推進局長　端末の活用状況について。国の調査によると、札規市を除く本道の小・中学校において、パソコンやタブレットなどのＩＣＴ機器を授業でほぼ毎日活用した学校の割合は、小学校が８０％、中学校が７５・２％であり、全国平均を上回ってはいるものの、日常的に活用していないなど、市町村によって利活用の状況に差が生じていることが課題と認識している。

　また、活用方法については、例えば、端末を用いて自分の意見を表明したり、他者と意見を共有したりすることや、授業内容に関して端末を使って調べるなどといった効果的な活用が進められている一方で、数員が、数材を提示したりプリントを配信したりすることにとどまるケースも見られることから、全ての学校で効果的な活用が図られるよう、引き続き、授業改善の取組を進める必要がある。

Ｑ水口委員　ＩＣＴ支援員について、４校に１人配置を水準として計画されており、３年度では約２２校に１人の割合で全国４６番目、４年度では約１６枚に１人の割合で未配置市町村が１３４市町村と低位で推移している。５年度のＩＣＴ支援員の配置について、市町村への支援としてどのような取組をされてきたのか伺う。

Ａ北川ＩＣＴ教育推進課長　ＩＣＴ支援員について。道教委では、２年度にＩＣＴ活用サポートデスクを設置し、支援員の人材確保を含め、市町村の相談への対応を行ってきたところ。５年度には、各数育委員会を対象とした「北海道ＧＩＧＡスクール推進協議会」を新たに設置した上で、支援員の確保や配置、活用事例等に係る先進的な取組について情報共有し、市町村の人材確保に向けた支援に取り組んできたところである。

Ｐ水口委員　支援員の役割は大変大きいと認識している。今後とも各教育局とも連携をいただき、拡充に向けた取組をお願いしたい。

Ｑ水口委員　昨年４月に改正個人情報保護法が施行され、個人情報を取得する場合は、利用目的を具体的に定め、本人に知らせるよう義務付けられており、文科省も昨年、教育データを扱う際の留意事項を策定したが、各自治体での取り扱いに相当の差が生じていることが報道された。

　道内において、教育データの利用に当たって個人情報を取得する際、利用目的を定めている市町村と、定めていない市町村をどのように認識しているのか伺う。

　また、定めていない市町村に対して、どのような対応をするのか伺う。

Ａ山口ＩＣＴ教育推進局長　教育データの利活用について。個人情報保護法ガイドラインでは、行政機関等は、個人情報の利用目的について、当該個人情報がどのような事務または業務の用に供され、どのような目的に使われるかをできるだけ具体的かつ個別的に特定しなければならないと定めており、道数委がことし３月に行った調査では、児童生徒の学籍情報や学習に関するデータなどの個人情報を保有するに当たって、利用目的を定めている市町村は１３１、定めていない市町村は４８となっている。

　国では「数育データの利活用に係る留意事項」において、利用目的の特定について示しており、道教委では、利用目的を定めていない市町村に対して、あらためて、国の留意事項を周知するなどして、個人情報が適切に取り扱われるよう、指導助言していく。

Ｑ水口委員　広域分散型の本道において、各市町村、各学校の１ＣＴ活用状況の格差に対し、今後どのように対応していくのか伺う。

Ａ山本学校教育監　今後の対応について。道教委ではこれまで、小・中学校において、１人１台端末を活用した数育活動が効果的に行われるよう、ＩＣＴ活用ポータルサイトや教員研修の充実に努めてきたところである。引き続き、こうした取組の充実を図るとともに、端末とクラウド環境を活用した教育実践の創出に取り組む国のリーディングＤＸスクール事業における実践事例や成果を全道の学校に普及していく考えである。

　また、端末の活用が進んでいないなど、ＩＣＴの活用に課題が見られる市町村や学校に対しては、指導主事による学校訪問等での指導助言や、校内研修等で活用できる動画資料の提供などを行い、全ての学校において、教員のＩＣＴ活用指導力の向上や授業改善の推進が図られるよう取り組んでいく。

D水口委員　これ以上格差が広がらないよう、実態把握をいただきながら、適切に対応していただくことをお願いする。

(道議会 2024-08-28付)