教職員の協力を高める学校づくり〈№151〉 今求められる職場の同僚性 働き方改革を進める学校づくり④(教職員の協力を高める学校づくり 2024-11-15付)
今号はシリーズ①で触れた開かれた学校の創造、職場の同僚性について記述します。
先に教頭職の業務の軽減について記述します。多忙に多忙を重ねる教頭の様子を見て「校長になりたいと思うが、教頭の姿を目の当たりにすると、とても管理職を希望する気になれない」と複数のベテラン教師が述べていました。
確かに教頭の業務として提出期限に遅れず調査書などを的確に作成する力を身に付けることは、学校の教育活動の全体を把握する機会として重要です。
押し寄せる報告書の作成や、地域活動の事務局を担うのは校長への登竜門であるなどとよく聞きますが、働き方改革は教職員ばかりではなく、まず教頭業務の軽減を図るべきであり、本来の教職員への助言、相談の時間が取れるようにしなければ学校としての機能が円滑化されません。
教頭職の業務分担の効率化のため、校長のリーダーシップにより、教職員の理解を得ながら役割分担を分掌に担い、教頭の業務は作成物のチェック機能へと可能な範囲で変換する必要性を感じます。
つぎにチーム学校としての開かれた学校の意義を理解せず、「地域との連携は面倒」「土日の休日に地域の一員として活動するのはしんどい」「校区に住んでいる訳ではない」など否定的な声をよく耳にします。その結果、地域行事などに校長や教頭が参加するだけの学校も見られます。
今後とも複雑化し多様化する様々な児童生徒の対応は学校だけでは担うことができない状況になってきています。
保護者や地域、関係機関と連携を密にしながら教育活動を進めることは、自校の教育活動の充実と発展は当然のことですが、それによって教師の働き改革につながります。一般に学校の業務はつぎの三つに分別することができます。
①授業や校内における生徒指導など学校が担わなければならない教育内容
②給食費など学校徴収金の徴収・管理、放課後から夜間にかけての見回り、登下校の指導など必ずしも学校が担う必要のない業務
③現在進行している部活動の指導の地域移行化など、教師の負担軽減が可能な業務―などがあります。
さらに地域のボランティアスタッフ席やスクールソーシャルワーカー(SSW)席を設け、地域行事への参加の取りまとめや、支援が必要な児童生徒や家庭への対応などが期待されます。また学習支援員は多くの学校で配置されていますが、単なる授業中の見守りではなく、教育活動を進める上で様々な教育支援を地域の皆さんの理解のもとに進めることも可能です。
ただし地域ボランティアの方々や様々な機会に学校に協力いただける方には、教師の働き方改革を前面に打ち出す(誤解され、地域自治会との関係が悪化した事例があります)のではなく、チーム学校としての重要性や教育活動上知り得た児童生徒の情報はくれぐれも他言しないようお願いすることが必要です。
さらに学校への各種ボランティアとして協力していただいている方に、定期的に学校にお越しいただき労をねぎらうとともに情報交換の機会を持つようにします。
最後に職場の同僚性です。職場の同僚関係と働き方改革は、相互に影響を及ぼす重要な要素と言えます。当然のように望ましい同僚関係にある場合は、互いの協力関係が日常的となり、コミュニケーションが活性化されチームワークが促進され、教育業務がスムーズに進むことが期待できます。さらに互いのサポート関係が成立している場合は、ストレスを軽減できるとともに教育活動についての満足度を高めることができます。
同僚性を高めるためには様々な機会が必要となりますが、自分と他者が相互に補い合える関係として、自分にない良さを互いに認め合う関係を築くこと。さらに教師間で相互に余剰の情報を共有し、組織内に無駄な情報を取り込み、相互に異なった視点からの有意義な問題に気付くことができる関係を築くことを醸成することが、働き方改革ではますます求められると理解しています。
〈参考文献〉
▽広島工業大学紀要教育編第16巻(白岩博明、2017)
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2024-11-15付)
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