道議会質疑 一般質問(6月21日)
(道議会 2024-09-04付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼新沼透議員(北海道結志会)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼北村英則総合政策部長兼地域振興監

▼白石俊哉建設部長

▼中島俊明教育長

◆人口減少対策

Q新沼議員 新たな総合計画の中では、国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口を明らかにして、2035年、石狩振興局管内の人口割合が全道の50%を超えることが見込まれ、さらなる人口集中が懸念されており、過度な人口集中を緩和し、地域からの人口流出を抑制していくことが必要となるとしている。

 知事は、札幌圏一極集中について、どのように捉え、どのような抑制策を取る考えか、見解を伺う。

A鈴木知事 札幌圏への一極集中について。今後も長期的に人口の減少が見込まれる本道において、地域の活力を維持し、持続的に発展していくためには、地域に人を呼び込み、転出を抑制するとともに、札幌圏への過度な人口集中を緩和することが重要である。

 このため、道では、市町村や地域の皆さんと連携しながら、移住、定住の促進や関係人口の創出、拡大などの取組を進めてきたところであり、引き続き、こうした取組はもとより、地域における進学や就職を契機とした若年層の移動といった人口動態の傾向なども踏まえ、若者や女性が働きやすい職場環境づくりや地域特性を生かした産業の振興、地域に対する愛着の醸成を図る取組などを充実させ、人口減少下においても、住み続けたいと思える地域づくりに取り組んでいく。

Q新沼議員 人口の流出を防ぐためには、中核都市等と近隣市町村が相互に役割分担し、連携協力することによって、圏域全体として生活機能等を確保し、地方圏への人口定着を促進するなど、地域内の各自治体が互いに連携し合い、中核都市等が地域の人口流出を食い止めるダム機能を発揮させていくことが必要と考えるが、その機能が発揮されていない状態が続いている。

 こうした機能強化のためには振興局等の役割が重要と考えるが、今後、機能強化を図る考えはあるのか、所見を伺う。

A北村総合政策部長兼地域振興監 振興局の役割などについて。人口減少と少子・高齢化が進行し、地域活力の低下、担い手不足などの課題に直面している中、各地域が将来にわたって発展していくためには、地域の特性や多彩な地域資源を活用していくことが必要であり、道としては、地域づくりの拠点である振興局が中心となって、職員の地域振興派遣や地域づくり総合交付金などの施策を効果的に活用しながら、市町村の皆さんとともに様々な取組を進めてきたところである。

 さらに、本年度は六つの連携地域ごとに推進しておりますプロジェクトの最終年度となることから、振興局が、市町村をはじめ、地域の皆さんの声を丁寧に伺いながら、次期連携地域別政策展開方針の策定を進めており、今後の政策展開において、一定規模以上の中核都市等とその周辺地域との連携の強化を図るなど、人口減少下の課題の解決に粘り強く取り組み、誰もが安心して住み続けたいと思える地域づくりを進めていく。

Q新沼議員 ラピダス社が千歳市に新工場の建設を進めているこのプロジェクトにおいても、新工場の従業員は1000人規模、関連企業も含めると従業員数は数千人規模になるとの見通しが示されているように、従業員やその家族が市やその周辺に居住すれば、地域の人口動態が大きく変わり、道央圏への一極集中を一層加速させることになる。プロジェクトの実現そのものは、本道全体の経済活性化と持続的発展につながる大きな期待のかかるものだが、道としては、関連産業の集積をはじめ、道央圏への一極集中に注意を払わなければならない。

 ビジョンでは、ラピダス社の立地の効果を全道に波及させるとしているが、札幌圏一極集中に対する懸念の声がある中、どのような具体策を想定し、ビジョンに記載したのか、知事の見解を伺う。

A鈴木知事 ラピダス社の立地効果の全道への波及について。北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョンでは、目指す姿の実現に向けた方針の一つとして、ラピダス社の立地の効果が全道へ波及するよう、地域経済の活性化を掲げているところである。

 道としては、半導体関連産業への道内企業の参入や、地域の再エネ資源を活用したデータセンターの誘致など、全道域でのDX産業の集積に加え、1次産業のスマート化など、デジタル技術の社会実装による地域課題の解決促進、さらには、雇用や関係人口の拡大が見込まれる中、観光やワーケーションの促進による地域産業への波及効果の拡大など、多様な視点で取組を進め、道央圏のみならず、本道全体の経済活性化と持続的発展につなげていく。

◆防災対策

Q新沼議員 国は、津波避難対策の特別強化地域に道内39市町を指定し、避難を軸とした総合的な津波対策を進めるとしている。津波避難施設などの整備に向けた国の補助を受ける自治体数が増えたことによって、6年度補助額が、釧路町や白糠町など道内9市町において当初要望の8割程度にとどまったとの報道がある。

