いじめ防止等に向けた取組推進へ会合 11月下旬 幌南小で授業公開 加害者等の心理に焦点 札幌市教委
(札幌市 2024-07-12付)

幌南小いじめ防止取組推進

 6年度札幌市研究開発事業「いじめの防止等に向けた取組の推進」が始動した。いじめの加害者・傍観者の心理に焦点を当てた体験的な授業づくりを進め、11月下旬ごろに幌南小学校で公開する予定。また、実際の事例をもとに対応などを示す教育支援プログラムを作成する。10日、市内のSTV北2条ビルで研究推進に向けた第1回全体会が開かれ、出席者で児童生徒の指導、支援に向けて必要なことなどを話し合った。

 市教委が4月に改定した市いじめの防止等のための基本的な方針で、再発防止に向けた取組の一つに「心理や法律等の専門家監修のもと、いじめの加害者・傍観者の心理を踏まえた未然防止教育や、加害者の深い反省を促し、再発防止につなげる指導プログラムを作成する」ことを掲げている。

 これを踏まえ、研究開発事業における研究課題の一つに「いじめの防止等に向けた取組の推進」を設定し、本年度から3ヵ年で研究に取り組む。

 専門家の知見を取り入れながら、いじめの加害者・傍観者の心理に焦点を当てた授業公開を伴う実践研究を行うとともに、体験しながら学ぶ等の教育支援プログラムを作成し、成果を市全体へ広める。

 推進委員は、大宮健一委員長(幌南小校長)をはじめ各校種の教諭や養護教諭9人で構成。このほか、有識者アドバイザーとして弁護士の渡邉太郎氏、市スクールカウンセラースーパーバイザーの手代木理子氏、市スクールソーシャルワーカースーパーバイザーの高野和美氏を招いた。

 はじめに、市教委の竹村正児童生徒担当係長が未然防止教育となる授業づくりについて説明。

 校種間の連続性を意識し、中学校や高校も参考にできるよう小学6年生の道徳をモデルとして示すことを伝えた。推進委員の一人で幌南小の杉原亮平教諭が授業者を務め、11月下旬ごろに公開する予定とした。

 7年度使用開始の教科書から、独り歩きした噂によって一人の児童が傷つく様子を傍観者の視点で描いた「森川君のうわさ」を題材に使用。いじめの加害者・傍観者の心理に焦点を当てた体験的な授業を目指すと説明した。

 再発防止につなげる教育支援プログラムについては、実際の事例をもとに必要な対応などを提示。図やフローチャートなどを使った分かりやすい形式を想定しており、年度末ごろに各学校に配布する予定とした。

 協議では、委員から「事案の全体像を把握し、チームで対応するためには役割分担をはっきりすることが大事」「“いじめられる側にも原因がある”と考えている児童生徒が一定数いる。その子たちがもやもやした思いを抱えたままにならないよう、まずは話を聞き“いじめではない方法で解決できないか”などとアプローチすることが大切」などの意見が上がった。

 有識者から、渡邉氏は「いじめと決めつけずに対応することが大事。関係者を整理し、その中で誰をケアしなければならないかという視点でプログラムを作成してほしい」と助言。

 高野氏は「まずは今何が起こっているのかを俯瞰して見る姿勢が大事。全体像を把握できるマップなどを活用する手法も考えられる」と述べた。

(札幌市 2024-07-12付)

その他の記事( 札幌市)

札幌市教委 働き方改革取組表彰 事業提案型 新規も受付 6年度 31日まで募集中

 札幌市教委は「みんなの工夫で学校を変える 働き方改革取組表彰事業」の6年度の実施内容を固めた。事業提案型の募集要件を変更し、既存の取組をブラッシュアップする提案に限らず、新規の取組など幅広...

(2024-07-16)  全て読む

札幌市中央図書館 全国で2例目 番組アーカイブネット導入 17日から受賞作など視聴可能

 札幌市中央図書館は、公益財団法人放送番組センターが展開するサービス「全国放送番組アーカイブ・ネットワーク(番組アーカイブネット)」をあす17日から導入する。全国で2例目。各賞の受賞番組や放...

(2024-07-16)  全て読む

札幌市教委 女性管理職の割合 0.9P増17・8%に 小学校教頭 9人の大幅増

女性管理職の割合  札幌市教委のまとめによると、4月1日現在の教職員における女性管理職の割合は、前年度と比べ0・9ポイント増の17・8%となった。特に、小学校教頭が9人の大幅増となっている。  市立小・中学...

(2024-07-16)  全て読む

札幌みなみの杜高支 プロギング 南区をきれいにしよう 中学生や地域住民と清掃

みなみの杜高等支援プロギング  市立札幌みなみの杜高等支援学校(小山学校長)は11日、プロギング2024を開いた。ごみ拾いスポーツを南区で行うもので、エコサイクルコース3年生が企画。南区内の中学校3校の生徒や近隣住民ら約...

(2024-07-16)  全て読む

米国グラント高 秋元市長表敬 おもてなしの心に感動 札幌市立高生交流の一環

グラント高生表敬訪問  札幌市立高校生との交流事業のため来札しているアメリカ・ポートランド市グラント高校の生徒16人が9日、秋元克広市長を表敬訪問した。代表生徒は、日本人の“おもてなしの心”について「信じられない...

(2024-07-12)  全て読む

札幌市 こども誰でも通園制度 8月から13ヵ所で試行 ウェブや電話で登録受付中

 札幌市子ども未来局は、こども誰でも通園制度の試行実施を8月から開始する。市内の認可保育施設など13ヵ所で、保護者の就労状況にかかわらず子どもを受け入れる。さっぽろ子育て情報サイトやコールセ...

(2024-07-12)  全て読む

札幌柏中 人権教室 見て見ぬふりは傍観者 いじめのない学校生活へ

柏中人権教室  札幌市立柏中学校(佐野友美校長)は10日、同校で人権教室を開いた。札幌人権擁護委員協議会こども人権委員長の日下部憲一氏が「いじめのない学校生活を目指して」をテーマに講話。受講した3年生16...

(2024-07-12)  全て読む

札幌市立学校 6年度夏季休校日 8月13~15日の3日間 任意設定や16日休校も可

 札幌市教委は、市立学校における6年度の夏季休校日を8月13、14、15日の3日間に決定した。各学校は、3日間の中から任意の日を休校日として設定することが可能。さらなる休日確保に向け、16日...

(2024-07-11)  全て読む

色鮮やかに実って 文字入りリンゴ制作へ袋掛け 札幌美園小

美園小・リンゴの袋掛け  札幌市立美園小学校(鈴木真由美校長)4年生83人は6月下旬、市内の環状通リンゴ並木で「文字入りリンゴ」の制作に向けたリンゴの袋掛けに取り組んだ。色鮮やかなリンゴが実るよう願いを込めて、一つ...

(2024-07-11)  全て読む

命を大切にする指導徹底へ通知 夏季休業期間前後 子の変化に注意 いじめ 早急に対策会議 札幌市教委

 札幌市教委は9日、命を大切にする指導の徹底および夏季に向けての幼児児童生徒の指導について各園長・学校長宛てに通知した。夏季休業期間前後の幼児児童生徒の変化を見逃さないよう、いじめの疑いを把...

(2024-07-11)  全て読む