札幌市博物館センター等が研究　クジラ化石 新種と判明　日本古生物学会冊子に掲載

（札幌市 2024-08-20付）

　札幌市博物館活動センター、むかわ町穂別博物館、山形大学が共同で平成２０年から調査研究を進めてきたクジラ化石が新種と判明し、日本古生物学会が発行する英文誌「パレオントロジカルリサーチ」に正式掲載された。論文題は「北海道の前期中新世紀前期の地層より見つかったイサナケタスに似た新たなヒゲクジラ化石について」。論文では、これまで知られていなかったヒゲクジラの新種について「道内に生息していた可能性が高い」と分析している。

　平成２０年６月に平取町で発見され、穂別博物館に収蔵されていた同化石は、札幌市博物館活動センターの田中嘉寛学芸員、山形大の本山功教授、むかわ町穂別博物館の櫻井和彦館長が２９年から見直しを含めた調査研究を開始。ヒゲクジラの一種で原始的な「イサナケタス」に似た異種と考えられていた。

　イサナケタス系化石の国内の産出例は少なく、道内で判明したものは大樹町で見つかった中期中新世（１５００～１１５０万年前）のタイキケトゥスのみだった。

　論文では同化石について「前期中新世以前から道内に生息していたものと判明した」と明記。これまで知られていなかった新種がいた可能性を明らかにした。

　市博物館活動センターでは市内の小金湯で発見されたクジラ化石の研究にも着手しており、クジラの進化を解き明かすことに注力している。

(札幌市 2024-08-20付)