札幌上白石小　市内で唯一の鼓隊　秋の彩り　音色に添え　演奏会開催　地域の伝統に

（札幌市 2024-10-15付）

伝統の制服で身を包み、立派に演奏する児童たち

　堂々とバトンを振るう指揮に導かれ、太鼓や鉄琴を奏でながらグラウンドを行進する児童たち。今や市内で唯一となった札幌市立上白石小学校（足立教校長）の「鼓隊」活動は、リズミカルな音色とともに地域に秋の彩りを添えている。

　日本鼓笛バトン・フォーム連盟によると、学校教育における鼓笛演奏は、東京オリンピックの機運が高まった昭和３０年代から活発化した。しかし、練習時間の確保の難しさや、衣装・楽器の購入費などの負担感から次第に減少。平成以降は教育活動外で地域の協力を得て取り組むスクールバンドやマーチングバンドに移行する学校が増え、市内においてもコロナ禍で活動を中止する学校が増えたという。

　同校では昭和３７年から「鼓笛隊」として活動を開始。６１年の第１回冬季アジア大会をはじめ、様々なイベントや式典で演奏を披露するなど、輝かしい伝統を誇る。

　発足当初は高学年からの選抜によって活動してきた同校も、現在は「鼓隊」に姿を変え、６年生全員が参加する活動に位置付けている。指揮者や楽器パートはオーディションで選抜。児童たちは休み時間や放課後、音楽科の授業などで、半年間にわたって練習に励む。　　

　毎年秋の鼓隊演奏会には、学年全体で息の合ったドリル行進を見ようと、多くの地域住民や保護者が訪れる。

　ことし９月の演奏会で指揮者を務めた小西杏菜さんは「最初は皆バラバラだった演奏が、一体感を持てるようになった。めりはりをつけることの大切さを学んだ」と晴れ晴れとした表情を浮かべた。

　６年生の卒業が近づく２月には、５年生への引き継ぎ式がある。足立校長は「演奏会を見た下級生が上級生の姿に憧れを抱き、伝統を引き継いでいく流れが学校に愛着を育むきっかけになる」と目を細める。児童たちの生き生きとした姿は上白石地区を笑顔で包む活動の一つとして確かに息づいている。

(札幌市 2024-10-15付)