道議会質疑 予算特別委員会(3月14日)(道議会 2024-08-08付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼小林雄志委員(自民党・道民会議)
▼川澄宗之介委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼北村英則教育部長
▼山本純史学校教育監
▼伊賀治康総務政策局長
▼川端香代子学校教育局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼谷垣朗教職員局長
▼角谷浩司組織力向上推進室長
▼遠藤直俊義務教育課長
▼大槻直広生徒指導・学校安全課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆組織風土改革
Q小林委員 組織風土改革プランでは、風通しの良い職場づくり、コンプライアンス意識の確立、ガバナンス機能の強化の三つの取組が掲げられている。この三つとした理由とその考え方について伺う。
A角谷組織力向上推進室長 取組の考え方について。4年9月にネイパルの指定管理者公募および選定手続きにおける不正行為に関する第三者調査委員会の最終報告書において、道教委の組織体質や職場風土が不正を招く要因になっていたという指摘を踏まえ、5年5月に策定した組織風土改革プランでは、コンプライアンスやガバナンス機能が組織として欠落していたとの認識に立ち、管理職の意識改革を図るとともに、誰もが働きやすい職場づくりの実現に向け、上司、部下の関係や職種の違いを超えて、直言、助言をすることができる風通しの良い職場づくり、法令順守を絶対規範として職務を遂行するといったコンプライアンス意識の確立、不正や不祥事の発生を許さず、仮にそれらが認められた場合には早期に是正、対応できるガバナンス機能の強化の3点を基本方針として、各種の取組を進めることとした。
Q小林委員 三つの取組について、これまで具体的にどのような内容を実施してきたのか伺う。
A角谷組織力向上推進室長 これまでの取組について。風通しの良い職場づくりの取組としては、全職員が業務に取り組む上での基本的な考え方を共有する道教委組織理念の制定や、心理学を専門とする外部講師を招き、部下職員とのコミュニケーションを促進する研修など、コンプライアンス意識の確立の取組としては、管理職員が職務を遂行する上で取るべき行動を示す行動基準の作成や、教育長をはじめとした本庁局長級以上の幹部職員による特別研修など、ガバナンス機能の強化の取組としては、ハラスメント相談や内部通報の通報先としての弁護士による外部窓口の設置や、専門家によるハラスメント相談窓口担当職員に対する研修会の開催、管理職員の意識改革や一般職員の人材育成に活用するための職員アンケートの実施などに取り組んできた。
Q小林委員 風通しの良い職場づくりに向けた具体的な取組として、道教委組織理念を制定したとのことだが、どのように制定したのか、また、理念の考え方について伺う。
A角谷組織力向上推進室長 組織理念の制定の経緯などについて。組織風土改革プランの推進に当たっては、多様な意見を取り入れるため、組織力向上推進室を中心として、指導主事や社会教育主事、本庁、教育局の若手職員から成る組織風土改革推進チームを設置した上で、職員が業務に取り組む際の基本的な考え方を共有できるよう、管理職員の意識改革と働きやすい職場づくりをイメージできる誰もが覚えやすいフレーズを検討し、5年9月に「道教委新3K宣言~気づく 気にする 気にかける」を制定した。
この組織理念には、管理職員も、一般職員も、自分から気付いていく、相手のことを気にかけ、思いやりの気持ちを持つことを心がけるべきという思いが込められている。
Q小林委員 5年9月、管理職員の意識改革や人材育成に活用するために職員アンケートを実施したとのこと。その内容と結果について伺う。
A角谷組織力向上推進室長 このアンケートは、一般職員の管理職に対する意見や要望を把握し、管理職員の意識改革や一般職員の人材育成に活用することを目的としており、5年9月28日から10月11日にかけて、本庁局長級以下の職員を対象に実施した。
アンケートの内容の具体的なポイントは、組織風土改革プランの浸透状況、組織風土の状況、管理職員の自己評価と一般職員の認識、各種相談窓口の浸透状況などの把握であり、回答率は、管理職員が57・4%、一般職員が49%、全体では51・1%だった。
アンケートの主な結果としては「人を育てる組織風土はあるか」という項目で「そう思う・ややそう思う」と回答した割合は、管理職員が79・1%、一般職員が58・4%、「風通しのよい職場になってきているか」という項目では、管理職員が54・9%、一般職員が33・5%であり、管理職員と一般職員とで認識の差が生じていることが判明したところ。
Q小林委員 最も意識を持たなければならない管理職員の回答率が低いことについて、どのように受け止めているのか。
