教職員の協力を高める学校づくり 〈№147〉 予習重視する振り返り学習 ディープラーニングのすすめ④(教職員の協力を高める学校づくり 2024-09-20付)
今号は予習と授業を効果的に組み合わせるディープラーニング(深層学習)学習法を皆さんに提供いたします。
実践可能年齢について、人が外界のものを認知する枠組みを「シェマ」と名づけ、それを学ぶ過程を「同化」「調節」「均衡化」の三つのステップに分けて考える認知発達理論を提唱した児童心理学者のジャン・ピアジェの分類による「論理的思考が発達し、他者の立場に立って行動できるようになる」具体的操作期である7~10歳、さらに「知識・経験を応用し、結果を予測して行動や発言ができるようになる」形式的操作期に該当する年齢から可能な学習法と言えます。
特に理科、数学を中心とする抽象的思考に有効な手だてであると言われ、時代が期待するディープラーニングの学習法として現在、実践研究が進められています。
ご存じのように、授業後に復習(私は復習を否定していません)するより、予習し学校での授業を予習の確かめである自身の振り返りの場として活用する学習方法が、長期記憶(学習した内容を長期間、脳に保存し、また必要に応じて学習内容を脳から引き出しやすい)に有効であるとされ、復習は学校での学習内容を整理し、その整理する過程で理解をさらに深めるといった効果があります。
ディープラーニングでは復習に偏りがちな学習ではなく、予習を重視するストラテジーとして、「仮称マインドマップによる振り返り学習」と題して読者の皆さんにディープラーニングの教育方法の一例を紹介します。
まず予習は学習のキーワードをマインドマップ(英国の著述家・教育コンサルタントであるトニー・ブザンが考案し、英国公共放送BBCによって「マインドマップで子どもの学習効果が上がった」とされており、テーマに関連するイメージのことを「セントラル・イメージ」という)とし、セントラル・イメージから情報の枝を加えていきますが、セントラル・イメージから伸びる枝「メイン・ブランチ」によってまとめ、授業日の最初に、グループとなり各児童生徒が作成したマインドマップを発表し意見を交流します。
その後、深い学びを創設するため教師は授業をファシリテートし、必要な質問を受け、児童生徒全体の思考に付し、教師の説明を加えるなどして授業を進めます。
この学習ストラテジーは学習の大きな課題である動機付けの達成と、学びの主体化さらに探究的学びを進めることができるディープラーニングと言えます。
マインドマップによる振り返り学習は、反転学習(授業前に教材などを活用して事前学習し、授業で意見交換をしたり、学び合い・教え合いをしたりする授業形式)の要素も含まれています。
活用上の課題としては、学習の導入の意義への理解と、予習の段階でマインドマップをどの程度まで深めて作成できるのか。また作成してこなければ、授業への参加がおぼつかないことになり、特定の児童生徒には個別的配慮と指導が必要となります。
さらに別な機会に紹介しますが、ディープラーニングとしてのLTD学習法(『実践・LTD話し合い学習法』安永悟著、ナカニシヤ出版)も併せて極めて有効な教育方法学と言えます。
〈参考文献〉
▽ピアジェに学ぶ認知発達の科学(Jピアジェ、北大路書房、2007)
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2024-09-20付)
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