金融教育充実へシンポジウム 豊かさ探究する契機に 公民科・家庭科連携学習会(関係団体 2024-08-23付)
公民科・家庭科連携金融経済教室
公民科家庭科連携学習会事務局、道金融広報委員会、金融経済教育推進機構(J―FLEC)は17日、ホテルライフォート札幌で「公民科と家庭科の先生のための連携金融経済教室」を開催した。代々木ゼミナール公民科講師の畠山創氏による講演やシンポジウムを実施。社会参画の意識の醸成や豊かな人生を探究する利点を踏まえ、金融教育の一層の充実を図る必要性を確認した。
家計管理や消費生活、生活設計などの家庭科の視点と公共や経済に関する公民科の視点の教科等横断的な連携を深め、生徒の多面的・多角的な理解と深い学びを促すことがねらい。
公民科・家庭科の教員、金融教育に関心を持つ教育関係者、金融機関の金融教育担当などオンラインを含め道内外から約70人が参加した。
道金融広報委員会の岡田拓也事務局長による開会あいさつに続き、代々木ゼミナールの畠山氏が「公民科と家庭科をつなぐICTを活用した金融教育」と題して講演。わが国における金融資産や各国における金融教育の現状、株価ボードやチャート分析などリアルタイムで情報を視覚化するICTと金融教育の親和性を紹介した。
また、金融の正負両面を伝えることで学ぶきっかけを提供する教師の役割や、コスト意識による社会参加の促しなど金融教育の利点を解説。課題解決の力を身に付けるとともに、人生の豊かさを探究することで貧困を解決する重要性を説いた。
続いて財務省主計局調査課課長補佐の大本エリナ氏が、未来の視点から持続可能な社会の仕組みをデザインする「フューチャー・デザイン」の授業について講演。標津高校の工藤有紗教諭、有朋高校の野尻千裕教諭が教科等横断的な授業実践の成果を報告した。
最後にシンポジウムを実施。標津高の工藤教諭は、SNSによる詐欺やマルチ商法などの消費者被害が増加していることから、被害時の対応や相談窓口など必要な知識を子どもたちに伝える大切さを指摘した。
有朋高の野尻教諭は、金融につながる家庭科の選択科目「消費生活」を取り入れるなど、情報リテラシーを身に付ける学びを充実させる必要性を提起した。
道金融広報委員会の岡田事務局長は、教師自身が金融の知識を身に付けるためJ―FLECによる教員向け講座を周知。「年々物価が上昇し、資産が減少していく現状を若い世代に伝えることが必要」と述べた。
司会を務めた道高校遠隔授業配信センター(T―bace)の佐藤豊記次長は、生徒が自分自身の問題として資産形成、投資、貯蓄について理解を深める金融教育の意義を強調。代々木ゼミナールの畠山氏はインフレを見据えた長期的な視野で資産形成や投資に関する理解を深めていく必要性に触れ「貧困を少しでもなくす社会目的と併せて金融教育を進めることが大切」と述べた。
(関係団体 2024-08-23付)
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