 太平洋沿岸部における津波対策は住民の生命に直結することから、各自治体の要望に沿った国の財源確保が急務と考える。道として今後どのように対応していくのか、知事の所見を伺う。

A白石建設部長 津波避難施設の整備などについて。日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する特別措置法によって特別強化地域に指定された道内39の市や町のうち、16の市や町では、津波から住民の生命を守るため、津波避難対策緊急事業計画の策定や都市防災総合推進事業を活用した津波避難施設の整備などを進めているところ。

 緊急事業計画に位置付けられた事業を市や町が遅滞なく着実に進めるためには、予算の十分かつ安定的な確保が不可欠であることから、ことし2月と6月、補正予算等の確保や当初予算枠の拡大について、国土交通省などへ要請活動を行ってきたところ。

 道としては、引き続き、関係する市や町と連携しながら、必要な予算の確保が図られるよう、あらゆる機会を通じて国に要望していく。

◆スポーツ環境

Q新沼議員 都道府県の持ち回りで毎年開催されている国民スポーツ大会について、全国知事会会長・村井嘉浩宮城県知事が、廃止も一つの考え方と発言し、他の都府県からも見直しが必要との声が上がっている。

 また、中体連が、全国中学校体育大会の規模縮小のため、水泳、ハンドボール、スケートやアイスホッケーなどを令和9年から実施しないと発表するなど、スポーツを巡る環境が大きく変わろうとしている。

 このような状況の中、知事は、道民のスポーツ環境についてどのように認識し、今後どのように取り組んでいく考えか伺う。

A鈴木知事 道民のスポーツ環境について。人口減少や少子・高齢化の急速な進行に伴い、選手や指導者などスポーツ関係者も減少し、将来的にスポーツ参画人口の減少や競技水準の低下が懸念されるなど、スポーツを取り巻く環境や社会状況が大きく変化する中、道民の皆さんが心身共に健康で豊かな生活を営むためには、スポーツに親しむことができる環境を確保していくことが重要である。

 道としては、今後とも、関係団体と連携協力のもと、競技力の向上に向けた育成強化に取り組むほか、パラスポーツの体験会や子ども向けスポーツ教室の開催など、スポーツの裾野の拡大に努め、スポーツをする、見る、支える、知るといった多様な関わりを通じて、誰もが、それぞれの年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、目的に応じてスポーツに親しむことができる環境づくりに取り組んでいく。

Q新沼議員 国民スポーツ大会については、今後、全国知事会においても、各都道府県の意見を取りまとめ、国や日本スポーツ協会に提言する予定と伺っている。過去に本大会を2回、冬季大会を27回開催してきた北海道の知事として、あるべき姿をどのように描いているのか、伺う。

A鈴木知事 国民スポーツ大会について。スポーツを取り巻く環境や社会状況が大きく変化する中、国民スポーツ大会は、道民のスポーツへの関心を高めるきっかけになるほか、競技人口の拡大や競技力の向上はもとより、観光振興などに資するものであると考えている。

 一方で、大会の在り方や開催地となる自治体の負担など課題も多いことから、道としても、こうした課題や地域の実情等を踏まえ、全国知事会などにおいて議論していく。

◆子どもの権利

Q新沼議員 子どもの権利保障を明確に打ち出したこども大綱を踏まえ、現在、道は、北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例を見直すとともに、新たに、仮称・北海道子ども基本条例の制定について検討し、7年4月の施行を目指していると承知している。

 国においては、具体的なアクションプランであるこどもまんなか実行計画2024が策定されたところであり、道の次期「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」の策定に向けても、条例において基本理念を打ち出すことが大変重要と考える。

 本道の子どもたちの権利を守るため、こうした理念や道の責務などを子どもの視点で明確に打ち出すべきと考えるが、子ども基本条例の制定に向けた知事の考えを伺う。

A鈴木知事 子どもの権利を守る取組について。こどもまんなか社会の実現に向けては、本道の子どもたちの権利を尊重し、子どもたち一人ひとりを大切な存在として、社会全体で応援するという機運を高めていくことが重要である。

 このため、道では、児童の権利に関する条約の4原則である差別の禁止や児童の意見の尊重など、子どもの権利擁護を基本理念として規定し、子ども施策を総合的に推進することを目的とした、こども基本法の趣旨を踏まえ、道や関係機関の責務や役割、道民の理解促進や子どもの意見を表明できる機会の確保などの取組を盛り込んだ新たな条例の制定に向けて検討を開始したところである。

