札幌厚別中 地域等と共にキャリア教育 講師人材バンクを創設 地学協働へ CS発展も期待
(札幌市 2024-07-11付)

厚別中・キャリア教育
多様な職業の講師から“働くこと”について学ぶ生徒たち

 札幌市立厚別中学校(阿部広一郎校長)は本年度、保護者や地域と共に生徒を育むキャリア教育を目指し「キャリア教育講師人材バンク」を創設した。多様な職種の講師から学び、幅広い視野で進路や将来について考える機会を創出する考え。今後は地域学校協働活動として位置付ける予定で、コミュニティ・スクール(CS)への発展も期待されている。

 同校は、コロナ禍で職業体験機会が確保しにくくなったことなどをきっかけに、新たなキャリア教育の形を模索。3年度から、教育機関の活動支援などを行う一般社団法人未来教育サポートと連携し、独自のカリキュラム開発を始めた。

 1期目となる3~5年度は、2年生総合的な学習の時間を中心としたプログラムを構築。未来教育サポートがコーディネートした様々な職業の講師による体験談などを通して、生徒が働くことの魅力や将来に向けた展望をまとめ、発表する活動を展開した。

 和田圭吾主幹教諭は、3ヵ年の実践を通して「目の前の進路だけではなく、その先を見通して物事を考えられるようになった」と振り返る。また「活動の中でアウトプットの機会を設けることで、発信力やまとめる力が身に付いた」との成果も実感している。

 一方、自分の興味・関心に限らず幅広い視野で活動に取り組んでもらうことなどが課題に上った。将来的に未来教育サポートからの自立・自走を目指す中、多様な人材を確保し持続可能な活動にしていくためには保護者や地域の協力が不可欠と考え、新たに「キャリア教育講師人材バンク」を立ち上げた。

 取組を通して集まった人材を生かし、本年度からの3ヵ年は、対象を全学年に拡大し新たなカリキュラムを始動。2学期以降の総合的な学習の時間で展開する。

 1年生は消費者、2年生は従業員(働く人)、3年生は起業家と各学年で視点を設定し、講師のサポートのもと、取組や環境をより良くするためのアンケートの考案、企画書の提案に取り組んでもらうことなどを構想している。和田主幹教諭は「予測困難なVUCAの時代を迎える中、それに対応できる人材を地域と共に育んでいきたい」と期待する。

 縦割りのゼミを30程度設け、1ゼミにつき講師1人を配置する考えだ。

 5月上旬に開催した教育課程説明会での説明などを経て、人材バンクには6月末現在で保護者ら11人が登録。職業は、プログラマー、獣医、理学療法士、保育士、ネイリスト、看護師、企業の人事総務担当者、建設業など多岐にわたる。

 阿部校長は「平日の昼間に活動してもらうという制限がある中、この人数が集まったのはありがたい。地域や保護者の思い・意識の強さを感じた」と話す。

 未来教育サポートがコーディネートする講師と合わせて全てのゼミに対応する考えで、人材バンクだけで20人程度の確保を目指している。和田主幹教諭は「期末懇談などの機会を通して登録を呼びかけていきたい」としている。

 今後、この取組を地域学校協働活動として市教委に申請する予定。次年度以降に導入予定のCSにつなげていく考えだ。阿部校長は「小学校との連携も視野に入れていきたい」と展望を示す。

(札幌市 2024-07-11付)

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