A伊賀総務政策局長 職員アンケートの回答率について。組織風土改革プランは、コンプライアンスやガバナンス機能についての管理職員の意識改革を図るとともに、誰もが働きやすい職場づくりの実現に向けた取組の方向性を共有するための指針であることから、職員の組織風土改革への意識を図る上で、管理職員も含めて、多くの職員からアンケートに回答していただくことが大切と考えており、特に管理職員の回答率が低い割合にとどまっているということを厳しく受け止めている。
今回の管理職員の回答率については、アンケート協力の依頼メールが他の多くのメールに紛れ、分からなくなったことなども要因の一つと考えており、アンケートの周知方法を改善するなどして、全ての管理職員が組織風土改革を意識し、アンケートに回答することを目指していく。
Q小林委員 全ての項目で、管理職員より一般職員の認識が低い結果となっており、特に「組織風土改革プラン策定前と比べて風通しのよい職場となってきているか」の問いに対して、「そう思う・ややそう思う」と回答した一般職員は約33%にとどまっている。
この結果をどのように受け止め、今後どのように対応されるのか伺う。
A北村教育部長 管理職員と一般職員の認識に差が見られたことは、組織風土改革に向けた取組に十分ではない点があることの表れと受け止めており、これまで、職員アンケートの結果を本庁幹部職員で共有し、意見交換を行ったほか、各所属においても、風通しの良い職場づくりを自分事として捉える機会を設けるとともに、それぞれの所属の実情に応じた取組を促してきた。
今後も定期的に職員アンケートを実施し、管理職員と一般職員で認識の差が大きかった項目について、詳細に要因を把握、分析し、日常的な部下職員への声かけや随時面談を行うなど、より効果的な取組につなげていく。
Q小林委員 アンケートでは、各種相談窓口の浸透状況について把握しているようだが、新たに設置された外部窓口をはじめ、職員から窓口にあった5年度の相談の実績と主な内容について伺う。
A角谷組織力向上推進室長 5年度の教育庁職員からの相談件数は、6年2月までで、パワハラ相談窓口が2件、セクハラマタハラ等相談窓口が2件、うち、外部窓口が1件、内部通報制度の通報窓口が0件、「何でも相談Online Box」が11件となっている。
主な相談内容は、パワハラ相談では、上司による担当業務からの排除、セクハラ・マタハラ相談では、育児に関する制度の利用阻害、「何でも相談Online Box」では、健康診断結果の面談に関する要望などだった。
Q小林委員 取組の浸透状況を把握するため、今後もアンケートを実施することとされている。
知事部局の実施例も参考に、職員からアイデアや意見を聞き、職場環境や業務改善に反映させるなど、質問内容の工夫も必要と考えるが、見解を伺う。
A伊賀総務政策局長 第1回職員アンケートでは、職場環境や業務改善に関する様々な意見が寄せられたことから、現在実施している第2回職員アンケートにおいては、知事部局で実施している道庁の働き方改革に関するアンケートなどを参考に、働きやすい職場環境を実現するためにどのような取組をすると良いか具体的に聞く項目を新たに設定したほか、管理職員と一般職員の差が大きかった項目の理由や、前回の職員アンケート後に改善が見られた点などについて質問する項目を設定した。
働きやすい職場づくりの実現には、職員の意見を取り入れることが重要であり、第2回アンケート結果を取りまとめるほか、知事部局の取組も参考に、様々な機会で職員の意見を聞くなどして、組織風土改革に向けた取組に取り入れていく。
Q小林委員 2年間とされているプランの取組期間は、折り返し期間にかかった。
本道の教育行政を担う道教委が、文字どおり、風通しの良い職場で意識を高く持ちながら様々な教育問題にしっかりと対応できるよう、今後、どのように組織風土改革を進めていく考えなのか伺う。
A倉本教育長 組織風土改革に向けた今後の取組について。3年度に発生した不正行為は、公平公正な条件のもとでの競争を阻害する極めて重大な不祥事であり、道教委としては、こうした不祥事が発生したことを忘れずに、あらためて、組織の在り方について強い危機感を持ちながら改革に取り組む必要があると考えている。
今後も引き続き、管理職員をはじめ、全ての職員が一丸となって職務に向き合い、職員アンケートの結果などを組織風土改革に向けた取組に反映するなどして、気付く、気にする、気にかけるという道教委組織理念である新3K宣言のもと、風通しの良い職場づくりの実現やコンプライアンス意識の確立、ガバナンス機能の強化を図り、児童生徒や保護者、教育関係者や道民の信頼を取り戻し、期待に応えられる教育行政を展開できるよう、全力で組織風土改革を進めていく。
◆不登校等対策
Q川澄委員 道内の不登校児童生徒数は、小・中・高を合わせて、1・3万人近く。不登校児童生徒は年々増加している状況であり、特に中学生の割合が高まっている。
