札幌市立幼・校の暑さ対策　移動式空調整備が大詰め　幌南小　扇風機と併用し子の安全確保

（札幌市 2024-07-08付）

エアコンが効いた教室で授業を受ける児童たち

　札幌市立幼稚園・学校の暑さ対策として、移動式エアコンの整備が大詰めを迎えている。６～９年度に行う常設エアコンの整備が完了するまでの緊急措置として進めているもの。幌南小学校（大宮健一校長）では、扇風機と併用して冷却効率を上げるなど、児童の安全確保に向けて工夫を凝らしている。

　４日、市内の最高気温は２５度を超える夏日となった。幌南小６年２組（児童数３３人）の授業中、学級担任が教室後方の窓に設置されたエアコンの電源を入れると、児童たちは「涼しい！」「気持ちいい！」と声を上げた。

　昨夏、市内では統計史上最高気温となる３６・３度を記録するなど過去に例のない猛暑が続いた。これを踏まえ市教委は、第２次まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン２０２３に基づき、６～９年度の４年間で全市立幼稚園・学校の普通教室等に常設エアコンを整備する計画だ。

　移動式エアコンの設置は、それまでの緊急措置として行われているもの。６月末までに普通教室等３８６４室分の納品が完了しており、現在各学校で設置作業を進めている。

　６月に全普通教室等への取り付けが終わった幌南小には、窓に固定するウインドエアコン（冷房能力１・６㌔㍗）２０台、大型のスポットクーラー（同２・３㌔㍗）２台の計２２台が導入された。

　ウインドエアコンは各教室の後方窓に設置。以前から導入している壁掛けタイプの扇風機と併用し、冷房効率を上げる工夫を取り入れている。大宮校長は「風向きが変えられない仕様のため、入り口側に設置していた扇風機をエアコンの近くに移動し、冷気を循環させている」と説明する。

　電源のオン・オフは、各学級担任がその日の気温や暑さ指数、児童の様子などを踏まえて判断するという。各教室に暑さ指数計を設置しているほか、暑さ指数が高いと見込まれる日には教頭が教職員に連絡するなど、状況が把握できる体制を整えている。

　大宮校長は「常設エアコンより威力は弱いが、熱中症のリスクを下げる働きはある」と一定の効果を実感している。

　同校では、移動式エアコン導入後もネッククーラーの着用や水筒の持参を可としている。このほか、保健室前の掲示板に「きょうの暑さ指数」を示すなど、児童に暑さ対策への意識付けを図っている。「様々な対策を組み合わせて進めていきたい」と話す。

　市教委の宮本広行学校施設課長は「各学校で暑さ対策に向けて様々な工夫がされている。一日も早く常設エアコンを設置し、子どもたちに安全・安心な環境を提供していきたい」と展望を示す。

この記事の他の写真

ウインドエアコンと扇風機を設置して冷気を循環

(札幌市 2024-07-08付)