札幌柏中　人権教室　見て見ぬふりは傍観者　いじめのない学校生活へ

（札幌市 2024-07-12付）

　札幌市立柏中学校（佐野友美校長）は１０日、同校で人権教室を開いた。札幌人権擁護委員協議会こども人権委員長の日下部憲一氏が「いじめのない学校生活を目指して」をテーマに講話。受講した３年生１６０人は、いじめを「しない・させない・許さない」学校生活を送るためのメッセージをまとめ、人権を尊重することの大切さをあらためて理解した。

　本年度の人権教室は「ワークショップを通して相互理解や寛容の心を育む」「いじめを考え、議論することで確かな人権意識を育む」など四つの観点で１６の学習メニューを用意。特に、喫緊の課題であるいじめ問題や情報モラルに関する教材の充実を図っている。

　同校では「いじめは人権侵害」という主題のもと、公平・公正・社会正義の意識を養うことを目的に、道徳の一環として開催。３日日程で全学年が受講した。

　３年生を対象に開かれたこの日は、ＤＶＤ教材「いじめ～それぞれの想い、それぞれの言い分」を上映。文化祭に向けてダンスの練習に励む生徒４人が、小さなすれ違いからＳＮＳによるいじめに発展してしまうもの。生徒たちは、加害者、被害者、傍観者それぞれに思いや言い分があることを確認した。

　日下部氏は「人権は互いに“違いを認め合う心”で守られているもの」と定義。加害者、被害者双方に事情があるとしても「いじめという手段で解決して良いとはならない」と訴えた。

　いじめに関する新聞記事を紹介。滋賀県大津市の事案を契機にいじめ防止対策推進法が定められたことや、札幌市内におけるいじめの認知件数が年々増加傾向にあることを示した。

　その上で、今春の札幌市いじめ防止基本方針の改定内容に言及し①いじめを自らの問題として主体的に考える②いじめ防止を自分たちの手で進める―として「自治的な活動に積極的に取り組んでいくことが求められている」と強調。ＤＶＤの内容を自分事として受け止め、理由をしっかりと考えることの大切さを説き「いじめは皆さんの成長を足踏みさせたり、停止させたりする。一人ひとりの努力や仲間との協力で、いじめのない学校生活を目指そう」と呼びかけた。

　このあと、各教室で授業。生徒たちはＤＶＤの内容を踏まえて、加害者、被害者、傍観者のせりふで印象に残った言葉とその理由を整理。「いじめ知り　見て見ぬふりは　傍観者」「そのあやまちが　一命を奪う」「“何もしない”じゃなくて　少しでも“動こう”としよう！」など、グループに分かれて自分たちのメッセージを短冊にしたためた。

(札幌市 2024-07-12付)