あらためて、不登校が増えた要因、ならびに、中学生の割合が非常に多い理由をどのように分析されているのか伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒の増加の要因について。教育機会確保法の趣旨が浸透したことに加え、コロナ禍によって生活リズムが乱れやすい状況が続いたことや、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことが難しかったことなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったことなどが背景として考えられる。
また、1000人当たりの不登校児童生徒数は、小学校で16・3人であるのに対し、中学校では71・7人となっており、学校や関係機関等への聞き取りでは、小学校から中学校への進学に当たって、人間関係等の変化、学校の雰囲気になじめないなどの理由から不登校となる、いわゆる中1ギャップの状況が見られ、中学校段階で不登校生徒数が増加すると考えている。
Q川澄委員 現行の学校の在り方に対する子どもたちからの異議申し立てと捉えるべきではないかと考えている。見解を伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 不登校について。道教委が教職員やフリースクール関係者等から聞き取った不登校の要因の中には、教師の指導方針と合わない、学校が目指している子ども像が画一的であり、多様性が認められていないなどの声もあり、学校においては、児童生徒とその学びを支える教師が、学ぶ楽しさや期待を感じながら、共に学校での学びに向かうことができるようにしていくことが求められると考えている。
Q川澄委員 先日、文教委員会の道外調査で広島県を訪問した。不登校の対策推進校におけるスペシャルサポートチームというのがあり、また、広島県教育支援センター「SCHOOL“S”(スクールエス)」というところも見せていただいた。そこでは、不登校になっている子どもたちの居場所をまずつくることが前提だということで取組をされていた。
この点についての所感を伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒への支援について。広島県では、学校において、空き教室を活用し、一人ひとりのペースに合わせて学ぶことができる校内教育支援センターの開設や、1人1台端末を活用し、家庭と教育支援センターを結ぶオンライン学習の促進など、児童生徒個々のニーズに応じた対策をしていると承知しており、不登校が続いている児童生徒に対し、居場所と教育機会の確保に向けた取組として有効であると考えている。
Q川澄委員 まずは道教委が先頭に立って、各教育局内に教育支援センターの設置を検討したり、また、広島県においては、担当の指導主事が「SCHOOL“S”」で対応していたりするわけである。本道でも、そういったところに担当の指導主事を配置するところから始めるべきだと考えるが、見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 教育支援センターについて。道内において、教育支援センターは、札幌市以外の市町村で、58市町村に68施設が設置されており、約3割の市町村が不登校対策を講じている状況である。
道教委ではこれまで、不登校支援として、不登校支援ポータルサイトを開設し、児童生徒や保護者向けに、ICTを活用した学習コンテンツや各地域の相談機関等の情報を積極的に提供するとともに、道教委任用のスクールカウンセラーがオンラインで家庭にいる児童生徒と教育相談ができる体制を整備し、各市町村教委を支援してきたところ。
今後は、他県における指導主事による支援など、先進事例等を調査研究するとともに、引き続き、道内における教育支援センターの効果的な取組を取りまとめ、広域分散型の本道にふさわしい取組の充実に向けて、市町村教委と情報共有していく。
Q川澄委員 不登校対策プランの中に、個々の状況に応じた柔軟な教育課程の編成をすることができる、学びの多様化学校の設置の検討とある。具体的にどのようなイメージであるのか、また、フリースクールや民間団体との連携について、きめ細かな支援とあるが、具体的にどのような連携を考えているのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 学びの多様化学校について。道教委では、市町村に対し、学びの多様化学校について、学校型、分校型、分教室型などの様々な設置が可能であることから、市町村の実情に応じた検討が進むよう、各種の相談に応じるほか、市町村間の連絡調整を積極的に行うなどして、できるだけ多くの市町村で設置が進むよう取り組むこととしている。
また、他県の市町村の中には、教育支援センターがフリースクールと連携して家庭訪問を実施し、教育相談等を行う取組など、学校や教育委員会が積極的に連携し、効果的に支援している事例があることから、道教委としては、他県等の先進事例を収集し、学校に周知するとともに、不登校に関する協議会において情報を共有し、具体的な対策について検討するなど、協議会の機能強化を図るなどして、市町村教委や学校への支援の充実に取り組んでいく。
