元校長の“学校アップデート!” №10 子ども主体の学級づくりとは(札幌市 2024-07-10付)
子ども主体の学級づくりとは
子どもたちが落ち着かない学級の状況は、担任の先生の経験年数にかかわらずどの学校でも起こり得ます。中学校は、教科担任制なので学年の教師集団が落ち着かない学級をチームでサポートして立て直しを図りますが、小学校は学級担任制なので担任の指導力に負うところが大きいです。
小学校では、担任外教諭の力を借りて学級の立て直しを図ろうとすることが多いですが、担任外教諭にとっては「担任の先生を差し置いた取組」にすることはできないので中途半端な関わりになってしまいがちです。そのため、ゴールが見えずいつまでもサポートし続けることになり、学校全体が疲弊していきます。
教師が必死になって頑張るのではなく、本来、子どもたちが主体となって自分たちの学級を必死に立て直そうと頑張るように働きかけることが大切です。ある時、落ち着かない学級には「ある傾向」があることに気付きました。係活動が、当番的な活動に陥っている傾向がありました。係活動は、あくまでも子どもの自治的な活動です。なお「自治」ではなく「自治的」なので、子ども任せにすることなく教師の意図的な関わりが必要不可欠です。
当番活動…必要な仕事を分担して取り組む。
係活動…なくても困らないが、楽しく豊かな学級をつくるために創意工夫して取り組む。
「なくても困らない」が「あったら楽しい」のが係活動です。ところが、落ち着かない学級は、当番的な係活動(黒板係、電気係、時間割係、配り係など)を設定している傾向が見られました。これでは、自分たちの学級を自分たちの力で楽しく豊かな学級にするという意識が育ちにくいです。当番的な係活動は、1年生の入門期(4、5月)のみで、1年生であっても早い段階で創意工夫ができる自治的な活動に切り替えていくと良いです。
係活動は、自分たちの力で楽しく豊かな学級をつくろうとする活動なので、学級経営の充実につながります。つぎの点に留意して係を設置することが大切です。
○3人以上で協力し合って活動できること
※複式学級や人数が少ない学級では、3人以上で組織するのが難しい場合がありますが、たとえ2人であっても固定した力関係が働かないよう教師が関わることが大切です。
○創意工夫ができる活動であること
○継続的に活動できること
○提出物や忘れ物をチェックさせる等の管理的な仕事の補助にならないこと
○子どもの負担過重にならないようにすること
※高学年は、委員会活動でも創意工夫をした活動に取り組むので、係活動での負担を軽
減する配慮も必要です。
学級活動には、教科書がないので、担任の先生が自分自身の小・中学校時代に経験した係活動をよりどころに指導していることが多いのですが、つぎの係は設置してはいけない係なので、全ての教員が知っていることが大切です。
【設置してはいけない係】
●学級会係…司会や記録は、輪番で全員が経験すると良い。
●お助け係やお手伝い係…「他の係や先生のお手伝いをする」は、他者の指示を仰ぎな
がら働くことになるため、係活動としてはふさわしくない。
●体育係…体力向上係はOKだが、準備体操をさせる係は望ましくない。
子ども主体の学級づくりに向けて、管理職が正しい情報を提供し、学校として共通の取組をつくり出していくことも必要です。
北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)
(札幌市 2024-07-10付)
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