札幌福移学園でNIEセミナー 自作の新聞 新聞記事と比較 5年社会 地域の自然環境考える(札幌市 2024-07-10付)
NIE第8回札幌地区セミナーが5日、札幌市立義務教育学校福移学園(福井浩史校長)で開かれた。5年生社会科「自然条件と人々のくらし」(福本勇太教諭、児童数10人)では、児童たちが作成した新聞と新聞記事を見比べる活動を展開。福移地区で行われてきた水害対策や低地を生かす営みへの理解を深める一方で、湿地が果たす役割や保全することの大切さなど、新たな考え方に気付いた。
セミナーは、道NIE推進協議会(菊池安吉会長)および道NIE研究会(菅原隆司会長)の共催。子どもたちの「学ぶ力」「メディアリテラシー」を育成するため、学校教育における新聞活用の在り方を検証し、授業実践に生かすことを目指すもの。道内の教育関係者約30人が参加した。
5年生社会科「自然条件と人々のくらし」においては、視点として①新聞を「読む」ことを通して言語活動の充実を図る②他者と関わり合う中で学び合う力を高める―の2点を設定。12時間扱いの12時間目に当たる本時では、人々が自然環境に適応して生活していることを理解するとともに、互いの新聞を見合うことで新たな見方や考え方に気付き、学びの見直しや適切な表現ができることを目指した。
福本教諭は導入で、児童たちが前時までに作成した新聞の構成を振り返らせたあと「友達の新聞を見て“なるほど”と思った内容や“自分と同じだ”と思ったところを書こう」と呼びかけた。
児童たちは、友達が作った新聞を読みながら「低地での生活の大変さがよく分かる」「堤防を造って低地を生かしたところが書いてあって良い」「福移の人々が水害をどのように乗り越えたのかが分かりやすい」など、感想を次々とホワイトボードに書き込んだ。
福本教諭は、書き込みを終えた児童たちに「どんな災害だった?」「どうやって乗り越えた?」「具体的な対策は?」「湿地を生かした取組は?」などと問いかけ、これまでの学習や新聞記事を見比べて分かったことを確認。低地を克服したり、生かしたりする人々の営みへの理解を深めさせた。
一方で、開発によって失われた湿地の保全に取り組む活動を取り上げた新聞記事を紹介。児童たちは、福移地区が石狩平野にわずかに残った湿地の一つであることを確認するとともに、湿地が希少種の生息を支えたり、水をためたりする役割を果たしていることを理解した。
その上で、福本教諭は、新聞記事を読んで気付いたことを自分たちの新聞に盛り込むよう促した。
授業後の研究討議では「情報を適切に調べ、まとめる技能の育成」「自然環境の特色と国民生活との関連を多角的に考え、考えたことを分かりやすく説明する力の育成」と新聞活用の関わり方について意見を交わした。
(札幌市 2024-07-10付)
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