Q川澄委員 今後、スクールカウンセラーの配置についてどのように考えているのか伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 道教委では5年度、国の事業を活用し、スクールカウンセラーを希望する道内の9割の学校に巡回で訪問できるよう必要数を配置するとともに、広域分散型の本道において臨床心理士等の有資格者が偏在していることを踏まえ、スクールカウンセラーによるオンライン相談の体制を整備し、適切に対応しているところ。
なお、市町村によっては独自にスクールカウンセラーを配置しているケースもあることから、道教委としては、そうした配置のバランスも考慮しながら、スクールカウンセラーのさらなる配置の充実が図られるよう、引き続き、国に対して必要な財源措置を要望するとともに、心理の関係機関・団体等との一層の連携を通じてスクールカウンセラーを確保するとともに、効果的な配置や迅速な派遣に努めていく。
Q川澄委員 登校をためらう子どもたちの思いを受け止めた学校の在り方にすべきだと思う。今後どのように進めようとするのか、見解を伺う。
A山本学校教育監 今後の学校の在り方などについて。不登校児童生徒数が増加傾向にある中、学校は、全ての児童生徒が安心して楽しく通える魅力ある環境であることや、これまで以上に児童生徒の居場所としての機能を担うことが求められている。
このため、道教委では、プランの策定を契機として、各学校において学習指導と生徒指導との関連を意識しながら、安全・安心な学校や学級の風土をつくり出すこと、児童生徒一人ひとりが自己存在感を感じられるようにすること、児童生徒の自己選択や自己決定を促すことといった生徒指導の実践上の視点を生かすことによって、教育活動の充実を図っていくことが重要と考えている。
今後は、市町村教委や学校と課題や認識を共有するなどして連携強化を図りまして、プランに掲げる、学校をみんなが安心して学べる場所にすることの実現に向け、不登校対策に取り組んでいく。
◆働き方改革
Q川澄委員 第3期働き方改革北海道アクション・プランが示された。
道教委が進めている改革と現場の先生が感じている改革に、大きな認識の差があるという点について、その理由を伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 道教委では、平成30年度以来、アクション・プランに基づき、学校における働き方改革を進めてきており、各般の取組は学校現場に浸透しつつあり、時間外在校等時間には一定の改善が見られるものの、依然として長時間勤務の教員が多い状況が続いている。
現場の教職員からは、例えば、ICTの活用によって校務の効率化は進んだ一方で、新たな学びに対応するための研修や教材準備、機器の管理などの新たな業務が負担となっているといった声も聞こえており、道教委としては、これまでの取組が必ずしも教員一人ひとりの働き方を大きく変えるには至っていないことから、業務の一層の縮減など、働き方改革をさらに進めていく必要があると考えている。
Q川澄委員 学校、教員が担う業務の3分類ということで今回示されている。この原則に基づいて、地教委の段階、学校長まで、それについて徹底すべきだ。この見解を伺う。
今後、新たな業務が導入される場合について。例えば、フッ化物洗口がある。
養護教諭の業務ということもあるが、他の先生もいろいろ巻き込んで、さらに負担が増えているという事例もある。新たな業務等については地教委が責任を持って行っていくべきだと考えまる。この点についても併せて伺う。
A谷垣教職員局長 業務の見直しについて。昨年8月に中教審特別部会から提言のあった「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」において、学校、教師が担う業務に係る3分類の徹底が掲げられており、第3期北海道アクション・プランの案においても、3分類の徹底による業務の適正化の一層の推進を基本的な方針に位置付けている。
業務の適正化を着実に進めていくためには、保護者や地域の方々の理解や協力をいただきながら、市町村教委と学校、そして道教委が自らの課題としてそれぞれの役割を果たしていく必要があるほか、新たな業務への対応に当たっては、その必要性や役割分担について、学校全体で認識を共有した上で、スクラップ・アンド・ビルドの観点に立った整理が不可欠であり、道教委としては、今後、市町村教委や学校に対し、通知の発出や啓発資料の配布のほか、各種会議などの機会を通じて、新たなアクション・プランの趣旨の周知に合わせてこうした取組の徹底を図っていく。
