札幌市教委 理科、体育を窓口に 小学校専科指導を研究 担任と連携、校務分掌工夫等(札幌市 2024-11-12付)
札幌市教委は本年度、市研究開発事業の一環で小学校における専科指導の在り方について研究を進めている。理科と体育を窓口に、指導の工夫、学級担任との連携、校務分掌の工夫などを探っている。6日、理科専科教員の資質向上に向けた研修会を開き、研究推進校の美香保小学校の担当教諭が実践を披露した。
個に応じたきめ細かな指導と中学校の学びにつながる系統的な指導の充実を図る観点から、本年度の研究課題の一つに設定。
研究推進校に美香保小、北光小学校の2校を指定し、それぞれ理科、体育の専科指導の在り方について研究を進めている。
専科指導の実施に関する研究内容は、専科教員の担当時数や実施学年の設定、時間割調整等の工夫、教科の資質・能力の育成に向けた指導の工夫、学級担任との連携の在り方など。
校務運営の在り方については、専科指導中における学級担任の時数活用方法、会議や校務分掌等の工夫、指導計画や時間割等の環境整備の方策などを探る。
研究を通して、学習に対する効果、教員の成果認識や課題などを把握・分析する。
6日に市内のちえりあで開催した理科専科教員らを対象としたパワーアップ研修会には、32人が参加。美香保小で専科指導を担当する幡宮嗣朗教諭が実践上の工夫などを講義した。
カリキュラム編成に当たって、時間割を2週間ごとに作成していることを紹介。そうすることで「動植物の“旬”を逃さない指導ができる」「準備・片付けが大変な授業の調整がしやすい」「観察実験アシスタントの活用がしやすい」といったメリットがあると説明した。
理科指導特有の問題として挙がる、天候に左右されやすい単元や動植物を扱う単元への対策を示した。
例えば、3年生の「太陽とかげ」は、少しでも空が曇ってしまうと観察や実験が不可能になってしまう。そのため、複数の単元と並行し、天候不良時にもう一方の単元を実施していると説明した。
観察のタイミング調整が難しい3年生「植物を育てよう」「昆虫のかんさつ」などは、年度初めに学級担任に実施してもらうという方法を示した。ただし「のちに関連単元がやりにくい」「評価を統合する必要がある」といったデメリットがあるとした。
夜間の観察が必要になる4年生「月や星の見え方」、6年生「月の形と太陽」などは、観察期間を設定し家庭に協力を仰ぐなどして対応しているという。
専科教員は、3~6年生までの多くの児童に関わるため「子どもの変化に気付きやすい立場」と分析。学校組織の中で「理科の授業を通した学ぶ力の育成」「子どもの変容をキャッチする」という役割があると伝えた。
このあと、グループ協議を行い、参加者間で専科指導の成果と課題、日常実践の工夫などを交流した。
参加者からは「実際に専科指導をしている際の悩みや難しさが共有でき、同じようなところで困っていることが分かった。それをどのように解決していっているのかも具体的に知ることができて良かった」「“そうそう、それが困っていた!”ということの解決策を具体的に教えていただいて自分の財産になった」などの感想が寄せられた。
(札幌市 2024-11-12付)
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