札幌札苗緑小　「夢の力」特別授業　心の中の好きを大切に　車いすテニスパラ・二條氏

（札幌市 2024-10-18付）

元パラリンピアン二條実穂さんによる講演会

　札幌市立札苗緑小学校（熊谷雅史校長）で１０日、車いすテニスパラリンピック元日本代表の二條実穂さんによる特別授業が日本航空（株）との共催で行われた。「夢の力」をテーマに、世界とつながることで目標が広がった経験を講演。児童たちに「心の中の“好き”を大切に、夢をかなえて」とエールを送った。

　二條さんの所属先であるコンサルティングなどを手がける㈱シグマクス・ホールディングスが、社会貢献の一環として５年度から無償で実施しているもの。前年度は市内の小・中学校３２校で行い、本年度は市のほか旭川市、二條さんの故郷の深川市の３市で実施する。

　講演は同校の高学年児童１８０人が参加。日本航空で空育Ⓡを担当する客室乗務員の磯川沙希さんと二條さんが世界を飛び回ったそれぞれの立場から、夢の実現に近づくために意識していることを伝えた。

　磯川さんは顧客目線で対応する客室乗務員の職業を踏まえ、相手の立場に立つために、周囲とのコミュニケーションの重要性を実感。児童に向けて「困難や失敗はレベルアップするための経験」と呼びかけ、自身も「日本航空の仲間と手を取り合っていきたい」と語った。

　二條さんは「日本一の大工」を目指していた２３歳の時、建築現場の足場から転落し、脊髄を損傷。夢を打ち砕かれたが、テレビで車いすテニスを知り、パラリンピックの舞台で「世界一の選手」を目指すようになった。各国の選手との交流や応援してくれる友人や家族の存在も大きな目標につながった理由の一つとし「“好き”の気持ちがつらいことを乗り越える力になり、その先に夢がある」と強調。「夢を公言することで応援してくれる仲間も増える。何事も無理と言わずに挑戦してみてほしい」と呼びかけた。

　授業ではバリアフリーをテーマに、生活用車いすと競技用車いすの違いを学ぶ機会も設定。児童は車いすで飛行機に乗る方法や日本航空のアクセシビリティーに関する取組などを学び、ノーマライゼーションや多様性について理解を深めた。

(札幌市 2024-10-18付)