知を育む文脈ある学び 道教大附属札幌小が研究大会 3年算数 給食の課題解決へ(札幌市 2024-07-09付)
道教育大学附属札幌小学校(寺田貴雄校長)は5日、同校で6年度教育研究大会を開催した。研究主題「“わたし”がそこに在る学校」のもと、17授業を公開。特設授業の3年生算数では、学校生活の身近な課題に関するデータを分類・整理し、生活経験などと関連付けながら原因を考察させる活動を設定した。
同校は昨年9月から、研究主題「“わたし”がそこに在る学校」、副主題「実践的な知を育む、文脈のある学び」のもと新たな研究に取り組んでいる。
文脈のある学びを支えるため①文脈に真正性を生む②目的・目標の更新を促す―の二つの手だてを講じた学習活動を展開している。
さらに、“わたし”がそこに在る学校づくりに向け、各学年の総合的な学習の時間の内容を再構築。児童が学校生活に直接関与できる活動を中心とした単元を位置付けた。
3年生では給食調理員の困り感を切り口に課題解決に向けた行動を促す「給食室調査隊」、6年生では運動会応援Tシャツのデザインから販売までの一連の流れを経験する「附属をproduce」などを設定。各教科等との関連を図りながら、実践的な知を活用・創出する場をつくり出している。
特設授業の3年1組算数「給食室調査隊~データで解決!後片付け問題」(園部穂教諭)では、総合的な学習の時間と関連させ、実践的な知「学校生活における問題に対して、データから納得できる判断を導く力」の育成を目指した。
本時では「洗い直しの必要があった食器の枚数」というデータを「種類」「日付・曜日」の二つの観点に着目して分類・整理し、生活経験や給食の献立と関連付けながら原因を考察する活動を設定した。
園部教諭は導入で、前時に調理員への感謝の気持ちを伝える「ありがとうの花カード」を贈呈したことを振り返り、調理員からのお礼のメッセージ動画を映し出した。
動画の中で「食洗器に入れても汚れが残っている食器があり、手で洗い直す必要がある」という課題が取り上げられ、児童たちは「食べ残しが原因かもしれない」「大変そう」と問題意識を抱いた。
給食で使われる食器として、おかず・自校炊飯米用の「皿」、白米用の「オレンジカップ」、丼物・麺類用の「丼」、汁物用の「緑カップ」の4種類があることを確認した上で、園部教諭はロイロノートに、1週間分の洗い直した食器の一覧を提示した。
一覧は種類や日付がバラバラの状態になっており「並べ直して表やグラフにした方が分かりやすい」との意識を醸成した。
最初に、種類別に整理した児童の考えを取り上げ、皿が9枚、丼が8枚、オレンジカップと緑カップが各7枚だったことを確認。あまり差が見られなかったことから「食器の種類が原因ではないのかな」などの結論に至った。
つぎに、日付・曜日順に整理した児童の考えを紹介すると、各曜日で洗い直しの多かった食器の種類が判明。「この日は丼の洗い直しが多い。ご飯粒が原因ではないか」「丼はラーメンなどにも使っているので、ご飯粒が原因とは限らない」などの意見を交流させ「献立が分かれば原因が分かりそうだ」との考えを引き出した。
児童たちは、各曜日の献立と整理した表を照らし合わせ「この日に丼の洗い直しが多かったのは、みそカツ丼のご飯粒が原因」「緑カップの洗い直しが多かった日は、とろみがあって汚れが残りやすいコーンシチューが入っていたんだ」などと分析した。
授業後は、武蔵野大学教育学部の小野健太郎准教授が「オーセンティックな学び」と題して講演した。
(札幌市 2024-07-09付)
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