Q川澄委員 教員の本務は、あくまでも授業実践と私は考えている。教材研究や授業準備の時間がどの程度確保されているのか、伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 教材研究等の時間について。4年度、道教委が実施した勤務実態調査では、勤務時間内の教材研究等の時間は、1日当たり、小学校で51分、中学校で1時間2分、高校で1時間53分、特別支援学校で1時間17分となっており、令和元年度に実施した前回調査と比較すると、小学校で12分、中学校で4分、高等学校で12分、特別支援学校で7分と、わずかではあるものの、いずれの学校種でも増加傾向が見られるところ。
学校における働き方改革は、教員の働き方を見直すことによって、教員でなければできない業務に集中できる環境を確保し、質の高い学びを実現していくことを本旨とするものであり、必ずしも教員が担う必要のない業務や負担軽減が可能な業務の一層の適正化を図り、教材の研究や準備、自らの学びを深めるための時間など、授業を磨くための時間や子どもたちと向き合う時間を確保していかなければならないと考えている。
Q川澄委員 長期休業中の研修について伺いたい。
子どもたちがいない長期休業中であるからこそ、校外で研修を希望する教員が負担なく校外で研修する権利を行使できる環境づくりに道教委が責任を持って取り組んでいく、また、そういう環境に変えていく必要があると考えている。
今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
A谷垣教職員局長 長期休業期間中の校外研修について。教育公務員特例法第22条第2項に基づき、教員は、校務運営に支障のない限り、校長の承認を受け、勤務場所を離れて、いわゆる校外研修を行うことができるとされている。
長期休業期間中における校外研修は、教員としての資質向上に資するものである一方で、保護者や地域住民の方々にも十分に理解を得られるものであることが求められることから、研修の目的や内容などを精査の上、適切かつ厳格に判断する必要がある。
教員が長期休業期間中に自らの学びを深め、専門性を高めていくことは重要であり、道教委としては、引き続き、自発性や創造性に基づき、ゆとりを持ち、時間をかけて効果的な校外研修を実施できるよう、手続が過度に煩雑になることのないよう周知するなどして、校外研修を実施しやすい環境の整備に努めていく。
Q川澄委員 重要なのは、学校長が校外研修の意義を本当に理解しているのかということ。学校長に対して、校外研修に関する認識や考え方を確実に伝える必要があると思う。再度伺う。
A谷垣教職員局長 校外研修について。道教委ではこれまでも、各学校に対して、夏季休業などの長期休業開始の都度、校外研修の取り扱いについて周知をしている。こうしたゆとりのある効果的な校外研修を通じ、教員が自らの学びを深め、専門性を高めていくことができるよう、引き続き、各学校に適切な実施について周知していく。
Q川澄委員 学校の裁量の定義という点についてあらためて伺う。
A遠藤義務教育課長 学校教育法第37条は、校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督すると定め、校長の教育活動をはじめとする校務運営上の権限と責任を明らかにしている。
教育委員会と学校との関係を定めている学校管理規則は、このことを前提として、学校の組織編制や教育課程、教材の取り扱い等、学校の管理運営に関する基本的事項を定めており、許可、承認、報告等について教育委員会の関与が規定されている。
学校が教育委員会の指示、命令に基づいて行った行為については、指示、命令を発した教育委員会が責任を負うべきであるが、教育委員会の指導助言については、学校がこれを受けてどのような決定を行うかは校長の主体的判断に委ねられている。
Q川澄委員 授業時数や教育内容について、学習指導要領に基づいて学校長と教職員が一体になって、それぞれの地域や実態に合わせて創意工夫を持って編成できることを教育委員会が保障すべきだと思っている。
教育委員会は、しっかりとバックアップすべき立場となるよう求めるところ。見解を伺う。
A川端学校教育局長 教育課程については、校長の権限と責任のもと、編成するものであり、授業時数は、指導に必要な時間を実質的に確保するという考え方を踏まえ、各学校において、児童生徒や地域の実態を十分に考慮して、児童生徒の負担過重にならない限度で標準授業時数を上回って教育課程を編成し、実際に上回った授業時数で指導することが可能である。
また、標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの、災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態によって標準授業時数を下回った場合、その確保に努力をすることは当然であるが、下回ったことのみをもって法令等に反するものとはしないという趣旨が制度上、明確になっている。
道教委としては、今後も、各学校において創意工夫を生かした教育課程の編成が行われるよう、引き続き、市町村教委と連携して指導助言していく。
(道議会 2024-08-08付)
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