 検討に当たっては、本道の未来を担う子どもや若者の視点に立ち、その声をしっかりと聞いていく必要があることから、本年度開始した子どもの意見を道政に反映するための取組等を通じて、子どもや若者から丁寧に意見を聞き取っていく考えである。

 道としては、本道の全ての子どもたちが健やかに成長でき、等しくその権利の擁護が図られ、さらには、誰もが安心して子育てができるよう、条例の検討を早急に進めていく。

Q新沼議員 日本も批准している児童の権利に関する条約では、差別されない権利、子どもの最善が第一に考えられる権利、生存し、健全に成長していく権利、自分の意見を述べ、重視される権利の四つの原則が保障されていることを求めている。

 これらの子どもの権利が擁護されるためには、子どもの権利の侵害に対する救済の仕組みを条例に盛り込むことが不可欠である。どのように取り組むのか、知事の考えを伺う。

A鈴木知事 子どもの権利を守る取組について。こども基本法は、児童の権利に関する条約の4原則である差別の禁止や児童の意見の尊重など、子ども権利擁護を基本理念として規定しており、道における条例の検討に当たっても、こうした理念を踏まえることが重要と考えている。

 このため、道としては、本道の未来を担う子どもや若者の視点に立ち、北海道こども施策審議会において協議するとともに、道内の子どもや大学生などからも丁寧に意見を聞き取るなどしながら、本道の全ての子どもたちの権利が守られ、健やかに成長できる環境づくりが図られるものとなるよう検討を進めていく。

◆働き方改革

Q新沼議員 学校業務が複雑・困難化していると言われる中、教員不足はさらに長時間勤務を招く結果となり、人材確保のためにも勤務環境の改善が急務となっている。

 国においては、教員確保のための環境整備に向けた審議の結果がまとめられ、その中でも、働き方改革のさらなる加速化が柱の一つに位置付けられ、学校や教員が担う業務の適正化などが求められている。

 第3期アクション・プランでは、ICTの活用や、保護者、地域との連携協働の推進などを位置付けているが、道教委として、今後、実効ある働き方改革をどのように実現させていくのか伺う。

A中島教育長 学校における働き方改革について。教員が健康でやりがいを持って働き続けることのできる環境をつくることは、子どもたちの学びの充実だけではなく、魅力のある職場づくりにもつながるものであり、優れた人材を将来にわたって安定的に確保していくためにも、ますます重要であると認識している。

 そのため、道教委では、現場の声を丁寧に聞き取りながら、新たなアクション・プランに基づき、学校や教員の実情に応じた業務の削減や見直しを徹底するとともに、教員業務支援員などの支援スタッフのより積極的な活用と併せて、外部人材の効果的な活用事例を各学校に幅広く周知し、適切な業務分担の推進など、働き方改革の実効性が高まるよう取り組んでいく。

 道教委としては、アクション・プランに掲げる目標や指標の進捗を的確に把握しつつ、保護者や地域の方々など幅広い関係者との対話を通じて認識を共有し、連携・協働しながら、教員一人ひとりが働き方改革を実感できる職場づくりを進めていく。

◆情報教育

Q新沼議員 7年度、大学入学者選抜に係る入学共通テストにおいて、教科「情報」の情報〓が出題科目として追加される。大学進学を目指す道内高校生としても、情報システム、プログラミングなどが大学進学に直接影響する学習内容となった。

 ラピダス社の本格稼働を控え、IT人材の育成が急務な本道において、高校の教育としても、他の都府県以上の学習内容を提供し、生徒の成績向上に努める必要があるのではないかと考える。

 道教委では、情報教育に関し、道内4ブロックでの研修会や文部科学省によるオンライン研修など、教員に研修機会を提供していると承知しているが、これら研修を受講し、教員の指導はどのように改善されているのか、また、道教委として情報教育で掲げている目標などはあるのか、教育長の新しい分野への思いも含め、見解を伺う。

A中島教育長 情報教育について。4年度に情報Ⅰが導入され、本年度実施の大学入学共通テストから受験科目として追加されることとなる中、各高校においては教育実践の蓄積が浅いことが課題となっている。

 このため、道教委では、授業改善セミナーを実施しており、参加者からは探究的な学びを深められる授業のアイデアができた、自分の知らない分野に触れ、授業の幅が広がったなどの声があり、教員の指導力向上につながっているものと考えている。

 高校における情報教育の目標は、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度の育成であり、私としては、将来の予測が難しい社会において、生徒が何が重要かを主体的に考え、情報を活用しながら他者と協働し、新たな価値の創造に挑むことが重要であると考えており、数理、データサイエンスやAIの活用など、実践的な学習活動の推進を通じて情報教育のさらなる充実に努めていく。

(道議会 2024-09-04付)

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